エピクロスの処方箋
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あらすじ
京都・原田病院の内科医。かつては洛都大学消化器内科の医局長というエリートの道を歩んでいたが、若くして亡くなった妹の遺児・龍之介と暮らす道を選び、その座を捨てた。その退局は、教授である飛良泉の逆鱗に触れ、事実上の「医局出禁」という形で決別することとなる。
しかしある日、准教授の花垣から、因縁深い飛良泉の父寅重の内視鏡治療を助けてほしいという、異例の依頼が舞い込む。
登場人物
- 雄町 哲郎(おまち てつろう)
- 京都の原田病院で働く内科医。専門は消化器内科。本作の主人公。原田病院に移る前は洛都大学の消化器内科で医局長をしていた。マチ先生の愛称で呼ばれている。甘味党。
- 美山 奈々(みやま なな)
- 哲郎の妹。シングルマザーで龍之介を育てていたが、血液内科疾患で30代で死去。今の時間を大切にしたいと最後まで明るく生きた。
- 美山 龍之介(みやま りゅうのすけ)
- 哲郎の甥で中学生。母奈々の死後は哲郎と暮らしている。
- 花垣 辰雄(はながき たつお)
- 洛都大学消化器内科准教授。内視鏡の技術のみならず医師としての哲学を学ばせたいと医局員の南茉莉を哲郎のもとに送り込む。哲郎とともに飛良泉教授の父寅重の内視鏡処置を行った。
- 南 茉莉(みなみ まつり)
- 洛都大学消化器内科医局員。前作では掴みどころのない哲郎の態度をやる気がないと捉え、好ましく思っていない時期もあった。哲郎の圧倒的な洞察力や、言葉の裏に隠された真意に触れる中で、自身の医師としての姿勢を見つめ直すようになる。教授の父寅重の治療参加に政治的な意図を感じ逡巡する哲郎に対して「それって患者さんご本人に関係ないことですよね」と話し、哲郎に当たり前のことを思い出させる。哲郎が医局出禁を解かれてからは、正式な医局人事として、2年間大学を出向して原田病院の常勤医となる。西島の食事の誘いは断るが、哲郎の食事の誘いは快諾した。
- 飛良泉 寅彦(ひらいずみ とらひこ)
- 洛都大学消化器内科教授。「医師は医師であるというただそれだけの事実によって、もはや自由な社会人ではあり得ない」という信念を持ち、医局制度こそが医療に不可欠なものと考える。それゆえ、患者に尽くす真摯な医師でありながら、自由を求めて退局する者には苛烈な態度で臨む。父の内視鏡処置で哲郎の技術を目の当たりにし、複雑な思いを抱えながらも出禁を解き、彼を大学病院に戻すことを考え始める。
- 飛良泉 寅重(ひらいずみ とらしげ)
- 洛都大学教授寅彦の父。哲郎に慢性膵炎に対する4回目のERCPの治療についてどう思うかと問われ、80歳を超えており、これ以上多くを望むのは贅沢だが、ただ、この年になって好きなもの(カツ丼)を食べれないのは辛いと答え、場合により内視鏡処置を中止しようと考えていた哲郎に治療を決断させる。
- 原田 百三(はらだ ひゃくぞう)
- 原田病院の理事長。
- 鍋島 治(なべしま おさむ)
- 原田病院の院長。外科医。
- 中将 亜矢(ちゅうじょう あや)
- 原田病院の常勤医。外科医。サバサバした性格であるが、小学生の時に医局で哲郎を待っている龍之介を遊んであげたり、同じ女性として南を気遣ったりと、情が深い。
- 秋鹿 淳之介(あきしか じゅんのすけ)
- 原田病院の常勤医。内科医。かつて精神科医として11年間勤務したが、過酷な出来事を経験し、内科へ転科した。アフロヘアで飄々とした佇まいながら、細やかな心遣いを常に忘れない人物。龍之介が小学生の頃、医局で哲郎を待っていた際には、一緒にテレビゲームで遊んであげていた。前作では、哲郎に「医師という仕事は僕には荷が重すぎるんです」と吐露するなど、繊細な一面も持つ。
- 西島 基次郎(にしじま もとじろう)
- 洛都大学消化器内科講師。哲郎の1つ下の後輩。虚栄心が強く、大学病院時代は哲郎に張り合う様子があった。研究者としては一流でありながら臨床家としては凡庸であり、自分でも自覚している。哲郎に対しては、好ましく思わない一方でその技術は認めているという、両価的な感情を抱いている。後に西島事件もしくは金平糖事件と呼ばれる、哲郎が西島の研究室に直談判しに行った際は、反発するが哲郎の「わかりあえる一点、理屈を措いて患者のために力を貸してほしい」という言葉により協力を決意する。
- 天吹 昇平(あまぶき しょうへい)
- 洛都大学消化器内科医局員。哲郎の5つ下の後輩。南に「俺にとってマチ先生の存在はとても大事」と語るなど哲郎を先輩として尊敬している。哲郎の大学病院復帰を望んでいる。
- 蓬莱(ほうらい)
- 京都中央医療センター内科部長。洛都大学消化器内科出身。飛良泉寅重の主治医。京都中央医療センターも医師不足に悩んでおり、花垣より西島が准教授になればもっとコントロールしやすいと考え、寅重の内視鏡処置に哲郎が参加することを西島にリークする。
- 葛城 憲(かつらぎ けん)
- 医療雑誌「エキスパート・ドクター」副編集長。文学部哲学科出身。
評価・反響
第23回本屋大賞4位[2]。