アドバンスト・ファイティング・ファンタジー
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アドバンスト・ファイティング・ファンタジー(Advanced Fighting Fantasy)またはダンジョニアRPG(Dungeoneer)は、マーク・ガスコインとピート・タムリンによるイギリスのテーブルトークRPG作品である。ゲームブック及び同名のRPGシステムであるファイティング・ファンタジーの発展版である。
『ファイティング・ファンタジー』シリーズの創始者であるスティーブ・ジャクソンとイアン・リビングストンが監修している。
他のテーブルトークRPG同様、アドバンスト・ファイティング・ファンタジーも「架空世界での冒険を演じる」ことが目的である。
アドバンスト・ファイティング・ファンタジーにおける冒険は、映画の撮影をイメージしている。このため、プレイヤーを「俳優」、プレイヤーキャラクターを「ヒーロー」、ゲームマスターを「ディレクター」と呼んでいる[1]。また、移動や休養などのストーリーに関係ない部分を省略するためにシーン制が採用されている。
ルール
基本的なルールはファイティング・ファンタジーに基づいている。
ファイティング・ファンタジーからの改良点
ファイティング・ファンタジーシリーズの創始者であるスティーブ・ジャクソンは、ゲームブックと同じシステムを用いた同名のテーブルトークRPGを発表しているが、これは良作とはいえなかった。
安田均はこの作品を「惜しい失敗作」と評し[2]、以下の問題点をあげた[3]。
- キャラクターの強弱が主に技術点の大小のみで決まってしまう。
- 成長ルールがない。このためプレイヤーの興味を引き続けるのが難しくなっている。
- 魔法がない。
安田は2番目の「プレイヤーの興味を引き続ける」に関しては、成長以外に「ストーリーの面白さ」を追求する方向性もあるとしている。
上記のような問題を解決するために、以下のようなルールが追加されている。
- 特殊技能
- 成長
- 魔法
特殊技能
アドバンスト・ファイティング・ファンタジーでは、「スキル制」を採用している。
各ヒーローは、技術点と同じだけの特殊技能を選び、技術点に上乗せすることができる。これにより、得意分野の設定や強化ができるようになっている。
特殊技能には、「剣」「弓」などの戦闘技能・「開錠」「登攀」「忍び歩き」などの行動に関する技能・「森の知識」「世界の知識」などの知識に関する技能・「魔法」の技能などがある。
対応する技能を持っていないヒーローがこれらの行為を行うときには技術点を用いるが、技能によってはペナルティを受けることもある。
成長
アドバンスト・ファイティング・ファンタジーにも経験値と成長の概念が導入された。
他のゲーム同様、経験値は冒険の終了後にディレクターから与えられる。これは、冒険の達成状況の他に演技力も吟味して決められる[4]。
得た経験値を利用して特殊技能の強化や新規取得が行える。いずれも(ゲーム内で)1週間の時間を必要とし、新規取得では更に教師への礼金も必要となる。ディレクターによってこれらがないと判断された場合、成長させることはできない。
魔法
特殊技能の1つとして、魔法が設定されている。他の特殊技能と違い、技能を持っていないヒーローは魔法を使うことはできない。
ゲームブック版のファイティング・ファンタジーで魔法が採用された作品として、『バルサスの要塞』と『ソーサリー』があげられる。前者の方式は、デメリットなしで使えるがゲームが始まる前に使用する魔法を決めないといけない。後者の方式は、何度でも使用できるが使用するたびに体力を減らさないといけない。
スティーブ・ジャクソンは来日の際に、ファンに対してどちらの方式が好きかのアンケートを取った。このときの結果は、後者を支持する人の方が多かった[5]。
アドバンスト・ファイティング・ファンタジーでは、後者の方式が採用されている。また、唱えるときに判定が必要であり、判定に大失敗するととんでもないことが起こるようになっている。
他の特別なルールとして、作成時に魔法技能を取得した場合、その分技術点を減らすというルールがある。
シーン制
