プリンスグループ

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種類 複合企業
本社所在地 カンボジア
Plov Koh Pich, Phum 14, Tonlé Bassac Commune, チャムカーモン地区, プノンペン, カンボジア
設立 2015年
業種 不動産
プリンス・グループ
Prince Holding Group
種類 複合企業
本社所在地 カンボジア
Plov Koh Pich, Phum 14, Tonlé Bassac Commune, チャムカーモン地区, プノンペン, カンボジア
設立 2015年
業種 不動産
事業内容 不動産開発、金融サービス、消費者サービス
代表者 陳志
外部リンク https://www.princeholdinggroup.com/
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プリンス・グループ中国語: 太子集团控股クメール語: ព្រីនស៍ ហូលឌីង គ្រុប、英語: Prince Group、公式にはプリンス・ホールディング・グループ)は、カンボジアに拠点を置く企業である。 「カンボジア最大のコングロマリットの一つ」と評され[1]、不動産(プリンス・リアル・エステート・グループ)、金融サービス(プリンス銀行)、航空会社(カンボジア・エアウェイズ)など、様々な分野で事業を展開している[2][3]

プリンスグループは中国福建省出身の陳志(Vincent Chenとしても知られる)によって設立された。2011年、カンボジアのプノンペンで不動産事業を開始。太子房地産投資有限公司の執行副董事長である邱国興によると、太子地産は中国の「一帯一路」構想に歩調を合わせる形でカンボジアで成功をおさめた[4][5]

拡大とともに、金融、文化観光、クラブ、チェーンホテル、スーパーマーケット、飲食、航空会社、ショッピングモール経営、スーパーマーケット、銀行、カジノ、アパート、映画館、オフィスビル、プライベートジェット事業、ヨット事業、映画制作会社、ホテル、ベンチャーキャピタル会社、配車サービス、レストランなど、様々な分野に進出した。

傘下には太子地産集団、太子寰宇地産集団、太子銀行という3つの主要子会社があり、その他に太子物業、太子超市、太子大酒店などを運営している。プノンペンの太子中央広場、太子国際広場、太子幸福広場、太子現代広場、太子荘園、シアヌークビルの太子寰宇MALL、太子大酒店、太子金銀島旅居などの不動産はすべて同社によって建設された。現在でも、プリンス・グループは、31カ国に15億ドル以上の資産と投資を保有している。

陳は、サルケン元副総理に近づき、「顧問」の肩書を得る。その後も、ヘン·サムリン国会議長、フン·セン元総理、フン·マネット現総理に至るまで相次いで「顧問」の肩書き得た[6]

2017年、プリンス・グループはシアヌークビルに多額の投資を行い、「中国のカジノブームタウン」とすることで、ギャンブルが違法とされている中国本土市場をターゲットにした実店舗型およびオンラインカジノを提供するようになった[7]。2019年、オンラインカジノの犯罪化や、COVID-19パンデミックにより、カジノ・観光事業は大きな打撃を受け[7]、国際的詐欺に加担するようになる。2025年10月、米国財務省外国資産管理局(OFAC)により、超国家的犯罪組織に指定[8]。通信詐欺の共謀およびマネーロンダリング計画に関与した疑いで、米国当局によって起訴され、詐欺に関与する多くの傘下の企業が解散した。

歴史

1987年12月16日、グループの創設者である陳志は、中国福建省連江県で生まれた[9]

2011年、陳はカンボジアへ移住し、当時まだ開発の黎明期にあった首都プノンペンの不動産市場へ投資を開始する[10][4]。この事業資金について、後に「叔父から200万ドルの融資を受けて恒信房地産公司を設立した」と説明しているが、後に銀行から資金源の詳細な開示を求められた際には、その叔父の身元などを明らかにすることはなかった[11]

