ドラウ (ダンジョンズ&ドラゴンズ)
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ドラウまたはドロウ(Drow/[draʊ][1][2]または[droʊ])[3])は、ファンタジー・ロールプレイングゲーム(RPG)『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(D&D)に登場する人型種族の一つ。プレイヤー・キャラクターとして選択可能な種族でもある。ダーク・エルフとも呼ばれる。
| ドラウ | |
|---|---|
| 特徴 | |
| 属性 | 一般に“混沌にして悪”または“中立にして悪”(第1~3版) 様々(第4~5版) |
| 種類 | 人型クリーチャー |
| 統計 | Open Game License stats |
| 掲載史 | |
| 初登場 | 『G3 Hall of the Fire Giant King』 |
地下世界アンダーダークと結びついた、浅黒い肌と白髪を持つエルフの亜種族である[4]。ドラウは伝統的に、概して邪悪であり、邪悪な蜘蛛の女神ロルスと結びついていると描かれてきた。しかし、後の版ではこの描写や伝統的に語られた属性から離れ、ロルスとは無関係のドラウ社会が探求されている[5][6]。
創作の起源
「ドラウ」という言葉は、スコットランド語のオークニー諸島およびシェトランド諸島の方言に由来し[7]、「trow」の異形であり[8]、「トロール(Troll)」と同じ源語である。オックスフォード英語辞典には「drow」の項目は無いが、「trow」の項目の引用例のうち2つが、この語の異形として挙げている。「Trow/drow」は様々な邪悪な精霊を指すために用いられた。D&Dにおけるドラウの全ては、基本概念である「ダーク・エルフ」を除き、D&D共同創始者ゲイリー・ガイギャックスによって考案された[9][より良い情報源が必要]。ただし、スノッリ・ストゥルルソン著『散文エッダ』には、黒きエルフについて「…ダーク・エルフは地底に棲む。…そしてピッチよりも黒き者たちである」と記されている[10]。
ガイギャックスは「ドラウは、記憶が正しければカイトリーの『フェアリー神話学(The Fairy Mythology)』に言及されている(『The Secret Commonwealth』だったかもしれない——どちらの本も手元にないが、いずれにせよさほど重要ではない)。邪悪な性質を持つダーク・エルフとして、彼らはAD&Dゲームのために特別に設計された、独自の新たな神話の創造に理想的な基盤を提供した」と述べている[11]。後にガイギャックスは、この用語を『Funk & Wagnalls Unexpurgated Dictionary』の項目から引用しただけで、他の出典は一切ないと述べている。「アンダーダークの主要勢力として最も異質な種族を望んでいたため、辞書の「ダーク・エルフ」の記述を基にドラウを創造した」[12]
出版物での歴史
Advanced Dungeons & Dragons第1版
ドラウは、『AD&D[注 1]第1版』の『Monster Manual(『MM』)』(1977)の「Elf」の項目で初めて言及された。そこには「『Black Elves』すなわちドラウは伝説上の存在に過ぎない」と記されている。本書では通常のエルフのステータス以外にドラウのデータは記載されていない。ドラウは地表世界の深部、奇妙な地下領域に棲むとされ、「妖精の明るさと同じ位に暗い」邪悪な種族と描写される。物語では戦士としては弱いが、強力な魔法使いとして描かれている[13]。1978年から1980年にかけて、グレイホークのアドベンチャー・モジュール・シリーズでは、ドラウのデータやアンダーダーク社会の紹介など、ドラウについて深く掘り下げた[14][15][16]。
ドラウに関する統計情報を掲載した最初のハードカバー版D&Dルールブックは、オリジナルの『Fiend Folio』(1981)である。本書のクレジット欄によれば、この項目は「Elf, Drow」の項に記載され、ガイギャックスが執筆した。これは元々モジュールG3およびD3に収録されていたテキストを若干編集したものである。同様に、モジュールD3のロルスの記述は『Fiend Folio』において「デーモン」の項に再掲載されている[17]。
ドラウは、同じくガイギャックスが執筆した『Unearthed Arcana』(1985)において、プレイヤー・キャラクター種族として初めて登場した。本書では複数のエルフ亜種族が記述されており、グレイ・エルフ、ウッド・エルフ、ワイルド・エルフ、ヴァレー・エルフなどが含まれる。ダーク・エルフは最も特異な亜種族とされ、ダーク・エルフのプレイヤー・キャラクターは、標準時な“混沌にして悪”の属性とは異なる、または一族での権力闘争に敗れ追放された者とされる[18]。
グレイホーク・モジュールのストーリーライン
『G1 Steading of the Hill Giant Chief』(1978)(日本語版「丘巨人の酋長の屋敷」2018年)では、「異種族の巨人たちが異例の結束を見せる背景には、秘密の勢力、何らかの動機付けとなる力が存在する」とほのめかされている。『G2 The Glacial Rift of the Frost Giant Jarl』(1978)(日本語版「霜巨人の族長の氷河谷」2018年)も序文でこの指導的勢力に再び言及している。シリーズ第3弾となる『G3 Hall of the Fire Giant King』(1978)(日本語版「火巨人の王の館」2018年)では、再びパーティが巨人同盟の背後に潜む何かを解明する必要性が述べられ、今回はドラウの名が明示されている。冒険中、プレイヤー・キャラクターは火巨人の王の評議室でドラウ関与の最初の手がかりを発見できる。それは「ドラウからの強力な支援」を約束する巻物で、「エクラヴドラ」の署名が入っている。実際のドラウは王の間2階から遭遇可能で、最初にドラウの司祭の集団が現れ、その後さらに他のドラウが登場する[14][19]。
ドラウが巨人族同士の同盟を画策し、戦争を仕掛けたことを突き止めたパーティは、『D1 Descent into the Depths of the Earth』(1978)において、逃走するドラウを追って北西へ延びる坑道へと入り、地底深くへと潜り込み、彼らがもたらす脅威を排除する。ドラウの女司祭の一人から発見された黄金の蜘蛛のブローチを調べると、ドラウ語で「Lolth, Death Queen Mother」と刻まれたルーン文字を発見できる[20]。パーティは『D2 Shrine of the Kuo-Toa』(1978年)でもドラウの追跡を続ける[21]。『D3 Vault of the Drow』(1978年)では、冒険者たちはついにドラウの広大な地下都市Erelhei-Cinluに到達する。この都市はモジュール内で詳細に描写されている。ドラウの権力構造に関する詳細な概要が提供されており、ドラウの都市で展開する数多くのミニキャンペーンや冒険を作成する目的で活用できる[22]。 キャラクターたちはEgg of Lolthへと旅を続け、ダンジョンに侵入し、デーモンそのものと戦わねばならない。ドラウの能力値と情報は、ロルス自身の能力値と共に、このモジュールの末尾にある『火巨人の王の館』から再掲載されている[22]。
物語はモジュール『Q1 Queen of the Demonweb Pits』(1980)で完結する。D3からのアストラル・ゲートは、ドラウの女神であり"蜘蛛の女王"ロルスのアビスの領域へと通じる。ロルスは、前2シリーズのモジュールで描かれた邪悪な陰謀の首謀者である。モジュールの最後では、プレイヤーはロルスとの最終決戦に臨む。これは極めて困難な挑戦である[15]。その後G1~G3モジュールは1981年に、『G1-2-3 Against the Giants』(日本語版「巨人族を討て」2018年)の名で、一つの統合モジュールとして刊行された[23]。また、ドラウが初登場したモジュール全シリーズは、後に『Queen of the Spiders』(1986)としてまとめられ出版された[8][24][19]。
Advanced Dungeons & Dragons第2版
ドラウは『Monstrous Compendium Volume Two』(1989)で初登場し、ドラウ社会に関する情報を拡充している。ドラウの項目には、ドライダーの説明とデータも含まれている[25]。この項目は、『Monstrous Manual』(1993)に若干の修正を加えて再掲載されている[26]。1992年のボックスセット『Menzoberranzan』は、ドラウ最大の都市について詳しく紹介し、ドラウの社会についても詳細な説明を提供している。
フォーゴトン・レルム(レルム)・キャンペーン設定におけるドラウの社会、宗教、歴史、魔法、工芸、言語については、エド・グリーンウッド著『The Drow of the Underdark』(1991)で詳しく紹介されている。グリーンウッドは、この本の序文に語り手として登場し、この本に掲載されている情報にどのように出会ったかを説明している。それは、エルミンスターとの議論と、エルミンスターの元弟子であるドラウの女性、Susprina Arkhenneldとの偶然の出会いであった。2人は、語り手にこの世界のドラウについて説明する[27]。
