アディポジェネシス

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脂肪芽細胞英語版(脂肪前駆細胞、前駆脂肪細胞とも呼ばれる)の組織学的特徴

アディポジェネシス: adipogenesis)は、幹細胞から脂肪細胞が形成される過程であり[1]間葉系幹細胞が脂肪前駆細胞への分化が決定し、軟骨細胞筋細胞骨芽細胞など他の細胞種への分化能を喪失する過程、そして脂肪前駆細胞が成熟した脂肪細胞へ終末分化する過程の2段階からなる[2]。脂肪細胞は脂肪組織に内在する前駆細胞から生じる場合と、骨髄由来の前駆細胞が脂肪組織へ移動することで生じる場合がある[3]

オイルレッドO英語版による分化した脂肪細胞の染色

脂肪細胞は動物の体内においてエネルギーの恒常性に重要な役割を果たしており、トリグリセリドとしてエネルギーを蓄える最大の貯蔵庫として機能している[4]。脂肪細胞は、エネルギー摂取量が消費量よりも多い時には肥大し、エネルギー消費量が摂取量よりも多い時には脂肪を動員する、という動的状態にある。これらの過程は拮抗する調節ホルモンによって高度な調節を受けており、脂肪細胞はこれらのホルモンに対して非常に高い感受性を有する。こうしたホルモンの1つであるインスリンは脂肪細胞の肥大を促進、一方で拮抗ホルモンであるアドレナリングルカゴン副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は脂肪の動員を促進する作用を示す。アディポジェネシスは緊密に調節された細胞分化過程であり、間葉系幹細胞が脂肪前駆細胞への運命が決定され、そして脂肪前駆細胞が脂肪細胞へ分化する過程である。細胞分化は遺伝子発現パターンの変化を伴い、多能性遺伝子を発現している状態から細胞種特異的遺伝子発現への変化が生じる過程である。そのため、アディポジェネシスには遺伝子発現の調節を担う転写因子が重要な役割を果たしており、PPARγC/EBP英語版といった転写因子が主要な調節因子となっている[5]。他の系統の細胞の分化と比較して、in vitroでの脂肪細胞への分化過程は信頼性が高く、in vivoでの分化の特徴の大部分が再現されている。分化した脂肪細胞の重要な特徴は、成長の停止、形態の変化、脂質生合成(リポジェネシス)に関わる遺伝子の高発現、アディポネクチンレプチンレジスチン英語版(マウスにおいて。ヒトでは極めて低レベル)、TNF-αといったアディポカインの産生である。

分化

分化に関するin vitroでの研究は、3T3-L1英語版や3T3-F442Aといった脂肪前駆細胞株、もしくは白色脂肪組織英語版の間質血管細胞群から単離された脂肪前駆細胞を用いて行われている。In vitroでの分化は、非常に秩序だった過程である。まず、増殖中の脂肪前駆細胞は多くの場合接触阻止によって成長が停止する。成長の停止に続いて、細胞の形態が線維芽細胞型から球形へ変化し、転写因子C/EBPβ英語版C/EBPδ英語版が誘導される、といった最初期のイベントが生じる。次の段階は2つの重要な転写因子PPARγC/EBPα英語版の発現であり、これらは成熟した脂肪細胞の特徴となる遺伝子群の発現を促進する。こうした遺伝子には、aP2英語版インスリン受容体グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ英語版脂肪酸合成酵素アセチルCoAカルボキシラーゼGLUT4をコードする遺伝子などが含まれている[6]。この過程を通じて、脂肪細胞内には脂肪滴英語版が蓄積する。一方で、脂肪前駆細胞株の脂肪細胞への分化は効率の低さなどの困難を伴う場合がある。マウスにおけるin vivoでの研究では、細胞表面マーカーがCD45 CD31 CD34+ CD29英語版+ Sca-1+ CD24英語版+の脂肪前駆細胞が増殖して脂肪細胞へ分化することが示されている[7]

In vitroにおける分化のモデル

細胞株起源分化プロトコル
脂肪前駆細胞株
3T3-L1英語版Swiss 3T3のサブクローン[8]FBS + I + D + M
3T3-F442ASwiss 3T3のサブクローン[9]FBS + I
Ob17C57BL/6J ob/obマウス精巣上体脂肪組織[10]FBS + I + T3
TA1C3H10T1/2のサブクローン [11]FBS + D + I
30A5C3H10T1/2のサブクローン[12]FBS + D + M + I
1246CH3マウステラトカルシノーマ(teratocarcinoma)細胞株T984の脂肪細胞分化能を有するサブクローン[13]D + M + I
脂肪細胞への分化能を有する細胞株
NIH3T3NIH Swissマウス胎児細胞[14]PPARγ, C/EBPα or C/EBPβ + D + M + I
Swiss 3T3Swissマウス胎児細胞[15]C/EBPα
Balb/3T3Balb/cマウス胎児細胞[16]C/EBPα
C3H 10T1/2C3Hマウス胎児細胞[17]PPARγリガンド
Kusa 4b10マウス骨髄間質細胞[18]FBS + I + D + M
C2C12英語版C3Hマウス大腿筋[19]チアゾリジンジオン
G8Swiss websterマウス胎児後肢筋肉[20]PPARγ + C/EBPα + D + I
FBS = ウシ胎児血清, D = デキサメタゾン, I = インスリン, M = メチルイソブチルキサンチン, T3 = トリヨードサイロニン

転写調節

その他の調節

出典

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