ペルシア語のラテン文字表記法

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ペルシア語のラテン文字表記法ペルシア語ラテン文字に置き換える際に必要となる表記法である。これは単にラテン文字に置き換える際に必要となるだけでなく、ラテン文字を介してペルシア語関連の事柄を知る際にも必要となる。

幾つかの異なるラテン文字表記法が存在し、それぞれが異なる目的を持って制定されたものである。

翻字

翻字スキーム

イラン政府公式

1967年、国際連合はイラン政府が承認した公式のガイドラインに基づいたラテン文字翻字方法を発表した。この方法では後に2000年になって「Toponymic Guidelines for the Islamic Republic of Iran」の一部として出版された[1]

Desphilic式

Desphilicは標準的な英語圏のキーボード (Latin-1) においてPersian Standard Romanization (PSR)を表示できることを目標として制定された。Desphilicはそれぞれのペルシア文字・アラビア文字に対してLatin-1の文字が一対一で対応するようにした。

さらに、Desphilicの標準翻字法はペルシア語の正書法 (ペルシア語の書物など) やすべてのペルシア語方言をLatin-1キーボードの文字へと公式に翻字する際のルールを規定しや応用する際の注意に関して記した書物を出版した。 この方法を使用してペルシア語を翻字する場合、特別なキーボードや専用のOS、特殊なソフトウェアなどを用意する必要はない。 Desphilicの標準翻字法はペルシア語の代名詞や動詞の語形変化、時制、その他文法上の事柄についてもルールを定めている。 Desphilicは[ ä š ö ü ž ğ ķ ]などの音韻に関して拡張を行ったペルシア語キーボードのレイアウトについても触れており、Unipersがペルシア語標準キーボードを定める際にも貢献している。

Eronek式

母音
Eronekタジク語音価Eronekタジク語音価
ラテンラテンキリルIPAラテンラテンキリルIPA
A aA aA a/æ/O oO oO o/ɒː/
I iI iИ и/e/U uU uУ у/o/
E eE eE e/iː/W wŪ ūӮ ӯ/uː/
子音
Eronekタジク語音価Eronekタジク語音価
ラテンラテンキリルIPAラテンラテンキリルIPA
B bB bБ б/b/P pP pП п/p/
C cŞ şШ ш/ʃ/Q qQ qҚ қ/ɣ/
D dD dД д/d/R rR rР р/ɾ/
F fF fФ ф/f/S sS sС с/s/
G gG gГ г/ɡ/T tT tТ т/t/
H hH hҲ ҳ/h/V vV vВ в/v/
J jƵ ƶЖ ж/ʒ/X xX xX x/χ/
K kK kK k/k/Y yJ jЙ й/j/
L lL lЛ л/l/Z zZ zЗ з/z/
M mM mМ м/m/''ъ/ʔ/
N nN nН н/n/-- [ハイフン]
複合音
Eronekタジク語音価Eronekタジク語音価
ラテンラテンキリルIPAラテンラテンキリルIPA
tcC cЧ ч/t͡ʃ/aw(av)(aв)/æʊ/
djÇ çҶ ҷ/d͡ʒ/uw(av)(aв)/oʊ/

Eronek (発音:/irɒːniːk/, 「イランの」を意味する) は2010年にOmid Ghayourによって提唱された翻字方法であり、現代イラン語を表記するために作成された。

このシステムは現代ペルシア語を含む現代イラン語を記述するために作成されており、ラテン文字のみを使用して構成されている。

目的

現代ペルシア語を含む現代イラン語に対し、ラテン文字と一対一で対応する表記方法を提供すること。読み手の国籍やペルシア語への習熟レベルによらず、現代ペルシア語や現代イラン語を読み、記述できるようにすることを目的とする。

この方法が提案された理由については、2010年に開催された国際数学者会議において、人工言語Sanivesta[2]の研究者であったOmid Ghayourが古代のペルシア語圏内出身の数学者を集めてMathistanというグループを結成することを企図していたからであると言われている。そして、例えばイランのペルシア語やタジキスタンのタジク語、これらはどちらもイランで話されている言語であるが、一方はペルシア-アラビア文字を使用しているが、他方はキリル文字を使用しており、他方の文字の使用方法について詳しい者は皆無に近い状態にある。しかし、これら二つの言語はイラン国内では一般的とは言えない文字であるラテン文字の表記に直すと非常に似通っている。よって、中立的な立場をとり、イラン人以外の人々にも使用が可能なラテン文字の表記方法を提案したとされる。