ドラウは『The Complete Book of Elves』(1992)において、AD&D第2版用のプレイヤー・キャラクター種族として登場する[28]。ドラウの諸神格ロルス、キアランサリー、ヴェイローン、ジンザーレイナは『Monster Mythology』(1992)で解説されている[29]。ドラウは後に『Player's Option: Skills & Powers』(1995)で、再びプレイアブル種族として登場している[30]。
Dungeons & Dragons第3版
ドラウは『D&D第3版[注 2]』(2000)の『モンスター・マニュアル(『MM』)』に登場する[31]。フォーゴトン・レルム設定のドラウは、ハードカバー版『フォーゴトン・レルムワールドガイド(Forgotten Realms Campaign Setting)』(2001)[32]および『Races of Faerûn』(2003)[33] に登場する。ドラウは『第3.5版[注 3]』の改訂版『MM』(2003)にも登場する[4]。
フォーゴトン・レルム設定用ハードカバー版『アンダーダーク(Underdark)』(2003)では、ドラウが再びプレイヤー・キャラクター種族として登場する[34]。『フェイルーン・プレイヤーズ・ガイド(Player's Guide to Faerûn)』(2004)も同様である[35]。『Lost Empires of Faerûn』(2005)では、ドラウ・ワーバットが描写されている[36]。『Unearthed Arcana』(2004)には、ドラウ・パラゴン3レベルの上級クラスが登場する[37]。
2004年、新たなエベロン・キャンペーン設定において、ロルスが存在しない世界にドラウが登場した[38][39]。その後、『Secrets of Xen'drik』(2006)で様々なドラウ社会が詳細に描かれた[40]。さらに、同設定における「ウンブラーゲン」は、2005年4月発行の『ドラゴン』#330において、プレイヤー・キャラクター種族として登場した。
arcane guard drow、dark sniper drow、drow priestess、Lolth's sting、Lolth-touched drow rangerは、『Monster Manual IV』(2006)に登場する[41]。deepwyrm drowは、『Dragon Magic』(2006)でプレイヤー・キャラクター種族として紹介されている[42]。
ドラウは、第3.5版において『Expedition to the Demonweb Pits』(2007)[43]および『Drow of the Underdark』(2007)[44]でプレイヤー・キャラクター種族として登場する。『Drow of the Underdark』では、arcane guard、drow assassin、ドラウの家の戦闘隊長、house wizard、ドラウの審問官、ドラウの寵愛あつき配偶者、drow priestess、drow slaver、spider sentinel、albino drow(szarkai)、szarkai fighters、szarkai druids、drow warriorに加え、多数の上級クラスやドラウ関連のモンスターが掲載されている[44]。
Open gaming
Open Game Licenseの公開とSystem Reference Documentへのドラウ種族の追加は、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト(WotC)と提携していない企業によるドラウ関連書籍の出版も促した。例として『The Quintessential Drow』[45]、『The Complete Guide to Drow』[46]、『Encyclopaedia Arcane: Drow Magic』[47]、『Rise of the Drow』[48]などが挙げられる。
Dungeons & Dragons第4版
ドラウは、『D&D第4版』(2008)の『MM』に登場し、drow warrior、ドラウの蜘蛛魔術師、drow blademaster、drow priestが含まれる[49]。ドラウは、『フォーゴトン・レルム・プレイヤーズ・ガイド(Forgotten Realms Player's Guide)』(2008)および『エッセンシャルズ[注 4]』ルールブック『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダム 忘れられた国の勇者(Heroes of the Forgotten Kingdoms)』(2010)において、プレイアブル種族として登場する[50][51][52]。
ドラウは、事前作成可能なプレイアブルモジュール『Demon Queen's Enclave』(2008)に登場し、14から17レベルの冒険者をアンダーダークへ導き、オルクスの軍勢と戦い、裏切り者のダーク・エルフやその手下たちと同盟を結ぶ可能性すらある[53]。ゼンドリックのドラウについては、第4版『Eberron Campaign Guide』(2009)でも概説されている[54]。
Dungeons & Dragons第5版
ドラウは『D&D第5版』の『PHB』(2014)において、プレイ可能なエルフの亜種族として登場する[38][55]。また、この版の『MM』(2014)にも登場する。アドベンチャー・モジュール『Out of the Abyss』(2015年)では、プレイヤー達は冒険の冒頭でドラウに捕らえられる[56]。アビスへの水門は、メンゾベランザンの大魔道士Gromph Baenreが、アンダーダークの特定の力を利用しようとしたときに開かれる。デザイナーのクリス・パーキンスは、Gromphについて「おそらく、レルムで最も強力なドラウの男性呪文使いであるにもかかわらず、ロルスとその女司祭たちに服従し、裏切られたと感じている」とコメントしている[57]。パーキンスはまた、ドラウは「D&D の象徴的な悪役」であり、その母系社会は「彼らのアイデンティティの中核の一部」であると述べ、「それを根本的に変えようとは考えていない」ため、「ドラウの男性が近い将来、女性の上司に取って代わる」ことは期待すべきではないと付け加えている[57]。ドラウは、『ソード・コースト・冒険者ガイド(Sword Coast Adventurer's Guide)』(2015)[58]および『モルデンカイネンの敵対者大全(Mordenkainen's Tome of Foes)』(2018)[59]などのサプリメントでも取り上げられている。
ゼンドリックのドラウは、『エベロン冒険者ガイド:最終戦争を越えて(Eberron: Rising From The Last War)』(2019)で再び概説されている[60]。新しいエクサンドリア[注 5]キャンペーン設定では、ロルスを中心としないドラウの社会が追加され、これは『Explorer's Guide to Wildemount』(2020)で紹介された[61]。WotCによると、これらの設定のドラウはより「道徳的かつ文化的に複雑」な存在として描かれている[62]。2020年6月26日、NetflixとHuluは、ケン・チョンがエルフの耳とブラックフェイスに似たメイクをしてダーク・エルフを演じるシーンがあるため、テレビシリーズ『コミ・カレ!!』のエピソード「上級編 "ダンジョンズ&ドラゴンズ"(原題:Advanced Dungeons & Dragons)」を、プラットフォームから削除した。ソニー・ピクチャーズ テレビジョンの声明によると、スタジオはエピソード削除の決定を支持したという[63][64]。
ComicBook.comのクリスチャン・ホッファーは、WotCによるドリッズト・ドゥアーデンの2021年5月のアップデートを取り上げ、「このアップデートでは、ドリッズトが捨てたドラウ文化に関連する、D&Dの正典における大きな変更点についても言及されている。ウェブサイトでは、ドリッズトは『ロルスのカルト』で育ったが、[中略]ロルスとは全く関係のないドラウの文化が他に2つあると指摘している。[中略]LorendrowとAevendrowの登場は、『D&D』がドラウに関する長年信じられてきた正典を正式に塗り替えようとしているらしい」と述べている[5]。Book Riotのティカ・ヴィテリは、R・A・サルヴァトーレの『Starlight Enclave』 (2021)について、「ドラウの物語における特異な変化が含まれている。サルヴァトーレは、ドラウが実際にはレルムにおける唯一の黒い肌のエルフではないことを明らかにしている」とコメントした[65]。2021年12月、WotCは『PHB』(2014)のエラッタをリリースし、ドラウの伝承の記述を更新してアンダーダークとの環境的繋がりを強調し、ロルスとは切り離した[38][66]。デザイナーのジェレミィ・クロフォードは、エラッタは「メンゾベランザンの文化とドラウ自身を混同していた」という記述を明確にし、「ドラウは、彼らの中には聞いたこともない神であるロルスの崇拝ではなく、アンダーダークとの祖先のつながりによって結ばれている」と説明した[66]。
