ニセモノの錬金術師

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ニセモノの錬金術師』(ニセモノのれんきんじゅつし)は、杉浦次郎による日本漫画。2020年2月9日から清書をしていないラフ画での連載がPixivで発表され、2021年3月1日に完結。2023年6月23日からうめ丸作画による清書された商業誌連載がカドコミで開始された。

概要 ニセモノの錬金術師, ジャンル ...
ニセモノの錬金術師
ジャンル 異世界ファンタジーバトル
漫画
原作 杉浦次郎
作画 うめ丸
出版社 KADOKAWAメディアファクトリー
掲載誌 カドコミ(旧ComicWalker)
レーベル MFコミックス
発表期間 2023年6月3日 - 連載中
巻数 既刊5巻(2026年2月20日現在)
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画
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概要

異世界転生を題材に、転生の際に「あらゆるアイテムを最高品質で作成できる」という「チートスキル」を授かった青年が、身の安全のためにチートスキルを隠し一介の「錬金術師」のふりをして暮らし、時に戦う物語。

商業連載でのキャッチコピーには「錬金術×呪術×奴隷×エルフ×転生×神様×チート×バトル……ファンタジーのすべてが詰まった作品」とある[1]

本作は「第1部」とも称され、第1部の直後を扱う「第2部」、数百年後の世界を描いた『第100部スカイファイア』、1部と100部の間の時代を描いた『神引きのモナーク』がある。『スカイファイア』は実質的には2部と同じく本作の続編にあたる。1部とスカイファイアは完結済み。

2020年2月9日、杉浦次郎はPixivにて『異世界でがんばる話』のタイトルで本作の連載を開始した[2][3]。後に『ニセモノの錬金術師』に改題[2]。清書されていないネーム状態のラフ画の作品である。

商業誌で別の連載作品を持っていた杉浦は[4]、物語を紡ぎたい欲求はあったが作画作業に辛さを感じ[2]、「気晴らしに好き勝手にらくがき漫画を描いてみた」ところ筆が乗り本作が生まれ、「漫画描くのってこんなに楽しいのか」と夢中で描くようになり、本作は思い入れの強い作品だという[4]

当初は「成人向け漫画」を描こうとしており、異世界を舞台にしたのは「そのスタートが簡単で、気軽に描いていけるかな」という思惑であったが、次第に『異世界に行ってエッチなことをして楽しい』『チート能力でオラつく』というのを「あんまり良くないんじゃないか?」という気持ちになり、成人向けの要素は薄れ、主人公が無双するような展開にはならず、チートを持たない現地人のキャラがどんどん強くなっていった[2]。錬金術についての本を読み始め、勉強しながら描いていくようになった[2]

2021年3月1日、第1部が第303回目で完結。その後もエピローグや番外編が描かれており、「ニセモノの錬金術師:第二部」として扱われるエピソードも発表されている。第2部は、外伝、番外編とも称される。

2022年1月4日、『ニセモノの錬金術師:第百部『スカイファイア』』をPixivで連載開始。第1部同様にラフ画。3部から99部は存在しないが、著者は「皆様のおかげで、ニセ錬もついに第百部です!」とコメントしている。第1部から数百年後が舞台で、チートスキルを持つ転生者の少女らが巨大ダンジョンを攻略する姿が描かれる。

2023年6月3日、うめ丸作画での商業連載がカドコミで始まった[1]。うめ丸は元から作品のファンで[2][4]、『第100部スカイファイア』の作画をしたいと杉浦にメッセージを送り、第1部である本作から連載することになった[2]。商業版はニコニコ静画においては「性的な描写」「過激な暴力描写」の警告が表示される。

2023年6月23日、Pixivでのラフ画連載版を広告付き無料電子単行本としてKindleで配信開始。全3巻。それに伴い、2-3巻に相当する内容をPixivから非公開にした。最終回は3巻相当部分だがPixivに残されている。

評価

ラフ画版の第1話のPixiv上での閲覧数は、2026年4月現在、50万以上になっている[3]。商業版の売上は2026年2月時点、紙・電子の合計で100万部を突破している[5]

次にくるマンガ大賞2022」でWebマンガ部門の第12位に選出[6]

読者投票によって選ばれる「Renta!マンガ大賞2024」の「異世界部門」で「異世界要素コンプリート賞」を受賞[7]。スタッフコメントでは「錬金術に関する設定やノラとの契約に関する設定の作り込みが秀逸な事に加えて、主人公のチートスキルも万能ではなく知恵と保身術をもって運用してく当たりの描写がとても好み」と評された[7]

カドコミにて、商業版が2025年でのNO.1の読者数を記録し、「カドコミAWARD」で総合1位となった[2][8]。また、ファンタジー部門1位も獲得[8]

商業版作画担当のうめ丸は本作について「ストーリーが素晴らしいんですよ。どこかジェットコースターに乗ってるような感じなんですよね。最初は「カタカタカタカタ…」ってよく分からず登っていく感じなんですんですけど、その後に超スピードでぐるんぐるんと振り回されるみたいな…やっぱり読ませていただいている側として、自分をどこに連れてってくれるのかが分からない不安と気持ち良さみたいな所が…素晴らしい作品だなって思っています」と述べた[2]

佐久間宣行は商業連載版について、「ファンタジーSFとして今一番ワクワクさせてくれる。読んでいても脳汁が出る」と、2025年の愛読漫画ベスト4に本作を挙げた[9]

