ジュズダマ
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ジュズダマ | |||||||||||||||||||||||||||
| 分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||||||||
| Coix lacryma-jobi L. var. lacryma-jobi (1753)[1] | |||||||||||||||||||||||||||
| 和名 | |||||||||||||||||||||||||||
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| 英名 | |||||||||||||||||||||||||||
| Job's tears |

ジュズダマ(数珠玉、学名: Coix lacryma-jobi var. lacryma-jobi または Coix lacryma-jobi)は、水辺に生育する大型のイネ科植物の一種である。東南アジア原産。郊外の水辺などに生える野草で、草丈1 - 2メートルほどになる。実は硬くて光沢があり、昔はつないで数珠の玉にした。食用品種をハトムギと呼ぶ。
分類学
ハトムギ
食用品種のハトムギ(C. lacryma-jobi var. ma-yuen)は、ジュズダマを改良した栽培種である[2]。全体がやや大柄であること、花序や果実が垂れ下がること、実(つぼ)が薄くそれほど固くならないことが、原種ジュズダマとの相違点である[4]。ハトムギの実は卵形で光沢がなく、固くなくて指でつぶれる[7]。また薬効も異なる[7]。
日本での細分類
江戸時代、小野蘭山は『本草綱目啓蒙』で「薏苡」について食用を二種、食用とせぬもの二種としており[8][9]、食用種はシコクムギとチョウセンムギとしている[9][注 1]。
この二つは文献上では異なる変種であるが、きわめて近似種であり、"ハトムギは, [これら]食用種2種を総括した名称であることは, 明治10年 代の文献によってあきらか である"と述べられている[10]。
チョウセンムギ
チョウセンムギは学名 C. lacryma-jobi var. koreanaが充てられているが[11]、この変種名は世界の植物分類学では流通性が乏しく、後述のWCSPFチェックリストでは未登録名である[12]。また、C. agrestisという別種として松村任三が記載しているが[13]、現在ではこれは別種でなくCoix lacryma-jobi var. lacryma-jobiの異名とされている[14]。
蘭山によれば、真の薏苡であるシコクムギは皮は指でつまんで軽く押せば割れるほど柔らかいが[注 2]、日本に到来したのは享保年間である[9]。これを事実とするならば、享保以前の文献において日本での「薏苡」の消費に関わる記述は、皮は硬くて撃たねば割れないチョウセンムギ[9]のほうと解釈できる[15][注 3]。
オニジュズダマ
日本古来の文献における非食用の2種は、ジュズダマとオニジュズダマで[9][10]、後者はC. lacryma-jobi var. maxima Makino という変種として牧野富太郎が発表し[16][17]、WCSPFチェックリストの登録名である(正名としては認められていない)[18][注 4]。
世界標準的な分類
World Checklist of Selected Plant Familiesには以下の4変種が正名として登録されている[12]
分布・生育地
特徴
大形の多年草であるが、日本の関東地方では冬期に枯れて一年草となる[7]。草丈は1 - 2メートル (m) ほどになる[20]。茎は叢生して大株となり[7]、根元で枝分かれした多数の茎が束になって直立して、茎の先の方まで葉をつける。葉は互生し、線形で幅広い葉を伸ばし、幅1 - 4センチメートル (cm) 、長さ20 - 50 cmくらい、葉縁はざらつき、下の方は鞘になって茎を抱く[7][19]。
花期は夏から秋にかけて(7 - 10月)[2][20]。花は上部の葉腋から長短不揃いの柄を持った穂状花序を出す[7][4]。花茎の先端には雌花が入った長さ1 cmの丸いつぼみ形の苞(苞葉鞘、苞鞘)をつけ、その先から雄花の小穂がのびる[4][20]。雌花の小穂は固い苞に包まれた花穂で柱頭だけを外に出し、雄花の小穂は苞を貫いて伸びて、雄しべを垂らす[7][20]。花の色は白っぽい[2][20]。
秋に果実が熟すると、果実を包む苞葉鞘は灰白色・茶褐色・セピア色・黒褐色など一粒ずつ微妙に色は異なり、光沢があるホーロー質になって表面が非常に固くなり、長さ10ミリメートル (mm) 、直径7 mm卵状球形の数珠玉状になる[7][19]。熟した実は、根元から外れてそのまま落ちる。実は内部に空気を含む隙間があって水に浮き、流れに乗って散布される[21]。
花の構造

イネ科植物の花は、花序が短縮して重なり合った鱗片の間に花が収まる小穂という形になる。その構造はイネ科に含まれる属によって様々であり、同じような鱗片の列に同型の花が入るような単純なものから、花数が減少したり、花が退化して鱗片だけが残ったり、まれに雄花と雌花が分化したりと多様であるが、ジュズダマの花序は、中でも特に変わったもののひとつである。
まず、穂の先端に雄花、基部に雌花があるが、このように雄花と雌花に分化するのは、イネ科では例が少ない。細かいところを見ると、さらに興味深い特徴がある。
実のように見えるものは、正しくは果実ではなく、雌花を包んでいる鞘状の葉が分厚く硬く変形した器官で、植物学的には苞鞘(ほうしょう)または、苞葉鞘(ほうようしょう)という[2][3]。この苞葉鞘の先端には穴が開いており、若い苞葉鞘の先端から伸び出ている稲穂のような雄花の集まりを雄花穂(ゆうかすい)と呼んでいる[3]。雄花穂からは黄色い葯が垂れて、先端が開いて風で花粉が飛ばされる[3]。雌花は苞葉鞘の中に隠れていて、雌しべの先が2本に分かれて白いひも状に伸びた柱頭だけを苞葉鞘の先端から外に出して、風で運ばれてきた花粉を受粉する[3]。一つの苞葉鞘の雄花と雌花は同時に咲くことはなく、必ず雌花が雌しべを出して先に咲いて枯れてから、雄花が葯を出すようになっていて、自身の花の花粉で受精しないように回避している[22]。
雌花は受粉して果実になると、苞葉鞘の内で成熟し、苞葉鞘ごと脱落する。一般にイネ科の果実は鱗片に包まれて脱落するが、ジュズダマの場合、鱗片に包まれた果実が、さらに苞葉鞘に包まれて脱落するわけである。
実際には若い苞葉鞘の中には雌花のつぼみが3つ入っていて、このうち1つだけが実をむずび、残り2つは実を結ぶ性能力がなくなって退化し、枯れてしまう不稔雌花(ふねんめばな)になる[22]。この不稔雌花が枯れた跡が、ネックレスなどを作る際に不要になる2本の棒状の芯であり、数珠玉のビーズ穴の元となるものである[3]。雄花穂は花粉を出すと枯れ落ちるが、雌花1個は受精すると、苞葉鞘に守られて中で種子に育つ[3]。中の種子の胚乳部分にデンプンが蓄えられて熟すころには、苞葉鞘は固くツルツルになり、ネズミなどの動物に食べられるのを防いでいる[23]。