2024改定版
後方互換性のある2024年版『PHB』は、第5版ルールセットの2024年改訂版の一部であり、既存のプレイヤーオプションを更新しながら、ゲームに新しいコンテンツを導入している。「種族」の表現が、英語販では「races」から「species」に変えられている[67][68]。ドラウはこのソースブックでは、エルフの血統の選択肢として登場する[69]。Screen Rantは、メカニズム的にはドラウは「呪文の選択が改善され、日光過敏が削除されたことを除けば、ほとんど変更されていない」と強調した[70]。Polygonは、ドラウへの変更はWotCによるデザイン哲学の変化を反映しているとコメントし、ドラウは「過去には邪悪な存在として描かれることが多かった」と指摘した[68]。Polygonは、2024年版ソースブックではエルフは「環境の影響を受けて魔法が吹き込まれ、外見が変化する」と説明されており、ドラウは「必ずしも邪悪な神ロルスと結びついているわけではなく、アンダーダークの影響を受けている」と説明されていることを強調した。このソースブックは、エベロン設定に登場する熱帯雨林のドラウにも注目している[68]。
評価
R・A・サルヴァトーレの小説『ドリッズト・シリーズ』で有名になったこのゲームのダーク・エルフは、その後のファンタジー作品にも影響を与えた[71]。ドラウにはジェンダーに基づく階級制度があり、ある作家はそれが「現実世界におけるジェンダーの役割に対する態度について多くを物語っている」と主張している[72]。
エド・グリーンウッドによると、ゲイリー・ガイギャックスによって最初に作られたドラウは、今では「本質的に今日のファンタジー小説のドラウ」であり、D&Dゲーム自体に次いで「間違いなく、ゲイリー・ガイギャックスの最も偉大で影響力のあるファンタジーの創造物」だと考えている[8]。デザイナーのジェイムズ・ジェイコブスは、ドラウはD&Dで作られた"モンスター"がメジャーになり、ゲーマーでない人にも認識されるようになった珍しい例だと考えている[73]。ロブ・ブリッケンはIo9[注 6]で、ドラウを「最も記憶に残るD&Dモンスター10」の一つに挙げた[74]。1990年代には、ドラウを特集した製品はより高い売上を上げた[73][75]。Paizo Publishingが『ドラゴン』と『ダンジョン』を発行していた時、ドラウを特集した表紙は同じ年の他の号よりもよく売れることが多かった[73]。学者のスティーヴン・ホームズは、ドラウは「成功したメディアプロジェクトで非常に目立つ存在であり続けている」と指摘した[75]。
ホームズは、ガイギャックスがドラウを「完璧な悪役、善と悪の分かれ道の終着点」として創造したことを強調した[75]。しかしホームズは、サルヴァトーレの描写はガイギャックスのものより複雑で、サルヴァトーレの作品が"多くの点で"ドラウの決定的な描写になったと考えていた[75]。ブリッケンはD&Dの古い小説を再訪するIo9シリーズの中で、サルヴァトーレの『Homeland』のレビューで、「その最大の強みは、それまで"非常に邪悪"と要約するのが最も適切だったドラウ社会をどのように探求しているかだ。ドリッズト以前、オーク、トロール、クロマティック・ドラゴンと同じく、ドラウはプレイヤーが戦って倒すモンスターとして分類されていた。彼らの肌は黒曜石のように黒く、ダーク・エルフとも呼ばれ、地上の善良で英雄的な明るい肌のエルフの対照的存在だった」と語っている[76]。
プレイヤー・キャラクターとして
ドラウは、特にプレイヤー・キャラクターとして使用される際に、サルヴァトーレの小説『The Crystal Shard[注 7]』の発売以降、多くの論争を巻き起こしている[73]。ゲームデザイナーのジェイムズ・ジェイコブスは「ドラウのプレイヤー・キャラクターはしばしば議論を巻き起こし、一部のプレイヤーはドラウのプレイヤー・キャラクターが許可されているキャンペーンへの参加を拒否する」と述べている。ジェイコブスは、"名前自体が"少なくとも2つの発音があるため、議論を呼んでいると述べている[73]。Kotakuのロブ・ブリッケンは、「D&Dの歴史上、優れたドラウが一人いる。それはドリッズト・ドゥアーデンだ。彼はフィクション史上最もメアリー・スー的なキャラクターの一人であり、数え切れないほどの小説の主人公であり、D&Dプレイヤーがドラウに興味を持つ唯一の理由である。そして、今やドラウに関する資料は恐ろしいほど多く存在する」と語っている[77]。
Comic Book Resources(CBR)のマシュー・ベイルマンは、ドラウをキャラクターとしてプレイする理由をこう述べた。
他人を不快にさせることが好きなら、ドラウを演じるのが大好きになるでしょう。ほとんどのD&D設定において、ドラウ文明は邪悪です。[中略]そのため、彼らはキャンペーンの悪役として優れた存在となるだけでなく、伝統的な英雄的属性を持たないアンチヒーローとしても大きな可能性を秘めています。[中略]ドラウを演じることは、伝統的な性別規範に抗う機会にもなります[中略]ドラウは、ロルスとその堕落した影響力が存在しない設定であっても、部外者です。これらのキャンペーンにはダーク・エルフの邪悪な社会は存在しないかもしれませんが、それでも彼らは奇妙な習慣を持つ異邦人として描かれる傾向があります。[中略]誤解され、恐れられながらも、潜在的に英雄的なキャラクターを演じるのはとても楽しいでしょう[78]。
対照的に、アレックス・ルカードはDieHard GameFanの『Menzoberranzan: City of Intrigue』のレビューで、「正直に言うと、私はドラウの魅力を全く理解できなかった。彼らはただ、暗くあるために過度に苦悩し、暗いように思えた。彼らが主役の種族である小説には飽き飽きしており、誰かが彼らをからかっている場合を除いて、私は基本的にドラウを避けてきた」と述べている[79]。
生来の特徴
一部の批評家は、ドラウは[62][80][81]「肌が黒く、本質的に邪悪」であり[82]、「白人以外の人々は本質的に悪という人種差別的な考え」に結びついていると指摘している[83]。学術誌『Mythlore』でスティーヴン・ホームズは、ドラウの描写は様々なクリエイターが物語の中で、「否定的な疎外感」を使用し「主人公を引き立てる"より邪悪な"敵対者を作り出す」一例であり[75]、この物語のプロセスは、ステレオタイプを「その文脈から歪め」、「剥ぎ取り」、「魅力的な悪役のレシピの材料のように使用する」と主張した[75]。ホームズはまた、ドラウの黒い肌がすべての製品で一貫して使用されているわけではないという、時間の経過に伴う芸術的描写の一貫性の無さも強調した。これは、「ドラウを蜘蛛をテーマにしたエルフの空想上の種族と見る人もいれば、D&Dにおける非常に数少ない黒い肌の人々の描写の1つと見る人もいる」ことを意味し、一貫性のない「視覚的表現」は「ドラウと現実世界の人種の関係を議論することの複雑さをさらに増している。なぜなら、一部のプレイヤーはドラウを明らかに現実世界の黒い体をモデルにしていると見なし、他のプレイヤーはドラウを現実世界に類似するものの無い空想上の種族と見なす可能性があるからだ」[75]。
2010年、学者のコリー・ローウェル・グレウェルは、コンピュータゲーム『バルダーズ・ゲートシリーズ』において、「現代の人種関係の問題が、プレイヤー・キャラクターと肌の黒いドラウとのやり取りの中で前面に押し出されている」ことを発見した[84]。ジェイムズ・ロシャは著書『Dungeons and Dragons and Philosophy』(2012)の中で、フォーゴトン・レルムにおけるドラウとダーク・エルフの違いは、人種差別的な固定観念に根ざしていると述べている。「本質的に悪であると考えられている黒い人種の最も稀な例外を除いて、受け入れられる明るい肌の黒い人種がいるということは、非常に不快な形でアメリカの歴史を反映している」[85]D&Dの遺産を回顧する研究で、学者のダニエル・ヒース・ジャスティスも「フォーゴトン・レルムは、文明対野蛮という二元論に基づいており、残忍な女家長と恐ろしい蜘蛛の女神に率いられたサディスティックな黒い肌のドラウという人種本質主義に大きく傾倒しており、反黒人主義と女性蔑視がしっかりと融合しており、かつては文明的だった人々が女性の堕落した支配の下で凶暴化している」とコメントした[86]。
2020年にこの批判に応えて、WotCは次のように述べた。「私たちは最近の2冊の書籍『エベロン冒険者ガイド:最終戦争を越えて』と『Explorer's Guide to Wildemount』で、オークとドラウを新たな観点から紹介しています。これらの書籍では、オークとドラウは他の民族と同様に道徳的で、文化的に複雑です。私たちは今後の書籍でもこのアプローチを継続し、D&Dの全ての民族を共感できる方法で描写し、彼らがヒューマンと同様に自由で何をするか決定できることを明確にします。」[62]ComicBook.comのクリスチャン・ホッファーは、WotCのウェブサイトで2021年のフォーゴトン・レルムの伝承アップデートについて語った。