あらすじ

現代日本で生きていた青年は、トラックに轢かれ異世界転生した。その際、謎の老人アレウスによりチートスキルを与えられた。青年は生前の姿のままで中世西洋ファンタジーのような世界に放り出され、新しい人生では「パラケルスス」と名乗ることにした。

パラケルススの得たチートスキル「天地万物のレシピ」は、作りたいものを念じると完璧な手順書と必要材料を提示し、指示に従えば作業者の技量に関係なく最高品質の完成品を生み出せる能力である。だが、堂々と活動しチートスキルを持つと知られれば、欲に目がくらんだ者に狙われる危険性がある。パラケルススはスキルを隠し錬金術師のふりをし、怪しまれないよう価値の高すぎない品を敢えて作って細々と生計を立てる「ニセモノの錬金術師」となった。

薄利多売の商売は忙しく、パラケルススは倫理的抵抗感を感じながらも助手として奴隷を買おうと決意した。奴隷との呪術による主従契約は絶対的なもので、チートを知られても口外を禁忌にでき都合が良かった。

奴隷商で出会ったのは、手先が器用で聡明な少女ノラと、四肢をはじめ目・耳・舌・乳房などを切除され、瀕死の状態でいる名もなきエルフの女性だった。パラケルススは憐憫からエルフも一緒に買い取った。

ノラは異国の呪術師の家系に生まれ優れた能力を隠し持っていた。呪術により、意思疎通のできないエルフの内面に触れ、エルフが数多の呪いを受けており、眠ること、狂うこと、喜ぶことを禁じられ、あらゆる方法で苦痛を与えられ続けていると知った。パラケルススとノラは協力してエルフが快癒できるよう治療しつつ、エルフに呪いをかけた存在や、チートスキルを狙う者たちと戦っていく。

