エプスタイン・ファイル
ジェフリー・エプスタインに関する大規模な機密資料の集成
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概要
1996年、画家のマリア・ファーマーは、ファーマー自身と妹がエプスタインたちから性的暴行を受けたとニューヨーク市警察とFBIに通報したが、当局はこの事件の記録を残さず、何の措置も取らなかった。これはエプスタインに対する最初の告発とされる[4]。
その後の捜査で、FBIは同様の被害を訴える少女が35人以上いることを把握したと報じられた[5]。エプスタインは起訴され[6]、2008年に司法取引(プレア・ディール)を受け入れた[7]。
2025年11月18日、議会で「エプスタイン・ファイル透明化法」が可決された。同法は、資料ファイルのすべてを同年12月19日までに公開するよう政府に義務付けた[1]。ドナルド・トランプはファイルの公開に消極的であったが、議会はこれに抗い法律を成立させた[1]。
同年12月19日、アメリカ合衆国司法省はエプスタインの捜査に関する写真や音声、聴取記録を含む数十万点を公開したが、その多くは黒塗りされたり、すでに公表されたりしたものであった。民主党は「エプスタイン・ファイル透明化法」の規定に違反するものであると司法省を批判した[8]。
2026年1月30日、司法省はエプスタインに関する資料、文書約300万ページ、画像約18万枚、動画約2000本を新たに公開した。前年に公開が義務付けられて以降は、最大規模の資料公開となった[1]。
日本人においては、千葉工業大学学長の伊藤穰一が約1万回登場し、少女への性的虐待の現場となったエプスタイン島へ、たびたび渡航していた可能性が高いことが明らかとなった[9]。
主な内容
起訴状草案
エプスタインが所有するフロリダの邸宅で少女らに金を払って性的な行為をしているとの通報を受け、連邦捜査局は2006年に調査を開始し、2007年にはエプスタインと2人の関係者に対して、32件の児童性的虐待と性的人身売買の罪に関する起訴状の草案を作成した[10][11]。しかし、当時の検事であったアレクサンダー・アコスタはエプスタインと司法取引を行い、州レベルでの児童買春1件の罪を認める代わりに禁固18ヶ月に減刑となり、2人の関係者も不起訴となった[11]。起訴状の草案では、エプスタインについて「保釈される可能性が極めて高く、我々が持つ情報によれば、児童買春によって長期間にわたり地域を危険にさらしている」と説明している[12]。司法取引によって、エプスタインに対する罪の多くが不起訴となったとされる[10]。
共犯者に関する捜査文書
公開されたメールによれば、2019年の2回目の逮捕後に、ギレーヌ・マクスウェル、ジャン=リュック・ブルネルなど共犯者と疑われる9人について、大陪審召喚状送達のための接触をFBIの捜査官が検討していたことが明らかになった。一部の人物にはメール中に名前が挙がっていないが、所在している州や市に関する記載はあり、「FL(フロリダ州)の3人には(召喚状を)送達済み、ボストンの1人、NYCの1人、CT(コネチカット州)の1人も送達済みだ」との内容がある[13]。
ニューヨーク州南部地区連邦検察は「ジェフリー・エプスタインの共犯被疑者に関する調査」と題した86ページの文書(メモ)を、2019年12月19日に同地区検事のジェフリー・バーマンに送達した。文書には未成年時にエプスタインの被害を受けた24人の女性と成年時に被害を受けた14人の女性の主張が記されていた。1人の主張によれば、2011年か2012年に、エプスタインは彼女に対して2人の男性にマッサージをするように言い、うち1人は性的暴行を試み、もう1人は自身の性器を触るよう彼女に指示した後強姦したという。この2人が捜査の対象となったかについて、FBIはコメントしていない[14][15]。
その他の捜査文書
エプスタインのパームビーチの邸宅で働いていた人物からFBIが事情聴取した内容に付いても公開されている。主な仕事の内容はエプスタインのベッド脇に100ドル札を広げておくこと、使用済みコンドームの廃棄やマットレスの間に銃を置いておくことであったという[11]。また、近くの高校の女子生徒の学芸会での演技をたたえるため、花を買って女子生徒に届けるようエプスタインが指示されたとも話している[11]。
公開された文書の一つにはエプスタイン周辺のインナー・サークル(内輪)関係者を挙げた図があり、マックスウェルやエプスタイン側近の弁護士・会計士の名前が記されていた[16]。この図が作成された時期は明らかになっていないが、他にもジャン=リュック・ブルネルなどの複数の関連者が挙げられている[17]。
有名人との交流
文書の公開によって多くの著名な人物とエプスタインの関係が明らかになっており[18][19][20][16][11]、2008年の有罪判決以降も関係が続いていたことが分かっている[21][22]。
イギリス政府のリーク関連
ファイル中には、イギリス政府が持つ極秘情報が含まれており、これらはピーター・マンデルソンがエプスタインに送信したものと考えられている[23][24][25]。2009年8月にエプスタインに送られたメールには、当時のイギリス首相ゴードン・ブラウンが使っていた仮名とメールアドレスが含まれているが、送信元は黒塗りされている[23][24][25]。
ウィキペディアの編集関連

2010年にアル・セッケルがエプスタインに送信したメールでは、英語版ウィキペディアで掲載されているエプスタインのマグショットについて触れられており、他の画像に置き換えようとしていることや、「性犯罪者 (sex offender)」という文言を削除しようとしていることが書かれていた。なお、エプスタインは2009年7月に出所しており、この頃は世間のイメージの回復に力を注いでいた[26]。
エプスタインの死関連
エプスタインが最後に遺した発信 (final communication) が遺書とは考えられないとする捜査員のメールや[27]、 メトロポリタン矯正センターから彼の死体を運び出す際に、メディアを避けるため実施された手法(箱や紙を使って死体のようなものを作り、ニューヨーク市検視局所属の白い大型自動車に乗せる。記者がその車を追う中で、本物の死体を黒い自動車に乗せる)などが公開されている[27]。なお、エプスタインの死については様々な説がささやかれているが、複数の操作によって自殺と断定されている。
2019年8月8日、エプスタインは32項にわたる遺言書に署名した。この中では600万ドルに及ぶ資産を40名に引き継ぐとしており、100万ドル分を当時の交際相手カリナ・シュリアック(ベラルーシ出身の歯科医)に、50万ドル分を側近の弁護士に、25万ドル分を側近の会計士に相続することとなっていた。側近の弁護士と会計士は共同執行者に指名されていた[28]。
また、ギレーヌ・マクスウェルと弟のマーク・エプスタインにそれぞれ10万ドル分、学者のマーティン・ノヴァクに5万ドル分を遺したとされるが、税金や被害者への補償(先述の弁護士と会計士が設立した基金から1億2100万ドル、被害者との和解に4900万ドル)による影響があるため、それぞれの相続人が実際に引き継いだ資産の規模は不明である。なお、マーク・エプスタインは相続人として名が挙げられていたことを知らなかったと話している[28]。