ドリッズト自身が全てのドラウが本質的に邪悪ではないことを証明している一方で、多くのファンは依然として、ドラウに関してはD&Dの伝承に大幅なアップデートが必要だと考えている。主な問題は、ドラウ(他の"邪悪な"種族も同様)が、複数の競合する利害と信念を持つ集団としてではなく、悪に身を捧げた巨大な一枚岩の社会として描かれていることだ。一部のドラウ、あるいはドラウの都市や国が邪悪とみなされているわけではない。D&Dの歴史では、伝統的に邪悪なドラウがデフォルトとされてきたのだ。[中略] ロルスを拒絶した全く新しい2つのドラウ文化を登場させることで、ドラウがゲーム内の他の多くのエルフの亜種族と同じくらい、複雑で多面的な存在であることを示しているように思われる[5]。
ホームズは、「種族、混血種族、そしてドラウに適用されている現在の改訂は、ある程度ゲーム空間における長年の緊張関係を反映している」と述べ、「物語の主題が時と共にどのように変化するか」をプレイヤーがどう捉えているかを示唆している[75]。ホームズは、WotCはプレイヤーが「ロルスに従う邪悪なドラウ」としてプレイするか、「ロルスに忠誠を誓うドラウの暴力に基づく世界の人種差別を克服する」善良なドラウとしてプレイするかを選択できるようにすることで、「ドラウが本質的に邪悪ではない」という「中間点」を目指しているように見えると考えた。これによりWotCは、30年間ドラウ関連製品の売上を牽引してきたドラウのブランドアイデンティティを維持しながら、自然化された人種差別を暗に支持するという姿勢から脱却することができる[75]。
創作物でのドラウの描写

ドラウは、グレイホークのモジュール(アドベンチャー)『火巨人の王の館』(1978)の最後に初めてデータが登場し、長文の解説が付けられ、ゲーム内でのドラウの歴史が語られている。かつてエルフは不和と戦争によって分裂し、利己的で残酷な一族を地上から追放し、地下世界に安住の地を求めた。後に「dark elvenfolk」または「ドラウ」として知られるようになったこれらのクリーチャーは、何世紀にもわたって秘術に長け、地底の陰鬱な妖精の国に満足していたが、それでもなお、自分たちを追い出した遠い親族であるエルフや妖精に対して敵意を抱き、復讐心を抱いている。彼らは“混沌にして悪”の属性を持ち、高い知性を持つとされている。彼らは黒い肌と青白い髪の外見をしており、身長は約5フィート(約1.5メートル)で、やや鋭い顔立ちの華奢な体格で、大きな目と大きく尖った耳を持っている。ドラウは暗闇でも目が利き、ドワーフと同様に地下世界に関する直感を持ち、他のエルフと同様に隠された扉や秘密の扉を容易に見つけることができるため、驚かせるのは難しい。ドラウは魔法に対する耐性が高く、全てのドラウは厳密には呪文を使える者でなくとも、固有の魔法を使用する能力を持っている。このモジュールでは、地下深くにドラウの都市を丸ごと収容している巨大な洞窟の噂があることも明らかにされており、現在ドラウはこれらの暗い迷宮に居住しており、能力を妨げる日光やその他の明るい光を嫌っている。彼らは手振りで構成される無言の言語を使用してコミュニケーションができ、顔や体の表情、動き、姿勢と組み合わせると、この形式のコミュニケーションはあらゆる話し言葉に匹敵する[14]。
AD&D第2版の『Monstrous Compendium Volume Two』(1989)は、暴力的な争いが日常の一部となっているドラウの世界を描いている。そのため、遭遇するドラウのほとんどは戦闘態勢を整えている。ドラウが本来持つ魔法の使用能力は、全てのドラウが受けている魔法の訓練によって培われる。エルフが創造されて間もなく、彼らは善と悪の対立する派閥に分裂した。大規模な内戦の後、悪と混沌の道を歩んだ者たちは、世界の森から遠く離れ、暗く光の無い地底の洞窟やトンネルへと追いやられた。ドラウ社会は対立する氏族と商人の家系に分裂しており、最強の者が支配すべきという信念に基づく厳格な階級制度が築かれている。女性のドラウは多くの重要な地位を占める傾向があり、暗黒の女神ロルスの司祭は、社会において非常に高い地位を占めている。ドラウの戦士は若い頃に厳しい訓練を受けることが求められ、失敗した者は死刑に処される。ドラウはドワーフやディープ・ノーム(スヴァーフネブリン)などの地下の隣人と絶えず戦争をしており、ドラウの期待に応えられなかった仲間も含め、あらゆる種類の奴隷を抱えている[25]。
コリン・マッコーム著『The Complete Book of Elves』(1993)は、ドラウに焦点をあてている。「Elfwar」と呼ばれるエルフ神話では、蜘蛛の女王ロルスがエルフ間の不和を利用して足場を築くまでは、エルフは一つの民族だった。ロルスのエルフたちは新たな忠誠の証としてドラウという名を名乗ったが、他のエルフを征服しようと集結したため、コアロン・ラレシアンとその信奉者たちはロルスとその民を地中深くに追いやり、彼らはそこに留まることを選択した。後にドラウとなったダーク・エルフは、もともと正義よりも力の信条を重んじるエルフに過ぎなかったが、権力を求めるうちに堕落し、より公正な同胞に背を向けるようになった。善または中立属性のエルフのキャラクターは、ドラウであっても、老齢に達したエルフが行くArvanaithの領域に入ることが許されている。本書では、ドラウのプレイヤー・キャラクターは多くの利点を持ち、デメリットは少ないものの、「ドラウであることの最大のデメリットは、ドラウであることだ」と記されている。ドラウのキャラクターは非常に器用で知能が高いが、典型的なlow elfの体質を持っている。また、彼らの性格はせいぜい「不快」としか表現されておらず、他のエルフは皆ドラウを嫌っており、それがドラウのキャラクターに対する彼らの反応に影響を与えている[28]。
第5版ベーシック・ルールでは、ドラウはアンダーダーク魔法と繋がりのあるエルフの亜種族として描かれている[87]。さらに、「蜘蛛の女王ロルスのカルトは、特にオアースとトリルの世界において、最も古いドラウの都市のいくつかを堕落させた。エベロン、クリン、その他の領域は、今のところカルトの影響を逃れている。カルトが潜むところではどこでも、ドラウの英雄たちはロルスの網を断とうと、カルトとの戦いの最前線に立っている」と記されている[87]。『モルデンカイネンの敵対者大全』(2018)では、コアロンとロルスの物語を語り直し、ロルスを支持したエルフたちは「闇に落とされた。彼らはロルスとその陰謀に完全に身を捧げる民となり、何世紀にもわたって多元宇宙において邪悪な民と見なされてきた」としている[88]。しかし、全てのエルフはコアロンの子孫であるため、ドラウは「ロルスの影響から解放され」、「自分自身の内なる光」に向かう能力を持っている[88]。
創作物でのドラウの特徴
能力
魔法に対する抵抗力と高い暗視能力を持つドラウは、『D&D』の多くの種族よりも強力である[89]。ドラウは生まれながらの魔法能力を持ち、暗闇の球を召喚したり、妖精の火で標的の輪郭を描いたりすることができる。この火は標的に危害を加えず、見る者すべてに標的を明るく見せたり、魔法の光球を作成したりすることができる。また、短時間空中浮揚することもできる。暴力によって殺されない限り非常に長生きし、場合によっては1000年以上生きる。聴覚と視覚はヒューマンよりも優れており、そのため忍び寄るのは困難である。彼らは生まれつき静かに移動することに長けている。ドラウはまた、珍しいハンドクロスボウを使い、小さいが非常に致命的なダーツを発射する。
ロルスを中心とする社会では、ドラウの男性貴族は一般的にウィザードかファイターである。女性貴族はほとんどの場合クレリックであり、ウィザードになることはほとんど無い。
属性
種族として、ドラウは伝統的に邪悪なものとして描かれてきた[14]。稀な例外もあり、最も有名なのはドリッズト・ドゥアーデン、ジャーラックスル・ベインレ、リリエル・ベインレである。元来、ドラウは“混沌にして悪”の属性を持っていた。第3版から、ドラウは一般的に“中立にして悪”となった。邪悪でないドラウとの遭遇もあったが、その評判のため、同胞と同じくらい信用されていない。フォーゴトン・レルム設定では、イーリストレイーが善の属性を持つドラウ全ての守護女神であるため、イーリストレイーのドラウ信者は元来善良なドラウ最大の集団であった。
第4版『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダム 忘れられた国の勇者』(2010)では、ドラウのプレイヤー・キャラクターの典型的な属性は示されていないが、邪悪なロルスを基盤とする社会から離脱したドラウが強調されている[52]。第5版『PHB』(2014)では、ドラウは「邪悪であることが多い」と表現されている[90]。2021年、公式エラッタにより、第5版の全てのソースブックで、ドラウを含むプレイ可能な種族の推奨属性が削除された[91][92]。『Mordenkainen Presents: Monsters of the Multiverse』(2022)の時点で、プレイ可能な種族を持つクリーチャーのデータ・ブロックには、「どの属性でも構わない」と記載されている[93]。