用語

オリハルコニア
舞台となる異世界の国家。錬金術の盛んな国で、国名の由来は、錬金術師が目指す完璧な金属オリハルコンから。この世界での通貨はゼニー
文明は概ね中世西洋レベルだが、錬金術や魔術の発達により、現実の中世よりは住みよくなっている。強い術者の自治により、治安は異世界の中では良い。市民の女性には2人以上の出産義務があるなど、男尊女卑の傾向がある。
授かりし者(ギフテッド)
チートスキルを授かった転生者のこと。年に1、2人という高頻度でオリハルコニアに出現していると見られる。その多くはチートスキルを目当てにした者に殺害されている。
異世界の創造主が、当初は地球とかけ離れていた世界を地球に似せるために地球の人々を求め、転生させている。
転生者らは、カロンという男の運転するトラックに轢かれて転生しており、トラックが存在しないような中世以前の人物ですらもそのトラックに轢かれている。轢く対象は「地球から弾かれた者」であり、死にかけている者や、周囲から孤立した者である。転生者はトラックに轢かれた際に負った傷跡を持っていることが多い。
転生者は転生時にアレウスという男からチートスキルの一覧が載ったカタログを渡され、その中から2つを選べる。チートスキルは、今では人間が使うことのできない原始魔術によって造られている。
「転生」といっても赤子から生まれ直すのではなく、生前の体のままで「転移」する。生前の記憶や気質も引き継がれるが、心残りがありすぎては新しい人生に集中できないため、そのような記憶は大雑把に消去される。同一世界観の『神引きのモナーク』の主人公は、苗字だけ覚えておりファーストネームを思い出せず、また家族についての記憶も朧気になっている。
収穫者(ハーベスタ)
転生者(ギフテッド)を襲撃し、そのチートスキルを奪う存在。転生者同士で奪い合うこともあれば、異世界人が転生者を襲うこともある。転生者と見なされ監視対象になっていた人物の多くは、チートスキル目当てに襲われ、唐突に消息を絶ったり殺されることが多い。
奴隷
オリハルコニアでは奴隷売買が合法であり、様々な経緯で奴隷身分に落ちた人物がいる。主人と認めた相手と自らの意思で奴隷契約を結ぶケースも稀にある。公的な奴隷契約は、公認呪術師もしくは1級魔術師のみが行える。奴隷だけでなく主人にも一定の制約が課される。奴隷は蔑まれる下級の存在であり、「奴隷は市民共通の財産である これをみだりに傷つけてはならない」といった奴隷を保護する種々の法律があるも、必ずしも遵守されてはいない。
奴隷は体に「奴隷の印」を持ち、その印は「奴隷の部屋」と称される異空間につながっている。奴隷の部屋は名前のとおりに、一部屋ほどの大きさ。その部屋の中に、奴隷を呪術的に縛るための長大な術式が記されている。また、奴隷の部屋には物を収納することができ、「報酬帳」も収納される。主人が奴隷の行動に対し「得をした」と思うと、その思いが金額に換算され報酬帳に記載され、一定額に達成すると奴隷は解放され自由身分になることを選択できる。
第一質料(プリマ・マテリア)
全ての物質の素。マナ、魔力、など様々な呼び名がある。錬金術師も魔術師もこれをエネルギーとして用いる。錬金術師の考えでは、第一質料に熱⇔冷・乾⇔湿の性質が加わると火・気・水・土の四大元素となり、更にそれらが複雑に組み合わされ、この世が成り立っている。第一質料そのものは純粋なエネルギーであるが、何らかの物体へと姿を具現化しようとする性質があり、一度そうなると第一質料へ戻すのは困難である。
第一質料に対しての概念が錬金術師と魔術師では異なっており、そのため、片方について習熟するともう片方を学ぶのが難しくなる。
エーテル
四大元素である火・気・水・土に次ぐ、第五の元素。通常の物質は熱⇔冷・乾⇔湿の二軸の性質を持ち、「熱と冷」を兼ねるようなものは生まれない。しかしエーテルは複数の性質を結びつける接着剤のような役割を持ち、不安定な「特異物質」をつくりあげる。火と水の性質を持つアルコールなどがそれにあたる。
通常の物質とは異なる様々な特異性を持ち、場合によっては時間の流れすらも超越する。
始祖エルフ
異世界を創り出した存在「偽なる神」が最初に創り出した種族。万能の力を持ち寿命が存在しない。死ぬこと自体は可能。通常の人類から見れば神のような存在。地球人を轢いて異世界に導くトラック運転手のカロンや、転生者にチートスキルを与えるアレウスなどが始祖エルフである。尖った長い耳を持つ。通常のエルフは始祖エルフと人間の混血の結果で、長い耳という外見特徴は同じ。
照応効果(しょうおうこうか)
類感呪術の考えに近い。形が同じ2つ以上のものは、「同じ存在」として扱われ、相互に影響しあうというという現象。
この効果を活かしたものとしては、この世界では照応のベルが広く使われている。同じ時間に完成させた・同じ形・同じ色のベルは、片方を叩いて鳴らせば、もう片方は触れられもせずに同じ音を奏でるので、玄関の呼び鈴に用いられている。形などが似ていればいるほど、音のなるタイミングや音の響きを同一のものにできる。あまり似ていないと、照応効果の起きた2つ目以降のベルの音が汚くなる。
錬金術協会は会員に照応のコインを譲渡している。コインの片方は協会が熱し続けて100度を保っており、会員は渡されたもう片方を使えば火を起こさなくても速やかに100度の熱源を研究に使える。
舞台となる異世界は地球に似せられた結果、地球と星単位の照応効果を不完全に起こしており、地球から一方的な影響を受け「あの星で生まれる苦しみもよろこびも同じだけ この星に生ずるようにできている」という。魔術が存在するなど地球とかけ離れた世界のようでありつつも、地球からの影響により、大きく離れた荒唐無稽な姿になることはない。
無意識の圧力
多くの人が「不可能に思えること」や「倫理的に忌避すること」を上手く実現させられなくなる現象。例えば、死者を操る屍術は多くの人に忌まわしく思われているため、人里で死体を思うままに操ろうとしても上手く術がかからず、人気のない山奥では可能であったりする。そういった術は「禁術」と呼ばれる。
「錬金術」と「魔術」は第一質料の扱いなど多くの概念が異なっており、片方を習熟すればもう片方の習得が難しいとされており、そのため一流の錬金術師の家の近辺では魔術の行使が難しく、また逆に魔術師の家のそばでは錬金術師が行使しにくいという「無意識の圧力」もある。
宇宙(うちゅう)
人間の願望から生じる、内面に形成されたもう一つの世界。
外界に対する不満や否定の感情が強まることで発生・増大し、内面に独立した領域として蓄積される。この領域は、通常の魔術や錬金術の体系から逸脱した力の源となり、保持者に特異な能力をもたらす。宇宙を使えるようになることを「宇宙に到達した」と表現される。
一方で、宇宙の肥大化が進行すると本来の精神は圧迫され、最終的には人格の大部分が失われ、願望のみが行動原理となる危険な存在へと変質する。この状態は「災厄化」と呼ばれる。
作中では、肉体をコップ、精神を注がれた水に喩える。不満が生じるたびにコップ内に球体が生成され、宇宙はこの球に相当。球が生まれるたびに水はコップからあふれ、最後にはほとんどが消え失せ、つまりは精神が追いやられ肉体が宇宙に乗っ取られる。