2014年2月16日、投資移民として正式にカンボジア国籍を取得する。国籍取得後、陳は当時の内務大臣であるサル・ケング元副首相に接近し、無報酬ながら副国務大臣に相当する地位である「顧問」の肩書を得ることに成功する。これと前後して、彼はキプロスバヌアツの国籍も取得し、中国国籍は放棄したとされる[12]

2015年、中国の「一帯一路」に歩調を合わせる形で、カンボジアに「プリンスグループ」を設立。不動産開発を中心に急速に事業を拡大させる。同年8月29日には、地域社会への貢献をアピールするため「太子地産慈善基金会」を設立した[5]

2016年2月、カンボジア政府より「勲爵」の称号を授与され、カンボジア政財界での名士としての地位を固め始める。

2017年、後に副首相となる有力政治家サー・ソカーと共に、シアヌークビルにて「ジンベイ・カジノ(Jinbei Casino、 中国語:金貝集団)」を共同設立する。中国本土では違法とされるギャンブル市場をターゲットに、シアヌークビルを「中国のカジノ都市」に変貌させるべく、実店舗およびオンラインカジノ事業を開始した[13][14][15][16]

2018年、太子グループは台湾に進出し、総統府に近い場所に本部を設置[17]。「外資系企業」を名乗り、台湾の投資家に対して年利6%を謳った不動産投資や移民計画の勧誘を行う[17]。同年、関連会社「Amiga Entertainment」が英国マン島のケイマン銀行に口座開設を申請したが、資金源が不透明であるとして拒絶される[18]

2019年、マン島の銀行が、部告発を行う非営利団体「Distributed Denial of Secrets」によってハッキング被害に遭い、前年の口座開設拒否の理由が流出する[19]。その記録から、プリンスグループが「資金源の開示を拒否した」事実が露見し、同グループが東南アジアとマン島の間でマネーロンダリングに関与していた疑いが浮上した[18]。同年、カンボジア政府によるオンラインギャンブルの犯罪化や、COVID-19パンデミックにより、カジノ・観光事業は大きな打撃を受ける[7]ラジオ・フリー・アジア(RFA)の報道によれば、2019年以降、プリンスグループはカジノからインターネット詐欺へと業態を転換することになる。

2020年7月、陳は「公爵」に昇格する。フン・セン首相の個人顧問に任命され、外遊への同行や、首相の行政専用機を実質的にチャーターするなど、政権中枢との癒着を極める。また、太子グループ傘下の「太子時計」が製造した1本2万ドルを超える高級腕時計が、カンボジア政府からASEAN首脳会議の参加国首脳への贈答品として採用された[20]

2021年、陳志率いるコンソーシアムが、キューバ最大の葉巻会社「ハバノスS.A.」の株式50%を秘密裏に取得する[21]。同年9月にはカンボジア教育省と共同で「陳志奨学金」を立ち上げ、中国金融サミット(CFS)からは「企業の社会的責任モデル賞」を授与されるなど[22]、表向きのイメージ向上を図る活動も並行して行った[22]

2025年4月、ロイター通信などの報道により、プリンスグループがパラオの米軍施設や空港の至近距離(数百メートル)で土地を賃借していることが発覚し、駐パラオ米国大使から安全保障上の脅威として名指しで批判される[23]

2025年9月、スウェーデン警察の要請により提出された文書から、2021年の「ハバノスS.A.」買収の実質的支配者がプリンスグループであることが公的に判明する。グループはこの投資からわずか5年で約20億香港ドルの利益を得たとされる[24]

2025年10月、グループの中国人幹部が台湾への入国を拒否された際、中国国民党の立法委員に接触し、入国支援の口利きを依頼していた疑惑が浮上する[25]