環境
多くのD&Dのキャンペーン設定では、エルフ間の大戦争の後、ドラウはアンダーダークとして知られる地下に追いやられ、大陸の大部分に広がる巨大な洞窟とトンネルにわたる社会を形成していた[33][36]。ドラウはアンダーダークの都市国家に居んでおり[34]、そこで最も強力な種族の1つとなった[34]。
ドラウは暗闇で物を見ることに適応しており、地表の光は簡単に目がくらんでしまうため嫌悪し、恐れている[41]。ドラウの魔法の武器、鎧、その他の様々なアイテムは、太陽にさらされると崩壊したり、魔法の特性を失ったりする[34]。
典型的な身体的特徴
ドラウのキャラクターは非常に知的で、カリスマ性があり、器用だが、地上のエルフと同じく華奢で虚弱な体格である。女性は男性よりも体格が大きく、力強い傾向がある[27]。ドラウは白または銀色の髪と黒曜石のような黒い肌が特徴である。彼らの目は暗闇では赤く(稀に灰色、紫、黄色)、通常の光の下では様々な色に見える[94]。第5版では、ドラウは一般的に「白い髪と様々な色合いの灰色がかった肌」を持ち、暗視能力が高く、日光に過敏である[87]。
ドラウは生来の呪文能力と呪文耐性を複数備えている。これは日光に対する弱さとバランスが取れている。ハーフドラウは他の種族とドラウの間に生まれた種族であり、両方の特徴を有している。
社会
ロルスを基盤とするドラウ社会は主に母権制であり、邪悪な蜘蛛の女神ロルスの女司祭が最高権力の座に就いている[8]。この社会は暴力、殺人、狡猾さ、そして強い者だけが生き残るという哲学に基づいている。したがって、ほとんどのドラウはライバルや敵対するドラウを殺害するか、欺瞞と裏切りによって無力化することを際限なく企てる。特に高い地位にあるドラウは暗殺者などを常に警戒している。この絶え間ない内紛の特徴の1つは、平均的なドラウの寿命が比較的短いことである。地上の同族と同じくらい長生きし、1000年でも生きれられるが、高齢のドラウに出会うことはめったにない。その結果、彼らはエルフの中で、ヒューマンなどの"下等"種族の繁殖力に匹敵する唯一の種族である。彼らの社会は全体として、存続不可能な状態にあるように見える。彼らが自滅しない唯一の理由は、主にロルスの聖職者を通して働くロルスの意志によるものである。ロルスは社会を崩壊させようとするいかなるドラウも容認せず、聖職者は加害者を脅迫または殺害することで、破壊的な行為を止めさせる。母長(Matron)は様々な貴族の家を率い、「ロルスの高司祭」として活動する[95][95]。CBRのマシュー・ベイルマンは、ロルスを拠点とするドラウ社会は「『ゲーム・オブ・スローンズ』のような致命的な陰謀に満ちた世界であり、登場人物全員がラニスター/ボルトン家のルールに従っているような、汚い手を使って勝つために戦うのだ」と語った[95]。
もちろん、このルールには例外もある。ドラウの中には、他の神々(例えばヴェイローンやイーリストレイーなど)を崇拝する共同体もあり、その場合、階層構造が変化し、男女の役割が逆転したり、イーリストレイーのように、機能的で進歩的な社会に近づいている場合もある。ドラウの社会は、D&Dのキャンペーン設定によっても大きく異なる。
特定の世界設定において
様々なキャンペーン設定において、ドラウは様々な形で表現されている。
エベロン
ゼンドリック大陸のジャングルとアンダーダークに生息するエベロンのドラウは、D&Dに登場する他の種族よりもはるかに部族主義的な文化を持っている。他の多くの世界のようにエルフの亜種族から派生したのではなく、似てはいても別個の種族である。蜘蛛の女神ロルスの代わりに、ほとんどの部族はヴァルクーアという蠍の男神を崇拝しているが、例外もよくある。ヴァルクーアは実はマックリー(暗黒六帝の一柱)の姿の1つだと信じられている。部族はしばしば排斥的で、社会構造は部族ごとに異なる。ドラウはノームよりも先にelemental bindingをマスターしていたことが知られており、その中には「スラタール」と呼ばれる火のbinder集団も含まれる。また、ウンブラーゲン、またはshadow elvesと呼ばれるサブグループもあり、蠍の神の姿をしたマックリーと、ウンブラーゲンの名前の由来となった、消費する影であるカイバー、またはUmbraを崇拝している。ウンブラーゲンはゼンドリックの地下に住んでおり、多くのウォーロックとsoulknivesを生産することで知られている。
エベロンのドラウは、ほとんど野生的な性質のものから、完全に文明化されてコーヴェアの文化レベルと同等のものまで、部族ごとに異なる。
エクサンドリア
エクサンドリア設定におけるWildemount大陸の東側、Xhorhas地方はKryn王朝によって統治され、光明の女王Leylas Krynによって統治されている。この王朝は、ロルスを拒絶し、Luxonと呼ばれる光の神を戴いた後に地上に逃れたドラウによって建国された。現在、この国には、Wildemountの他の人々が怪物や邪悪と見なすであろう多くのクリーチャーが生息している。Luxonの影響により、Kryn王朝はdunamancyと呼ばれる新たな魔法の源を確立した[61][96]。これは、エントロピー、重力、そして時間の操作を伴う[97]。dunamancersとして知られるこの力にアクセスする者達は、「代替タイムラインや目に見えない現実から力を引き出し、時間の流れに微妙な影響を与え、さらには重力の支配を強めたり弱めたり」する[98]。隣国であるDwendalian帝国のヒューマンによる君主制と比べると、王朝は政治的にも文化的にも自由である。彼らは誰でも受け入れるが、帝国は制限が多く、部外者はほとんど立ち入ることができない[99]。Kryn王朝は、ウェブシリーズ『Critical Role』の第2キャンペーンで初めて深く探求され、その後『Explorer's Guide to Wildemount』(2020)でD&Dの正史に追加された[6][97]。
批評家たちはこの設定が、特に邪悪な種族に関する伝統的なファンタジーの表現から逸脱していると強調している[6][100]。Syfy Wireのジェイムズ・グレビーは、「これは、自分たちに対して偏見のある世界でただ繁栄しようとしている、捨てられた人々と闘志あふれる成り上がり者の国である。魂が別の体で生まれ変わることを認める宗教の影響もあって、Kryn社会は、ファンタジーの伝承ではめったに見られないような種族中立的な社会である。進歩的とさえ言える。重要なのは、Krynの中にも悪人はいるが、彼らが種族だけで邪悪とされないということだ」と強調した[6]。学者のリサ・ホートンとデイヴィッド・ビアードは、著書『The Routledge Handbook of Remix Studies and Digital Humanities』の中で、Kryn王朝とXhorhasian文化を「D&Dのドラウに関する伝承からの転換であり、かつ重要な拡張」とみなし、彼らの宗教が「光そのものの物理的な顕現、Luxon、そして不死の追求」に集中していることを強調した[101]。一方、The Fandomentalsのダン・アーントは、Wildemountのドラウを「自殺傾向のある狂信者」と見なしていたため、設定における邪悪なドラウの表現を覆そうとする試みは「大きな進歩」ではないと意見を述べた[102]。
フォーゴトン・レルム
1991年に出版された『The Drow of the Underdark』は、ドラウに関する128ページのソースブックで、AD&D第2版のフォーゴトン・レルム設定においてドラウの情報を大幅に拡張した[27]。レルムにおいて、ダーク・エルフはかつてイリシーアとマイエリターという古代の部族であった。彼らはセルダラインによってドラウへと変えられ、王冠戦争におけるイリシーアの蛮行によって、肌の白いエルフによって追放され、地下へと追いやられた。ドラウはAraushneeの影響下にあった。Araushneeはロルスに変えられ、エルフの神コアロン・ラレシアンによって息子のヴェイローンと共にデーモンウェブ・ピッツに落とされた。これはロルスとヴェイローンがエルフの神々の支配権を握ろうとしたためである (Araushneeによるコアロン・ラレシアンの誘惑もその一つ)。ドラウ社会は強い母系社会であり、女性が社会の全ての権力の地位を占め、配偶者を自由に選び捨てることができた。社会的地位はドラウ社会で最も重要であり、より大きな権力への昇進がドラウの究極の目標となっている。ドラウはクモ類に強い親和性を持っており、ほとんどのドラウが蜘蛛の女神ロルスを崇拝し、クモがドラウのコミュニティの間で自由に生息している[27]。最大のドラウ文明は地下都市Llurth Dreierである。しかし、小説作品で最も目立つのは メンゾベランザンである。