登場人物

パラケルススとその家族

パラケルスス・サコガシラ
現代日本から異世界へ転生した青年。愛称は「パラくん」。現代的な倫理観を持ち、争いを好まない平和的な性格。
転生時に選んだチートスキルは「天地万物のレシピ」と「セーブメーカー
」。戦闘系スキルは「活かすためには戦わないといけない」と避け、「どんな時でも役に立つスキル」「いざという時助けてくれるスキル」を選んだ。
転生先が錬金術の盛んな国であったため、元いた世界の伝説的錬金術師「パラケルスス」の名を借りたが、自身も錬金術を学ぶようになって、過ぎた名であると羞恥を感じ、あまり名乗りたがらない。「サコガシラ」は転生前からの名。
転生当初はチートスキルを活かし、住み着いた田舎町で最高品質のアイテムを作成し人々に貢献しようとしたが、異常な質の高さからすぐに転生者だと露見し命の危機に見舞われたため、以降は敢えて低級品を作り薄利多売で生計を立てている。
転生前から女性経験がなく、作業助手目的として招き入れた奴隷のノラ・ペタンに誘惑され関係を持ち、すぐに愛するようになり彼女一筋となった。後にノラの故郷にて結婚式を挙げた。結婚後に姓をどうするかの話し合いで「ノラさんの名前になりたい」と申し出、『スカイファイア』での名はサコガシラ・ペタンとなっている。
ラフ画版では多くのシーンでキャラデザインが曖昧だったが、商業版のデザインは「ノラさんが好きになるのでパラ君はカッコよく」と杉浦が指示した[6]。カロンのトラックに轢かれた際に負った、特徴的な傷跡を左眉に持っている。「鏡の世界」での戦闘時に右目を失明、その際に使役していたスライムのショゴスが瀕死となり、ショゴスに右目を食わせ寄生させ新たな目とするようになった。以後、右目だけが遥か彼方を見通したり透視のできる超視力となった。以降はオッドアイになっている。
パラケルススが無自覚に到達していた宇宙の名は「好奇」。好意の対象となった存在から限界をなくし、どこまでも才覚を伸ばしてしまう力である。彼の家族となったノラやダリアが、元から才能を持っていたとはいえ規格外の存在と化していったのは、パラケルススの宇宙によるもの。
天地万物のレシピ
パラケルススのチートスキル。作りたいと願ったアイテムの、必要材料から作成手順まで全て提示するレシピノート。同時に表示できるレシピは5つまでで、1つ作り終えると1つ空きができる。レシピを作り出す際は疲労感がある。材料や手順が何通りかある場合は、どのレシピを表示するかを頭の中で選べる。手順に従えば、「ヘタクソ」でも必ず最高品質で完成させられる。ノートは念じると出現し、普段は物理的には存在しないようにできる。
異世界転生してすぐに「不老不死の薬」を作ろうとしたが、材料が膨大かつ入手困難なものばかりで、材料の一つである「賢者の石」を作ろうとしたらそれもまた作成困難であったため、常時ノート上限5つのうち2つが埋まった状態になっている。
「人間の皮」を材料にしたレシピを未完成にしておき、敵にふれさせることで材料として敵の皮膚を自動的に剥がし戦闘不能にするなど、戦闘時に有利な使用例もある。
セーブメーカー
パラケルススのチートスキル。念じることでセーブポイントと呼ばれる宝石を作り出し、宝石を砕くことで「それを作った時」に時間を巻き戻す。宝石は1つしか作れず、2つ目を作ると1つ目は消滅する。時間を巻き戻しても持ち主の記憶は引き継がれるが、代償として「一番大切なもの」の記憶を失う。誤って宝石を壊さないよう普段は堅牢な箱の中にいれ、知らぬ者には箱自体を認識できないように術をかけている。
「大切なもの」として思い当たるものが「天地万物のレシピ」であったため、宝石を試しに壊したことはない。焦って吟味せず選んだチートスキル同士の相性が悪いことをパラケルススは後悔している。
ノラ・ペタン
遠い異国から拉致され奴隷として売られていた少女。何度か奴隷商のもとへ出戻った末に、パラケルススに買われ仕えるようになった。
祖国は南方の島国で、その国を守る稀代の呪術師・ウルを父に持ち、弟妹らと暮らしていた。奴隷として暮らす中で、死したウルの魂と再会し、彼から呪術を学び才覚を目覚めさせた。脱走し自由の身となることもできたが、他者に強力な呪いをかけるには「縁を結ぶ」「禁忌を破らせる」のが有用であり、奴隷としての主人との性行為や、奴隷を保護する細かな法律は呪術師として都合がよく、奴隷身分に甘んじていた。法律が奴隷を守るのであれば、奴隷も法律を守り、合法的な手段でその立場から脱するべきと考えている。法から解放される死後には、自分を奴隷にしたオリハルコニアを悪霊となってめちゃくちゃにしてやろう、という夢を抱いている。
パラケルススに買われ、主人の「感謝」を金銭に換算し80万集まれば自由身分になれるという契約であったが、買ったその日に性行為などによって200万貯まった。しかし普通に労働するよりも儲かることや、呪術師としての利便から敢えて立場上は奴隷のままでいる。むしろパラケルススの側がノラに借金を重ねていく。当初は平和ボケかつ女性慣れしていないパラケルススを籠絡し彼を「なめている」部分があったが、次第に彼と愛し合い実質的には夫妻になった。後に正式に奴隷身分を脱し、ノラの故郷にてパラケルススと結婚式を執り行う。
褐色の肌、長い黒髪、三白眼、頬のそばかすを持つ。その容姿は「ブス」「貧相」と言われる一方、パラケルススには「きれい」「好み」と思われている。長い髪には父ウルの魂が宿っており、ウルが離れている時には肩上ほどの長さになる。
当初は数話しか出ない予定だったが、勢いのまま呪術師の設定が生まれ、そのままヒロインになった。著者は、「人生で一番魅力的に描けたのがノラさん」[10]「ニセモノの錬金術師の魅力の8割くらいはノラさんの魅力で何とかなってる感じがする」[11]「エッチな漫画描こうとしてただけの僕から生まれてきたのに勝手に自立して呪術とか使い出して、物語を引っ張っていって本当にかっこよくて尊敬している」[12]とコメントしている。著者インタビューの中でインタビュアーには「お人好しな主人公に現実論を突き付けながら、彼を大好きだっていう本心をなるべく出さないようにしている…まぁ、そんな素直じゃない感じが絶妙に可愛いヒロイン」と説明された[2]
ココ
