ブール値モデル
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完備ブール代数 B [1]と一階の言語 L を一つとっておく; L の非論理記号は定数記号、関数記号、関係記号からなる。
言語 L のブール値モデルは、要素 (と名前)の集合である宇宙 M と記号の解釈から構成される。具体的には、L の各定数記号には M の元を割り当て、L の各 n-項関数記号 f と M の元の各 n-つ組 ⟨a0,...,an-1⟩についての項 f(a0,...,an-1) も M の元に割り当てられなければならない。
L の原子論理式の解釈はさらに複雑である。M の元のペア a と bについて、a = bという式にはその真理値 ‖ a = b ‖ を割り当てられなければならない; この真理値はブール代数 B の元である。同様に、L の n-項関係記号 R と M の元の n-つ組 ⟨a0,...,an-1⟩について、‖ R(a0,...,an-1) ‖ という真理値を B の要素が割り当てられなければならない。
論理式と文の解釈
原子式の真理値は、ブール代数の構造を利用して、より複雑な式の真理値を再構築するのに利用できる。論理演算の場合、これは簡単で、対応するブール演算子を部分式の真理値に適用するだけでよい。例えば、φ(x) と ψ(y,z) がそれぞれ1つと2つの自由変数を持つ式であり、a,b,c が x,y,z に代入されるモデルの宇宙の要素である場合、
の真理値は単純に
となる。
ブール代数の完備性は、量化された論理式の真理値を定義するために必要である。φ(x) が自由変数 x (と、場合によっては束縛された他の自由変数)を持つ式であるならば
となる。ここで、右辺は a が M を亘って動くときの真理値 ||φ(a)|| 全ての集合の、B における上限と理解される。
このようにして論理式の真理値は完備ブール代数 B の元となる。
集合論のブール値モデル
与えられた完備ブール代数 B[1] に対してブール値モデル VB が存在する、これはフォン・ノイマン宇宙 V のブール値を用いた類似物である。(厳密には、VB は真クラスなので、モデルであることの意味を適切に解釈しなおす必要がある。) 非公式には、VB の要素は"ブール値集合"である。普通の集合 A が与えられると、すべての集合は要素であるか、要素でないかのどちらかであるが、ブール値集合が与えられると、すべての集合は A においてある一定の「メンバーシップ度」を持つ。
ブール値集合の要素もまたブール値集合であり、その要素もまたブール値集合である。ブール値集合の非循環的な定義を得るために、それらは累積的階層に似た階層で帰納的に定義される。V の各順序数 α について、集合 VBα は次の通りに定義される
- VB0 は空集合。
- VBα+1 は VBα から B への関数全体からなる集合。(このような関数は VBα の部分集合を表現している; f がこのような関数なら、x ∈ VBα に対して、f(x) の値が x がその集合の要素である度合いである。)
- α が極限順序数であるとき、VBα は β < α について VBβ の和である。
クラス VB は VBα 全ての和で定義される。
また、この構成全体をZFの推移モデル M (あるいはその断片)に相対化することも可能である。ブール値モデル MB は、上記の構成を M の内部で適用することで得られる。推移モデルへの制限は重大なものではない。というのもモストフスキ崩壊補題から、すべての"合理的な"(整礎的で、外延的な)モデルは推移モデルと同型であることがいえるからである。(モデル M が推移的でない場合、"関数"や"順序数"であることの意味について M での解釈が"外"での解釈と異なる可能性があるため、事態はより厄介になる)。
VB の要素が上記のように定義されたら、VB 上の B-値重みの付いた相等関係と所属関係を定義する必要がある。ここで VB 上の B-値重み付き関係は VB × VB から B への関数である。通常の相等関係と所属関係との混同を避けるため、‖ x = y ‖ と ‖ x ∈ y ‖ で表す。ここで x と y は VB の元である。これらは次の通り定義される:
- ‖ x ∈ y ‖ は Σt ∈ Dom(y) ‖ x = t ‖ ∧ y(t) のこととして定義される ("x は 、それが y に属するなんらかに等しいとき、y の元である")
- ‖ x = y ‖ は ‖ x ⊆ y ‖∧‖ y ⊆ x ‖ のこととして定義される ("x と y が互いに相手の部分集合であるとき x と y は等しい")、ここで
- ‖ x ⊆ y ‖ は Πt ∈ Dom(x) x(t) ⇒ ‖ t ∈ y ‖ のこととして定義される ("x の全ての元が y に属しているとき x は y の部分集合である")
記号 Σ と Π はそれぞれ完備ブール代数 B の最小上界と最大下界の演算である。
一見すると、上記の定義は循環しているように見える: ‖ ∈ ‖ は ‖ = ‖ に依存し、それは ‖ ⊆ ‖ に依存し、それは ‖ ∈ ‖ に依存する。しかし実際は、‖ ∈ ‖ の定義はより小さいランクの要素に対しての ‖ ∈ ‖ のみに依存するので、‖ ∈ ‖ と ‖ = ‖ は VB×VB から B への well-defined な関数である。
VB 上のB-値重みつき関係 ‖ ∈ ‖ と ‖ = ‖ が VB を集合論のブール値モデルにすることを示すことができる。自由変数を持たない一階集合論の各文は B に真理値を持つ; 等式の公理と(自由変数を持たずに書かれた) ZF 集合論のすべての公理は真理値1(Bの最大の要素)を持つことを示さなければならない。この証明は簡単だが、確認すべき公理が多いためそれに伴って長くなる。