呪文荒廃以前に、マイエリターの末裔であるダーク・エルフは変化を元に戻す事に成功し、独自のダーク・エルフ種族として再創造された[103][要ページ番号]。『The Complete Book of Elves』によると、ドラウはエヴァーミートでは歓迎されず、追い返される[28]。ドラウはゴーナドウア、キアランサリー、セルヴェターム、ヴェイローンを崇拝することもある。特別な例としてイーリストレイーがあり、彼女は“混沌にして悪”ではなく“混沌にして善”である唯一のドラウの女神であり、ドラウが光に戻ることを望んでいる。しかし、これらの神々(おそらくゴーナドウア以外)は全て、呪文荒廃以前の最後の数年間に殺されるか忘れ去られたが[103][要ページ番号][104][105]、約1世紀後の第二次大分割の際に復活し、信者を取り戻すことができた[106][107][108]。
最も悪名高いドラウにはベインレ家の一員がいるが、アビア・トリルにはドリッズト・ドゥアーデンとその亡き父ザクネイフィン(両者ともドゥアーデン家の一員)、リリエル・ベインレ(かつてはメンゾベランザンのベインレ家の一員)、七姉妹(Seven Sisters)のクイルーエなど、名の知れた善なるドラウもいる。ジャーラックスル・ベインレもまた、メンゾベランザンで大きな権力を持つ数少ない男性の一人として有名である。彼は傭兵集団ブレイガン・デアースの創設者でありリーダーである。これらのキャラクターは、 R・A・サルヴァトーレの『The Dark Elf Trilogy』 (1990-1991)から登場する(リリエル・ドゥアーデンとクイルーエを除く)。 『War of the Spider Queen』シリーズに登場する6人のドラウも、小説が出版されて以来ある程度の知名度を得ている。
2021年には、アンダーダークを拠点とする2つの新たなドラウ社会、「Lorendrow」と「Aevendrow」が登場した。どちらの社会もロルスを拒絶しており、邪悪ではない。ロルスを基盤とするメンゾベランザンの社会は現在、「Unadrow」と呼ばれている[5][109]。この後付け設定[109]は、かつて全てのドラウに共通すると考えられていた信仰や邪悪な慣習が、「Unadrow」すなわち邪悪な蜘蛛の女神によって堕落したドラウの文化に特有のものであることを示唆している[5]。
ドラゴンランス
ドラゴンランスの設定において、ドラウは土着の種族ではない。しかし、彼らのコロニーは、Valley of Perfect Silenceと呼ばれるポケット次元に存在している。彼らは、墜落したスペルジャマー船によりたどり着き、今ではタキシスの邪悪な娘、Jiathuliの崇拝者となっている[110]。「黒エルフ」はドラゴンランスにおける別の用語であり、邪悪な神々の崇拝など、様々な罪で他のエルフから追放されたエルフを指す。レイストリン・マジェーレの弟子であるダラマールは、クリンの黒エルフの中で最も著名な人物である。しかしながら、長年にわたり、ドラウはドラゴンランスのいくつかのモジュールや小説に誤って登場している。同様のミスは、オークやライカンスロープといった、ドラゴンランスの設定には含まれていない他の標準的なAD&D種族にも発生している。いくつかの説によれば、これらの希少なドラウは次元移動呪文または関連する魔法によって偶然そこに送られた可能性があり、それぞれのタイムラインが劇的に改ざんされる前に修正されるような失敗である可能性が高いと言われている。
グレイホーク
ワールド・オブ・グレイホークでは、ドラウはイデオロギーの違いから地上に住む同族によって地下に追いやられた。そこで彼らは最終的に周囲の環境に適応し、特に「蜘蛛の女王」と呼ばれる女神ロルスの注目を集めた。ドラウ文明の中心は地下都市Erelhei-Cinluとその周囲の地下空間、通称Vault of the Drowである。ドラウの階級構造は、性別よりも個人の経験レベルと実証された能力に基づいていた。男性は男女を問わず権威を持つ可能性があり、最高位のメンバーは常に女性であった母系制の伝統は、デーモンの女王ロルスの特別な指示によるものではなかった。オリジナルのキャンペーン設定であるグレイホークでは、男女を問わずドラウの大多数は権威も階級も持たず、ドラウの大都市で怠惰で堕落した生活を送っている。
グレイホークのドラウとして知られている人物には、グレイホーク自由都市のClannair Blackshadow、Derken Gale、Jawal Severnain、Landis Bree、Eilserv家のエクラヴドラ、Slave LordsのEdralveなどがいる。ドラウの都市Erelhei-Cinluでは、プレイヤー・キャラクターは逃亡奴隷集団を組織してドラウとの戦争を起こさない限り、自由に都市に出入りし、そこで時間を過ごすことができる。奴隷反乱の脅威は、混沌としたドラウ族の全面協力を招くことになる[22]。
ドラウの中には、ロルスではなく、名もなき旧き元素の神(タリズダンと繋がりがあると言われる)を崇拝する者もいる。モジュール「Vault of the Drow」では、Erelhei-Cinluのエクラヴドラ率いるEilserv家が、自分たちの愛人を全ドラウの女王とすべきだと宣言した挙句、街の他の貴族家がEilserv家に対抗するために同盟を結んだ際に、ロルスの崇拝から旧き元素の神へと転向したことが描かれている。Eilserv家は、地上世界に傀儡王国を築き、新たな神を崇拝することで権力基盤を確立しようとした。そうすることで、Vaultにおける最高権力の要求をもはや拒否できないようにしたが、この計画は失敗に終わった。
その他のキャンペーン設定
- ミスタラでは、「ノウン・ワールド」設定において、shadow elvesは魔法によって変異した地下エルフの種族である。地下に住むという点を除けば、ドラウとは何の共通点もなく、「ダーク・エルフ」とも呼ばれない。
- Mongoose Publishingの『Drow War 』三部作では、ドラウは“秩序にして悪”の敵役として作り直され、ナチスになぞらえられている。シリーズの作者は、これは反逆的で悪ではないドラウのキャラクターが蔓延していることへの意図的な反応であると述べている。
- ドラウは、D&Dをベースにしたd20モダン・ロールプレイング・ゲームの『Urban Arcana』でプレイ可能な種族として登場する。彼らは非常にファッショナブルで、しばしば新しいトレンドを生み出す。多くのドラウのシンボルは蜘蛛で、mageかacolyteのクラスを選択することが多い。
- ドラウに関するサプリメント書籍『Plot & Poison: A Guidebook to the Drow』は、 2002年にGreen Ronin Publishingによって出版され、 d20システムに基づいている。本書では、aquatic drowやvupdrax(winged drow)といったドラウの亜種族が紹介され、エルフやヒューマンといった様々なファンタジー種族の奴隷に対するドラウの扱い方など、ドラウの生活を詳細に描写している。WotCは、GRPサプリメントの売上が好調だったことを受け、2007年5月に独自のサプリメント書籍『Drow of the Underdark』を発売した。
- 『Pathfinder Chronicles Campaign Setting』に登場するドラウは、かつてはエルフだったが、他のエルフが世界を去った後もGolarionに残った。時が経つにつれ、残ったエルフは強力な魔法によってドラウに変化し、この頃は邪悪なエルフは自発的にドラウに変化できる。Golarionにおけるドラウの存在は、エルフ以外の者にはほとんど知られていない。ドラウは、『Second Darkness Adventure Path』や『Rise of the Drow Trilogy』の主要な敵役でもある[111]。2023年、PaizoはWotCのOpen Game Licenseからの移行に伴い、ドラウをゴラリオンの伝承から後付け設定で削除し、serpentfolkに置き換えると発表した[112][113]。
架空の諸神格
ロルス
| ロルス Lolth | |
|---|---|
| Dungeons & Dragonsのキャラクター | |
| 初登場 | Descent into the Depths of the Earth (1978) |
| 作者 | ゲイリー・ガイギャックス |
| 詳細情報 | |
| 別名 | Araushnee(フォーゴトン・レルムのみ)、ルロス (メンゾベランザンとUluitur), Megwandir、モーンダー、ジンザーレイナ |
| 種族 | 神格 |
| 性別 | 女 |
| 肩書き | 蜘蛛の女王、蜘蛛を統べるデーモンの女王[114]、 Demon Queen of the Abyss、Spider Bitch[115]、デーモンウェブ・ピッツの女王、Weaver of Chaos、the Hunted、the Mother of Lusts、Dark Mother of All Drow、Lady of Spiders |
| 出身 | デーモンウェブ・ピッツ |
| Power level | 中級/上級 |
| 権能 | 蜘蛛、悪、闇、混沌、暗殺、ドラウ |
| 領域 | 混沌、闇、ドラウ、悪、破壊、蜘蛛、欺き |
| 属性 | “混沌にして悪” |