「シーン制」という言葉は用いられていないが、アドバンスト・ファイティング・ファンタジーではこのシステムを採用している。
ルールブック収録のサンプルシナリオでは各場面を「シーン」と称し、シーン単位で情景描写やノンプレイヤーキャラクターの解説が行われている。
また、シーン制でよく行われる移動の省略も推奨されている[6]。
集団戦闘
拡張サプリメントには、プレイヤーが軍隊を指揮して戦う集団戦闘のルールがある。[7]
初版では2冊目のサプリメントである"Allansia"に収録されている。第2版では最初のサプリメントである"Heroes Companion"に収録されている。
軍団同士の戦闘は、軍団を1つのユニットとし、通常の戦闘と同様に攻撃力を比べあう。2版では各ターンに戦略や統率の判定を行う。 軍団同士の競り合いの他に、ヒーローと相手軍の強者(司令官や精鋭兵など)との戦闘がある。これは数ラウンド(初版は3ラウンド・2版は1ラウンド)に1度行われる。これに勝利すると、敵の勢力を削いだり味方の士気を高める効果がある。
2版では軍対軍の他に、大型兵器(バリスタ・破城槌など)を用いた攻城戦や船を用いた海戦もできる。集団戦闘に介入できる強力な呪文体系も用意されている。
2nd Edition
"ADVANCED FIGHTING FANTASY 2nd Edition" は2010年に予告[8]され、2011年5月に Arion Games から発売された。著者は グレアム・ボトリー。
この刊行にあわせて、"Out of th Pit"(邦題「モンスター事典」)と"Titan"(邦題「タイタン」)の2冊のサプリメントも復刊されている。
シナリオ"Crown of Kings"が2012年に、追加ルールブック"Heroes Companion"が2013年に発売されている。
2013年には基本ルールのフランス語版が発売されている[9]。グループSNEは2018年に日本語版を発売すると発表し[10]、 2018年4月に日本語版ルールブックが書苑新社から発売された(シナリオブック01『火吹山の魔法使い』と2冊セット販売)。また2023年2月には改訂版が新紀元社から発売されている(『シナリオ集&ミシュナ等のモンスター』と2冊セット販売)。
変更点
2nd Edition(以下「2版」と呼ぶ)は、戦闘・行為判定など過去の作品(ファイティング・ファンタジーを含む)から多くのルールを継承しているが、大きい変更があった部分もある。
以下の記述において、マーク・ガスコイン編集の版を「前作」と呼ぶ。また、ファイティング・ファンタジーから前作まで変更がなかった部分に関しては「以前」「過去」と書く。
能力とキャラクター作成
キャラクターの能力値は、主に魔法を使用するときに使用する "魔法点" が増えた以外は変わっていない。しかし、キャラクター作成の方法には変更がある。
以前は能力値の決定にサイコロを使用していたが、2版はポイントを振り分ける方式に変更されている[11]。サイコロを使用する方法は、オプションルールとして存在する[12]。いずれの方法を用いても、能力値は過去のキャラクターより低く抑えられている。また、前作では人間とエルフ・ドワーフに能力値の差はなかったが、2版では種族による修正が若干存在する。
前作では技能の取得数は技術点に依存していたが、2版では取れる数は共通である。また、種族ごとに自動的に取得される技能を除いて最初に3点以上割り振ることはできなくなっている。
技能の他に "タレント" が導入された。これはキャラクターの特徴を決定する。特長には「両手利き」「暗視」「足が早い」などの肉体的特長・「サバイバル」「武器の習熟」など経験で身につけた能力・「騎士叙勲」のような社会的な地位に関するものなどがある。
魔法
前作の最初のルールでは、魔法の系統は1種類しかなかった。後に発売されたサプリメント "Blacksand" で、「まじない」と呼ばれる魔法系統が追加されている。
第2版では、これらを含む4系統の魔法体系が用意されている。
- 魔術(Wizardry)
- 前作と同様の魔法体系。魔術師が使用する呪文。アランシア大陸で人気のある魔法系統。ただし、消費するのは体力から魔力ポイント(能力値 魔法点 から算出される値)に変更されている。
