バカロレア・フランセ・アンターナショナル

From Wikipedia, the free encyclopedia

バカロレア・フランセ・アンターナショナル(Baccalauréat Français International,  BFIは、フランス教育省の制度のもとで実施される、フランスの一般バカロレアBaccalauréat général)に付加される国際教育オプションである。

この記事は、フランスの教育制度における国際教育課程に関するものである。本記事では、BFIを履修する国際セクションにおける教育過程(La préparation au BFI[1])を、便宜上「BFI履修課程」と表記する。

BFIは、旧制度であるオプション・アンターナショナル・デュ・バカロレア(Option Internationale du Baccalauréat, OIB)を継承・再編して導入された国際教育オプションである。2022年、フランス教育省はOIBを再編し、名称・構造を明確化した新たな国際教育オプションとしてBFIを導入した。BFIを履修した最初の卒業生は、2024年に一般バカロレアを修了している。[2]

BFIは独立した資格や別個の学位ではなく、一般バカロレアに付与されるmention(フランスのバカロレア制度において、学位そのものを変更するものではなく、特定の教育課程および評価体系を履修したことを示す公式な付記区分)であり、フランス語と外国語による教育を組み合わせた国際セクションで2年間のBFI履修課程を修了したことを認定する。BFI履修者は、一般バカロレアと同一の学位を取得しつつ、言語・国際科目においては専用の試験および評価体系が適用され、mentionが付与される。

BFI履修課程では、高度な外国語運用能力、多文化理解、国際的な教養教育を特色とした多言語・多文化人材の育成を重視する。外国語による言語・文学・文化の教育に加え、非言語科目(Discipline non linguistique, DNL)としての歴史・地理、または中国語BFIにおいては数学の履修が含まれる。

国際セクション[3]においてseconde学年(高校1年相当)に在籍する生徒は、原則としてBFI履修課程への進級資格を有する。フランス国内および海外のフランス教育機関に在籍している外国籍の生徒のみではなく、高い外国語運用能力を有するフランス語話者の生徒も対象としている。

なお、BFIはジュネーブにある国際バカロレア機構が創設した国際バカロレア(IB)とは異なる理念と制度設計に基づくものであり、直接の関連はない。

教育内容

BFIを実施する国際セクションは、多くの場合seconde学年(高校1年生相当)までの体系的な言語教育を基盤とする、言語・文化教育と外国語による非言語科目教育を組み合わせた継続的な課程を構成している。[4]BFIを履修する生徒は、première学年(高校2年生相当)より、一般バカロレア(Baccalauréat général)に向けた教育課程に加え、以下のBFI履修課程を2年間にわたって履修する。[5]

言語・文化深化(ACL:Approfondissement culturel et linguistique)

ACLは、外国語による言語・文化教育を強化する科目である。この科目では、高度な外国語運用能力の習得にとどまらず、文学、文化、社会、思想、評論などの学術的内容を扱う。

世界理解(CDM:Connaissance du monde)

世界理解は、BFI特有の科目であり、外国語により週2時間実施される。地政学、思想史、現代の世界が直面する諸課題の理解、対象言語圏の文化や文明、および各生徒が主体となって取り組む海外パートナーとの共同プロジェクトを含む。

主に以下の分野を扱う。

  • 現代世界の諸課題(地政学、環境問題、社会問題)
  • 文化・文明
  • 国際的な思想史
  • 海外パートナーとの共同プロジェクト

非言語科目(DNL:Discipline non linguistique)

非言語科目(DNL)として、原則として歴史・地理(中国語セクションを除く)、または中国語BFIにおいては数学が外国語で教授される。歴史・地理の場合、週4時間の授業が実施され、その半分は外国語、残り半分はフランス語で行われる。この時間割は、共通教育における週3時間の歴史・地理の授業に代わるものである。数学(中国語セクション)では、共通教育の科学教育(enseignement scientifique)に加えて週1.5時間が追加される。

DNLで扱われる内容は、フランスの国家教育課程に基づいて構成されており、一般バカロレアと同様に、学術的理解と論述能力が求められる。国際セクションにおいては、当該言語・文化圏の歴史的・地理的特性を考慮した内容調整が認められている。[6]歴史・地理では、古代から現代に至る通史的理解、地政学、グローバル化、環境問題などを扱い、学術的な論述能力および批判的思考力の育成が重視される。

BFIの試験

2021年のバカロレア改革以降、BFI履修者は一般バカロレアのpremière学年(高校2年生相当)およびterminal学年(高校3年生相当)において、他の生徒と同一の試験を受験する。そのうえで、以下の3つのBFI固有の試験が追加される。

言語・文化深化(ACL)の試験

筆記試験および口頭試験からなり、第1外国語(LVA)または第2外国語(LVB)における継続評価(contrôle continu, 授業期間を通じた総合評価)に代わって実施される。

非言語科目(DNL)の試験

歴史・地理、または中国語セクションにおいては数学を対象とし、筆記試験および口頭試験からなる。これらは、共通教育における歴史・地理、または科学教育の継続評価に相当する試験として実施される。

世界理解(CDM)の試験

口頭試験のみで実施され、一般バカロレアの共通試験体系に追加される。

評価(バカロレア)

一般バカロレアでは多数の科目の成績が比較的均等に評価されるのに対し、BFIでは一般バカロレアとは配点が異なる。BFI科目による口頭試験および論述試験の成績は、バカロレア最終評価(coefficient)に組み込まれるため、語学力および外国語による学術的理解・論述能力を重視する評価体系となっている。

対象言語

日本語BFI実施校

2024年1月23日付省令(arrêté, フランス教育省による公式文書)[7]では、BFIを実施する国際セクションの一覧が定められている。実施校は年度や教育体制により変動する可能性がある。

日本語BFIは以下の学校で実施されている。

履修条件

BFI履修をめざす国際セクション(Section Internationale)では、言語教育と文学・文化教育を統合した課程が設けられている。première学年(高校2年生相当)からの一般生徒の受け入れも可能だが、多くの学校では、CEFR B2相当以上の言語能力を求められることが多い。国際セクションの継続履修者は、進級要件を満たす場合、継続してBFIに対応する教育課程を履修することができる。

BFIにおける日本語の到達水準

関連項目

出典

Related Articles

Wikiwand AI