ロルス(Lolth)は、D&Dに登場する架空の神格。ロルス(ドラウ語では「Lloth」)は、蜘蛛のデーモンの女王であり、ドラウの主神格である。彼女は「蜘蛛の女王」、または彼女のアビスでの領域から「デーモンウェブ・ピッツの女王」としても知られる[116]。ロルスは通常、ドラウと蜘蛛の2つの姿で現れる。ドラウの姿では、蜘蛛の女王は"この上なく美しい"ダーク・エルフの女性として現れ、時には体中にクモがまとわりついている。クモの姿では、ロルスは巨大なクロゴケグモの姿をとり、8つの蜘蛛の目の間から女性のドラウ、またはヒューマンの頭を覗かせている。クモの脚の先端2対は、ヒューマンの腕であることもある。第3版では、小説シリーズ『War of the Spider Queen』の出来事により、彼女のクモ形態はよりドライダーのような外観になっている。
着想と創造
ロルスはゲイリー・ガイギャックスによって、グレイホーク・キャンペーン設定のために創造され、後にフォーゴトン・レルム(レルム)設定に登場し、第3版ではD&Dのデフォルトの神々のパンテオンの一員となった。これらの様々なセッティングにおいて、ドラウの神々のパンテオンは、指導者ロルス、キアランサリー、ヴェイローン、ジンザーレイナ、そして唯一の善なる女神イーリストレイーで構成されている。キャンペーン・セッティングによっては、他のドラウの神格が登場する場合もある。
レルムのストーリーラインによると、ロルスはアビスの第66層、デーモンウェブ・ピッツに中級神格として誕生した。『War of the Spider Queen』シリーズで起こった出来事を通して、彼女は第4版で描かれるように上級神格へと変貌を遂げ、デーモンウェブ・ピッツは独自の次元となった。
出版物での歴史
ロルスは、モジュール『Descent into the Depths of the Earth』(1978)で初めて言及され、『Vault of the Drow』(1978)でより詳しく描写され、『Queen of the Demonweb Pits』(1980)の主要な敵対者であった[116]。これらのモジュールは、後の1986年に『Queen of the Spiders』コレクションの一部として再版された。ロルスの神格としての役割は、『Deities & Demigods』(1980)で 初めて探求された[114]。彼女のゲーム・データは、『Fiend Folio』(1981)に再録された。
レルムのキャンペーン設定におけるロルスの役割は、エド・グリーンウッドのAD&D第2版ソースブック『Drow of the Underdark』(1991)で初めて詳述された[117]。ロルスは『Monster Mythology』(1992)で神格として詳述され、彼女の聖職についての詳細も記されている[29]。Planescapeのキャンペーン設定における宇宙論での彼女の役割は『On Hallowed Ground』(1996)で説明されている[118]。ロルスは『Demihuman Deities』(1998)でレルムにおける彼女の役割について非常に詳細に説明されている[119]。
ロルスについては『Defenders of the Faith』(2000)[120]と『Deities & Demigods』(2002)[121]で詳述されており、レルムにおける彼女の役割は『Faiths and Pantheons』(2002)で再考されている[122]。ロルスの聖職については『Complete Divine』(2004)[123]でこの版に付いて詳述され、アビスにおける彼女の役割は『Fiendish Codex I: Hordes of the Abyss』(2006年)で詳述されている[124]。ロルスとドラウについては『Drow of the Underdark』(2007)[125]とアドベンチャー『Expedition to the Demonweb Pits』(2007年)の両方でさらに詳しく述べられている[126]。
ロルスは、第4版の『ダンジョン・マスターズ・ガイド(『DMG』)』(2008)に登場する邪悪な神格の一柱である[127]。ロルスとコアロンおよびセイハニーンとの対立および戦争の物語は、サプリメント『Underdark』および『The Plane Above: Secrets of the Astral Sea』で詳しく描かれている。わずかに異なる(そしておそらくより強力な)ヴァージョンのロルスは『フォーゴトン・レルム・キャンペーン・ガイド』に掲載されている。レルムのロルスは、コアのロルスとは外見、教義、性格が異なっている[128]。WotCの『D&D Compendium』および『D&D Character Builder』では、コアのロルスとレルムのロルスは別の存在として記録されている。ロルス(蜘蛛のデーモンの女王)は第4版の『モンスターマニュアルIII 第4版』(2010)に登場している[129]。彼女はこの本の表紙を飾っており、ドラウとクモ両形態のデータが含まれている[130]。
2021年、ロルスはトレーディングカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』の『フォーゴトン・レルム探訪(Adventures in the Forgotten Realms)』シリーズに「伝説のプレインズウォーカー」として2枚のカードで登場した[131]。ロルスは、オレナ・リチャーズによるイラストで、2024年改訂第5版『DMG』の別カバー版に登場した[132]。
評価
『ドラゴン』#359(2007年9月)は、同誌の最終号で、ロルスをD&Dで最も記憶に残る20の悪役の一つとして紹介した[133]。マイケル・ウィットワーらは、『Dungeons & Dragons Art & Arcana』の中で、ロルスをゲームに何十年にもわたって登場した「象徴的なD&Dキャラクター」の一つとみなした[114]。
ロルスは、Screen Rantの2018年版「ダンジョンズ&ドラゴンズ:最強の悪役15」に選ばれている。記事には「『War of the Spider Queen』シリーズでは、ロルスが偉大な女神へと変貌を遂げ、D&Dの多元宇宙で最も強力な存在の一つとなる。[中略] ロルスは巨大なクモの姿で現れることがあるが、ヒット・ポイントが66しかないため、多くのファンから嘲笑されている。ロルスと戦うのは、悪魔のようなクモの軍団で満たされた彼女の故郷の次元であるため、彼女に近づく機会はおそらくないだろう。ロルスは高レベルのマジック・ユーザー/クレリックに変身することもでき、幅広い強力な呪文を使用できる。彼女のサイオニック能力については言うまでもないが、これらはダンジョン・マスターの裁量で付与される」と述べている[134]。ロルスはCBRの2020年版「ダンジョンズ&ドラゴンズ:次のキャンペーンで使うべき10のエンドゲームボス」でも選ばれている。記事には「DMはステージをかなり創造的に設定できる。ロルスはアンダーダークのクリーチャーなので、彼女とボス自身に至るまでの戦いは、洞窟探検と垂直方向の動きを必要とする暗く悪夢のような洞窟で行われる。戦闘がアビスの落下で宙に浮いたウェブネットワークで行われるとボーナスポイント」と書かれている[135]。
イーリストレイー
イーリストレイーは、闇の乙女とも呼ばれる、フォーゴトン・レルム(レルム)のキャンペーン設定に登場する架空の神格。イーリストレイーの名前は「EEL-iss-TRAY-yee[136]」、「eel-ISS-tray-ee[137]」、「eel-iss-tray-yee[138]」、「eil-iss-tray-yee[139]」などと発音される。ゲーム世界では、彼女はドラウのパンテオンの女神であり、歌、舞踏、剣術、狩猟、月光、そして美の権能を持つ。
創造の起源
イーリストレイーは、エド・グリーンウッド自身が運営するオリジナル・ホーム・キャンペーンのために最初に作成され、幻、人の姿、そして神格として登場した。ゲーム内で善良なドラウの神格を望んでいた編集者ニュートン・イーウェルの強い要望により、グリーンウッドはこの機会を利用して闇の踊り子を公式化し、イーリストレイーを『Drow of the Underdark』(1991)に追加し、公式のレルムにも追加した[140]。彼は、イーリストレイーがドラウ全体を養育し守護する、母なる女神の役割を果たすことを意図していた[141]。グリーンウッドは、ギリシャ・ローマ神話のアルテミス/ディアーナとのつながりを否定している[142]。
フォーゴトン・レルムでのストーリーライン
