デミス・ハサビス
イギリスの人工知能研究者 (1976-)
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デミス・ハサビス (Demis Hassabis, 1976年7月27日-[5])はイギリスの人工知能研究者、神経科学者(脳科学者)、企業家、コンピュータゲームデザイナー、世界的なゲームプレイヤーである[1][4][6][7][8]。
- Google DeepMind
- ブルフロッグ・プロダクション
- ライオンヘッド・スタジオ
- ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン (2009年–2012年)[2]
- ケンブリッジ大学コンピューター・ラボラトリー
デミス・ハサビス Demis Hassabis | |
|---|---|
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デミス・ハサビス(2018) | |
| 生誕 |
1976年7月27日(49歳) |
| 国籍 |
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| 研究分野 | |
| 研究機関 |
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| 教育 | クライスツ・カレッジ |
| 出身校 |
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| 博士論文 | Neural processes underpinning episodic memory (2009) |
| 博士課程指導教員 | Eleanor Maguire[3] |
| 主な業績 | |
| 影響を受けた人物 | ピーター・モリニュー |
| 主な受賞歴 |
ガードナー国際賞(2023年) アルバート・ラスカー基礎医学研究賞(2023年) ノーベル化学賞(2024年) |
| 公式サイト |
www |
| プロジェクト:人物伝 | |
Google DeepMind[9]およびIsomorphic Labs[10][11][12] の最高経営責任者(CEO)兼共同創業者であり、英国政府のAI顧問も務めている[13]。
AI技術(AlphaFold)を用いたタンパク質構造予測技術の研究により、2024年にデイヴィッド・ベイカー、ジョン・M・ジャンパーとともにノーベル化学賞を受賞した[14][15][16][2]。
生い立ち
デミス・ハサビスは北ロンドンで生まれ育った。彼はギリシャ系キプロス人の父と中国系シンガポール人の母の間に生まれた家系である[17][18]。チェスの神童で、ハサビスが13歳の時のイロレーティングは2300で(当時14歳以下のプレイヤーの中ではユディット・ポルガーの2335に次いで世界で2番目に高かった)、イングランドジュニアチェスチームのキャプテンを務めた[19]。
テクノロジーへの興味
テクノロジーに興味を持ったのは、1984年にチェスの賞金で買った最初のコンピュータ、ZX Spectrum 48Kを手にしてからだった。ハサビスは本から独学でプログラミングを学んだ[20]。その後、コモドール社のAmiga上で、ボードゲームの「リバーシ」をプレイする最初のAIプログラムを作成した[21]。
教育
1988年から1990年にかけて、北ロンドンにある男子グラマースクールであるクイーン・エリザベス・スクールで教育を受けた。その後、1年間は両親によるホームスクーリングを受け、その後、ロンドン北部のイースト・フィンチリーにある公立の総合制中等学校であるクライスツ・カレッジで学び[17]、16歳で、2年早くAレベルとSレベル試験を修了した[22][23]。
ギャップ・イヤー
若年であることを理由にケンブリッジ大学からギャップ・イヤーを取るよう勧められ[24]、Amiga Power誌の「ブルフロッグでの仕事獲得コンテスト」に応募し、ブルフロッグ・プロダクションでコンピュータゲーム業界でのキャリアをスタートさせた[25]。
ブルフロッグ・プロダクション
ブルフロッグでのキャリアは「シンジケート[26]」のプレイテストから始まり、17の時にゲームデザイナーピーター・モリニューとともに、ゲーム「テーマパーク」(1994年)の共同デザインおよび主任プログラマーを務めた[27]。テーマパークは有名なシミュレーションゲームであり、数百万本を売り上げ[28]、ゴールデンジョイスティック賞を受賞し、経営シムゲームのジャンル全体に影響を与えた。
