エトーシス

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エトーシス: ETosis[1]とは、免疫細胞が細胞内のヒストン顆粒蛋白などからなる網状線維構造(細胞外トラップ、: Extracellular Traps: ETs)を放出して病原体を捕獲し殺菌する作用を指す。当初報告されたものは細胞の崩壊を伴いプログラム細胞死に分類される自殺的過程であり細胞自身も死滅するが、細胞核のブレブ形成により生成される小胞ミトコンドリアを発射する生存的過程も存在する。生存的過程を辿る場合には「ET(s)放出」などと呼ばれている。2026年現在、動物細胞のみならず植物細胞においても細胞外トラップの放出が知られている。

自殺型プロセス

ETosisの中では好中球の研究が最も進んでいるので、以下は好中球におけるプロセスを中心に概説する。

刺激因子が受容体に結合すると、細胞内のカルシウム濃度が上昇してNADPHオキシダーゼが活性化される。これにより活性酸素Reactive Oxygen Species: ROS)が大量に産生される。カルシウムイオンの急激な流入によりミトコンドリア由来のROSが生成される場合もある。

ROSの刺激により、通常は細胞質内の特異顆粒英語版内に局在する好中球エラスターゼ(NE)やミエロペルオキシダーゼ(MPO)が核内に移動する。核に到達したNEはヒストンを分解し、同時に、ペプチジルアルギニンデイミナーゼ4(Protein-arginine deiminase type-4: PADI4英語版)がヒストンをシトルリン化し、DNA脱凝縮する。核膜が崩壊してDNAと抗菌蛋白質が混和し、最終的に細胞膜が破裂して細胞外へ「ネット(Neutrophil extracellular traps: NETs)」が放出される。

生存型プロセス

主に細菌の表面成分(LPSなど)が好中球の受容体(TLR2やTLR4など)や補体受容体に結合することで開始する。核膜の内膜と外膜が分離し、核のDNAが小さな小胞に包み込まれ、核からDNAが出芽するように切り離されていく。DNAを包んだ小胞は細胞質を通り、細胞膜まで運ばれる。その後、エキソサイトーシスExocytosis)により細胞膜と融合し、DNAを細胞外へ放出する。細胞膜を破らないためこの時点では細胞死しない。核DNA放出後の好中球は無核好中球(サイトプラスト英語版)として存命し、遊走能貪食能が維持されるが、最終的にアポトーシスに至る。

ミトコンドリア放出プロセス

顆粒球単球コロニー刺激因子(GM-CSF)などのサイトカインにより予備刺激された後にリポ多糖補体により本刺激されると、ミトコンドリア内部で活性酸素(mtROS)が急激に産生される。これによりミトコンドリアの膜透過性が変化し、マトリックス内に畳み込まれていたmtDNAがミトコンドリア外(細胞質内)へと弾き出される。細胞質に出たmtDNAは、小胞に包まれるかまたは微小管を利用した輸送系によって細胞膜まで運ばれて最終的に細胞膜と融合(エキソサイトーシス)し、細胞の形を保ったままmtDNAが細胞外へ放出される。細胞外に放出されたmtDNAは免疫システムにDAMPとして認識され、更なる免疫系の活性化を促進する。

動物細胞

NETosis

好中球: Neutrophile)が好中球細胞外トラップ(Neutrophil extracellular traps: NETs)を放出する抗菌機能であるNETosisは、2007年に報告された当初は細胞核の崩壊と細胞膜の破裂を伴う自殺的プロセスであったが、NETs放出後も無核のサイトプラストとなり生存するプロセスや細胞核DNAでなくミトコンドリアDNAを放出するmtNETosisも確認されている。

EETosis

好酸球: Eosinophil granulocyte)がミトコンドリアDNAを放出して細胞外トラップ(Eosinophil extracellular traps: EETs)を生成する現象は2008年に報告された[2]。また細胞死を伴う細胞核放出プロセスが2013年に報告された[3][4]

好酸球の細胞質にはガレクチン10英語版が高濃度に含まれている。EETosisにより核DNAとともに細胞質の蛋白質が細胞外に放出[5]されて局所的にガレクチン10が非常に高濃度となり、周囲の環境が細胞内と異なるため結晶化してシャルコー・ライデン結晶英語版Charcot–Leyden crystals: CLC)が生成する。CLC結晶はそれ自身がDAMPとして働き[6]、炎症を増悪させる。

好塩基球ETosis

好塩基球: Basophil)によるミトコンドリアDNA網(Basophil extracellular traps: BETs)の放出は2014年に報告された[7][8]。刺激から10分程度でBETs放出が始まり、30~60分でピークに達する[7]

METosis/MoETosis/MiETosis

マクロファージ: Macrophage)による細胞外トラップ放出(Macrophage extracellular traps: METs[9]/METosis[10]単球: Monocyte)による放出(Monocyte extracellular traps: MoETs[11]/MoETosis[12]小膠細胞(ミクログリア、: Microglia)による放出(Microglial extracellular traps: MiETs[13]/MiETosis[14]も報告されている。

MCETosis

マスト細胞: Mast cell)による細胞外トラップ(Mast cell extracellular traps: MCETs)放出/MCETosis[15]は2008年に報告された[16]

植物細胞

関連項目

出典

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