クピードーとプシューケー
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クピードーとプシューケー[4]の物語は、ギリシア・ローマ神話における愛の神クピードー(別名アモル、エロース)と、心・魂の擬人化である美女プシューケーが、様々な苦難を経て結ばれる恋物語。


もとは古代の昔話であり[5][6]、2世紀のアープレーイウスの小説『黄金の驢馬』を通じて知られ、後世ヨーロッパの文学・芸術でたびたび題材にされた。
クピドとプシュケ[1]、アモルとプシュケ[7]、エロスとプシュケ[1]、キューピッドとプシュケ[1]などとも表記される。
物語
昔々、プシューケーという美女がいた。プシューケーの美しさに嫉妬したウェヌスは、つまらない男を愛させるべくクピードーを遣わすが、クピードー自身がプシューケーに恋してしまう。
クピードーはプシューケーを宮殿に攫い、自身の姿を見ることを禁じ、夜間のみプシューケーのもとを訪れる。プシューケーは好奇心と恐怖を抱き、また嫉妬深い2人の姉妹にそそのかされたこともあって、ある夜、ランプでクピードーの寝姿を目撃する。しかし不注意にも油を落としてクピードーを目覚めさせてしまう。
クピードーが怒って去ると宮殿は消え、プシューケーは置き去りにされる。プシューケーは愛するクピードーとの再会を望み、ウェヌスに課された試練の数々を乗り越える。最終的に、ユーピテルらの介入によりプシューケーは天上界へと運ばれ、クピードーとプシューケーは結婚する。[5]
歴史

クピードーとプシューケーの恋は、古くは前1世紀のメレアグロスの詩(『ギリシア詞華集』5.57等)や[9]、ポンペイの壁画などに描写されているが[8]、代表的なのは2世紀のアープレーイウスのラテン語小説『黄金の驢馬』である[9]。
『黄金の驢馬』第4-6巻では、老婆が語る昔話として物語が記されている[10][11]。プラトーンの哲学書『パイドロス』の霊魂(プシューケー)論と通じる寓話でもあり[11]、アープレーイウスは中期プラトニズムの哲学者でもあった[12]。アープレーイウスの後、カペラやフルゲンティウスによっても語られた[11]。
15世紀に『黄金の驢馬』の刊本が出たのを皮切りに、各国語の翻訳や再話が作られ[13]、ダヴィッドの絵画『捨てられたプシュケ』[2]、カノーヴァの彫刻『横たわるアモルとプシュケ』など様々な芸術の題材になった[3]。モリエールの戯曲『プシシェ』と、ラ・フォンテーヌの文学作品『プシシェとキュピドン』の再話は、18世紀美術での描写に影響を与えた[14]。
日本語訳
- 呉茂一・国原吉之助訳
- アプレイウス『愛とこゝろ : クピードとプシケエの物語』呉茂一訳、岩波文庫、1940年
- アプレイウス「黄金の驢馬」呉茂一訳 - 『世界文学全集』第2期第2巻、河出書房、1951年、NDLJP:1335658
- アプレイウス『黄金のろば』上・下、呉茂一・国原吉之助訳、岩波文庫、1956-1957年
- アプレイウス「黄金の驢馬」呉茂一訳 - 『世界文学大系』67巻、筑摩書房、1966年、NDLJP:1335671
- アプレイウス『黄金のロバ』呉茂一・国原吉之助訳、グーテンベルク21(電子書籍)、2012年
- アープレーイユス『黄金の驢馬』呉茂一・国原吉之助訳、岩波文庫、2013年、ISBN 978-4003570012
- アピュレイアス「キューピッドとサイキ」柳田泉訳 -『世界短篇小説大系 古代篇』近代社、1925年、NDLJP:979032/39
- アプレイウス『アモルとプシュケ』谷口勇訳、而立書房〈アモルとプシュケ叢書〉、1993年、ISBN 978-4880591667
- アプレウス「愛と心」戸沢姑射訳、勉強堂書店、1901年(谷口訳に併録)