奴隷商のもとに置かれていたエルフ。様々な奴隷商のもとを転々とし、何百年といたぶられ両手両足と両眼両乳房、舌や歯や鼓膜も失い、通常の意思疎通は不可能。顔面など多くの皮膚に火傷を負っていた。エルフは稀少な存在であり、その血が高く売れるため辛うじて利用価値を見出されていたが、血も尽きかけていたところを、パラケルススに買われ、治療されるようになった。
四肢もなく完全介護を受ける姿から「ココモチ」[注釈 1]とノラに呼ばれ、転じて「ココ」と称されるようになった。
体内に膨大な呪いを書き込まれており、『伝える』『眠る』『喜び』『悦び』『発狂』『平穏』など様々な禁忌を課せられ、何百年も眠ることも狂うこともできずに責め苦を受けていた。かつての彼女は「人間に利用されるだけ利用されていたのに幸せそうに笑っていた」人物であり、彼女に『怒り』を知ってほしいという「愛情」から、呪われ、最底辺の状況に置かれていた。
治療を受けるようになってからは、長い髪が触手のように動き、空気中の虫や妖精を捕らえて食らうようになった。貪欲に栄養を求め、口を介さずとも髪や皮膚からでも食物を吸収できる。対象物の水分を吸い取り、カラカラにする。通常のエルフはこのような性質は持たず人間よりも虚弱な体であり、ココは特殊な存在である。衰弱していない完全な姿ならば強力な魔力を持っていると推察された。
ノラに危機が迫った際、『怒り』の感情を知り、長い髪を更に伸ばし、変形させ、ノラが騎乗できるほどの巨大な昆虫のような姿になりノラを守った。以降は人間離れした姿ながら、髪を脚代わりにしてペットのごとくノラたちに懐いてまとわりつく。嗅覚は健在であったため犬のようににおいを嗅ぎたがる。
その正体は、舞台となる異世界の創造主に生み出された始祖エルフであり、真の名はヘルメス・トリスメギストス。「与える者」としての役割を持って生まれ、この世界の人類に錬金術をもたらした。
ダリア
パラケルススが「鏡の世界」に囚われた際に出会った女児。自由の身となった後でパラケルススに引き取られ、彼を父、ノラを母として慕うようになる。
当初は金髪の前髪を長く伸ばし目が隠れた状態で、シャイだった。魔法の術式を組み合わせたアイテムの作成が得意。「鏡の世界」で命の危機に見舞われるうち、自らの体に術式を使うことで身体能力を引き上げて繰り出す体術に目覚める。パラケルススとノラに心の内をさらけ出して以後は動きやすいように長い髪をまとめ上げ、おでこを出すようになった。
ダリアは通常の人間ではなく、本物の「ダリア」を知る者が記憶から作り出した複製体である。オリジナルのダリアは「少し術式が得意なだけの子」であったが、100体以上のダリアが生み出されて並列化して術式を学んでいくうちに、術者の記憶の中のダリア像が強化されていき、それが数十年くり返された結果として現在のダリアはオリジナルより遥かに高い才能を持っている。オリジナルの記憶はほとんどなく家族の顔も名前もわからず、空白を埋めるように現在の家族であるパラケルススやノラへ過度な愛情を持ち、また術式や体術への向学心が旺盛である。
チートスキルによって生まれたダリアの肉体は「原始魔法によって造られたエーテルの塊」であり、強く願えばいつもの姿とは異なる大人の姿などにも変身可能。セーブポイントのクリスタルが破壊され時間が巻き戻った際、エーテルに時間を超越する力があったため、「1周目」の記憶を失わず、自力で「鏡の世界」の問題を解決してパラケルススに会いに行った。
精霊
パラケルスス宅の敷地に宿る精霊。元の個性を失い土地に染み付いた様々な魂の集合体。三角錐に似た土の塊に巨大な単眼がついたような姿。現れる時は人間の頭蓋骨を握り、話す声に合わせて頭蓋骨の口元を動かす。頭蓋骨を動かすのは、人間への敬意を表すため人間を真似てのこと。
貴重品の管理意識に欠けるパラケルススを心配したノラが、敷地を守らせるためにバッタの死体を捧げ物にして、精霊を呼び覚ました。敬意を示してくれたノラに感謝し、住人たちに忠義を尽くす。「捧げ物」として食物などが地面に置かれると、それを吸収し食らう。ノラには「まじめで扱いやすそう」「あんなかわいい子はじめて」と言われた。人間は無意識に自分と性質の近い精霊がいる土地を居住地に選ぶとされる。
無断侵入者を感知すると活性化し、盗人を呪う。貴重品を侵入者に視認できないようにし、盗まれた場合は盗まれた物の数だけ盗人から『取り返し』をする性質を持つ。盗品が一つなら指一本、二つなら指二本を盗品の返却が果たされるまで使用できないようにする。
ショゴス
パラケルススに錬金術で生み出されたスライム。半透明で不定形のゼリー状のモンスターで、物体を摂取することで巨大化も可能。スライムは育成方法によって、垢しか食べない・衣服しか食べない、といった特性を持たせることができ、ショゴスはゾンビ対策のためゾンビを食らうよう育てられ、一時は何百ものゾンビを食らい建造物ほどの大きさになった。毒を受け極小に縮み瀕死になった際、パラケルススの失明した右目を食うよう命じられ、右目に成り代わりパラケルススに寄生することで延命した。次第に右目以外のパラケルススの体と融合していき、全身に細かくショゴスが張り巡らされたような状態になった。そのおかげで、パラケルススの肉体に物理的な攻撃への多少の耐性が生まれた。
ケルスス
ショゴス、パラケルスス、精霊が一体化した存在。
第1部のラストバトルの中で、純エーテルを食らった後の精霊に対し、パラケルススの死体が「捧げ物」にされ、ショゴスは共に精霊に食われた。セーブ目玉焼きによって時間が巻き戻され「ショゴスを造り出す」「パラケルススの右目になる」「パラケルススの死」などの一連の出来事は無かったことにされたが、エーテルには時間を超越する力があるため、ショゴスは「1周目」の精霊とパラケルススと融合し、3人分の記憶を持った存在として「2周目」に出現した。3人分の人格が一体化したようなものであるため、話す時に一人称や口調の統一感がない。セーブメーカーのデメリットにより「大切なもの」の記憶を失ったパラケルススよりも、その記憶を保持するショゴスの方がある意味では「本物のパラケルスス」らしい存在となっているが、「主人」たるパラケルススにその座を譲っている。ケルススの名はそれにちなむ。2周目のパラケルススは両眼があるが、ケルススは1周目のパラケルススの外見を引き継いでおり、オッドアイ