このことを前提とすると、もしあなたの言語がWYHIWTS/WYSIWTH言語 (What You Hear Is What They Said/What You Say Is What They Hearの略称) であった場合、WYRIWTW/WYWIWTR筆記法 (What You Read Is What They Wrote/What You Write Is What They Readの略称) を使用した言語で表記したほうが良いということになる。Eronek式表記法は現代ペルシア語やその他イラン国内で使用されている言語を表記するために提案された。

使用法

Eronek式表記法はウィキペディアやMatheistanなどの国際的な会合、Omid Ghayourの個人ブログなどで使用されている[3]

UniPers式

母音音価母音音価
A a/æ/I i/i/
 â/ɒː/O o/o/
E e/e/U u/u/
子音音価子音音価
B b/b/Q q/ɣ/
C c/tʃ/R r/ɾ/
D d/d/S s/s/
F f/f/Š š/ʃ/
G g/ɡ/T t/t/
H h/h/V v/v/
J j/dʒ/W w/w/; ow, xwとしてのみ使用
K k/k/X x/χ/
L l/l/Y y/j/
M m/m/Z z/z/
N n/n/Ž ž/ʒ/
P p/p/'/ʔ/
複合音音価複合音音価
xwxow/oʊ/

UniPers (Universal Persianの略称) 式は「Pârsiye Jahâni」とも呼ばれ、ペルシア語ラテン文字に翻字するために作成された。このシステムではLatin-1のラテン文字に加えてÂ/â, Š/š, Ž/ž, アポストロフィを使用する。ペルシア語の音韻を完全に再現することができるよう最小のルールで設計されている。

この方法もまた、ペルシア語の読み書きに関して、彼らの国籍やペルシア語の習熟レベルによらず殆どの者がペルシア語を読み書きできるようにすることを目的として設計されている。Uni-Pers式もまた、ペルシア語話者以外の人々が対応するラテン文字を理解しやすいようなペルシア語キーボードのレイアウトを規定している。

このシステムの製作者はシステム制作に際し以下のような基準を定めて制作したと述べている。

ラテン文字のみを使用した翻字システムとし、ダイアクリティカルマークなどの記号やルールは最小限にとどめた。
言語の音価やシステム内で使用される文字はラテン文字表記と一対一で対応するようにする。
言語の標準的な発音とシステムで使用する音価が一致するようにした[4]

また、Persáと呼ばれる近年創出されたラテン文字ベースのアルファベットはUnipersと似た目標を掲げて創出されたものである。

導入

上に示したアルファベット規則は読み書きを容易にし、読み手がスペルを見て単語の発音ができるようにする。また、書き手が発音からラテン文字表記ができるようにする。UniPers式のアルファベットと規則はこの基本原則にもとづいて構築されている。UniPers式ラテン文字翻字の目的を以下に示す。

目的

標準的なペルシア語の音素と対応した単純明快かつ一貫性があるラテン文字表記の提供。
ペルシア語の読み書きに関して、彼らの国籍やペルシア語の習熟レベルによらずほとんどの者がペルシア語を読み書きできるようにすること。

使用

UniPersの使用法を見ることができる場所としてはウィキペディアがある。

公理

UniPers式表記法には5つの公理がある[5]

  1. 表記法はペルシア語に対して用いられるものであり、他の用途に使用されるべきではない。他の言語には適用されない。
  2. アルファベットと数詞に関しては、必要であればダイアクリティカルマークなどの記号を付加する。
  3. 表記の単純さ、使用の容易さを優先する。表記はペルシア語で広く使用される翻字を使用するものとし、ダイアクリティカルマークなどの記号は最小に留める。
  4. アルファベットの各々の文字は標準的なペルシア語の音価と対応していなければならない。全てのペルシア語の標準的な音韻はラテン文字表記と一対一で対応していなければならない。この対応に関しては、ダイアクリティカルマークなど他の記号を援用することは許されない。
  5. 表記ルールや規定には従わなければならない。また、ペルシア語の標準的な発音や流れに反するようなものであってはならない。