ギャップイヤー中の仕事では、大学進学の学費を自力で賄うことができる収入を得た[29]。
ケンブリッジ大学へ
1997年にハサビスはブルフロッグを去り、ケンブリッジ大学のクイーンズ・カレッジに籍を移し、コンピューター・ラボラトリーでコンピューターサイエンスの学位取得に専念、コンピュータ・サイエンス・トリポスを修了し[19]、同年にダブル・ファーストの成績で卒業した[28] 。
ライオンヘッド・スタジオ
ケンブリッジ大学卒業後、ハサビスはライオンヘッド・スタジオで働いた。ハサビスがブルフロッグ・プロダクションで共に働いていたゲームデザイナーのピーター・モリニューが、この会社を設立したばかりだった。ライオンヘッドでは、ゴッドゲーム「ブラック&ホワイト」(2001年)の主任AIプログラマーとして働いた[28][30]。
エリクサー・スタジオ
1998年にライオンヘッドを退社し、ロンドンを拠点とする独立系ゲーム開発会社であるエリクサー・スタジオを設立した。ハサビスは会社を60人規模まで拡大し、アイドス・インタラクティブ、 ヴィヴェンディ・ユニバーサル、マイクロソフトと販売契約を結び[31]、BAFTAにノミネートされたRepublic: The RevolutionやEvil Geniusのエグゼクティブ・デザイナーでもあった。エリクサーが幾度かの延期の後に最初に発表したRepublic: The Revolutionは、非常に野心的で独特な政治シミュレーションゲームだったが[32][33]、架空の国家全体の仕組みをAIでシミュレートするという膨大な規模のため、発売が延期された。 最終的に元々の構想よりも内容は縮小され、評価は芳しくなく、生暖かいレビューで迎えられた。メタスコアは62/100だった[34]。「Evil Genius」は「オースティン・パワーズ」のジェームズ・ボンドを皮肉たっぷりにパロディ化した作品であり、メタスコア77/100とかなりの善戦をした[35]。
認知神経科学の研究へ
エリクサー・スタジオを離れ、数年間技術企業の立ち上げを行った後、認知神経科学の博士号を取得するため学究生活に戻り[3] 、2009年にユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のクイーン・スクエア神経学研究所で、エレノア・マグワイアの指導の下で博士号を取得した[38]。ハサビスは、新しいAIアルゴリズムの開発に向けたヒントを人間の脳から得ようとした[39]。
ハサビスは、客員研究員として、マサチューセッツ工科大学(MIT)のトマソ・ポッジョの研究室とハーバード大学の両方で神経科学および人工知能の研究を継続し[6]、その後、2009年にヘンリー・ウェルカム博士研究員フェローシップを獲得し、UCLのギャツビー計算神経科学ユニットでピーター・ダヤンと共に研究を行った[40]。
想像力、記憶、および健忘症の分野で研究を行い、Nature、サイエンス誌、Neuron、PNASに発表された数多くの影響力のある論文を共著した。 PNASに掲載された彼の最初の学術論文[41]は、健忘症を引き起こすことが知られている海馬に損傷を受けた患者が、新しい体験の中で自分自身を想像することもできないことを初めて体系的に示した画期的な論文であった。この発見は、想像力という構築的プロセスと、エピソード記憶の想起という再構成的プロセスとの関連性を確立した。この研究と、その後の機能的磁気共鳴画像法(fMRI)による追跡研究に基づき[42]、ハサビスはエピソード記憶システムに関する新たな理論的枠組みを構築した。そこでは、複雑かつ首尾一貫した情景の生成とリアルタイムでの維持である情景構築が、記憶の想起と想像力の双方を支える鍵となるプロセスであると特定された。 この研究は一般メディアで広く取り上げられ、学術誌Scienceによってその年の科学的なブレークスルートトップ10に選出された。 彼は後にこれらの考えを一般化し、より良い計画を立てるために出来事やシナリオを想像する役割を担う「心のシミュレーションエンジン」という概念を提唱した。
ハサビスはビデオゲーム開発を離れ、AIの新しいアルゴリズムのアイデアのインスピレーションを脳から得るために認知神経科学へ切り替えた[43]。自伝的記憶と記憶喪失の分野で活動し、何本かの影響力のある論文を執筆した[1]。現在、ハサビスがPNASで発表した「海馬損傷を有する患者は記憶喪失を引き起こすことが知られているが、彼らは新しい体験の中に自分自身を想像できない」とする論文[44]が最も引用頻度が高い。重要なのは、このことが想像の構築過程とエピソード記憶の想起の再構成過程とが関連すると実証した点である。これらの発見とfMRIによるフォローアップ研究[45]に基づき、ハサビスはエピソード記憶システムが情景の構築を識別する新しい理論的説明を展開した。すなわち、複雑かつ理路整然とした情景の生成とそれを持続させ続けることが、想起と想像の根本的プロセスの鍵となる[46]。この仕事は主要メディアで広く取り扱われ[47]、サイエンス誌は2007年の10大ブレイクスルーの一つに(第9位として)選んだ[48]。