転生者

ツユリ
「大切な人」を亡くし物思いにふけっていたところをトラックに轢かれ転生した女性。転生時には少女であったが、数十年を異世界ですごし、パラケルススと接触した時期には老婆となっていた。外ハネのセミロングヘアに、ローブを着用。
転生時に得たチートスキルは、記憶をもとに生命を生成する『オモイデ草の種』と、鏡を介して異空間へ出入りする『鏡の世界通行券』。「大切な人」を想い選んだスキルであったが、種により生成される存在が「ニセモノ」に過ぎないことを認識した後、チートスキルの使用を一時的に放棄。同じ年頃の少女らと組んで冒険者としての新しい人生を始め、そのために魔術を一から学ぶようになった。一人ぼっちで異世界に放り出された孤独を癒してくれた少女たちへ深い愛慕を抱いている。高い魔力を有しつつも、直接的な魔術行使が不得手で、紙に書いた術式を介するという迂遠な魔法を用いていた。やがて死を強く意識する精神性が禁忌である「屍術」の適性につながっていると気づき、死体へ魔力を注ぎ込み操る「屍術師」となった。
仲間に隠れて密かに屍術を磨き、その過程で生者の殺害をも厭わなくなり、いつしか大勢から追われる身となるも、強き追手を倒し強い肉体・強い魂を得ることでより術者として強化されていった。才能が伸びゆく高揚の末に、気づけばパーティの少女たちをも殺めてしまい、それからは、自身の記憶をもとに種で再現した少女たちを『鏡の世界』に閉じ込め、「本物」に近づけるために少女たちの複製体を殺めてはまた造り直す作業を数十年に渡って反復していた。
生き続け屍術師としての腕を磨きたいという願望と、過ちを繰り返さずにはいられない自らを誰かに裁いて殺してほしいという葛藤を抱えている。
屍術
死体と死霊を操る術。このような術は多くの人から忌まわしいものとして扱われ、「無意識の圧力」が働くため人の多い場では行使が困難である。ツユリは人のあまりいない山中にて、「オークに殺害された人間」を素材にし、オークへの攻撃を行わせるという「因果がつながっている」操作から始めて鍛えていった。「無意識の圧力」がかからないよう、山の麓の集落を根絶やしにするなどツユリの倫理観が次第に狂っていったのは、死者と向き合い続ける屍術を学ぶことによる精神の変容も原因である。
死霊は敵に直接ぶつけて攻撃させることも、その魔力を吸い取ってツユリの糧とすることもできる。多くの死霊に取り囲まれると、それだけで対象者は「悪寒」により死ぬ。死体はツユリの意のままに動くアンデッドゾンビ)となり、人間だけでなくドラゴンなどの強力なモンスターもその対象となる。
オモイデ草の種
ツユリのチートスキル。記憶をもとに生命を生み出せる能力。手のひらに1度で最大10粒まで種を生成することができ、記憶の中にある生き物を思い浮かべながら種を蒔くことで、その生き物を「咲かせる」ことができる。1度に思い浮かべられる存在は1種だけなため、ある人物を思い浮かべながら10粒の種を投げると、同じ顔をした人間が10人「咲く」。種は地面に落ちた瞬間に根づき、10日かけて成長を終えると「咲き」、その存在は自律して思考し、生きるようになる。多量の魔力を注ぎ込むことで、瞬時に咲かせることも可能。魔力を注いで急成長で生み出した10人の生命を吸い取り魔力に変換すると、注いだ以上の魔力を得られる。
鏡の世界通行券
ツユリのチートスキル。念じると発生させられる「通行券」を鏡に差し込むことで、「鏡の世界」に出入りができる。他者を鏡の世界へ引きずり込むこともできる。水鏡となっている液体越しでも可能。鏡の中の異空間は現実世界とは鏡写しになっており、書物も鏡文字になっている。それ以外は精巧かつ大規模で、果てがあるのかもわからない。鏡に飛び込む・飛び出すを繰り返すことで、撹乱し近接戦も優位にできる。
現実世界から引き込まない限り異空間は無人であり、あらゆる「無意識の圧力」が最初には発生していない。そのため禁術である屍術も容易に扱える。また、人を引き込み、強力な屍術を見せつけ「ここでは当たり前に屍術を行使できる」と思わせ、現実世界の圧力とは正反対の「無意識の張力」を発生させ、より強力に術を使える。
ウェスリー・キング
キザで尊大な物言いをする青年。転生の際に選んだチートスキルは、他者のチートスキルを一時的に借用する『鏡写しのワイルドカード』と、自らの持つチートスキルを改変する『スキルリメイカー』。他の転生者のチートスキルを一時的に奪い、その際に改変し無力化した上で倒して完全に奪い取るという、チートスキル収集に特化したスタイル。戦闘系や財成すためのものなど多様なチートスキルを持ち、「いつか王になる男」を自称している。
パラケルススのチートスキルを奪おうとする敵として登場。セーブメーカーによる「2周目」の世界においては、早期にパラケルススに接近され友人関係になった。女好きの遊び人であるが女性たちを口説き落とすのは自力であり、パラケルススが奴隷を恋人にしていることに対しては「同じ地球人として恥ずかしいぜ 女くらい自分でなんとかしなよ」と気味悪がっている。