バハイ教に関するペルシア語ラテン文字化

ショギー・エフェンディーが定めた、バハイ教に関する用語のラテン文字表記システムは1923年3月12日に一般文書で示された[6]。バハイ教の翻字スキームは1894年9月にジュネーヴで開催された第10回国際東洋学者会議によって採択された方法に基づいている。ショギー・エフェンディーは会議で採択された方法に若干の変更を加えた。特筆すべきものとしては二重音字の使用 (例:šの代わりにshを使用) やal- (アラビア語: ال)の後に太陽文字が来た場合、発音に則し表記を変更する点 (例:al-Rahim, al-Saddiqの代わりにar-Rahim, as-Saddiqを使用) などを導入した。

この翻字方法はUniPersとは大きな隔たりがあり、特に母音の表記において顕著である。例えば、UniPers表記における"Tehran"は多くのバハイ教の翻字では"Tihran"となる。バハイ教の殉教者で女性人権活動家のターヘレの名前において、UniPersの翻字では「Tahereh」となるが、バハイ教の書物ではTáhirihであり決して「Tahereh」と表記されることはない。Taherehのようなケースにおいて「i」を使用することは、バハイ教のラテン文字表記システムが現代イランの国語発音よりもむしろペルシア語の表記に忠実であることを強調していると見られている。バハイ教によるペルシア語のラテン文字表記法に関する詳しい紹介は通常バハイ教の書物に見ることができる。

ASCIIによるインターネットにおけるラテン文字表記

ペルシア語のラテン文字は特にブログへのコメントやSMS、携帯電話において一般的である。以下は音価に対応した表記の一例である。

インターネットにおけるラテン文字表記
A aAA aaB bCH chD dE eF fG gH hI i
/æ//ɒː//b//tʃ//d//e//f//ɡ//h//i/
J jK kL lM mN nO oP pGH ghR rS s
/dʒ//k//l//m//n//o//p//ɣ//ɾ//s/
SH shT tU uV vW wKH khY yZ zZH zh'
/ʃ//t//u//v//w//χ//j//z//ʒ//ʔ/

タジク語のラテン文字表記

タジク語もしくはタジク・ペルシア語はペルシア語の1分派である。これらの言語は1926年から1930年代のタジク・ソビエト社会主義共和国においてはラテン文字で表記されており、その後公式表記がキリル文字へと変更された。しかし、タジク語の音韻はイランのペルシア語のラテン文字表記とは多少違いがある。

タジク語のラテン文字表記
A aB ʙC cÇ çD dE eF fG gƢ ƣH hI iĪ ī
/a//b//tʃ//dʒ//d//e//f//ɡ//ʁ//h//i//ˈi/
J jK kL lM mN nO oP pQ qR rS sŞ şT t
/j//k//l//m//n//o//p//q//ɾ//s//ʃ//t/
U uŪ ūV vX xZ zƵ ƶ'
/u//ɵ//v//χ//z//ʒ//ʔ/

