キャスト・アウェイ
アメリカの映画作品
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『キャスト・アウェイ』(Cast Away)は、2000年のアメリカ合衆国のサバイバルドラマ映画。
| キャスト・アウェイ | |
|---|---|
| Cast Away | |
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| 監督 | ロバート・ゼメキス |
| 脚本 | ウィリアム・ブロイルズ・ジュニア |
| 製作 |
スティーヴ・スターキー トム・ハンクス ロバート・ゼメキス ジャック・ラプケ |
| 出演者 |
トム・ハンクス ヘレン・ハント ニック・サーシー |
| 音楽 | アラン・シルヴェストリ |
| 撮影 | ドン・バージェス |
| 編集 | アーサー・シュミット |
| 製作会社 |
ドリームワークス 20世紀フォックス映画 イメージムーバーズ プレイトーン |
| 配給 |
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| 公開 |
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| 上映時間 | 143分[1] |
| 製作国 |
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| 言語 | 英語 |
| 製作費 | $90,000,000[1] |
| 興行収入 |
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監督・製作はロバート・ゼメキス、脚本はウィリアム・ブロイルズ・ジュニアが務め、トム・ハンクス、ヘレン・ハント、ニック・サーシーが出演している。
フェデックスのシステムエンジニアを乗せた飛行機が太平洋で墜落し、無人島に辿り着いた彼が帰還するまでの4年間の姿を描いている。
興行収入は4億2960万ドルを記録し、主演のトム・ハンクスはアカデミー主演男優賞にノミネートされた[3]。
ストーリー
1995年12月。フェデックスのシステムエンジニア、チャック・ノーランド(トム・ハンクス)は、効率と生産性を上げるために分刻みの時間に拘り世界中を飛び回っていた。同棲中の恋人ケリー・フレアーズ(ヘレン・ハント)と参加した親族のクリスマスパーティーの最中、マレーシアでのトラブル解決のため呼び出されると、チャックは大晦日には戻って一緒に過ごす事をケリーに約束し貨物機で出発する。ところがチャックの乗った機は悪天候で太平洋に墜落、なんとか救命ボートにしがみ付いて嵐に耐え、とある島に漂着するが、そこは動物すらもいない無人島であった。
チャックの他には積荷である箱が10箱ほどと、同じ機に乗っていたアルバートの遺体も流れ着いていた。この島は浜から数百メートル離れたあたりを高波に囲まれており、遠方に光を見つけ脱出を試みた際は、高波に救命ボートはあっけなくひっくり返されてしまうのだった。チャックは食料や住処の確保のために、使えそうな物はないかと回収していた積み荷の箱を開封、しかし天使の羽根のロゴが描かれているひと箱だけは開封せずに保存する。特に火おこしには苦戦し、手の平を切る怪我を負ってしまうと、その際自棄になり放り投げたウィルソン製のバレーボールに付着した血が人の顔のように見えたチャックは、そこに目や口を書き込み、ウィルソンと名付け話し相手にする。無事に火を起こす事もでき食料の確保に成功したものの、救助隊が捜索するであろう範囲を計算すると、自分を発見するのは極めて不可能に近いという結論に至る。
4年後、チャックは離れた場所から銛で魚を仕留められるほどに、島での生存に適応していた。この期間中に自殺も検討したチャックだったが、島での唯一の話し相手であるバレーボールのウィルソンの存在と、ケリーへの愛を心の支えに正気を保って生き延びていたのだ。そんなある日、流れ着いた仮設トイレの板を帆にした筏(イカダ)を作れば、どうしても越えられなかった高波を越えられるのではないかと思いつく。希望のシンボルだった羽根のロゴを帆に書き込んだ筏を作り、潮や風が脱出に適した沖向きに変わったことを合図に、親友ウィルソンを従え島の脱出を決行。帆は上手く機能し、高波を乗り越えることに成功、ついに島を脱出したのであった。
