ハスティナープラはドローナにクル王子の指南役を依頼していたため、ドローナ、アシュヴァッターマンはハスティナープラに忠誠を誓い、クルクシェートラの戦いではカウラヴァ側についた。ビーシュマは、「アシュヴァッターマンは偉大な戦士だが、生命をことのほか愛しむため最高の戦士(マハーラティ)に数え挙げることはできない」と評した[6]。
戦争が始まって10日目、ビーシュマは致命傷を負い、矢で出来たベッドに横たわったまま、ドローナを軍の最高指揮官に指名した。
戦争の15日目、正攻法でドローナを倒すのが不可能だと知ったパーンダヴァは、ドローナに対して奸計をはかった。クルクシェートラの戦いでアシュヴァッターマンがビーマに殺されたという嘘をついたのだ(実際にはビーマはアシュヴァッターマンという名前の象を殺しただけだった)。このことを信じたドローナは絶望して武器を手放し、瞑想にふけった。無防備な状態のドローナの首を、ドリシュタデュムナが斬り落として殺害した[7]。
父が騙されて殺されたことに激怒したアシュヴァッターマンは、ナーラーヤナアストラという武器をパーンダヴァに対して発動した。クリシュナはナーラーヤナの化身なので、このナーラーヤナの武器についての知識があり、非武装の者に効果がないことを知っていた。クリシュナの指示により兵士たちが武装を解いたことで、その武器は無効となった。ドゥルヨーダナは再び武器を使うように促すが、アシュヴァッターマンは、その武器は再び使えば使用者を殺すため、二度は使えないと答えた[8]。
恨みを抱いていたアシュヴァッターマンではあったが、ハスティナープラの繁栄を願っていたため、和平を講じることをドゥルヨーダナに進言した。ドゥルヨーダナは断固これを拒否した[9]。
パーンダヴァへの夜襲を前にシヴァを懐柔するアシュヴァッターマン
18日目に、アシュヴァッターマンは生き残ったカウラヴァの戦士、クリタヴァルマン、クリパを招集し、パーンダヴァの陣地を襲った[10]。
ドゥルヨーダナが斃れた次の夜、アシュヴァッターマンが眠れずに巨木の前で座っていると、梟が待ち伏せしてカラスに襲いかかった。これを見たアシュヴァッターマンは、パーンダヴァに夜襲をかけることを思いついた[11]。アシュヴァッターマンは「パーンダヴァは不当なやり方で父ドローナを殺したのだから、このような手を使っても構わないはずだ」と考えていた。しかしクリパはアシュヴァッターマンのこの言葉に納得せず、「このようなやり方は法(ダルマ)に悖るから止めた方が良い」と述べた。
アシュヴァッターマンはカルバイラヴァを崇めていたため、時間すらも破壊してしまうこのシヴァの化身は、パーンダヴァへの夜襲に祝福を与えた[12]。
カルバイラヴァが体内に入ると、アシュヴァッターマンは剣を振り回して、眠っていたドリシュタデュムナを手始めに殺し、シカンディン、ウッタマウジャス、5人のパーンダヴァの息子たち、その他のパーンダヴァの戦士も次々と殺していった。彼から逃れた者も、入り口で待ち伏せしていたクリパとクリタヴァルマンに殺された。
パーンダヴァで生存したのはサートヤキ、クリシュナと5人のパーンダヴァだけであった[13]。
アシュヴァッターマンはパーンダヴァの野営を灰にし、後には何も残らなかった。野営を壊滅させた後、アシュヴァッターマンはドゥルヨーダナに「パーンダヴァを全滅させた」と報告した。
パーンダヴァとクリシュナは、壊滅した自分達の陣営を見て怒り、アシュヴァッターマンの後を追った。最後の手段としてアシュヴァッターマンは、ヴェーダの聖なる知恵によって一枚の葉からブラフマシラーストラを作りだし、パーンダヴァとクリシュナに向けて放った。これを見たクリシュナは、アルジュナに同じ物を放てと言った。
アルジュナがブラフマシラーストラを放つと、全世界が壊滅しかねないほどの衝撃が起きたため、聖仙ヴィヤーサは両者に武器を収めるよう言った。ブラフマシラーストラは清浄な魂の持ち主でなけば撤回できないため、アルジュナはブラフマシラーストラを収めることが出来たが、アシュヴァッターマンはそれが出来なかった[2]。
アシュヴァッターマンは、ウッタラー(アビマニユの妻)に向けて武器を放ち、胎内のパリクシットを殺すことでパーンダヴァの系譜を永遠に断とうした。クリシュナはパリクシットを生き返らせることを誓い、「3000年の間森の中をさまよい続けるであろう。血が体中の傷からにじみだし、苦しむであろう。お前は死を望むようになるが、死すらもお前に情けをかけることはない。お前はもてなしや歓待を受けることはない。人間社会から完全に隔絶され、孤独に過ごすこととなるのだ。額の宝石を外して出来た傷は癒えることはない。無数の病がお前の体を蝕み、痛みや潰瘍を引き起こす。そしてその病は3000年間癒えることはない。」と告げた。
アシュヴァッターマンは、命をもって償うかわりに額の宝石を外すようヴィヤーサに言われた。5人の息子たちを殺されていたドラウパディーは、ドローナへの尊敬のためにアシュヴァッターマンの生命を見逃すことを受け入れ、宝石をユディシュティラの頭に載せた[14]。