デオキシリボースリン酸アルドラーゼ
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デオキシリボースリン酸アルドラーゼ(英: deoxyribose-phosphate aldolase、略称: DERA、EC 4.1.2.4)は、以下の化学反応を触媒する酵素である。
- 2-デオキシ-D-リボース-5-リン酸 D-グリセルアルデヒド-3-リン酸 + アセトアルデヒド
したがって、この酵素の基質は2-デオキシ-D-リボース-5-リン酸、生成物はグリセルアルデヒド-3-リン酸とアセトアルデヒドの2つである。
この酵素はリアーゼ、特に炭素-炭素結合を切断するアルデヒドリアーゼに分類される。系統名は、2-デオキシ-D-リボース-5-リン酸 アセトアルデヒドリアーゼ (D-グリセルアルデヒド-3-リン酸形成) (2-deoxy-D-ribose-5-phosphate acetaldehyde-lyase (D-glyceraldehyde-3-phosphate-forming))である。他に、phosphodeoxyriboaldolase、deoxyriboaldolase、deoxyribose-5-phosphate aldolase、2-deoxyribose-5-phosphate aldolase、2-deoxy-D-ribose-5-phosphate acetaldehyde-lyaseなどとも呼ばれる。

アルドラーゼの中でも、DERAは2つのアルデヒドを産生する唯一の酵素である[1]。この酵素はクラスIアルドラーゼであることが結晶学的に示されており、そのため反応機構は活性部位のLys167とのシッフ塩基の形成を経て進行する。近傍の残基Lys201はプロトン化されたLys167の酸性度を高め、シッフ塩基の形成をより容易にする[2]。
反応の平衡は反応物の側にあるため、DERAは逆アルドール反応の触媒としても利用できる。この酵素は、さまざまなカルボニル化合物を基質として受容する、特異性の低さを示すことが知られている。例えば、アセトアルデヒドを他の小さなアルデヒドやアセトンに置き換えたり、D-グリセルアルデヒド3-リン酸の代わりにさまざまなアルデヒドを利用することができる。しかし、活性部位の求電子性アルデヒドの安定化相互作用の空間的配置のためアルドール反応には立体特異性があり、反応性炭素は(S)配座となる。活性部位の分子モデリングでは、Thr170とLys172によって形成された親水性ポケットがD-グリセルアルデヒド-3-リン酸のC2-ヒドロキシ基を安定化させ、C2-水素は疎水性ポケットで安定化されていることが示されている。基質としてグリセルアルデヒド-3-リン酸のラセミ混合物を用いた場合には、D型異性体のみが反応する[3]。
構造
他のクラスIアルドラーゼと同様、ERAの単量体にはTIMバレルフォールドが含まれている[2]。DERAの構造は多くの生物種の間で保存されており、大腸菌Escherichia coliとAeropyrum pernixのDERAはそれぞれ、Thermus thermophilus HB8のDERAと配列の32.1%と37.7%が同一である[4]。反応機構も保存されている。
溶液中では、DERAはホモ二量体またはホモ四量体として存在する。酵素のオリゴマー化は酵素活性には寄与しないが、相互作用面の残基間の疎水的相互作用と水素結合によって熱安定性を高めている[5]。
2007年末時点で、10個の構造が解かれている。蛋白質構造データバンクのコードは、1JCJ、1JCL、1KTN、1MZH、1N7K、1O0Y、1P1X、1UB3、1VCV及び2A4Aである。
生物学的機能
細菌ではDERAはdeoオペロンの一部であり、エネルギー産生のために外因性デオキシリボヌクレオシドの変換を可能にする[6]。DERAの反応産物であるグリセルアルデヒド-3-リン酸とアセトアルデヒド(その後アセチルCoAへ変換される)は、それぞれ解糖系とクレブス回路で利用される。
ヒトでは、DERAは主に肺、肝臓、結腸で発現しており、細胞ストレス応答に必要である。酸化ストレスまたはミトコンドリアストレスの誘導後、DERAはストレス顆粒と共局在し、ストレス顆粒タンパク質として知られているYBX1と結合する。DERAを高発現している細胞は、グルコースが枯渇しミトコンドリア脱共役剤であるFCCPで処理された際に、外因性のデオキシイノシンを利用してATPを産生することができる[7]。

