クーロン爆発
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応用技術
微細レーザー加工において、従来の熱的なアブレーションに代わる低温プロセスとしてクーロン爆発が応用されている。熱的なアブレーションでは、レーザーの照射によって材料を局所的に加熱し、プラズマ化させることでエッチング(切削・穿孔)や物性操作を行う[5][6]。この方法では余分なエネルギーが熱として拡散するので、加工箇所以外で変形や再結晶のような副次的作用が発生する[7]。対象がPTFEのようなフォーム状物質であれば、触媒や電池としての機能に必要な小孔が溶けて埋まってしまう[5]。
熱的アブレーションに用いられるレーザーは連続波かナノ秒程度のパルスであったが、1990年代になると高強度フェムト秒レーザーパルスの応用が注目され始め[6]、2000年代にはテラワット級の卓上装置が一般化した。超短パルスレーザーは投入エネルギーあたりの集光強度が高く、効率よいアブレーションが可能となる[8]。ピコ秒からフェムト秒領域(~100 fs)のパルス照射では、与えられたエネルギーが熱として拡散する前にクーロン爆発が起きるため、熱変性の影響が非常に小さい[7][6]。また、パルス幅が長い低強度のレーザーとは光吸収の機構が異なるため、透明材料など多様な対象を加工することができる[8]。
自然現象における例
アルカリ金属を水に入れると爆発が起きることはよく知られている。その機構は化学反応による水素の発生と燃焼が主体だと一般に考えられていたが、高速度カメラを用いた2015年の研究により、アルカリ金属から電子が急速に水和して残った原子核がクーロン爆発を起こしていることが確かめられた[9][10]。
ウランの核分裂による核爆発では、ウラン核一個当たり167 MeVのエネルギーがクーロン爆発の形で生成する。すなわち、核分裂片の間にはたらく静電的な反発力がそれらの分裂片に運動エネルギーを与える。このエネルギーが熱として周囲の物質に吸収され、それによる黒体輻射が高温・高密度のプラズマ火球を生み出し、最終的に広範囲の爆風と熱放射が発生する[11][12]。
刺胞動物門の水棲生物が持つ刺胞の高速な射出過程にクーロン爆発と似た機構が関わっているとする研究がある。それによると、カルボキシ基から水素が解離することによりポリグルタミン酸分子の間に静電的な反発力が生じ、刺胞カプセルの内圧を急速に(50マイクロ秒程度)高めるのだという[13]。