- まじない(Minor)
- 前作で途中から登場した体系。「小魔法(Cantrip)」とも呼ばれる。「手のひらの上に火を出す」「物体の動きを30秒止める」など簡単な効果が多いが、その分成功する確率は高い。
- 妖術(Sorcery)
- 2版で新規に追加された体系。妖術師が使用する呪文。ソーサリーの舞台である旧世界(オールドワールド)で開発された魔法系統。前2者はキャラクターが選択した呪文しか使えないが、妖術は技能を持っていれば全ての呪文を使用することができる。ただし、いくつかの呪文には触媒が必要であり最初から全ての呪文が使用できるわけではない。魔術と異なり体力点を消費する。
- 基本ルールブックではアナランド(「ソーサリー」の出発点となる国)で使用される呪文が収録されているが、国ごとに固有の呪文群が存在することが示唆されている[13]。
- 海の妖術(Naval Sorcery)
- フェンフリィ(旧世界西部の国)発祥の妖術体系。サプリメント"Blacksand"で詳しく述べられている。触媒として「大量の水(風呂桶程度では不可)」を要求する呪文が多いのが特徴である。
- 黒妖術
- 他人に危害を加えることを主とした邪悪な妖術。使用者は太陽の光に弱くなる。
- 神術(Priestly)
- 2版で新規に追加された体系。司祭が使用する呪文。信仰する神によって指定された呪文しか使えず(神固有の神術1つ+一般的な神術から3つ)、使用回数にも制限があるが、使用にコストがかからない。
まじない以外の3種類は、十分な経験をつまない限り別系統の呪文と複数取得することはできない[14][15]。十分経験をつんだキャラクターが2系統の呪文を覚えるオプションルールは存在するが、3系統全てを覚えることは認められていない[15]。 魔術&妖術、魔術&神術、妖術&神術の2系統を修めたキャラクターには各々特別な称号が存在する。 また別のオプションルールとして複数系統では無く魔術、妖術、神術それぞれに特化して限界を超えたキャラクターにも特別な称号が存在する[15]。
魔術と妖術は、使用判定でファンブルを起こした場合前作同様とんでもないことが起こる。
魔法を使用するためには、能力値 魔法点が1点以上なければならない。この能力値は、各系統の呪文の成功判定や効果の決定・魔術に使用する魔力ポイント(MP)の決定に使用される。
魔法点 が技術点を上回っている場合、知識関係の技能のチェックを 魔法点 を用いて行うことができる[16]。
サプリメントで追加された魔法体系
- 『ヒーローコンパニオン』では、新たに7種類の魔法が追加されている。これらの中には、「南方の仮面の魔術」「魔法の刺青」といった過去の作品で登場したものもある。経験を積まないと取得できないものや最初から取得が禁止されているものもある。
- 『ブラックサンド』では上述の「海の妖術」が追加されている。
- 『破滅のデーモン』では「悪魔学」が追加されている。一部の召喚呪文は「招霊術」(『ヒーローコンパニオン』収録)と共通している。
- 『コンバット・コンパニオン』では「戦闘魔術」が追加された。これは戦闘に特化した体系であり上述の「魔術」「妖術」「神術」と同時に取得することはできない。
- 『バルサスの要塞』では上述の「黒妖術」が追加された。
- 『アトランティス・キャンペーン』では「原初魔法」が追加された。大昔(この世界の主要な3つの大陸がまだ1つの大陸だったころ)に使用されていた魔法体系。現代では使用者がいないため、習得には当時の魔法書を読み解く必要がある。
- 『エンサイクロペディア・アルカナ』では「魔妖術」が追加された。
- 『マジック・コンパニオン』では9種類の魔法系統が追加された。
- 『プリースト・コンパニオン』では、神術の細分化と「祝祷」「儀式」が追加された。前者は特定の神の信奉者(神術の技能を持っていなくてもよい)、後者は高位の司祭(神術の技能が必要)が使用できる。
『マジック・コンパニオン』において、魔法は「主要魔法系統」と「副次魔法系統」の2つに分類された[17]。主要魔法系統及び神術は、1つしか選ぶことができない。副次魔法系統は主要魔法系統と同時に取ることができるが、条件がある場合がある。
