グローバルアイ

From Wikipedia, the free encyclopedia

SAAB グローバルアイ(SAAB GlobalEye)はスウェーデンの航空機・軍需品メーカーであるSAABによって開発された多目的早期警戒管制機である。グローバルアイはボンバルディアのビジネスジェット グローバル・エクスプレス 6000/6500に、SAABのエリアイ (レーダー) ER (範囲拡大型)とミッションシステムを搭載している[1]。初引き渡しは2020年4月[2]

概要

SAAB GlobalEye

離陸するグローバルアイ

離陸するグローバルアイ

閉じる

開発

2015年スウェーデンの防衛企業SAABはアラブ首長国連邦(UAE)と長距離ビジネスジェットであるカナダのボンバルディア・グローバルに同社のエリアイレーダーを搭載した新型多目的監視システムSRSS(Swing Role Surveillance System)を納入する総額12億7000万ドルの契約を獲得したと発表した[3]

2016年2月、SAABはUAEが発注した構成の機体をグローバルアイとして正式に発表した[4]。SAABはアラブ首長国連邦からの発注によって、グローバルアイが他国から大きな関心を集めたと述べている[5]

グローバルアイの開発に先立ち、SAABはSAAB 340ブラジルエンブラエル R-99など複数の機体にエリアイレーダーシステムを搭載した実績があった[6]

グローバルアイはグローバル6000に対して大規模な改造を行っている[7]。機体と翼両方の強化により、エリアイレーダーと電子戦用のセンサーや翼端の機器を可能にした[7]。空力的変更として、尾翼の延長と、後部胴体下の複数の腹部ストレーキの採用がある[7]。追加の電力および冷却装備が装着され、生存性を高めるためレーザー警報受信機(英語版)レーダー警報受信機とチャフ/フレア・ディスペンサーを装備している[7]。2018年初頭、SAABは年最大3機のグローバルアイを生産でき、契約から3年以内に納入を開始することが可能だと述べた[7]

機体

グローバルアイの主要センサーは機体胴体上部に搭載された約1トンのエリアイ ER 空中早期警戒レーダーである[7]。SAABによるとグローバルアイが35,000フィートで飛行した場合、458kmを超える距離で高度200フィートの脅威を探知できる[8]。またグローバルアイは最大11時間のミッションを行えるとしている。

グローバルアイは軍用以外にも多様な目的に使うことができる。例えば、低空を低速で飛ぶプロペラ機を監視し、麻薬を詰めた箱を海に落とすのを監視できる。さらにその箱を回収する船や、海岸で受け取って逃走する車両の追跡もできる。

グローバルアイは空中早期警戒レーダーに加え、BAEシステムズアビオニクス部門を買収したレオナルド S.p.Aの製品であるシースプレー7500E英語版 対水上捜索レーダーが搭載されている[9][7]

運用

2015年11月、UAEは12億7000万ドルの契約で、スイングロール監視システム(Swing Role Survillance System)と呼ばれるこのシステムを発注した[10]。2017年2月アラブ首長国連邦は2億3800万ドルで3機目のグローバルアイを追加発注するオプションを行使した[11]。UAE空軍司令官イブラヒム・ナセル・アル・アラウィは、グローバルアイを「強力な戦力増強要員」であると述べた[7]

2021年1月、SAABはUAEからさらに2機のグローバルアイを受注したと発表した。契約額は10億1800万ドルであった[12]。2024年9月、SAABは5機目となる最後のグローバルアイがUAEに納入されたと発表した[13]

運用国

現在の運用国

アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦(5機運用中)
アラブ首長国連邦空軍は2020年から2024年にかけて合計230億スウェーデン・クローナで調達した5機のグローバルアイを運用している[14]

将来の運用国

フランスの旗フランス(発注済み2機、オプション2機)<
2025年6月18日、パリ航空ショーで、SAABとフランス装備総局は将来的に2機のグローバルアイを取得する共同意向表明書に署名した。この意向表明書にはさらに2機を追加購入するオプションも含まれた[15]。2025年12月正式な契約が締結され、2029年から2032年にかけて2機のグローバルアイが納入される予定である[16]
北大西洋条約機構の旗NATO
NATOは2023年、老朽化したE-3の代替として、E-7 6機の調達計画を発表した[17]。しかし2025年、米空軍のE-7計画中止を受け、その計画をキャンセルした[18]。NATOはE-3の後継となる早期警戒管制機としてグローバルアイを選定した[19]
スウェーデンの旗スウェーデン(発注済み3機、オプション1機)
スウェーデン国防省は、2022年6月にSAABと2機のグローバルアイ取得に関する契約を締結し、その金額は73億スウェーデン・クローナであった。この契約には最大2機の追加購入オプションが含まれていた[20][21]。2024年6月、国防省はウクライナに寄贈された2機のサーブ 340 AEW&Cの代替として、3機目のオプションを行使した[22][23]。納入は2027年に開始され、2029年までを予定。

潜在的な運用国

カナダの旗カナダ
カナダは2024年に発表した防衛政策で早期警戒管制機を導入すると述べ、購入に36億5000万ドルを投じる計画があると報じられている[24]。SAABはCANSEC 2025に参加し、カナダ向けにグローバルアイを提供する準備ができていると述べた[25]。なおグローバルアイの機体はカナダのボンバルディア製である。
デンマークの旗デンマークフィンランドの旗フィンランド
2025年1月にスウェーデンのセーレンで行われた国家安全保障会議において、スウェーデン、フィンランド、デンマークの間でグローバルアイを共同購入することがスウェーデンの主要野党社会民主党によって提案された[26]。2025年4月、スウェーデン政府はグローバルアイ4機をデンマークに売却する権限を政府に与える提案を提出した[27]
ドイツの旗ドイツ
2025年9月、ドイツ国防大臣はスウェーデン国防大臣との会見の中で、次期早期警戒管制機候補としてグローバルアイが最有力であると述べた[28]

脚注

Related Articles

Wikiwand AI