しかしそこは広大な太平洋のド真ん中、何日漂流しても船に遭遇する気配はない。激しい嵐に帆が飛ばされても希望を捨てなかったチャックだったが、半壊した筏からウィルソンが外れ流されてしまうと、必死に救出を試みるも、体力を消耗しきった状態では筏からの命綱を離れて追う事ができず、どんどん遠のいていくウィルソンに謝る事しかできなかった。そしてウィルソンを失ったチャックは初めて大声を上げて子供のように泣きじゃくった末、ついに生還する気力と希望をも失いオールを海に放つのであった。ところが筏の上に倒れ、ただ死を待つ状態だったチャックを、通りがかった貨物船が発見するのだった。
1ヶ月後、体調も回復したチャックは会社の計らいで帰国を祝うセレモニーやパーティー、そしてケリーとの再会の場を用意される。しかし再会の場にケリーの代わりに男性が現れ、「自分はケリーの夫だ。ケリーはあまりの事に動揺して今日は来れない」と告げられるのだった。4年前、チャックは死んだとされ葬儀も行なわれており、ケリーも今や再婚して娘をもうけていたのだ。
後日、チャックは雨の夜中にケリーの家を訪れ再会を果たす。お互いに愛している事を確かめ合うふたりだったが、ケリーには新しい家庭があり、もう元の関係には戻れないのだ。チャックは同僚のスタン(ニック・サーシー)を訪れ、遭難からそれまでの経緯、そしてケリーを2度失った心情を語る。
その後ウィルソンと同製品も購入したチャックは、羽根ロゴの箱を送り主に届けにテキサス州カナディアンを訪れるが、家主が不在のため感謝するメモ書きを添えて戸口に箱を置いて去る。しかし十字路で行き先を決めかねているチャックに、通りがかった女性が道案内を済ませ走り去る際、女性のトラックに箱と同じ天使の羽が車の後部に描かれていることに気付く。一人になったチャックは各行き先を眺め、最後に女性の車が走り行く方を見て穏やかに微笑むのであった。
キャスト
スタッフ
- 監督 - ロバート・ゼメキス
- 脚本 - ウィリアム・ブロイルズ・ジュニア
- 製作 - スティーヴ・スターキー、トム・ハンクス、ロバート・ゼメキス、ジャック・ラプケ
- 製作総指揮 - ジョーン・ブラッドショウ
- 撮影監督 - ドン・バージェス
- 美術 - リック・カーター
- 編集 - アーサー・シュミット
- 作曲・指揮 - アラン・シルヴェストリ
- 衣装 - ジョアンナ・ジョンストン
- VFXスーパーバイザー - ケン・ローストン
- VFX - ソニー・ピクチャーズ・イメージワークス
- サウンドデザイン - ランディ・トム
- アソシエイトプロデューサー - スティーヴン・J・ボイド
- キャスティング - ヴィクトリア・バロウズ
製作
撮影
1999年1月18日から撮影がスタートするが、2か月後に撮影が中断した。2000年4月3日から撮影が再開され、1か月後に完了した。主演のトム・ハンクスは役作りのために体重を23キログラム増量し、撮影の大半が終了した後に「数年間無人島で暮らした姿」を作るために体重を減量し、さらに髪と髭を伸ばした。この役作りのために前述の通り撮影が一時中断された。また、最後の帰還シーンを撮影する前に4か月間撮影が中断されている。中断期間中、監督のロバート・ゼメキスは『キャスト・アウェイ』のスタッフを動員して『ホワット・ライズ・ビニース』を撮影した[3][5]。舞台となる無人島のシーンは、フィジーのママヌザ諸島にあるモヌリキ島で撮影された[6]。
フェデックスは撮影に全面協力し、メンフィス・ロサンゼルス・モスクワの貨物集積所での撮影を許可した他、飛行機・トラック・制服を撮影チームに提供した。『キャスト・アウェイ』はフェデックス社の飛行機で死亡事故が発生する描写があったが、同社の基本理念やグローバルな事業展開、為せば成るの精神などを強調した脚本が同社では評価された[7]。製作に関してフェデックスは2年以上にわたり関与しており、また製作側の依頼で同社CEOフレッド・スミスが本人役で出演することになり[7]、メンフィス本社で撮影されたチャックの帰還セレモニーのシーンに登場している。フェデックスは作中のプロダクトプレイスメントについては金銭の支払いはしていなかったが[8]、映画公開後にアジア・ヨーロッパでのブランド認知度が上昇したという[9]。
音楽
映画音楽の作曲はアラン・シルヴェストリが手掛けている。無人島のシーンでは音楽や鳥・虫などの鳴き声が挿入されていないが、ゼメキスによると、これはチャックの無人島における孤立感を強める意図があったという[10]。公式サウンドトラックは歴代のゼメキス作品、シルヴェストリ作曲作品を集めたアンソロジーCDとなっており、『キャスト・アウェイ』の楽曲はエンディングテーマのみが収録されている[11]。
