カタグロトビ

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カタグロトビ(肩黒鳶、学名:Elanus caeruleus)は、タカ科に分類される鳥類の一種。別名ハイイロトビ昼行性の小型猛禽類で、ハヤブサ属のように、開けた草原の上空をホバリングする。旧北区エチオピア区に分布し、オーストラリアオーストラリアカタグロトビ英語版およびアメリカ大陸オジロトビ英語版とともに上種を形成する。長い翼、白と黒と灰色の羽毛、赤い虹彩フクロウのような正面に付いた眼が特徴である。近縁種であるオーストラリアのクロオビトビ英語版は、昼行性だが生態的によりフクロウに似ている。主に平原に生息するが、アジアの高地では丘陵の草地で見られる。渡りは行わないが、獲物や天敵の存在によって移動する。齧歯類の個体数の変動に適合しており、猛禽類の中でも珍しく、年に複数回子育てを行う。南ヨーロッパの個体群は、農業や畜産業といった人間活動によって増加している。

概要 カタグロトビ, 保全状況評価 ...
カタグロトビ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 LC.svg
Status iucn3.1 LC.svg
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: タカ目 Accipitriformes
: タカ科 Accipitridae
: カタグロトビ属 Elanus
: カタグロトビ E. caeruleus
学名
Elanus caeruleus
(Desfontaines, 1789)
シノニム
  • Falco cæruleus Desf., 1789
  • Falco vociferus Latham, 1790
  • Falco melanopterus Daudin, 1800
  • Elanus cæsius Sav., 1809
  • Elanus melanopterus Leach, 1817
英名
Black-winged kite
black-shouldered kite
亜種
  • E. c. caeruleus (Desfontaines, 1789)
  • E. c. hypoleucus (Gould, 1859)
  • E. c. vociferus (Latham, 1790)
分布域
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分類

本種(左)とハヤブサ(右)の頭蓋骨の比較

本種は1789年にフランス博物学者であるルネ・デフォンテーヌによって、Falco caeruleus として記載された[3]。タイプ産地はアルジェであった[4]。現在はカタグロトビ属英語版に分類され、この属は本種を含め4種が知られる。この属は1809年にフランスの動物学者であるジュール=セザール・サヴィニーによって設立された[5]。カタグロトビ属は足が細かな鱗で覆われ、趾骨終端部の下側には鱗がある。爪の下側に溝は入らない[6]。属名は古代ギリシア語の「elanos (トビ)」に由来する。種小名はラテン語で「青い」を意味する[7]

3亜種が知られている[8]

特徴

基亜種は次列風切の下側が白い

背側は青みがかった灰色、腹側は白色である。眼の周囲は黒く、黒い線が目の後方へ伸びる。幼鳥の羽毛は褐色である[10]。翼は長く、肩と翼の先端は黒い。止まった際は翼の先端が尾よりも下にある。尾羽は短く四角形で、トビのように二叉にはならない。電線に止まった際は翼を動かし、尾を上下に小刻みに動かすことでバランスをとる。体色に性的二形は無い[11]。眼は大きく、前を向いている。羽毛は滑らかで、趾は対趾足である[12]。この特徴はフクロウ類と似ており、本属はタカ科の基底的な分類群とされている[13]。この形態は齧歯類の個体数が季節的に変動するサバンナへの適応であり、フクロウも同様に齧歯類を捕食する。羽の内側の羽枝からは、滑らかな小羽枝が生える[14]。染色体数は68本で、核型はトビやハチクマと似ており、昼行性の猛禽類の中でも基底的な位置にあると考えられる[15][16]

分布と生息地

幼鳥

主にサブサハラアフリカアジア熱帯域に分布し、開けた場所や半砂漠に生息する。スペインポルトガルなど、ヨーロッパにも進出しており、南ヨーロッパで分布を広げている。最近は西アジアにも進出している[17]。1960年代にヨーロッパでの繁殖が初めて確認され、その後は分布域と個体数が拡大し続けている。これは土地の農地や牧草地への変化が要因であると考えられている[18]スイスイギリスでも迷鳥としての発見例があり、徐々に北上していると考えられる[19][20][21]。日本では迷鳥として、与那国島西表島沖縄本島久米島奄美大島波照間島などで記録がある。石垣島では2017年から繁殖が起こっており、その後は留鳥として定住している[10]

