フラグミペディウム・ロンギフォリウム

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フラグミペディウム・ロンギフォリウム
Phragmipedilum hartwegii
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ラン科 Orchidaceae
亜科 : アツモリソウ亜科 Cypripedioideae
: フラグミペディウム属 Phragmipedium
: フラグミペディウム・ロンギフォリウム P. longifolium
学名
Phragmiprdium longifolium (Warsz. & Rchb. f.) (1896)
図版

フラグミペディウム・ロンギフォリウム Phragmipedium longifolium (Warsz. & Rchb. f.) (1896) はラン科フラグミペディウム属植物の1つ。細長い葉を持つもので、この属ではもっとも分布が広く、変異も幅がとても大きい。

岩の上に着生する多年生の草本[1]。束になって生え、葉を扇のような形で出す。その大きさは変異の幅が広く、成長したものでその草丈は花茎を含めて25cmから100cmまで、花茎はその高さが2mに達するものまで知られている。葉は線形から狭い槍型でほとんどの場合に革質をしており、緑色から深緑色になっている。葉の縁は僅かに外向きに巻き、先端は尖っており、長さは15~50cm、幅は3~5cm。

花序は穂状の総状花序で、花茎は直立して伸び、花は順次開花する。花茎の丈は30~40cmが普通であるが、2mに達するものまで知られる。花茎は円柱形で暗緑色をしており、その中ほどには2枚の緑色をした苞葉がある。この苞葉は卵形で2つ折れになっており、長さは6~8cm、幅2~3cmで緩く花茎を包む。花の基部には苞葉があり、やはり卵形で2つ折れになり、長さは7~8cm、幅2.0~2.5cmで緑色から成熟時には暗紫色になる。花は緑から黄色の地色に萼では紫の筋が入り、側花弁では基部が緑色、先端に向けて紫を帯び、また基部側の半分の区域で縁が白くなっている。背萼片は卵形で反り返り、縁は波打っており、先端は鈍く尖り、長さ4.5cm、幅2cmで、16本の脈が走り、脈は暗赤色と緑色をしている。側萼片は左右が融合して広卵形をしており、長さ75~80mm、幅は7.0~7.5mm、縁は波打ち、先端は鈍く尖っていて、先端に向かって曲がっている。また向軸側の表面の基部側に紫色の毛があり、先端側では細かな毛が密生している。袋状の唇弁は3裂しており、大きさは長さ5.0~5.7cm、幅2.0~2.5cm、側方の裂片は平らで内に折り込まれる。中央の裂片はスリッパ状で背面に顆粒があり、基部に白い突起がある。蕊柱は長さ6.5mm程で仮雄蘂は三角状をしていて長さ7.5mm、幅9.0mm程度あり、その側面には暗紫色の突起がある。柱頭は長さ5mm、幅6mmで仮雄蘂に隠され、その表面には細かな突起が一面にある。花粉塊は顆粒状になっている。

分布と生育環境

中米のコスタリカから南米のエクアドルに渡って分布しており、これは本種の属するフラグミペディウム属の種では最も広い分布域である[2]。標高としては本属の多くの種が中程度からより高い地域に分布しているのに対して、本種はそれに加えて海水面レベルの地域にまで見られる。

よく見られるのは河川の流水やの周辺の岩の上、河床などである[3]。この植物は岩の上を覆う腐植土に根を広げるが、その根が岩盤に固着することはない[4]。また希ではあるが地上に生育しているものも見られる。

分類など

フラグミペディウム属には南アメリカに16種ほどが知られる。この属は従来より節に分けることが行われており、本種はその中でロリフォリア節 Sect. Loriforia に含められてきた[5]。この節のものは花茎に苞があり、花は順次開花、側花弁は細くて先に向かって細くなり、唇弁の縁に角状突起があることを特徴としている。Braem(2011) はこの属の従来の節を亜属に格上げすること、およびその中でロリフォリア節を亜属とした上でロンギフォリウム亜属 Subgen. Longifplium と改名すること、更にこの亜属を2つの節に分けることを提案している。それによると本種はロンギフォリア亜属のロンギフォリア節に含まれ、この節には以下の種が含まれる、としている。ただし下記のように本種は多形で種の区分には議論が多く、この一覧には本種に含まれる可能性のあるものが幾つか挙げられている。

  • P. brasiliense
  • P. christiansenianum
  • P. dariense
  • P. hartwegii
  • P. hirtzii
  • P. longifolium
  • P. hincksianum
  • P. roezlii
  • P. vittatum

近縁種との関係

この種は変異がきわめて大きいことでも知られ、それは広い分布域の中の地域による差も見られるが、同一個体群の中でさえ変異の幅が大きい[6]。そのために複数の同物異名が考えられており、Cervera(2020)は本種の同物異名として以下のようなものを挙げている[7]

  • P. christiansenianum
  • P. hartwegii ハートウェギイ
  • P. longifpliu, var. hartwegii
  • P. dariense
  • P. roezlii

P. hincksianum

  • P. chapadense
  • P. x roethianum
  • P. chapadense
  • P. hartwegii f. baderi
  • P. longifolium var. coloratum
  • P. longifolium var. glacile
  • P. longifolium f. minutum
  • P. longifolium var. splendidum
  • P. longifolium f. album

それらの扱いは諸説があり、例えば小学館(1994)では F. hartwegii は独立種とし、本種の下に葉幅が狭く、花も小さくて側花弁の先が赤褐色を呈するものとして var. gracile を、またやはり小型で花も小さく、花色がより赤紅色を帯びる var. roezlii を変種としており、更にそれらを独立種とする説もあることを紹介している。他方でBraem(2015)はこれら全て本種として、以下のものを品種レベルで認めるのみとしている。

  • P. longifolium
    • f. chapadense
    • f. gracile
    • f. hartwegii
    • f. roezlii
    • f. album

しかしCervera(2020)はそれら全て本種と見なし、品種としての区別さえ認めていない。

経緯

本種の最初の記載は1852年で、Heinrich Gustav Reichenberch がアツモリソウ属の種 Cypripedium longifolium と命名したことに依る[8]P. hartwegii なども19世紀にやはりアツモリソウ属の元で記載された。他方でP. roezlii はセレニペディウム属 Selenipedium の種として記載された。

利用

出典

参考文献

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