ヌーノ・ギターズ
From Wikipedia, the free encyclopedia
| 本社所在地 |
ニュー・ハンプシャー州ナシュア |
|---|---|
| 設立 | 2025年 |
| 業種 | 製造業 |
| 事業内容 | エレクトリックギター、アコースティックギターの製造販売 |
| 代表者 | ヌーノ・ベッテンコート (創業者) |
| 関係する人物 | クリス・ミード(マスタービルダー) |
| 外部リンク | 公式サイト(英語) |
ヌーノ・ギターズ(Nuno Guitars)は、ポルトガル系アメリカ人のギタリスト、ヌーノ・ベッテンコートによって2025年に設立されたギター・ブランド[1]。
ヌーノが長年シグネチャー・モデルを展開してきた楽器メーカー・ワッシュバーンとの35年に及ぶパートナーシップに終止符を打ち、自身の名を冠した完全独立系ブランドとして立ち上げられた[1]。
同ブランドは、ヌーノの長年の愛機であり、そのサウンドを象徴するモデル「N4」をはじめ、「ダーク・ホース」「ホワイト・スタリオン」などの新モデルをラインナップし、消費者への直販モデルを採用していることが特徴である[1][2][3]。
ギターのスペック選定はもとより、ブランドロゴのデザインもヌーノが手掛け、設計、製造、品質管理、あらゆる面で彼が責任を負っている[1][3]。
エクストリームのギタリストとして知られるヌーノ・ベッテンコートは、2025年7月、イギリスのバーミンガムで開催されたブラック・サバスのラストコンサート「Back to the Beginning」に向かうタクシー内で、当時未発表の新しいギター(後のダーク・ホース)を演奏する動画をインスタグラムに投稿した[1][注 2]。同年9月のMTVビデオ・ミュージック・アワードにおけるオジー・オズボーンのトリビュート・パフォーマンスでは、この謎のギターに加え、色の組み合わせが真反対のギター(後のホワイト・スタリオン)が使用され[5]、ギター・コミュニティの関心を集めた[1]。こうした一連の動向の後、同年9月30日、ヌーノは自身の会社「ヌーノ・ギターズ」の設立を正式に発表した[1][3]。
ヌーノとワッシュバーンとの間には紳士協定のような関係が長年続いていたが、エクストリームのアルバム『Six』のリリース後あたりから、ブランドでのギター製造や流通が完全に停滞していると感じたこと、そして何よりも「自分のビジョンを追求し、自身の楽器を演奏する人々とより深い繋がりを持ちたい」という思いから、ヌーノは独立を決断したと語っている[1][3]。他の大手メーカーへの移籍ではなく自ら起業する道を選んだ理由について、「(大手メーカーへの移籍は)自分らしくないと感じた」ためであり、「すべてが自然な流れで起こった」と説明している[1][3]。
ブランド立ち上げに向けた動きが始まったのは2024年後半で、長年にわたりN4のビルダーを務めてきたクリス・ミード[注 3]がオハイオ州シンシナティに構えるギター工房をヌーノがエクストリームのツアー中に訪問、ブランド設立の構想を明かしたことが発端となった[5]。
またブランド設立を決断するにあたり、GENERATION AXEツアーなどで共演や交流のあった、プライベート・ギター・ブランド「ワイルド・オーディオ」を展開するギタリストのザック・ワイルドにヌーノは連絡を取り、助言を求めたことを明かしている[3]。
事業モデル
製品の特徴とシリーズ構成
エレクトリック・ギター
- 特徴
ヌーノ・ギターズの最大の特徴は、ヌーノのシグネチャー・モデル「N4」の代名詞ともいえる「ステファンズ・エクステンデッド・カッタウェイ」(SEC)を継承している点である[1]。このデザインは、上位フレットへのアクセスを格段に容易にする5ボルト構造のネックジョイントであり、オリジナルデザイナーのステファン・デイヴィスから特許や商標登録などの権利一式を買い取り、ヌーノ・ギターズの全エレクトリックモデルに採用されている[1][6]。ワッシュバーンのN4にはStephen's Extended Cutawayのロゴが入れられていたが、ヌーノ・ギターズでは無印になり単に「エクステンデッド・カッタウェイ」と呼ばれている[4][6]。

