ヘリコスポリディウム属

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ヘリコスポリディウム属(ヘリコスポリディウムぞく、学名: Helicosporidium)は、トレボウクシア藻綱クロレラ目に分類される緑藻の属の1つである。クロレラ属に比較的近縁であるが、光合成能を欠き、昆虫などに寄生する。栄養体は単細胞、球形、自生胞子を形成して増殖する。宿主内ではときに4細胞性の特異なシスト(胞子)を形成する。シストは積み重なった3個の楕円形細胞と、その側面を取り巻く細長い糸状細胞からなる。シストは野外で生存可能であり、新たな宿主に感染して消化管でシストは裂開し、糸状細胞がほどけて組織内に侵入する。同じく非光合成であるが基本的に自由生活性であるプロトテカ属に極めて近縁であり、系統的にはこれに含まれることが示されている。

宿主内の栄養細胞は単細胞性、球形、直径 2–6 µm[2]。細胞は1個のを有し、また構造としては見つかっていないが、DNA情報からは非光合成の色素体(白色体)をもつことが示されている[3]色素体DNAは縮退しており、光合成に関わる遺伝子は存在しない[3]。2–8個の自生胞子を形成して増殖する[4][5]

宿主内では、しばしば4細胞性の特異なシスト胞子ともよばれる)を形成する[4][6][3]。シスト形成は、宿主の蛹化時に起こるともされる[5]。このシストは3個の楕円形の細胞(ovoid cell)が積み重なっており、その側面が1個の細長い糸状細胞(filament cell, “harpoon cell”)によって3–4周取り巻かれ、これら4細胞が共通の細胞壁で囲まれている[4][6][5](下図2a)。培養下ではシスト形成は見られないが宿主に感染させるとシストを形成することから、シスト形成には宿主由来の刺激が必要であると考えられている[3]

2a. シスト(走査型電子顕微鏡像)
2b. 裂開したシスト: E = 細胞壁の破片、F = 糸状細胞、O = 楕円細胞(走査型電子顕微鏡像)

このシストが感染体であり、経口感染し、消化管内でシストが裂開、糸状細胞がほどけて腸上皮に刺さり、周膜に大きな損傷を与えることで、糸状細胞や残りのシストが血体腔に侵入し、増殖する[4][3](図1, 2b)。糸状細胞は膨張し、自生胞子を形成し、これが栄養細胞になる[3]。ヘリコスポリディウムは血体腔内で高密度に増殖し、宿主における血リンパの色の変化や体重増加低下、運動性低下が起こることがあるが、宿主の形態に対する影響は知られていない[3]。実験的な感染率や死亡率は多様であるが、ヘリコスポリディウムの株によってある程度の宿主特異性があることが示唆されている[3]

感染した宿主からシストがどのようにして放出されるのかは不明であるが、宿主の崩壊や被食による感染や、卵への垂直感染が推定されている[4][3]。シストは淡水域、土壌、樹液などから見つかることがある[5]鞭毛細胞や有性生殖は見つかっていない[3]

生態

宿主として知られている生物は、ほとんどが鞘翅目双翅目鱗翅目昆虫であるが、トビムシ目甲殻類ダニ吸虫類ヘビカリフォルニアキングヘビ)からも報告されている[4][6]。基本的に血体腔内に生育するが、ヘビの例では、消化管血管心臓肝臓腎臓などから検出されている[4]。ケシキスイ類(甲虫)から単離されたヘリコスポリディウムは、鞘翅目、双翅目、鱗翅目およびダニに経口感染可能であることが示されたが、直翅目膜翅目には感染しなかった[6]

系統と分類

脚注

外部リンク

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