ハナシノブ属

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ハナシノブ属
ミヤマハナシノブ
(撮影地:北岳、Wikimedia Commons)
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類
core eudicots
階級なし : キク類 asterids
: ツツジ目 Ericales
: ハナシノブ科 Polemoniaceae
: ハナシノブ属 Polemonium
学名
Polemonium L.
和名
ハナシノブ属
英名
Jacob's ladders

ハナシノブ属(ハナシノブぞく、学名Polemonium)は、ハナシノブ科多年生植物(まれに一年生)からなる属。主に草本だが、木本性つる性の種もある。

英名は、整然と並ぶ葉の形を旧約聖書ヤコブの梯子に見立てたものとされる[1]

葉は互生し羽状に分裂する。萼は鐘形で5裂する。花冠は漏斗形、広鐘形または平開状で5裂する。花は青紫、白または黄色で美しいものが多く、頂生または腋生の散房状または総状の花序をつくる。雄しべは5個。開花期は春〜夏。果実は蒴果で、種子の形状は不規則、ときに縁辺に狭い翼をもつことがある。染色体数 2n=18[2][3][1][4]

分布と生育環境

ユーラシア大陸、北米、南米に約25種[3][1][4]〜30種[2]が分布。北米大陸西部に多い[1][4]。2025年現在、POWOでは39種を認めている。北半球の寒帯〜温帯に広く分布するほか、P. micranthum が北米とチリ・アルゼンチンに分布する[5]

生育地は適度に湿潤で肥沃な場所のほか、湿原のような湿潤地、開放的な崩壊地などで、他種との競争から免れるような場所を好んで生育する[1]

分類と進化

ハナシノブの仲間は第三紀の寒冷期に北米で繁栄し、そこから東進したセイヨウハナシノブと西進したキョクチハナシノブの2系統に分かれた後、両系統が複雑に交雑したとされる。このため、非常に多くの種が記載され、分類を困難にしている[1]

外国産ハナシノブ属の主な種(YListによる)

  • P. boreale Adams ヒメハナシノブ[6] 栽培種
  • P. caeruleum L. subsp. caeruleum ヨウシュハナシノブ[7](セイヨウハナシノブ)(P. caeruleumの基亜種)ユーラシア大陸産、園芸栽培種
  • P. caeruleum subsp. campanulatum Th.Fr. キョクチハナシノブ[8] 北米西部、アラスカ、シベリア、フィンランド
  • P. caeruleum subsp. liniflorum (V.Vassil.) Tolm. ex Tzvelev トウハナシノブ[9] 外国産種

日本産ハナシノブ属の分類(YListによる)

日本産ハナシノブ属Polemoniumの種分類は困難で、2種に分類する考えや1種4亜種を認める考えなどがあった。ここではYList、米倉(2012)[10]および高橋(2021)[4]の1種3亜種を認める見解に従う。この場合、3亜種(太字)とそれらの下位分類は以下の通り。

  • P. caeruleum subsp. kiushianum (Kitam.) H.Hara ハナシノブ[11] 九州
  • P. caeruleum subsp. laxiflorum (Regel) Koji Ito カラフトハナシノブ[12] 北海道、サハリン・ウスリー・アムール
    • P. caeruleum subsp. laxiflorum var. paludosum (Koji Ito) T.Yamaz. クシロハナシノブ[13] 南千島、北海道道東、サハリン
    • P. caeruleum subsp. laxiflorum f. albiflorum Tatew. シロバナカラフトハナシノブ[14]
    • P. caeruleum subsp. laxiflorum f. insulare Koji Ito レブンハナシノブ[15] 礼文島
  • P. caeruleum subsp. yezoense (Miyabe et Kudô) H.Hara エゾノハナシノブ(広義)[16] 本州中部以北、北海道
    • P. caeruleum subsp. yezoense var. nipponicum (Kitam.) Koji Ito ミヤマハナシノブ[17] 北アルプス・南アルプス
    • P. caeruleum subsp. yezoense var. yezoense Miyabe et Kudô エゾノハナシノブ[18] 北海道、青森県白神山地

日本産ハナシノブ属の分類(POWOによる)

POWOでは、日本産ハナシノブ属について以下の3種を認める見解を取っている。

  • P. kiushianum Kitam.[19](ハナシノブなどの学名をシノニムとする)
  • P. caeruleum L.[20](エゾノハナシノブを亜種、ミヤマハナシノブを変種として含む)
  • P. chinense (Brand) Brand[21](カラフトハナシノブ、シロバナカラフトハナシノブ、レブンハナシノブ、トウハナシノブなどの学名をシノニムとする)

利用

欧米産の種が鑑賞用に栽培されるほか、全草または根茎に薬用成分を含むとされ、漢方で用いられる[1]。栽培にあたっては、高性種は花壇の縁取りなどに用い、背の低い高山植物の種はロックガーデンに植える。耐寒性は強く、秋または春にコンテナへ播種して育てるほか、株分けも可能。うどんこ病が発生することがあるので注意を要する[3]

脚注

参考文献

外部リンク

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