ゼロ (言語学)
言語学の概念
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言語学のゼロは、発音上は存在しないが、特定の理論において存在すると見なすものである。記号には ∅ を用いる。代用表記としてラテン文字の Ø も用いられる。
例えば、英語の cats /kæts/ と fish /fɪʃ/ において、複数を表すのは前者は /s/ だが、後者は何も無い。この何も無いのを、ゼロがあると見なし、複数形の接尾辞がそれぞれ -/s/ と -∅ であるとする。
本居宣長は、『詞の玉緒』(1779年)で、「は」、「も」、「徒(ただ)」の係り結びが終止形になることを示した。この「徒」は助詞が付かない場合を意味し、ゼロに当たる。
ただし、ゼロを乱用してはならない。ゼロが唯一の形態であるような形態素を設けることは避けるべきである[1]。例えば、英語で単数形の接尾辞として ∅ を設ける必要性は無い。例外なく接尾辞が無いのであるから、そのような接尾辞は存在しないと見なすほうが簡潔である。
ゼロ接辞
ゼロ冠詞
ゼロ格
ゼロコピュラ
→詳細は「ゼロコピュラ(英語: Zero copula)」を参照
コピュラの変化の中で、一部コピュラを使わない場合がある。例えばロシア語では、現在時制ではコピュラを使わず単に主語と補語を並べる。これをゼロコピュラがあると見なす。同様に、ハンガリー語では三人称現在でコピュラが省略されることがあり、これもゼロコピュラと見なせる。
日本語では、疑問文ではコピュラ「だ」が消えるが、これをゼロコピュラと見なせる。
| 常体 | 敬体 | ||
|---|---|---|---|
| 平叙文 | これは本だ。 | これは本である。 | これは本です。 |
| 疑問文 | これは本 ∅ か。 | これは本であるか。 | これは本ですか。 |