近年、ハサビスの発見と解釈は他の研究者達の挑戦を受けている。 Larry R. Squireらの論文[49]は海馬病変と想像力欠損の間の乖離だけではなく、記憶喪失と想像力欠損の乖離を報告した。さらにSquireらは、ハサビスらの試験対象である患者の病変は海馬に限定されていたかどうか疑問視した。議論は進行中であるが、最近の研究は元の発見を支持している[50][51]。
DeepMind
2010年、ロンドンを拠点とする汎用学習アルゴリズムの構築に特化した機械学習のスタートアップであるDeepMindテクノロジーズを共同で立ち上げCEOを務めた。
2014年1月にDeepMindはGoogleに4億ポンド(約6億2500万ドル)で買収され、ハサビスは一般的なAIプロジェクトを指導するエンジニアリング担当副社長となった[6][52][53][54][55][56][57]。
2015年10月、DeepMindのAlphaGoプログラムは、ヨーロッパ囲碁チャンピオンを打ち倒しAIのブレイクスルーを達成した[58] 。2016年3月には、世界最高ランクの囲碁棋士である李世乭に5試合中4試合に勝利した。
また、タンパク質構造解析AIのAlphaFoldを立ち上げた。
受賞

ハサビスはゲームデザインワークにより2009年に王立技芸協会(FRSA)のフェローに選出された[59][60]。
2013年にワイヤードは"Smart 50"に選んだ[61][62]。2014年にLondon Evening Standard紙はロンドンで3番目に影響力のある人物に選び[63][64] 、フィナンシャル・タイムズはヨーロッパのトップ50の起業家に選んだ[65]。
2014年に王立協会より権威あるムラード賞を授与された [66][67]。
2016年、ネイチャーは世界に重要な影響を与えた科学者を毎年10人選出する「今年の10人"Nature's 10"」の一人にハサビスを選んだ[68][69][70]。
殊に人工知能による医学研究の変革は高い評価を受け、2020年ピウス11世メダル、2021年IRIメダル[71]、ワイリー賞、2022年アストゥリアス皇太子賞学術・技術研究部門、2023年生命科学ブレイクスルー賞[72]、ガードナー国際賞、アルバート・ラスカー基礎医学研究賞[73]、2024年慶應医学賞、クラリベイト引用栄誉賞、ノーベル化学賞[14]を受賞した。
その他の受賞・受章・栄典
- 2015年 – フィナンシャル・タイムズ「ヨーロッパの起業家トップ50」[74]
- 2015年 – ケンブリッジ大学クイーンズ・カレッジ フェロー・ベネファクター[75]
- 2016年 – ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン 名誉フェロー[76]
- 2016年 – フランシス・クリック研究所 科学諮問委員会[77][78]
- 2016年 – ロンドン・イブニング・スタンダード「ロンドンで影響力のある人物」リスト、第6位[79]
- 2016年 – 王立工学アカデミー 銀賞[80]
- 2016年 – Wired誌「イノベーションにおけるリーダーシップ」賞[81]
- 2016年 – フィナンシャル・タイムズ「デジタル・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」[82]
- 2016年 – Wired誌「グローバル100」[83]
- 2017年 – 「科学技術への貢献」により、2018年新年叙勲において大英帝国勲章コマンダー(CBE)に叙勲[84][85]
- 2017年 – Time 100:世界で最も影響力のある100人[86]
- 2017年 – アジア賞:科学技術分野における傑出した功績[87]
- 2017年 – 王立工学アカデミーフェローに選出[88]
- 2017年 – アメリカン・アカデミー・オブ・アチーブメント:ゴールデン・プレート賞[89][90]
- 2018年 – 王立協会(FRS)フェロー[91][92]
- 2018年 – 英国政府人工知能局の顧問に就任[13]
