イングランド・デーン諸王史

From Wikipedia, the free encyclopedia

イングランド・デーン諸王史 (ラテン語: Historia regum Anglorum et Dacorum)または諸王史 (ラテン語Historia Regum) は、ダラムのシメオンが編纂した中世イングランドの歴史書。12世紀中ごろにヨークシャーで成立した原稿のみが現存している。中世イングランドやノーサンブリアの歴史の史料として用いられる。

諸王史の原稿は、12世紀後半に書かれたケンブリッジ・コーパス・クリスティ・カレッジ139手稿の51フォリオから129フォリオに含まれる形で生き残った[1]。筆者のダラムのシメオンの名はわずかにインキピットエクスプリキットに記されているだけだが、彼が諸王史の筆者であることを疑ったり偽書だと主張したりしている歴史家はいない[1]。諸王史は独自の一次史料とは言えないものの、ダラム教会史と同じ筆者による作品ということで貴重な文献とされている[2]

諸王史は年代記などというよりも「歴史編纂物」もしくは「歴史文献集」と言った方が良いような文献である[3]。アントニア・グランズデンとデイヴィッド・ローラソンは、部分ごとにその出典を以下のように整理した[4]

フォリオ[5] ページ[6] 内容
1. 51v-54v 3-13 7世紀から8世紀のケント王国伝説[要出典]エゼルベルトやエゼルレッドら殉教したケント王国の王族の伝説
2. 54v-55r 13-5 バーシニア王イダからノーサンブリア王チェオウルフ(737年没)までのノーサンブリア王国初期の王の一覧。装飾的な文体で、ボエティウスの著作から2つの引用を行い補足している。
3. 55r-58v 15-30 ベーダ・ヴェネラビリスイングランド教会史および修道院史より
4. 58v-68v 28/30-68 現存しないノーサンブリアの年代記より、732年から802年にかけて
5. 68v-75r 69-91 アッサーの『アルフレッド王の生涯』などの年代記より、849年から887年にかけて
6. 75r-76r 91-5 1042年以降に書かれた年代記より、888年から957年にかけて
7. 76r-76v 95-8 マームズベリのウィリアムの『イングランド王の事績』の抜粋
8. 76v-123v 98-258 ウスターのジョンの『年代記』や、アングロサクソン年代記のD写本に近い現存しない「北方本」、ダラムのシメオンダラム教会史カンタベリーのエアドメルスの『イギリスにおける新時代の歴史』、サン=カンタンのドゥドジュミエージュのギヨームらの著作より
9. 123v-129v 258-83 1119年から1129年にかけての年代記

出典の大部分は887年以前の文献で、特に最初の五章分はラムゼーのバートファースが収集して編纂したものを使っている[7]。そしてその一部は、おそらく10世紀終わりごろに編纂されたものである[8]。1119年から1129年の部分はダラムのシメオンによる諸王史オリジナルの年代記と見られている[9]

脚注

再版

参考文献

Related Articles

Wikiwand AI