- 主要な魔法系統(魔術及び妖術系は省略)
- 死霊術 - 動く死体の使役など死に関する呪文群。副次魔法系統の取得はできないが、死霊術師専用のまじないに相当する呪文群がある。
- 混沌魔術 - 混沌のエネルギーを利用する魔術。文明社会では邪悪と考えられている。副次魔法系統の取得はできない。
- 戦闘魔術 - 白兵戦における自己強化を目的とした呪文。
- 獣操術/緑操術 - 特定の動物や植物を支配する呪文。極めると「主の護符」というアイテムを作成できる。
- 刻印魔術 - アイテムなどに魔力を持ったルーン文字を刻むことで使用できる魔術。
- 原初魔術 - 太古の時代に使用されていた魔術。現在では失われているため習得には当時の呪文書が必要となる。
- 樹霊術 - 植物の生長を促す魔術。
- 幻術 - 幻影や蜃気楼などを作る呪文。
- 予見術 - ランダムに啓示で与えられた呪文のみ使用できる。
- 念術 - もともとはSF作品である『Stellar Adventures』で使用できる能力をファンタジー向けに調整したもの。他の魔法系統は取得できない。
- 迅魔術 - 魔術に近いが、戦闘前に使用できる「戦迅」と呼ばれる呪文がある。ゲームブック『王子の対決』に登場した呪文がベースになっている。
- 魔女術 - 魔女と呼ばれる人々が使用できる3種類の呪文。
- 副次的な魔法系統
- 仮面魔術 - あらかじめ作成した仮面を対象が被ることで効果が発生する魔術。ゲームブック『雪の魔女の洞窟』に登場した「癒し手」ペン・ティ・コーラが代表的な使い手として知られる。
- 招霊術 - 魔界や精霊界からの召喚やゴーレムなどの魔法生物の創造を行う呪文。主系統が一定のレベルに達していないと取得できない。
- 刺青魔術 - 対象に刺青を施すことで効果が得られる魔術。ゲームブック『盗賊都市』に登場したジミー・クイックティントやシナリオ『謎かけ盗賊』に登場した「肉とペン屋」の主人などが使い手として知られる。
- 戦魔法 - 大規模戦闘で影響を及ぼすことができる魔術。魔術が一定のレベルにないと取得できない。
- 付与魔術 - 魔法のアイテムを作ることができる。主系統の魔法が一定レベルに達していないと取得できない上、実際のアイテムの作成には作業のための工房も必要となる。
- 魔妖術 - 魔術と妖術の中間にある魔法。ゲームブック『バルサスの要塞』に登場した魔法がベースになっている。
- 祝祷 - 神の信奉者が神の奇跡を他者に分け与える。使用者は司祭である必要はないが、特定の神の信者である必要がある。
- 儀式 - 高司祭が使用できる大掛かりな儀式。
- 神術
- ドルイド神術 - 特定の神ではなく自然の神々全般(これには邪悪とされるハエの神や蜘蛛の神なども含まれる)を信奉する。
- 隠者神術 - 他者となるべくかかわらずに生きることを選ぶ人。特定の神を信奉しておらず、使用可能な呪文は毎日ランダムに与えられる。
- シャーマン神術 - 神ではなく祖先の霊に祈ることで神の助けを得る。
戦闘
戦闘の方法に関しては大きな変更はないが、追加された部分もある。
前作では鎧は「既に着ている」ものとして、ダメージの算出に影響することはなかった(着ていない場合はペナルティがある)[18]。また、盾は防御効果はあるが攻撃の際にペナルティを受けていた[18]。2版では、楯と鎧による防御効果が規定された[19]。ただし、強力な鎧を身に着けるにはそれなりの能力や技能が必要となる[19]。
攻撃におけるクリティカルとファンブルについての威力も修正されている。前作ではクリティカルが発生すると相手が即死していたが、2版ではダメージの増加に変更された。前作のファンブルはダメージの上昇だけだったが、2版では特別な事が起こるようになった[20]。『コンバット・コンパニオン』において、クリティカル時にも特別なことが起きるオプションが追加された。
戦闘ルールの基本が変わっていないため、「モンスター事典」掲載のモンスターは数値の変更なしに使用できる。同書に掲載されているモンスターが使用する武器や鎧に関しては、ルールブックの中に記載されている[21]。
体力
体力に関していくつかのルール変更がある。