バレーボールのウィルソン
作中に登場するバレーボールのウィルソンは、チャックが作り出した擬人化イマジナリーフレンドであり、無人島での4年間の生活の中におけるチャックの相棒である[12][13][14]。ウィルソンはスポーツ用品製造企業ウイルソン・スポーティング・グッズにちなんで名付けられ、ウィリアム・ブロイルズ・ジュニアによって創造された。彼は脚本の構想を練る中で、サバイバル専門家に相談して1週間カリフォルニア湾の孤立した浜辺に自分を置き去りにしてもらい、一人で小屋を確保して水・食料を探す経験をした。その際、海岸に流れ着いたバレーボールを見てウィルソンのインスピレーションを得たと語っている。脚本上の観点からは、登場人物が一人しかいない状況で違和感なくチャックに台詞を言わせる役割を果たしている[15][16]。
映画で使用したバレーボールはオークションに出品され、フェデックスオフィスの元CEOケン・メイが1万8500ドルで落札したと言われているが、これは事実ではない[17]。『キャスト・アウェイ』の公開後、ウイルソン・スポーティング・グッズは自社製品がトム・ハンクスと「共演」したことに着目したプロモーションを展開し、ウィルソンの顔を再現したバレーボールを販売した。このバレーボールは公開時に限定販売されたが、現在でも同社公式ウェブサイトで販売している[18]。
評価
興行収入
『キャスト・アウェイ』は北米2774劇場で上映され、公開週末の興行収入は2890万ドル(1館平均1万412ドル)を記録した[19]。クリスマス休暇の4日間で3990万ドルの興行収入を記録している[20]。その後も好調な興行収入を維持し、最終興行収入は国内2億3360万ドル、海外1億9600万ドル、合計4億2960万ドルを記録している[1]。
批評
Rotten Tomatoesには157件の批評が寄せられ支持率89%、平均評価7.4/10となっており、「欠点もあるが魅力的な『キャスト・アウェイ』は知的な脚本、ロバート・ゼメキスの最も成熟した演出、そしてトム・ハンクスの見せ場のある演技を提供している」と批評している[21]。Metacriticでは32件の批評に基づき73/100のスコアを与え[22]、CinemaScoreでは「B」評価となっている[23]。
シカゴ・サンタイムズのロジャー・イーバートは3/4の星を与えてトム・ハンクスの「『キャスト・アウェイ』の上映時間の2/3の時間を一人で担った素晴らしい仕事」を高く評価し、「決して無理をせず、あり得ないシチュエーションでも常に説得力があり、スクリーン上に誰もいない中で身振り手振りを通して私たちの共感を得た」と批評したが、一方で「強くてシンプルなストーリーが不必要で複雑な要素に囲まれ、ラストで期待を裏切り、無理矢理な気まぐれで終わるという欠点がある」と指摘している[24]。
受賞・ノミネート
| 映画賞 | 部門 | 対象 | 結果 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 第73回アカデミー賞 | 主演男優賞 | トム・ハンクス | ノミネート | [25] |
| 録音賞 | ランディ・トム、トム・ジョンソン、デニス・S・サンズ、ウィリアム・B・カプラン | |||
| 第54回英国アカデミー賞 | 主演男優賞 | トム・ハンクス | [26] | |
| 第6回クリティクス・チョイス・アワード | 無生物賞 | ウィルソン | 受賞 | [27] |
| 第58回ゴールデングローブ賞 | 映画部門 主演男優賞 (ドラマ部門) | トム・ハンクス | [28] | |
| 2001年MTVムービー&TVアワード | アクションシークエンス賞 | 飛行機墜落シークエンス | ノミネート | |
| キス賞 | トム・ハンクス、ヘレン・ハント | |||
| デュオ賞 | トム・ハンクス、ウィルソン | |||
| 演技賞 | トム・ハンクス | |||
| 第7回全米映画俳優組合賞 | 主演男優賞 | [29] | ||
| 第44回グラミー賞 | 最優秀インストゥルメンタル作曲賞 | アラン・シルヴェストリ「Cast Away End Credits」 | 受賞 | |
| 第23回スティンカーズ最悪映画賞 | 最も苛立たしいプロダクト・プレイスメント賞 | フェデックスとウィルソン | [30] | |