トルコ語-ペルシア語ラテン文字表記

数詞基数詞序数詞
WAペルシア語トルコ語ペルシア語ペルシア語トルコ語ペルシア語
0 ۰ SefrSefr صفر Seferom صفرم
1 ۱ YekYek یک Aval, Yekom, NoxostEvvel, Yekom اول‌، نخست
2 ۲ Do دو DovomDevvom دوم
3 ۳ SeSe سه SevomSevvom سوم
4 ۴ Cāhār (Cār)Çehar چهار CāhāromÇeharom چهارم
5 ۵ PanjPenc پنج PanjomPencom پنجم
6 ۶ ŠešŞeş شش ŠešomŞeşom ششم
7 ۷ HaftHeft هفت HaftomHeftom هفتم
8 ۸ HaštHeşt هشت HaśtomHeştom هشتم
9 ۹ NohNoh نه NohomNohom نهم
10 ۱۰ DahDe ده DahomDehom دهم
11 ۱۱ YāzdahYazde يازده YāzdahomYazdehom يازدهم
12 ۱۲ DavāzdahDevazde دوازده DavāzdahomDevazdehom دوازدهم
13 ۱۳ SizdahSizde سيزده SizdahomSizdehom سيزدهم
14 ۱۴ CāhārdahÇeharde چهارده CāhārdahomÇehardehom چهاردهم
15 ۱۵ PānzdahPanzde پانزده PānzdahomPanzdehom پانزدهم
16 ۱۶ ŠānzdahŞanzde شانزده ŠānzdahomŞanzdehom شانزدهم
17 ۱۷ HefdahHifde هفده HefdahomHifdehom هفدهم
18 ۱۸ HejdahHicde هیجده HejdahomHicdehom هیجدهم
19 ۱۹ NuzdahNuzde نوزده NuzdahomNuzdehom نوزدهم
20 ۲۰ BistBist بيست BistomBistom بيستم
30 ۳۰ SiSi سی SiyomSiyom سی ام
40 ۴۰ CehelÇehel چهل CehelomÇehelom چهلم
50 ۵۰ PanjāhPencah پنجاه PanjāhomPencahom پنجا هم
60 ۶۰ ŠastŞest شصت ŠastomŞestom شصتم
70 ۷۰ HaftādHeftad هفتاد HaftādomHeftadom هفتادم
80 ۸۰ HaštādHeştad هشتاد HaštādomHeştadom هشتادم
90 ۹۰ NavadNeved نود NavadomNevedom نودم
100 ۱۰۰ SadSed صد SadomSedom صدم
200 ۲۰۰ DevistDivist دويست DevistomDivistom دويستم
300 ۳۰۰ SisadSised سيصد SisadomSisedom سيصدم
400 ۴۰۰ Cāhār sadÇehar sed چهارصد Cāhār sadomÇehar sedom چهار صدم
500 ۵۰۰ PānsadPansed پانصد PānsadomPansedom پانصدم
600 ۶۰۰ Šeš sadŞeş sed شش صد Šeš sadomŞeş sedom شش صدم
700 ۷۰۰ Haft sadHeft sed هفت صد Haft sadomHeft sedom هفت صدم
800 ۸۰۰ Hašt sadHeşt sed هشت صد Hašt sadomHeşt sedom هشت صدم
900 ۹۰۰ Noh sadNoh sed نه صد Noh sadomNoh sedom نه صدم
1000 ۱۰۰۰ HezārHezar هزار HezāromHezarom هزارم

トルコ・ペルシア語はペルシア語の表現から文字をそのまま一対一で対応させても参照できる単語が多く、ペルシア語のボキャブラリーを多く取り入れているトルコ語アナトリア方言もしくはアゼルバイジャン語などは古代ペルシア文学の影響を受けているオスマン語に近い。トルコ語は表面上はペルシア語とさほど互換性はないが、トルコ語にはペルシア文学より多くの借用語を持つオスマン語と共通性があり、ペルシア語と共通性のある単語について独特の方法で発音などの点に関して「トルコ語化」して使用しており、現代ペルシア語の標準的な発音に似た発音は即座に取り除かれている。

以下にトルコ語版ウィキペディアのtr:Farsça Sözcüklerから採られた例において、標準的なペルシア語をトルコ語ラテン文字アルファベットに翻字したものと、トルコ・ペルシア語の正書法に基づいた表記法の違いを示す。

以下の示すのはアゼルバイジャン語版ウィキペディアにあるペルシア語の詩の一節であり、太字az:Cahanşah Həqiqi az:Səid Səlmasi az:Məhəmməd Hadi az:Əbül-üla Gəncəviはペルシア語からアゼルバイジャン語へと翻字されている部分である。

1.

Vüsalını diləram kam ilən ze fəzli-ilah
Məni-şikəstəyə kami-vüsal beylə gərək.
Ey xətin səb'ül-məsani, vey ləbin mai-təhur,
Vey cəmalın pərtövindən sərbəsər aləmdə nur.

2.

Mən on zəmini guhərbari-paki İranəm,
Bə hər bəlayi-cəhalət nişəgəh əst təni mən...

3.

Məkatib cilvəgahi -tələəti-fəyyazi-qüdrətdir,
Məkatib pərtövü-ənvari-şəmsi-sübhi-vəhdətdir

...

Ey dəsti-sitəmkar, ayə pənceyi-mənhus!..

4.

Mara şәst salәst kәz xake-İran
Bovәd şanzdәh ta be Şirvan fetadәm.

関連項目

脚注

外部リンク

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