錬金術師

アグノシア・デア
錬金術師最高峰の階級・達人(アデプト)の女性。錬金術の盛んな国の中でも達人はわずかしかいない最高峰であり、女性は史上初。
「この世のあらゆるものを少しずつ良いものに変える」という錬金術の理念を、そのまま自己の信念にしている。「誰ひとりの死も苦しみも涙ひとつもゆるさない 生と善とよろこびとほほえみに満ちた世界」を作ろうと慈善活動をしている。左目を隠す紫色のロングヘアを持つ。
その正体は、「始祖の錬金術師」であるオールダーの複製体。狂いゆくオールダーは自らの望み「世界を救う」を託すため自己の複製体を500体作り、世界中に散らばった500体のアグノシアは全てが照応効果により互いに磨いたスキルを共有し高め合っている。アグノシアは各国で要職に就き、舞台となる国家オリハルコニアにおいては、複数のアグノシアの職位を統合すれば国の最高権力者と言っても過言ではない。卓越した戦闘力を持ち、死力を尽くし一人を殺めたところで同じ強さの別のアグノシアが立ちはだかる。
ココの四肢や眼球を奪い呪いをかけたのはアグノシア、もしくはアグノシア・オリジンであるオールダーである。かつて万能の力を持っていたココが、全ての人類を愛するがために、ありのままの愚かさや悪行や不平等をも容認し、世界に対する抜本的改革を行わないことを許せず、ココにも怒りの感情と弱者の苦しみを学ばせてあげようという「愛情」から凶行に走った。
ノルン・アーレンビック
「アーレンビック魔法店」の店主。錬金術・魔術を用いた雑貨の売買や、頼まれごとを引き受ける「なんでも屋さん」。店舗内でレストランも営んでいる。迫害対象である獣人を積極的に雇用し、そのこともあってベジタリアンであり、レストランでは肉類を出さない。
眼鏡に三つ編み、作業着の上にエプロンを羽織り、帽子と手袋を身につけている。
優しげな女性のように見えて、内面には常に激しい怒りを抱えており、悪人を個人的に私刑にかけ殺害、あるいは奴隷にし二度と悪事を起こせないよう「教育」した後に釈放している。正義感ではなく「スッキリするため」の「趣味」である。私刑自体が違法ではあるものの、裁きの対象とする悪人の基準は市民法に基づいている。あらゆるものへ怒りを抱えつつも市民法に則ることでブレーキをかけている。悪人を奴隷にするたび、自らの背を差し出し奴隷に鞭打たせ、違法な私刑への自罰にしている。本来死ぬほどの回数の鞭を、回復魔法をかけながら受けている。
2級錬金術師、2級魔術師、1級調理人などの資格を持つ。激しい衝動に駆られ続けているため集中力に欠け錬金術でも魔術でも一流にはなれなかったが、両者をかけ合わせた「錬金魔法」とも言うべき、「流れる集中力」に任せた制御不能な高速の術式による戦闘を得意とする。空気中の第一質料を実体化し、岩を尖らせ、液化させ、凍らせ、と次々に性質を変えながら対象者に襲いかからせるその戦法は、ノルン自身にも止められず制御不能である。
かつては名も無き奴隷であり、ある男のおもちゃにされていたが、男を愛し全てを受け入れていた。しかし男は転生者であり、その愛情はチートスキルによって植え付けられたニセモノであった。男が腹上死した後、男のチートアイテムに触れたことで全てを知り、スキルを悪用する転生者の退治、また奪ったスキルを悪用するハーベスタの退治を行っている。
奴隷を脱した後でアグノシアと出会い、彼女から師事を受け錬金術を学び、彼女に精神的に依存している。「市民法に反した者だけを私刑にする」というルールも、アグノシアが提案したものである。
恋天使の弓矢
ノルンのチートスキル。自身を奴隷にしていた男から死後に受け継いだ。胸を矢で射たれた者が射手を心から愛するようになる弓矢。殺傷力はない。同時に4人までを魅了できる。矢じりがハート型になっている。ノルンは比較的可塑性のある悪人をこの弓矢で魅了し合意した上で奴隷契約を結び、改悛させた後に解き放っている。
導く星の十字星
ノルンのチートスキル。転生者への憎悪に駆られ転生者狩りの旅をしていた時期に入手した。持ち主が必ず正しい占い結果を出せる刺青。ただし占い自体に様々な解釈の余地があり、この世に存在しない占いを勝手に作ることもできない。ノルンは主にカード占いに使っている。
サン・ジェルマン
「不滅のサン・ジェルマン」との異名を持つ、齢200近くの高名な錬金術師。錬金術師としては「1級」の称号を持つ。
「錬金術師」を隠れ蓑にする体裁を整えるため錬金術を学ぶことにしたパラケルススの師匠となった。しかし弟子らにまともに教育するつもりはなくただ雑用係を求めていただけで、やがてパラケルススは反感を持ち彼の元を去った。パラケルススのチートスキルに勘づいており、「錬金術師は真理を探求する者」「結果だけ欲しがるのは錬金術師ではない」と説いた。パラケルススにチートスキルだけで生きていくことへの罪悪感を持たせ、彼が独学で錬金術をきちんと学ぶ契機を与えた。
超高齢者なのは錬金術の賜物ではなく、ごく一般的な健康法を愚直に行っていたため。一方で永遠の命を得るための手法を錬金術によって生み出せるようになっていたが、かつて愛した女の子孫・サンサと出会い、求めたものは「命のつながりの中にある」と気づき「不死」への憧憬が消え失せ、研究結果を破棄した。
不滅
サン・ジェルマンの「宇宙」が、宿主を乗っ取った存在。サン・ジェルマンの「絶頂」であった若き日の姿をしており、男性器も常に絶頂し勃起し続けている。サン・ジェルマンはサンサと出会い、彼女を「太陽」としたことで「不死」への渇望を払拭したかのように見えたが、その裏には「あの女を犯し我が子を生ませ今度こそ我が物としたい、永遠に生き続けたい」という欲望があり、その思いを果たすためだけに行動する。サン・ジェルマンの望みを「不能者のいいわけ」と唾棄する。
オールダー
始まりの錬金術師。異世界の創造主が生み出した「与える者」ヘルメス・トリスメギストスに錬金術を授けられた最初の人間。現在では不定形の外見だが、元は女性である。不老不死の存在と成り果て、長く生きすぎたために狂乱しまともな意思疎通はできない。あらゆるものを見通す「真理の目」を持ち、それで見たものを理解しすぎるために模倣し、自他の区別がつかなくなっている。全てを解きほぐし解明しようとする錬金術師の志から、彼女の持つ宇宙は「分解」である。分解により、錬金術や魔術で作られたものを元の性質に戻そうとする働きがある。「徘徊する大災害」との異名を持つ。