- ピックアップ・ギターアッセンブリー
N4で培われたトレードマーク・サウンドを再現するため、ブリッジ側のピックアップは、従来ヌーノが使用してきた「ビル・ローレンス L-500」ではなく、セイモア・ダンカンにオーダーして新規開発されたブレード・タイプの「ヌーノ・シグネチャー・ハムバッキング」が搭載されている[2][注 4]。コントロール面では、ボリュームノブ1つと3ウェイ・トグルスイッチのみという、ヌーノが好むミニマルなレイアウトが全モデル共通で採用されている[2]。
同ブランドのラインアップは、品質と価格帯によって以下の3つのシリーズに大別される[1][2][3]。
サラブレッド・シリーズ
最上位ラインであり、「マスタービルト」と称されるハンドメイドのギター[1]。長年N4のビルダーを務めてきたクリス・ミードが、オハイオ州シンシナティに構える彼の工房で制作を担当する[2]。N4を基にしたダーク・ホースとホワイト・スタリオンの2モデルがラインナップされている[2][3]。
ダーク・ホースとホワイト・スタリオンの特徴的なボディのストライプは、ヌーノの兄・ルイスが所有していたB.C.リッチ・モッキンバードからインスパイアされたもので[3]、塗装ではなくエキゾチックな木材(エボニーとメープル)がボディを貫くように象嵌して形成されている[2]。
| モデル名 | ダーク・ホース | ホワイト・スタリオン |
|---|---|---|
| ボディ材 | アルダー メープル/エボニー・ストライプ(貫通) | 3ピース・アヴォディレ (ホワイト・マホガニー) エボニー/メープル・ストライプ(貫通) |
| トップ材 | ジリコテ | カーリー・メイプル |
| ネック | バーズアイ・メイプル | |
| ネックジョイント | エクステンデッド・カッタウェイ | |
| フレット | 22フレット | |
| 指板 | エボニー | フレイム・メイプル |
| ピックアップ(ネック) | Seymour Duncan '59 Model (ダイレクト・マウント) | |
| ピックアップ(ブリッジ) | Seymour Duncan ヌーノ・シグネチャー・ハムバッキング (ダイレクト・マウント) | |
| ブリッジ | フロイド・ローズ(ブラック) | |
| コントロール | ボリューム、3ウェイ・ピックアップ・セレクター | |
| スケール | 25.5インチ | |
- ダーク・ホース:アルダーボディにジリコテトップという、ヌーノにとって新鮮な暗色系木材の組み合わせ。ジリコテは天然でありながら塗装のような印象を与え、一本一本木目が異なるという特徴を持つ[2]。
- ホワイト・スタリオン:ホワイト・マホガニーとも呼ばれるアヴォディレ材のボディにカーリー・メイプルトップを組み合わせたモデル。フレイム・メイプル指板を採用しており、ヌーノが1990年のエクストリームのミュージックビデオ「Decadence Dance」で使用したN3以来、長年ぶりのメイプル指板モデルとなる[2]。
ステーブル・シリーズ
カリフォルニア州オックスナードで製造される、ファクトリーメイドのギター[2]。サラブレッド・シリーズと同じ米国製ピックアップを搭載し、プレミアムな品質を維持しながら、より手頃な価格帯を実現している[2]。ヌーノは、「マスタービルトがフェラーリなら、ステーブル・シリーズはステージに持ち出して一日中弾けるメルセデスのようなもの」と表現している[2]。
| モデル名 | ダーク・ホース | ホワイト・スタリオン | N4 |
|---|---|---|---|
| ボディ材 | アルダー | ||
| トップ材 | ウェンジ メープル/エボニー・ストライプ(象嵌) | スワンプ・アッシュ エボニー/メープル・ストライプ(象嵌) | なし(ソリッド) |
| ネック | ハード・メイプル | ||
| ネックジョイント | エクステンデッド・カッタウェイ | ||
| フレット | 22フレット | ||
| 指板 | エボニー | フレイム・メイプル | エボニー |
| ピックアップ(ネック) | Seymour Duncan '59 Model (エスカッション・マウント) | ||
