トーションフィールド
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トーションフィールド(ねじれ場、アクシオンフィールド、スピンフィールド、スピノルフィールド、マイクロレプトンフィールドとも呼ばれる)は、1980年代のソビエト連邦で提唱された疑似科学的概念である[1][2]。粒子の量子スピンを利用することで光速を超える情報伝達が可能だと主張されているが、確立された物理学理論と矛盾し、科学的根拠に乏しいとされている[2][3]。学術界からは強い批判を受けているが、超常現象の説明や様々な応用技術の根拠として一部で受け入れられ、政府機関や民間企業から断続的に研究資金を得てきた[2]。ロシア科学アカデミーは理論的基盤の欠如を指摘し、疑似科学として位置付けている[2][3]。
初期の理論的枠組みは1980年代のソビエト連邦で、アインシュタイン‐カルタン理論やマクスウェルの方程式の変形解に基づいて行われた[4]。アナトリー・アキモフとゲンナジー・シポフ率いる研究グループは[5]、国家後援の「非伝統的技術センター」として研究を開始したが、物理学者ユーゲニー・アレクサンドロフの調査により、科学的詐欺と公費横領が判明し[6][2]、同センターは閉鎖された[6][2]。アキモフとシポフは、1992 - 1995年にかけてロシア科学省から、1996 - 1997年にはロシア国防省から研究の資金提供を受け[4]、後にUVITORと改名される民間企業「国際理論応用物理学研究所」を通じて活動を継続した[7]。
現在、この理論は十分な証拠がなく、確固たる理論的裏付けも存在しないため、信頼できる科学研究の分野では支持されていない[2][3][8]。ロシア科学アカデミーは1998年以降、複数の声明で数学的誤りを指摘し、理論的基盤の欠如を批判してきた[2][3][8]。しかし、超光速航法(FTL)、超感覚的知覚(ESP)、ホメオパシー、空中浮揚、その他の超常現象を主張するために利用され、また、奇跡的な治療法や類似製品の効能を主張する際にその根拠として使用されている[9]。
説明
正統派物理学における「フィールド(場)」とは、空間内の各点にベクトル、テンソル、またはスピノールなどの物理量を定義する数学的概念である。「トーション(ねじれ)」は回転変数を指すため、「トーションフィールド(ねじれ場)」とは、物理量が回転を表す場合に用いられる概念であり、疑似科学における誤用を除けば、確立された物理学の枠内にも存在する。例えば、円偏光の電磁波や、ねじり応力下の固体における応力テンソルはトーションフィールドとして記述されることがある(ただし、そのような用法は稀である)。また、捩率テンソルは一般相対性理論の量であり、アインシュタイン・カルタン理論において重要な役割を果たしている。さらに、スピノールフィールド、特にフェルミオンフィールドは、素粒子物理学および量子場理論において既に確立された概念である。
ここで説明されるスピノール場やねじれ場の存在を主張する者たちは、十分に研究されている量子現象であるスピン‐スピン相互作用が、電磁波のように空間を伝播する際に、質量やエネルギーではなく情報のみを伝達し、その速度が光速の10億倍に達すると主張している。これは特殊相対性理論に明確に反するものである。同時に、彼らはスピン‐スピン相互作用が、ニュートリノによって運ばれると主張している。ニュートリノは質量が極めて小さく高エネルギーであり、弱い相互作用を介して物質と作用するため、物質と直接作用しないものの、容易に生成・検出可能であると主張している[10]。