基亜種はイベリア半島アフリカアラビア半島に分布する。亜種 vociferus は、南アジアから東南アジアにかけて分布する。亜種 hypoleucus は独自の種とされることもあり、スマトラ島ジャワ島ボルネオ島フィリピンに分布する。元々亜種として記載された wahgiensis は、ニューギニア島に分布し、現在は亜種 hypoleucus の個体群とされる。亜種 sumatranus を認める場合もある。オジロトビとオーストラリアカタグロトビは元々本種に含まれていたが、現在は独自の種とされている[22][23]。日本や台湾で繁殖している個体群は亜種 vociferus である[10]

主に平野に生息するが、シッキム州の標高3,650m[24]ニルギリ丘陵の標高2,670m[25]ナガランド州の標高2,020m[26]といった高地からも記録がある。西ガーツ山脈など、一部地域では冬鳥となっている[11]

生態と行動

亜種 vociferus のつがい

15-35羽の群れを作り、大きな樹木に留まる[27]。ヨーロッパではさらに大規模な群れを作る[28]。鳴くことはほとんど無く、甲高い声や口笛のような声を上げる[11]。繁殖期やねぐらにいる際に鳴くことが多い[29][30]。本種の羽毛は柔らかいため、草の種子が付着し、拡散することがある。ただし種子が翼に絡まることもある[31]

摂餌と食性

鳴き声

バッタコオロギなどの昆虫トカゲ齧歯類を捕食する。傷付いた鳥類、小型のヘビカエルも獲物となる[11]。狩りの際はチュウヒのようにゆっくりと飛ぶが、チョウゲンボウのようにホバリングすることもある。稀に飛んでいる獲物を狩ることもある[32]。木に止まって狩りや摂餌を行うが、獲物が大きな場合は地上で食べることもある[33]南部アフリカでは路肩で摂餌を行うことが多く、車に轢かれて死亡することもある[34]

繁殖と成長

繁殖期は地域によって異なり、インドでは4-5月を除いて年中繁殖する。雄は縄張りを守り、雌が雄の縄張りに移動する。アフリカでは雄の方が個体数が多かった[35]。求愛行動は騒々しく、片方がもう一方を追いかける。つがいは頻繁に交尾を行う[36]。巣は小枝で作られた平たいもので、雌は3-4個の卵を産む。雄よりも雌の方が巣作りに貢献する。卵は淡いクリーム色で、濃い赤色の斑点が入る。雌雄で抱卵を行い、雛が生まれると雄は餌を探す時間が増える[11]。雌は最初は雛に餌を与える役割があり、巣の近くで狩りを行うこともあるが、雄から餌を受け取ることもある。巣立った後も、若鳥は約80日間父親からの餌に依存する。最初は木に止まって、後に空中で餌を受け取る[37]。若鳥は背側と胸の羽毛が赤褐色である。これはポルフィリンの影響であり、擬態の効果があると考えられる[12]。繁殖期が終わると、雌は新たな縄張りへ移動するが、雛が巣立つ前に移動してしまうこともある。この場合雄がすべての子育てを行う。雌雄ともに獲物を求めて移動する傾向が強い[35]。猛禽類の中では珍しく、一年に複数回子育てを行い、若鳥は広く分散する。これにより齧歯類の個体数の周期的な変動に適応することが出来る[38]。繁殖能力は日和見的であり、換羽も不規則である。若鳥は急速に換羽し、一度に複数の初列風切が脱落する。生後2年で成鳥の羽毛になる[39]

寄生虫

南アフリカでは線虫である Physaloptera acuticauda寄生される[40]吸虫Neodiplostomum elani は、チャンディーガル産の本種から得られた標本を基に記載されている[41]チョウカクハジラミ科Degeeriella elani にも寄生される[42]

出典

参考文献

関連項目

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