まあだだよ
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内田百閒の随筆を原案に、戦前から戦後にかけての百閒の日常と、彼の教師時代(法政大学)の教え子との交流を描いている。黒澤作品の前・中期に見られる戦闘・アクションシーン等は皆無で、終始穏やかなトーンで話が進行する。
キャッチ・コピーは「今、忘れられているとても大切なものがここにある。」
黒澤明の監督生活50周年・通算30作目の記念作品として大きな期待を集めたが、同時期に公開された『ロボコップ3』や『許されざる者』などのヒット作に押され、興行的には失敗となった[1]。
この作品の公開後、黒澤は次回作の脚本[注 1]の執筆中に骨折。療養後1998年9月6日に脳卒中により死去し、本作が半世紀以上の監督生活を全うした黒澤の最後の作品となった。
あらすじ
法政大学のドイツ語教師・百閒先生は随筆家としての活動に専念するため学校を去ることになり、学生たちは『仰げば尊し』を歌って先生を送る。職を辞したのちも、先生の家には彼を慕う門下生たちが集まり、鍋を囲み酒を酌み交わす。先生には穏やかな文士生活が訪れるはずであった。しかし時代は戦争の只中、先生も空襲で家を失ってしまう。妻と2人、先生は貧しい小屋で年月を過ごすことを余儀なくされるが、戦後門下生たちの取り計らいで新居を構えることを得る。
昭和21年、彼らは先生の健康長寿の祝いのために「摩阿陀会」なる催しを開く。なかなか死にそうにない先生に「まあだかい?」と訊ね、先生が「まあだだよ!」と応える会である。月日は経ち、17回目の「摩阿陀会」は先生の喜寿のお祝いも兼ねて盛大に開かれる。門下生たちの頭にも白いものが交り、彼らの孫も参加したこの会で、先生は突然体調を崩してしまう。大事をとって帰ることになるが、かつての教え子たちは昔と同じように『仰げば尊し』を歌って会場を後にする先生を送るのだった。
その夜、付き添った門下生たちが控える部屋の奥で、先生はおだやかに眠る。夢の中、かくれんぼをしている少年は、友達に何度も「まあだだよ!」と叫ぶ。少年が見上げた夕焼けの空は、やがて深く彩られていった。
キャスト
- 内田百閒:松村達雄
- 奥さん:香川京子
- 高山:井川比佐志
- 甘木:所ジョージ
- 桐山:油井昌由樹
- 沢村:寺尾聰
- 小林(百閒の主治医):日下武史
- 亀山(百閒の学友、和尚):小林亜星
- 多田:平田満
- 古谷:渡辺哲
- 北村:頭師孝雄
- 三井:松井範雄
- 平野(鉄道マニア):杉崎昭彦
- 村山:冷泉公裕
- 太田:岡本信人
- 石川:竹之内啓喜
- 高山の息子:吉岡秀隆
- 地主:山下哲生
- 土地を買った男:草薙幸二郎
- 肉屋の親父:谷村昌彦
- 魚屋の娘:鈴木美恵
- 酒屋の御用聞き:頭師佳孝
- 内田百閒の少年時代:西亨大
- 巡査:桜金造、板東英二
- 中野聡彦、大寶智子、中嶋しゅう、天田益男、平野稔、野村昇史、笠井一彦、牧村泉三郎、嶋崎伸夫、本間文子 ほか
スタッフ
- 監督・脚本[2]・編集:黒澤明
- 原作:内田百閒
- エグゼクティブプロデューサー:山本洋、入江洋三
- ゼネラルプロデューサー:徳間康快、小暮剛平
- プロデューサー:黒澤久雄
- アソシエイトプロデューサー:飯泉征吉
- 題字:今井凌雪
- 音楽:池辺晋一郎
- 撮影:斎藤孝雄、上田正治
- 美術:村木与四郎
- 照明:佐野武治
- 録音:西崎英雄
- 効果:三縄一郎、川崎清
- 衣装:黒澤和子
- 演出補佐:本多猪四郎
- 助監督:小泉堯史、米田興弘、酒井直人、田中徹、ヴィットリオ・ダル・オレ、芹沢康久
- プロダクションマネージャー:野上照代
- 製作担当:熊田雅彦
- 合成:中野稔
- スタジオ:東宝スタジオ
- ハイビジョン合成:ソニーPCL
- タイトル:雪心会、マリンポスト
- 現像:IMAGICA