2025年10月14日、米国と英国政府は、プリンスグループおよび会長の陳志を含む146の個人・事業体に対する制裁を同時に発表した[26]。米国金融システムとの繋がりを遮断し、強制労働、インターネット詐欺、暗号資産資金洗浄などの犯罪行為に関与する「アジア最大の多国籍犯罪組織の一つ」を運営していると告発[26]。米国財務省によると、英領ヴァージン諸島ケイマン諸島モーリシャス、台湾、香港シンガポールに設立した会社を通じ、違法収益をカンボジア国内の合法的な経済活動と混合させていた[27]。詐欺事件に関与した関連企業として、ジンベイグループ、金福リゾートワールド、Byex取引所なども制裁を受けた[26]。制裁発表では、プリンスグループがパラオの組織犯罪グループのメンバーであるローズ・ワン(Wang Guo Dan)と協力関係にあることも指摘された[28]

2025年10月15日の深夜、カンボジア・シアヌークビルの「チャイナタウン」園区内の複数の企業が相次いで解散を宣言し、1,000人以上の外国人従業員が同夜のうちに強制的に撤退した[29]

2025年10月17日、プリンスグループ傘下の太子銀行(Prince Bank)で大規模な取り付け騒ぎが発生[30]。多数の市民が支店に殺到して預金を引き出そうとし、一部の支店は資金不足により業務を一時停止した。太子銀行はカンボジアの金融システムにおいて重要な地位を占めているため、市場にパニックが広がった。

2025年10月19日、カンボジア国立銀行(NBC)は声明を発表し、預金者保護メカニズムを発動するとともに、金融秩序を安定させるために「無制限の緊急流動性支援」を提供すると宣言した[30]

2026年1月7日、カンボジア内務省は会長の陳志を逮捕し、カンボジア国籍を剥奪した上で中国に送還したと発表した[31][32]。翌1月8日、カンボジア国立銀行は太子銀行について清算手続きに入ったことを発表した[33]

関与していた詐欺グループ

詐欺グループの拠点として特定されているのは、主にカンボジアのカンダル州プレイ・トムに建設された「金運科技園区(Golden Fortune Science and Technology Park)」をはじめとする複数の施設である。表向きは工業団地や不動産物件として公表されているが、実際には違法なオンライン賭博、インターネット詐欺、人身売買拷問強制労働の拠点となっており、米国司法省によると陳の指揮下で少なくとも10か所の詐欺施設が設立・運営されている[34]。これらの施設は、太子グループや密接な関係にある実業家を通じて管理されており、ラオスでは「Warp Data Technology」の名義でビットコインマイニングを隠れ蓑にした拠点も存在する[34]。プリンスグループ側は関与を否定しているが、企業登録データや裁判所の判決、さらにメディアの調査によって、これらが組織的な詐欺ネットワークの一部であることが明らかになっている[35]

詐欺グループは、「電話ファーム」と呼ばれる数百万個の携帯電話番号と、1,250台の携帯電話と、約7万6,000個のソーシャルメディアアカウントを用い、組織的かつ大規模な詐欺システムを構築している。被害者と親密な関係を築いて架空の暗号資産プラットフォームへ誘導する、いわゆる「殺猪盤」詐欺である[35]。従業員にはアカウントを本物らしく見せるためのマニュアルも配布されている。さらに、詐取した資金は100社を超えるペーパーカンパニーやカンボジアの「Huione Pay」、ラオスのビットコインマイニング事業を通じて複雑に洗浄されている[35]。陳志の管理する4つのビットコインアドレスを調査したところ、過去2年半で17.7億ドルを超える価値のビットコインを累積して受け取っていたことが判明している[36][37][35][38]

詐欺活動が行われている園区は、高さ10フィートのコンクリート壁と有刺鉄線で囲まれ、制服警備員によって厳重に監視され、刑務所のような環境である。内部では、人身売買や詐欺募集などで集められたベトナム人、中国人、マレーシア人などが監禁され、詐欺労働を強制されている[34]。女性に対してはポルノ撮影や売春の強要も行われている[34]。労働者が脱走を試みたり、作業効率が悪かったりした場合には、「B1」階と呼ばれる処罰エリアなどで殴打、電気ショック、車による追突といった拷問が加えられ、陳志からは「殴ってもいいが、殺してはならない」という冷酷な命令が下されていたとされる[34]。このように、外部との遮断と暴力による絶対的な服従体制を作ることで、被害者を逃げ場のない過酷な状況に追い込み、強制的に犯罪に加担させているのが実態である。