| ピックアップ(ブリッジ) | Seymour Duncan ヌーノ・シグネチャー・ハムバッキング (エスカッション・マウント) | ||
| ブリッジ | フロイド・ローズ(ブラック) | フロイド・ローズ(クローム) | |
| コントロール | ボリューム、3ウェイ・ピックアップ・セレクター | ||
| スケール | 25.5インチ | ||
- N4:クローム・ハードウェアを採用する唯一のモデルであり、ダーク・ホースとホワイト・スタリオンはすべてのシリーズでブラック・ハードウェアとなる[2]。N4はヌーノによるデザインで当初から彼が権利を保有しており、ワッシュバーンはヌーノからライセンスを取得して製造する体制が取られてきたことから、ヌーノ・ギターズでも引き続き同モデルの製造が継続されている[3]。ワッシュバーン版のN4は生産終了で、製造済みのものについては一定の販売期間が設けらているが、在庫が無くなり次第販売終了となる[3]。
コルト・シリーズ
中国で製造される輸入モデルシリーズ[2]。ライセンスを受けたフロイド・ローズ・スタイル・トレモロや韓国製のヌーノ・シグネチャー・ピックアップなど、コストパフォーマンスに優れたコンポーネントを使用しているが、ヌーノは「単なるエントリーレベルの楽器ではなく、最高のビルダーによって作られたもの」であることを強調している[2]。ネックの感触や演奏性は上位モデルと同等の基準が求められている[1]。
| モデル名 | ダーク・ホース | ホワイト・スタリオン | N4 |
|---|---|---|---|
| ボディ材 | アルダー | スワンプ・アッシュ | アルダー |
| トップ材 | なし(ソリッド) | ||
| ネック | ロック・メイプル | ||
| フレット | 22フレット | ||
| 指板 | エボニー | フレイム・メイプル | エボニー |
| ピックアップ(ネック) | Seymour Duncan ヌーノ・シグネチャー・ハムバッキング(韓国製) | ||
| ピックアップ(ブリッジ) | Seymour Duncan ヌーノ・シグネチャー・ハムバッキング(韓国製) | ||
| ブリッジ | フロイド・ローズ(ブラック) | フロイド・ローズ(クローム) | |
| コントロール | ボリューム、3ウェイ・ピックアップ・セレクター | ||
| スケール | 25.5インチ | ||
アコースティック・ギター
ヌーノ・ギターズは、エレクトリック・ギターに加えて、ヌーノ自身がデザインしたアコースティック・ギター「ルシアーノ (Lusitano)」を発表している[2][3]。このモデルは、コルト・シリーズに属する輸入モデルとして位置づけられている[2]。その名称はヌーノの母国ポルトガルの古代ローマ名「ルシタニア」に由来するルシアーノ種の馬を意味する[4]。指板のポジションマークにはドットの代わりに十字架の模様が用いられ、12フレットにはポルトガル国章の十字架と盾のインレイが施されるなど、彼のルーツを象徴するデザインとなっている[2][4]。最大の特徴は、伝統的なサウンドホールに加えて、カスタムメイドのF字型サウンドホールを備える点にある[2]。ヌーノは、「エレクトリックギターのような弾き心地のアコースティックギターが欲しかった」と語っている[2][4]。
| 項目 | スペック | ||
|---|---|---|---|
| モデル名 | AS | LS | |
| ボディ形状 | グランド・オーディトリアム | ||
| トップ材 | プレミアム・スプルース | スプルース | |
| バック&サイド材 | マホガニー | ||
| サウンドホール | 通常サウンドホール + カスタムFホール | ||
| ピックアップ (サウンドホール) |
なし | ||
| ピックアップ (アンダーサドル) |
ピエゾ・システム | ||
| ネック | クォーターソーン・オクメ (エレクトリックのような感触を追求) | ||
| フレット | 20フレット | ||
| 指板 | エボニー | ||
| ハードウェア | クローム | ||