フェニル化合物はベンゼンから (C6H6) 誘導されたとみなすことができる。電子的性質に着目したとき、フェニル基はビニル基と似ている。フェニル基は疎水性である。フェニル化合物は非常に安定なので、酸化・還元を受けにくい。
フェニル化合物はたいてい、フェニルアニオンやフェニルカチオンを供給する試薬から誘導される。代表的な試薬はフェニルリチウム (C6H5Li) と フェニルマグネシウムブロミド (C6H5MgBr) である。求電子試薬はベンゼンを攻撃し、フェニル化合物を与える。

- E+ (electrophile、求電子試薬) として代表的なものは、Cl+、NO2+、SO3H+である。これらの反応は芳香族求電子置換反応と呼ばれる。
- 代表的なフェニル化合物
アトルバスタチンは画期的新薬で、2つのフェニル基と1つの
p-フルオロフェニル基を持つ。
フェキソフェナジンも画期的新薬で、ジフェニルメチル基を持つ。
ビフェニルは2つのフェニル基を持ち、2つの環は同一平面上には無い。
フェニル基は多くの天然・合成有機化合物に含まれている。天然物の中で最も多量に存在するのはフェニルアラニンで、これはフェニル基を持つアミノ酸である。石油化学工業における主要生成物であるベンゼン、トルエン、キシレンは、フェニル化合物の骨格を担う。ポリスチレンはフェニル基を持つモノマーから合成され、その剛性や疎水性はフェニル環の存在によるものである。
フェノール、C6H5OH は最も単純なフェニル化合物の1つである。フェノールはエタノールのような脂肪族アルコールより酸性度が強い。フェノールとエタノールのpKaはそれぞれ 9.95 と 15.9 である。このことはしばしば共鳴理論により説明されるが、フェノールのsp2α炭素と脂肪族アルコールのsp3α炭素の電気陰性度の違いも重要である[2]。