アヴェリア・リバティ
アムトラックの保有する高速鉄道用車両
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沿革
2000年にアムトラックがボストンとワシントンD.C.を結ぶ北東回廊でアセラの運行を開始して以来、車両はアルストムとボンバルディアのコンソーシアムが1998年から2001年にかけて製造した車両を使用してきた[7]。
2016年8月、アムトラックは、アセラ用の新型車両をアルストムから購入するために、アメリカ合衆国運輸省から24億ドルの融資を受けると発表した。これらの次世代型車両は、耐用年数を迎えつつある既存の20編成の車両を置き換える計画であった[8][9][10]。28編成の導入により、アセラは増発され、ニューヨークとワシントンD.C.間のピーク時間帯における30分間隔での運行が可能となる[11]。
製造と試験走行

車両は自国生産であり、ニューヨーク州のホーネルとロチェスターにあるアルストムの工場で製造されており[12]、部品は29の州にある180社以上から供給されている[6]。車体と主要部品の製造は2017年10月にホーネルで開始された[13]。最初の試作編成は実験線での試験走行のため、2020年2月にコロラド州プエブロの運輸技術センターに送られた[14]。予定されていた9か月間の試験において、試作編成は最高時速266キロメートルで走行した[15]。2編成目の試作車は、2020年5月に始まった営業線における試験走行のために、同年3月にアムトラックに納入された[16]。ボストン南駅までの最初の試験走行は同年9月28日に行われた[17]。
当初の計画では2022年初頭に営業運転を開始し、同年後半までには全ての編成が出揃い、その時点で従来の車両が全て引退する予定だった[18][19][20]。2022年2月の時点では、本格的な高速試験走行はその年の後半まで開始されない見込みとなっていた[21]。2022年5月時点で、28編成のうち15編成が製造工程の何らかの段階にあった[22]。
最高時速266キロメートルでの試験走行は2022年に実施された。2023年5月時点では当初の予定より3年遅れて2024年に営業運転を開始する予定であった。アセラが200年近く前に敷設された在来線を使用していたこともあり、試験運行では高速運転に対応した線路の整備不良や、インフラの老朽化に起因する互換性の問題が明らかになった[23][24]。
2023年10月、アムトラック監察総監室が発表した報告書によると、アヴェリア・リバティは2024年後半に運行開始となる見込みであることが明らかになった。報告書では、一部の車両で窓ガラスが自然破損する現象など、これまで公表されていなかった複数の問題が指摘された[25]。
2024年1月13日、アムトラックは、アヴェリア・リバティが過去13回の失敗を経て、北東回廊での運行に関する一連のコンピューターシミュレーションに合格したと発表した。これを受け、連邦鉄道局はワシントンD.C. - ボストン間の営業線試験走行を承認した[26]。2024年12月までに、28編成中14編成が納入され、2025年春の営業運転開始が予定されていた[27]。
最初の5編成は2025年8月28日に運行を開始した[5][6]。営業運転時の最高速度は時速260キロメートルである[6]。
構造


アムトラックは当初アヴェリア・ペンドリーノの派生型を支持していたが、車両はAGVを基に設計され、動力車はフランスのTGV向けに設計されたアヴェリア・ホライズンを基に[28]、アメリカ連邦鉄道局のTier III衝突安全基準を含む北米鉄道規格に適合するよう改良されている。
車両は前世代より両数が増えるだけでなく、各編成に378席と車椅子スペース8箇所を備え、総収容人数は386名となる。これにより一編成あたりの乗客収容力が25%向上する[9][12]。また、アルストムが「Tiltronix」と命名した、ペンドリーノを基に開発された車体傾斜装置を搭載し、最大6.3度傾斜することで曲線区間における高速走行を可能としている[12][29]。
アヴェリア・リバティは動力集中方式が採用されており、編成両端に動力車、そしてそれに挟まれる形で客車9両で構成される。需要拡大時にはさらに3両の客車を追加可能である。動力車には衝突エネルギー管理システムを搭載し、連邦鉄道局のTier III基準を満たしつつ、列車重量を30%削減することを可能にしている[30][31]。さらに、車内にはUSBポート、電源コンセント、Wi-Fi、バリアフリー設備、非接触式トイレ、運行情報表示、カフェ車両、改良型空調システム、全車両での音声と映像による案内放送などを備えている[6][32][33]。 乗り心地は従来型より滑らかであると報告されている[6]。
新型車両は線路・信号設備の改良と相まって、従来時速240キロメートルでの運転が認可されていた区間において、通常運行最高速度を時速260キロメートルへ引き上げることを可能とした[34]。多くの設備改良が進行中または完了しており、運行本数の増加と速度の向上を実現している[9][35][36][37]。
編成
車両は、編成両端に1両ずつある動力車2両と、客車9両で構成されている。客車には、43席のファーストクラス車両が1両、ファーストクラスの乗客にサービスを提供する乗務員用のギャレーを備えた39席のビジネスクラス車両が1両、49席のビジネスクラス車両が3両、カフェ車両が1両、さらに49席のビジネスクラス車両が2両、そしてQuiet Carとして指定された59席のビジネスクラス車両が1両で構成されている。編成あたりの座席数は合計386席である[38][39]。
| 号車 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 用途 | 電源車 | ファーストクラス | ビジネスクラス | カフェ | ビジネスクラス | ビジネスクラス (Quiet Car) | 電源車 | — | ||||
| 定員 | — | 43 | 39 | 49 | 49 | 49 | — | 49 | 49 | 59 | — | 386 |