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糠

穀物を精白した際の果皮、種皮、胚芽などの部分 From Wikipedia, the free encyclopedia

糠(ぬか)とは、穀物を精白した際に出る果皮、種皮、胚芽などの部分のこと。穀実類を精穀・製粉したときに出る副産物を意味する糟糠類の一種である[1]。ブラン(英: Bran)とも呼ばれる。

米糠

コイン精米機の米ぬかボックス
米ぬか
概要 100 gあたりの栄養価, エネルギー ...
米ぬか[2]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 1,723 kJ (412 kcal)
48.8 g
食物繊維 20.5 g
19.6 g
飽和脂肪酸 3.45 g
一価不飽和 7.37 g
多価不飽和 5.90 g
13.4 g
ビタミン
チアミン (B1)
(271%)
3.12 mg
リボフラビン (B2)
(18%)
0.21 mg
ナイアシン (B3)
(231%)
34.6 mg
パントテン酸 (B5)
(89%)
4.43 mg
ビタミンB6
(252%)
3.27 mg
葉酸 (B9)
(45%)
180 µg
ビタミンE
(69%)
10.4 mg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
7 mg
カリウム
(32%)
1500 mg
カルシウム
(4%)
35 mg
マグネシウム
(239%)
850 mg
リン
(286%)
2000 mg
鉄分
(58%)
7.6 mg
亜鉛
(62%)
5.9 mg
銅
(24%)
0.48 mg
セレン
(7%)
5 µg
他の成分
水分 10.3 g
水溶性食物繊維 2.2 g
不溶性食物繊維 18.3 g
ビオチン(B7) 38.2 µg
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。
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米糠はイネの籾の精米の過程で排出され、果皮、種皮、外胚乳、アリューロン層、胚芽などからなる[3]。これらは玄米中の約1割にあたる[3]。また、米糠に含まれる油分はその約2割である[3]。

日本では、歴史的に米から出るものが身近であったため、単に糠と言えば「米糠」を指す場合が多い。米の栄養素の95%は米糠中に存在する[4]。

玄米を精米する際に排出されたままの水分や油分が多いものを生米ぬか、米油を抽出して乾燥させたものを脱脂米ぬかという[5]。また、精米歩合により、90%以上としたときの糠を赤糠、90 - 80%以上としたときの糠を中糠、それ以下のときの糠を白糠という[6]。

糠は穀物の精白過程で大量に排出されるのに対して用途は限られるために価値は低く、基本的には廃棄物扱いである。処分するのにもコストがかかるため、日本のコイン精米機では精米時に発生する米糠を希望者に無料で提供している。

米糠部分にはビタミンB群を多く含むが、日本では江戸時代の元禄から享保年間にかけて精米技術が発達すると、「江戸わずらい」と呼ばれるビタミンB群の欠乏による脚気を患う人が急増した[3]。明治時代以降も食事が白米中心となったことによって脚気が拡大した事例が数多く存在する[3]。日本の脚気史も参照。

利用

食品

搾油して米ぬか油としたり、ぬか漬けの「ぬか床(ぬかみそ)」として利用されている。

日本では伝統的に『米のとぎ汁』を様々な料理の下ごしらえに利用してきた。 タケノコの下茹で(あく抜き)[7]、身欠きニシンの戻しなど。

福岡県北九州市の小倉・門司地区や行橋市など旧小倉藩に属する地域では、鰯や鯖などの青魚をぬか床(糠味噌)その他の調味料で煮るぬか炊き(北九州では「じんだ煮」と称する[8]。「じんだ」はぬかみその意の古語が方言化したもの)がポピュラーな郷土料理となっている。

洗剤

日本では合成洗剤が普及するまで、米糠は洗剤としても広く用いられていた[9]。米糠に含まれるγグロブリンというタンパク質が界面活性剤の役割を果たしているとされている。布袋に包み、柱や床を磨き上げるなどの掃除にも利用された。

飼料・培養基

脱脂した米糠は家畜や家禽の飼料に配合されることがあるほか[10][11]、鋸屑と米糠を混ぜたものはキノコを菌床栽培する際の培養基(菌床)として活用されている[12]。

工業製品

脱脂した米糠を原料とするRB(英: Rice Bran: 米糠)セラミックなども開発されている[13]。軽量ながら高い強度と硬度を持ち、優れた耐摩耗性、低摩擦特性があるため、無潤滑のすべり軸受などに利用され、国立天文台ハワイ観測所すばる望遠鏡の赤外線分析装置の可動部にも採用されている。その他にもゴムに混ぜる事でウェット面でも耐滑性が得られる事から、RBセラミックをゴム底に配合した靴やトレッドゴムに配合した自転車用タイヤなどが製品化されている。

米糠を利用して新聞紙からインキを抜いて再生紙を作ることが可能であり、宮島清次郎を社長に迎えて国策会社として国策パルプを設立した。

主な成分

その他の穀類

ムギ

小麦の糠。
  • 麦糠 - 大麦の糠。
  • ふすま(麬、フスマ[5]) - 小麦の糠。小麦粉製造時の副産物である(原料の小麦から小麦粉を製造する際に22-23%程度の割合で生じる)[5]。
  • 燕麦糠[14] - 燕麦の糠。「オートブラン」(英: Oat bran)とも言う。

食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が含まれている点[15]が見直され、特に小麦ふすまを「ブラン」と呼んで健康食品等に利用する例も増えてきている。ケロッグのオールブランなど。

トウモロコシ

トウモロコシの加工工程で副生するものに、コーングルテンフィードやコーングルテンミールがある[5]。

  • コーングルテンフィード - コーンスターチ製造時の副産物でトウモロコシの外皮を主体とする[5]。
  • コーングルテンミール - トウモロコシからのデンプン製造時に高タンパク質含有部分を分離したもの[5]。

また、グルテンを含まず粘性がないので、中南米ではニシュタマリゼーションと呼ばれるアルカリ処理を行ってパン生地のような粘性とナイアシン吸収性を持たせ、これを挽いて糠ごと粉にしたマサを作って食用(トルティーヤなどが知られる)とする。

糠と動物

  • 米糠の臭気は、糠を好物とするクマを呼び寄せる可能性を高める。日本では、しばしば米糠を貯蔵する倉庫がクマの襲撃を受ける事例が発生する[16][17]。
  • 前近代日本では、ウマといった家畜の餌として藁と共に出されていた。例として、軍記物である『小田原北条記』巻五の「松山合戦」において、馬の餌である藁と糠を貯える記述がある。
  • 奈良県では鹿がレジ袋やパンフレットなどを食べてしまうため、動物への影響が少ない米糠を配合した紙への利用を進めている[18]。

脚注

関連項目

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