サンゴロドリムの正確な高さは不明である。作中で具体的な数値が出てくるのは、アングバンドの地下に通ずる大門の上にある絶壁が、1000フィート(約300メートル)あるということくらいである。[4]
『中つ国歴史地図』の作者カレン・ウィン・フォンスタッドによると、ドリアスのメネグロスの橋からサンゴロドリムの城門までが150リーグ(約833km)[5]あることを基準として、[6]トールキンがトル=シリオンを描いた絵での、シリオンの山道からはるか遠くに見えるサンゴロドリムの高さを推定すると、高さは35000フィート(約1万m以上)で基部は5マイル(約8km)あると記している。[7]このことからトールキンファンの中には、サンゴロドリムを中つ国最高峰として扱う者もいる。
しかし問題が一つある。それはトールキンがトル=シリオンの絵を描いたのは1928年ということである。[8]クリストファーによるとトールキンがシルマリル関連の絵を書いたのは1920年代後半が多いようで、トル=シリオンもその一つであり、元々はモノクロであった。よく見られる色の付いたバージョンは1978年のカレンダーに載ったもので、H.E.Riddettという絵師がカラーリングしたものである。
『中つ国の歴史』第5巻でクリストファーは「この時点でのサンゴロドリムは(メネグロスに)かなり近かったと考えられる」と記している。また「メネグロスからアングバンドの門までが150リーグとされたのは指輪物語執筆後の後期での設定である」と明かしており、そして「この頃の設定での地図のスケールだと70リーグ(約389km)以上もなかったと思われる」[9]とも記している。要はサンゴロドリムの城砦は、当初は遥か南にあったということである。ここで生じる設定の相違から、クリストファーは出版された『シルマリルの物語』の地図から、サンゴロドリムとエレド・エングリン(鉄山脈)をオミットしたと『中つ国の歴史』第11巻で述べている。[10]
以上のことを踏まえると、フォンスタッドの推測したサンゴロドリムの高さは、古い設定のもとに描かれた絵を参考に、新しい設定での距離を下敷きに導き出していることとなる。
ちなみに指輪物語執筆後の後期の設定で、サンゴロドリムをはるか遠くに望むことができるとされているのは、出版された『シルマリルの物語』ではエレド・ウェスリンの山腹(フェアノールが瀕死の際に目にする)とドルソニオン(アイグノールとアングロドが常に遠くに見ている)、あとはアルド=ガレンくらいであり、トル=シリオンが存在するシリオンの谷間から、サンゴロドリムを見ることができると書かれている箇所はない。