かしの実こんにゃく

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かしの実こんにゃく(かしのみこんにゃく)は、九州地方の各地に伝承される伝統食品である。アラカシイチイガシの実(ドングリ)のデンプンを凝固させたものである。名称は地域で微妙な差があり、熊本県河浦町今田[1]宮崎県国富町深年市ノ瀬[2]、宮崎県児湯郡西米良村上米良では「カシノミコンニャク」、熊本県湯前町では「イチゴンニャク」[3][注釈 1]大分県安心院町では[3]「カタギノイギス[注釈 2]」と呼ばれる。

熊本県河浦郡今田の事例

  1. マガシ(アラカシ)の実を洗って選別し、で搗いて粉にする。
  2. 粉を風呂敷で包んで竹のショーケ()に乗せ、水を6時間ほど注ぎ続ける。
  3. 笊をポリ桶の水に沈め、粉を包んだ風呂敷を揉みだす。粕は捨てる。
  4. ポリ桶の水の上澄みを捨て、底に沈殿したセン(澱粉)を得る。カシの実1升につき2合のセンが得られる
  5. センを水に溶く。割合はセン1につき水6。
  6. 溶液を釜に入れ、掻き回しながら炊く。とろみが出たら別の容器に移して冷やし固める。
  7. 名称は「カシノミコンニャク」。刺身状に切り、ぬた(酢味噌)や胡麻醤油で食べる[4]

熊本県湯前町下村二本柿の事例

  1. 拾い集めたイチイガシの実を水洗いした上で筵に広げて乾かし、殻ごと石臼で粉に挽く(1979年当時は農協の製粉機を用いるのが主流)。
  2. 粉を木綿袋に入れ、バケツの水に漬けてよく揉みあげ、アクを洗い流すと同時にデンプンを沈殿させる。
  3. 上澄みの水を数回替え、そのまま一晩放置することでデンプンを完全に沈殿させる。
  4. デンプンを水に溶き、釜に移して弱火で炊く。30分も炊けば粘りが出始めるので、焦げないように絶えずヘラで掻き回しつつさらに10分炊く。
  5. ヘラを持ち上げても滴り落ちないほどの粘りになったら別の容器に移し、一晩放置する。
  6. 羊羹のように冷え固まったものがイチゴンニャクである。適当な大きさに切り刺身のように酢醤油で食べるか、一晩乾燥させたものを醤油と砂糖で煮て食べる[5]

栄養分

日本食品分析センターの分析結果によれば、生のイチイガシの実は水分が37.6パーセント、タンパク質が1.6パーセント、糖質が46.7パーセントである。水さらし加工でアクと共に栄養素も失われ、完成品のイチゴンニャクはその90パーセントが水分、糖質は9パーセント、タンパク質は0.1パーセントである[5]

歴史

南西日本はシイカシが自生する照葉樹林帯に属する。だがアラカシやイチイガシの実のデンプンを凝固させた食品は、南西日本に全般的に存在するものではなく、四国の高知県(カシ豆腐)と、九州の北部にのみ存在する。それも九州北部でも全般的に存在するものではなく、地域的に散在している。一方、朝鮮半島にはコナラナラガシワのドングリから得たデンプンを固めた伝統食品「トトリムㇰ」が広く存在し、その製法はカシの実コンニャクとほぼ同一である。四国のカシ豆腐の起源としては、土佐国の戦国大名・長宗我部元親朝鮮出兵の際に日本に連行した朴好仁・元赫(のちに秋月長左衛門種信)がもたらしたものとの説が有力である[6]。九州のカシの実コンニャクも同様に、「文禄の役で捕虜にされた朝鮮人が伝えた」との説が提唱されている[7]。文禄の役に出陣した小西行長の領国であった熊本県天草地方に最初に伝来し、明治以降の人の流れに伴い球磨人吉地方、さらに宮崎県方面に伝わったという[7]

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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