アヴェリア・ホライズン
アルストムの製造する高速鉄道車両
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アヴェリア・ホライズン(英語: Avelia Horizon)は、アルストムが製造する高速鉄道車両である。
| アヴェリア・ホライズン | |
|---|---|
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リヨン駅に停車中のアヴェリア・ホライズン「TGV M」(2023年7月) | |
| 基本情報 | |
| 運用者 |
フランス国鉄(SNCF) ベルベット ONCF ユーロスター |
| 製造所 | アルストム |
| 製造年 | 2022年 - |
| 製造数 |
130編成(フランス国鉄) 12編成(ベルベット) 18編成(ONCF) 30編成(ユーロスター) |
| 主要諸元 | |
| 編成 | 9 - 11両(2M7 - 9T) |
| 軌間 | 1,435 mm |
| 電気方式 |
交流 25,000 V (50 Hz) 交流 15,000 V (16.7 Hz) 直流 1,500 V 直流 3,000 V |
| 最高運転速度 | 320 km/h |
| 設計最高速度 | 360 km/h |
| 編成定員 | 600 - 740 |
| 編成出力 | 8,000 kW |
| 制御装置 | VVVFインバータ制御(IGBT素子) |
概要
TGVの5世代目に当たる車両であり、ユーロ・デュプレックスと同様、最高時速300km以上で走行できる世界で唯一の2階建て車両でもある。アルストムが国際向けに展開する「アヴェリア」シリーズの一つであるが、最重要顧客であるフランス国鉄(SNCF)のTGVとして使用することを前提として、2017年に両社はイノベーション・パートナーシップを結んで共同開発した[1]。
アルストムは、3億4000万ユーロ(約487億円)を投じて開発した。乗客の快適性と環境性能を向上させつつも、鉄道会社の総所有コストを削減することに主眼を置いて設計された[1]。
アヴェリア・ホライズンは動力集中方式を踏襲しつつも、機器の効率的な配置や装置の小型化によって、先頭動力車の全長を従来のユーロ・デュプレックスと比較して4メートル、中間客車も各車1メートルずつ短縮することで、編成全長をほとんど変えることなく中間に連結する客車を従来の8両から9両に増やすことに成功した。これにより、1等・バー車両込みの編成で640 - 650席、2等モノクラスの低価格列車向けとしては最大で740席を設けることが可能となった[1]。
また、車体間に台車を配置した連接車両でありながら比較的簡単に編成の組み換えが可能なため、それまで数日かかった客車の増解結を1日で行うことができ、需要に合わせて編成両数を変更することが可能となった[1]。
従来型と比較して、座席あたりのコストを30%削減しつつも、乗車定員を20%増加させることに成功している。かつてバー車両の階下部分には補機類が搭載されていたが、アヴェリア・ホライズンでは小型化の上で先頭動力車へ移設することで、この部分にも座席を設けることに成功した[1]。
前面形状はAGVに似た、空気抵抗を軽減させるデザインを採用し、台車やパンタグラフ、車体側面も極力平滑化させることで空力性能を向上させた。その上で各機器類の軽量化もあって、エネルギー消費量を20%低減させることに成功した。動力装置にはTGVデュプレックスと同じ非同期式電動機を採用し、定格出力は現行の最新型であるユーロ・デュプレックスの9280kWに対し8000kWと1280kWも低くなっているが、車体の軽量化や空力性能などにより、トータルで同等以上の性能を発揮する[1]。
また、この車両はバリアフリーにも対応しており、バリアフリー車両は出入口の高さが550mm のプラットフォームの高さに合わせられており、そこから客室にアクセスできるエレベーターが備え付けられている。また、車両のアクティブサスペンションにより、出入口を最大627mmまで嵩上げすることができ、スロープと組み合わせることで ベルギー、オランダ、ドイツ、イギリスなどにある高さ760mmのプラットフォームにも対応している[2]。
沿革
フランス国鉄(SNCF)
2015年、SNCFは「イノベーション・パートナーシップ」という形で、次世代高速列車の設計パートナーを選定するための入札公告とプログラムを開始した[3]。
2016年9月7日、SNCFとアルストムは車両の設計と製造に関する契約を締結し、設計段階は2017年末までに完了し、2022年に運行開始予定であるとした[4]。SNCFは新型車両について、購入価格が少なくとも20%安く、運用コストが低く、エネルギー消費量を20%削減し、TGV Duplexよりも多くの乗客を輸送できることを条件としていた。この目標を達成するために、アルストムは国際販売を目的としたアヴェリアシリーズの標準部品を流用することで生産コストを合理化した[5]。
2018年7月に設計が完了し、アルストムによって「アヴェリア・ホライズン」と命名された。その後、SNCFはアルストムにこのアヴェリア・ホライズン100編成を27億ユーロで発注した[6]。製造は2019年秋に開始され、最初のテストは2021年夏に、最初の編成は2023年に納入される予定だった。
2022年9月9日、アルストムはアヴェリア・ホライズンのフランス向け車両「TGV M」の完成車体を公開した[7]。その後、同年12月から、チェコ共和国のヴェリム試験センターで試験が開始され、2023年の夏まで行われる予定となった。
TGV Mは、フランス国内でも有数の混雑路線である南東部の主要2路線で運行を開始する予定である。
パリ・リヨン駅 - アヴィニョンTGV駅 - エクス=アン=プロヴァンスTGV駅 - マルセイユ・サン=シャルル駅
なお、2027年には、Ouigoブランドで15編成のTGV Mをイタリア国内の路線で運行予定である[8][9]。
2026年1月、SNCFは、約6億ユーロの金額で、国際列車用に四電圧対応車両15編成追加オプション契約を行使した。納入は2029年に予定されている[10]。
フランス向け車両のデザインは、佐藤オオキが率いるデザインオフィス「nendo」が手がける。自動車や飛行機とは異なり、鉄道はさまざまな地形に沿って線路の上を流れるように走行することから、「流れる川」をコンセプトにデザインされた[11]。
ベルベット
2024年6月、新興企業のプロキシマは、 2028年までにパリと大西洋岸を結ぶ路線での運行用にアヴェリア・ホライズン12編成を取得するため、アルストムと覚書を締結し[12][13]、同年10月には正式に発注した[14][15]。
ONCF
2024年10月、モロッコ国鉄(ONCF)は、2030年に同国で開催予定のFIFAワールドカップに合わせて、同年までにケニトラ - マラケシュ間の高速鉄道で運行するためにアヴェリア・ホライズン18編成の調達に関してアルストムと覚書を締結し[16][17]、2025年2月26日には正式に発注した[18]。
ユーロスター
2025年10月、ユーロスターはアヴェリア・ホライズンをベースとした9両編成の4電圧対応型(4U:1.5 kV DC、3 kV DC、25 kV AC 50 Hz、 15 kV AC 16⅔ Hz)の車両30編成を、総額約14億ユーロで契約し、さらに20編成の追加発注オプションも付帯した。
車両の愛称は「ユーロスター・セレスティア(Eurostar Celestia)」で、ラテン語の「天国」を意味するcaelestisに由来し、ユーロスターの社員が考案したものである[19]。
この車両はユーロスター初の2階建て車両となり、座席数は540席と、現在主力となっている374形(e320)から20%増加した。最後まで残った8編成の373形(e300)、およびユーロスターが2022年に合併したかつての国際高速列車「タリス」用車両(タリスPBA・PBKA)の置き換え[19]と、ロンドン - フランクフルト間、ロンドン - ジュネーブ間、アムステルダム - ジュネーブ間などの新路線の開設を目的とする。最初の車両は2031年に納入される予定である[20]。