刑事告発

2020年5月、中国の公安部北京局は、プリンス・グループのオンラインギャンブルおよびマネーロンダリング(資金洗浄)への関与について捜査を開始した。2022年7月、四川省旺蒼県の裁判所は、プリンス・グループが2016年以降、違法なギャンブルによって少なくとも20億人民元(7億米ドル)の利益を得ていたと主張した。プリンス・グループの広報担当者はこの疑惑を否定し、ジンベイ・グループ (金貝集団) とは無関係であり、他の団体がプリンス・グループを不正に詐称していると述べた[7]

2025年10月、米国財務省外国資産管理局(OFAC)は、カンボジアを拠点とするプリンス・グループを、超国家的犯罪組織として指定し、関連する146の個人および企業体に対して広範な制裁を課した[8]。陳は通信詐欺の共謀およびマネーロンダリング計画に関与した疑いで、米国当局によって起訴された。司法省によると、陳は「広大なサイバー詐欺帝国」を支配し、カンボジア国内で少なくとも10ヶ所で、国際詐欺センターを運営していた。捜査の一環として、127,271ビットコイン(140億ドル超相当、これは現在までに押収された暗号資産としては最大規模)およびロンドンにある19の不動産を含む、グループの資産が凍結された[39][40]。その後、香港はプリンス・グループに関連する27億5,000万香港ドル(3億5,400万米ドル)の資産を凍結し[41]シンガポールは6つの不動産、11台の車、1隻のヨットを含む1億5,000万シンガポール・ドル(1億1,500万米ドル)のプリンス・グループの資産を押収した[42]

グループ会社

  • Prince Bank Plc. (太子銀行) - 正規の銀行ライセンスを持つ金融機関。マネーロンダリングを行っていた[8]
  • Prince Huan Yu Real Estate Cambodia Group Co. Ltd. (太子地産集団) - 不動産開発業者。詐欺拠点施設の建設・所有に関与[8]
  • Jin Bei Group Co. Ltd. (金貝集団) - 高級ホテル・カジノ運営会社。傘下の施設では、恐喝、詐欺、強制労働が報告されている。2023年に起きた25歳の中国人の殺害事件殺人にも関与している[8]
  • Cambodian Heng Xin Real Estate Investment Co. Ltd. - 詐欺ビジネスにも関与しており、Jin Bei Groupの親会社である[8]
  • Golden Fortune Resorts World Co. Ltd. - 不動産開発業者。詐欺拠点施設の建設・所有に関与[8]
  • Warp Data Technology Lao Sole Co., - ビットコインマイニング事業。陳の大量のビットコインの輸送に関与している[8]
  • Grand Legend International Asset Management Co., Ltd.:国際組織犯罪の仲介者でもある王国丹(別名:Rose Wang)が経営するパラオを拠点とする不動産会社[8]。王はパラオ華僑連合会の副会長でもある。2018年、王はパラオにカジノを設立しようと画策していた[8]
  • 天旭国際科技 - 台湾で設立されたソフトウェア開発会社。同社を含むプリンス傘下の複数のIT企業は違法なオンラインカジノのソフトウェア開発やカジノ運営支援を行っていたとされる[43]
  • ソラエン株式会社、カデア株式会社 - いずれも2026年4月18日の共同通信社の報道によりプリンスグループが日本において設立していたことが明らかとなったゲーム開発会社。ソラエンは2025年4月に神奈川県横浜市で、カデアは同年5月に東京都北区で設立されており、いずれも個人情報の収集や特殊詐欺に必要なエンジニアの確保を目的としているものとされている。両社の代表取締役はいずれも2026年3月に資金洗浄罪などで台湾当局に起訴されている[43]

関連項目

脚注

外部リンク

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