- 2018年 – インペリアル・カレッジ・ロンドンより名誉博士号を授与[93]
- 2019年 – Computer Weekly誌の「UKtech50」(英国テクノロジー界で最も影響力のある50人)に選出[94]
- 2020年 – 英国版GQ誌の「英国で最も影響力のある50人」に選出[95]
- 2020年 – ダン・デイヴィッド賞 – フューチャー賞[96]
- 2021年 – 王立産業デザイナー
- 2021年 – 米国芸術科学アカデミーの国際名誉会員[97]
- 2022年 – 新興分野で傑出した業績を上げたイノベーターに対するヴィンフューチャー賞[98]
- 2022年 – グローバル・スイスAI賞[99]
- 2022年 – BBVA財団フロンティア・オブ・ナレッジ賞(「生物学および生物医学」部門)[100]
- 2022年 – アストゥリアス王女賞(ヨシュア・ベンジオ、ジェフリー・ヒントン、ヤン・ルカンと共に)技術・科学研究部門[101]
- 2022年 – ワイリー賞(生物医学部門)[102]
- 2022年 – 先進研究発明庁の顧問[103][104]
- 2023年 – BCSラヴレス・メダル[105]
- 2023年 – UCL生命・医学科学賞記念講演[106]
- 2023年 – アルバート・ラスカー基礎医学研究賞[107]
- 2023年 – ローザンヌ連邦工科大学より名誉学位授与[108]
- 2023年 – タイム誌の「AI 100」リストに選出[[109]
- 2023年 – 欧州アカデミー会員[110]
- 2023年 – カナダ・ガードナー国際賞[111]
- 2023年 – 教皇庁科学アカデミーの正会員[112]
- 2023年 – タンパク質の構造を正確に予測するAlphaFoldの開発により、ブレイクスルー賞(ライフサイエンス部門)を受賞[113]
- 2024年 – ノーベル化学賞
- 2024年 – クラリベイト・サイテーション・ラウレアート[114]
- 2024年 – 慶應医学賞[115]
- 2024年 – 「AI市民オブ・ザ・イヤー」[116]
- 2024年 – 『タイム』誌の「AI 100」リストに選出[117]
- 2024年 – サイエンス・ミュージアム・グループ フェローシップ賞[118][119]
- 2024年 – オックスフォード大学より名誉学位授与[120]
- 2024年 – 「人工知能への貢献」によりナイト・バチェラーの称号を授与[121]
- 2025年 – Computer WeeklyによるUKtech50(英国テクノロジー界で最も影響力のある50人)受賞[122]
- 2025年 – Gold House A100 受賞者[123]
- 2025年 – タイム100:世界で最も影響力のある100人[124]
- 2025年 – STATステータスリスト[125]
- 2025年 – Ukie殿堂入り[126]
- 2025年 – タイム誌のパーソン・オブ・ザ・イヤー特集号に掲載[127]
- 2026年 – 全米工学アカデミーの国際会員[128]
ブレイクスルー・オブ・ザ・イヤー
ハサビスの研究成果は、科学誌「サイエンス」によって「ブレイクスルー・オブ・ザ・イヤートップ10」に4回選出されている。
DeepMindに関する受賞、栄誉
- ケンブリッジ大学コンピューター・ラボラトリー2014年カンパニー・オブ・ザ・イヤー[133]
- ネイチャー誌の表紙を飾った論文9編(2015年[134]、2016年[135] 、2019年[136]、2020年[137]、2021年は2編[138][139] 2022年[140]、2024年[141]、2026年[142])
- サイエンス誌の表紙を飾った論文、2017年[143])
- AlphaGoに対して囲碁名誉九段 - 韓国棋院(2016年)[144]、中国囲棋協会(2017年)[145]、 日本棋院(2024年)[146]
- カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル グランプリ、ドキュメンタリー「AlphaGo」(2016年)[147]
- Wired誌、2016年AIイノベーション賞[81]
- City A.M.誌、イノベーション・カンパニー・オブ・ザ・イヤー2016[148]
- タイム100:もっとも影響のあった企業2025[149]
ゲームに関する受賞、栄誉
ハッサビスは、ボードゲームの総合世界選手権(マインドスポーツオリンピアード)で5度の優勝を果たしており、以下を含む多くのゲームのエキスパートプレイヤーである[31]。