神々

偽なる神(ぎなるかみ)
本作の舞台となる異世界「ニセモノの世界」を生み出した創造主。地球の文明が発達したことで錬金術の概念が否定され、それにより地球から弾き出された「第一質料とエーテルのうねり」が人格を持った存在。帰れない故郷への憧憬から地球に似せて異世界を創った。しかし当初、異世界は地球からかけ離れた別世界であり中々似なかった。異世界を地球に近づけるために、地球人類を異世界に転生させている。地球に似せつつも、いつか地球を超える星になることを願っている。科学によってその存在を否定されたため、科学の発達には恐れを感じている。
異世界で死した者全てと面会し、世界をより良くするために人生の感想を聞いている。
カロン
偽なる神に創り出された始祖エルフ。地球の人々を異世界へ転生させる役割を持つ。転生させるための条件は「カロンの運転するトラックで地球人を轢く」であり、トラックがまだ存在しないような中世ヨーロッパなどにもトラックに乗って出現する。
転生者は、偽なる神と同じく「地球から弾かれた者」であり、事故や病気などで死にかけている者がその死の直前に轢かれることもあれば、健常な状態であったが「なんの価値もないカス野郎」「くっせえ陰気野郎」のにおいをカロンが嗅ぎつけて唐突に轢くこともある。
アレウス
転生者にチートスキルを授ける始祖エルフ。人類に魔術を授けた存在でもある。高齢男性の姿をしており、商業版では肥満体。
チートスキルを授ける際には、「わくわくチートスキルカタログ」という分厚い本を渡し、その中から2つを選ばせる。授けた後には「思うまま 欲望のまま 好きなように生きなさい」と邪悪に微笑みかける。捕らえた虫同士の戦いを楽しむ子供のように、転生者がチートスキルを使って暴れまわることを期待しており、転生者を近い場所に転生するように仕組み、転生者たちを監視している。チートスキルの多くはアレウスが考案した。魔術も人間同士の争いを期待して授けたが、人間の中で継承されていくうちに枷が生まれ原始魔術よりも威力が小さなものになっていき、不満を持っている。

書誌情報

  • 杉浦次郎(原作)・うめ丸(作画) 『ニセモノの錬金術師』 KADOKAWA〈MFコミックス〉、既刊5巻(2026年2月20日現在)
    1. 2024年1月23日発売[13]ISBN 978-4-04-682813-2
    2. 2024年2月22日発売[14]ISBN 978-4-04-683043-2
    3. 2024年9月21日発売[15]ISBN 978-4-04-683924-4
    4. 2025年7月23日発売[16]ISBN 978-4-04-684619-8
    5. 2026年2月20日発売[17]ISBN 978-4-04-685613-5
  • 杉浦次郎 『ニセモノの錬金術師 ラフ版』 Kindle版(電子書籍限定)
    1. ニセモノの錬金術師:第一部【ラフ版まとめ】(全3巻)、2023年7月配信開始
    2. ニセモノの錬金術師外伝【ラフ版】(全8巻)、2021年12月配信開始

脚注

外部リンク

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