レルムのキャンペーン設定では、イーリストレイーはコアロン・ラレシアンとAraushnee(後にコアロンに罰せられロルスという名を継ぐ)の娘であり、自由奔放で心優しい女神であるが、激しい気質を持つ[136][143]。若い頃、邪悪な神々がアルヴァンドール(彼女の故郷)を襲撃した際、Araushneeの裏切りにより、彼女は危うく実父を殺害するところだった。罪を問われなかったにもかかわらず、イーリストレイーは母と共に追放されることを選んだ。それは、来たるべき暗黒の時代にドラウが彼女の光と助けを必要とするだろうと知っていたからである[136][143]。ドラウの衰退後、設定上の現代において、イーリストレイーは民の母なる女神として、新たな人生の希望をもたらせようと最善を尽くしている。彼女は民を光の国に連れ戻そうと戦い、ロルスの圧制から解放され、他のすべての種族と調和して繁栄するのを助けている[136][143][144]。しかし彼女の力は小さく、闇のセルダラインの全ての神格が彼女に対立しているため、彼女の戦いは困難なものであった。しかし、多くの困難と挫折を克服しなければならなかったにもかかわらず、イーリストレイーは民のために戦うことを決して諦めなかった[136]。DR1370年代、ドラウの魂をめぐる母との対立が、最終的にイーリストレイーの敗北と失踪につながった[145]。それは約1世紀にわたって続いたが、 DR1480年代の第二次大分割によりイーリストレイーは復活し、信者たちのもとに戻った[146][147][148][149]。
出版物での歴史
イーリストレイーは、『The Drow of the Underdark』(1991)で初めて詳細に説明された[140]。Planescapeキャンペーン設定の宇宙論における彼女の役割は、『On Hallowed Ground』(1996)で説明された[150]。イーリストレイーは、『Demihuman Deities』(1998)で非常に詳細な説明を受けた[151]。彼女は、サプリメント『Warriors of Heaven』(1999)で、セレスチャルが仕えることができる善なる神々の一柱として説明されている[152]。その後、イーリストレイーは第3版の『フォーゴトン・レルム・ワールドガイド』(2001)に登場し[153]、さらに『Faiths and Pantheons』(2002)で詳細に説明された[154]。
イーリストレイーは、D&Dを第4版から第5版に移行させた「第二次大分割」として知られる出来事の際に再登場した、レルムの神々の一柱である[155][156][157]。彼女は、グリーンウッドの小説『Spellstorm』(2015)および『Death Masks』 (2016)でそのように言及されている[158][159]。第5版のソースブック『ソード・コースト・冒険者ガイド』(2015)では、イーリストレイーについて簡潔な説明があり、レルムの「大分割」後の時代に活躍した神々の一柱として挙げられている[156]。『モルデンカイネンの敵対者大全』(2018)には、イーリストレイーの完全な項目が含まれている[160]。
評価
学者のマイケル・ブルームは、 D&Dのエルフ神話において、邪悪な母ロルスに対する善良な対極としてイーリストレイーが登場したことで、 J・R・R・トールキンやゲイリー・ガイギャックスの著作に見られる人種差別や反フェミニズムの固定観念を超えて、ファンタジーのドラウに複雑さがもたらされたと主張した[161]。Kotakuのロブ・ブリッケンは、イーリストレイーを「D&Dにおける最も奇妙な13の神々」の1つに挙げ、次のようにコメントしている。「イーリストレイーを知るには、ドラウを知る必要がある。ドラウは地下に住み、あまりにも邪悪であるため、基本的に一日中互いに殺し合っている邪悪なエルフの種族だ。D&Dの歴史上、善なるドラウは1人しか存在しなかった。それはドリッズト・ドゥアーデンで、フィクション史上最もメアリー・スー的なキャラクターの1人であり、数え切れないほどの小説の主人公であり、D&Dプレイヤーがドラウに興味を持つ唯一の理由でもある。そして、今や恐ろしいほど多くの資料が存在するドラウ。いずれにせよ、イーリストレイーは善なるドラウの女神であるらしく、つまり地球上に崇拝者が1人しかいないということだ。これはナンセンスだ。」[162]
その他の神格
ドラウの神であるゴーナドウア、キアランサリー、セルヴェターム、ヴェイローン、ジンザーレイナは、主にAD&D第2版の時代に登場した。ゴーナドウアは『The Drow of the Underdark』(1991)で初めて登場し[44]、『Demihuman Deities』(1998)[136]と第3版『Faiths and Pantheons』(2002)でさらに詳しく描かれた[139]。キアランサリーは『Monster Mythology』(1992)で初めて登場し[29]、 『On Hallowed Ground』(1996)[150]、 『Demihuman Deities』(1998)[136]、『Faiths and Pantheons』(2002)でさらに詳しく描かれた[139]。彼女はまた、モジュール『City of the Spider Queen』(2002)とフォーゴトン・レルムの小説にも登場する。セルヴェタームの伝承は『Faiths and Pantheons』(2002)[139]やリサ・スメッドマンの小説『Sacrifice of the Widow』(2007)などで拡張された。ヴェイローンは『Monster Mythology』(1992)でも紹介され[29]、『On Hallowed Ground』(1996)[150]、『Demihuman Deities』(1998)[136]、『Faiths and Pantheons』(2002)[139]にも登場し、レルムの小説で物語の展開が追加された。ジンザーレイナは『Monster Mythology』(1992)[29]と『On Hallowed Ground』(1996)[150]に登場したが、後にロルスの支配下で下級や死せる存在に追いやられた。第4版の準備として行われたレルムの世界再構築の一環として、パンテオンを簡素化するために多くの神格がゲームから削除された[163]。
関連クリーチャー
エルフと同様に、ドラウにも環境や血統によって結びついた他のクリーチャーが存在する。罰としてドラウが半ドラウ半蜘蛛のクリーチャーに変身したドライダーは、最もよく挙げられる例の一つである。
ドライダー
ロルスに忠誠を誓う高位の女司祭だけが、ダーク・エルフをドライダーへと変身させることができる。この変身は激しい痛みを伴い、少なくとも12時間続く。ドライダーは毒のある噛みつきを受ける。消化器系が変化し、生命維持のために生きたクリーチャーの血を吸わなければならない。ドライダーはドラウとして培った呪文や特殊能力を依然として保持する。ドライダーにはあらゆるキャラクタークラスが存在する可能性がある。彼らは知性と記憶を保持している。そのため、彼らは通常、辛辣で悪意に満ちた生き物となる。変身を解除できるほどの強力な魔法を探し求める者もいる。
以前の版では、ドライダーは一見性別がないように見えるが、魔法によって繁殖することができる。第3.5版では、ドライダーは変身後も性別と特徴を維持するようだが、生殖能力については議論の余地がある。
ドライダーはドラウ社会において様々な役割を担っている。ダーク・エルフはドライダーを恐れ、同時に敵視してもいる。変身後、彼らは通常、ドラウの都市周辺の荒野へと追いやられる。ドライダーは通常、様々な大きさのクモと共に行動している。ドライダーは共通語、エルフ語、そして地下共通語を話す。AD&D第1版と第2版では、ドライダーはドラウ語を話していた。ドライダーの属性は、ほぼ“混沌にして悪”である。
第4版では、ドライダーになることは実際には神聖なことであり、ロルスからの祝福であると考えられている。
ドレイグロス
ドレイグロスは、半デーモン、半ドラウの怪物である。あらゆるキャンペーン設定で見られるが、特にフォーゴトン・レルムでは多く見られる。ドレイグロスは、ドラウの女神ロルスの高位の女司祭と、グラブレズゥとの不浄なる結合によって生み出される。
ドレイグロスは体高約10フィート(約3メートル)で、4本の腕を持つ。上腕は下腕よりもずっと大きい。上腕には大きな爪があり、肉や腱を爪と牙で引き裂く感覚を好むため、白兵戦に用いる。顔は犬のように引き伸ばされている。肌はドラウのように黒く、上質な毛皮に覆われ、白いたてがみを持つ。ロルス信者にとって神聖なクリーチャーであり、通常は敬意を持って扱われる。
フォーゴトン・レルムの、メンゾベランザンのTriel Baenreには、ドレイグロスの息子Jeggredがいた。
ドレイグロスの第3.5版のデータは、『Drow of the Underdark』に記載されている[44]。
キチンとコルドリス
キチンとコルドリスは、魔法によって創造された、半エルフ、半蜘蛛の忌まわしい存在であり、蜘蛛の女神ロルスの従者として存在する[164]。フォーゴトン・レルム設定に登場する。キチンは、病弱で白い体格の4フィート(約1.2メートル)の人型クリーチャーで、蜘蛛を思わせる特徴を持つ。波打つ髪と狡猾そうな顔立ちをしており、口からは蜘蛛の牙が突き出ている。キチンはまた、ヒューマンに比べて関節が1つ多く、非常に柔軟で器用な4本の腕を持つ。彼らは、通常の人型クリーチャーを対象とした実験の失敗の結果として、ドラウによって偶然に創造された。
キチンはかつての主人であるドラウを憎んでいるものの、ロルスへの崇拝は続けている。彼らの社会における司祭の役割は、近縁種でありながら全く別の種族であるコルドリスが担っている。キチンは蜘蛛の血統を色濃く残しており、地下都市や村落では、ヒューマンが木や石で建築するのと同じように、巣を使って建築を行う。家、罠、衣服、武器など、あらゆるものを巣で作る。