ホウ砂

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ホウ砂(ホウしゃ、硼砂、borax)は、鉱物(ホウ酸塩鉱物)の一種。化学組成は Na2B4O5(OH)4・8H2O(四ホウ酸ナトリウム Na2B4O7 の十水和物)。

概要 物質名, 識別情報 ...
ホウ砂
Borax crystals
Borax crystals
Ball-and-stick model of the unit cell of borax decahydrate
Ball-and-stick model of the unit cell of borax decahydrate
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ChEBI
ChEMBL
ChemSpider
EC番号
E番号 E285 (防腐剤)
KEGG
RTECS number
  • VZ2275000
UNII
CompTox Dashboard (EPA)
性質
Na
2
B
4
O
5
(OH)
4
 · 8H2O
モル質量 381.36 g·mol−1
外観 白色または無色の結晶性固体
密度 1.73 g/cm3 (十水和物, 固体)[2]
融点 743 °C (1,369 °F; 1,016 K) (無水物)[2]
75 °C (十水和物, 分解)[2]
沸点 1,575 °C (2,867 °F; 1,848 K) (無水物)[2]
31.7 g/L [2]
磁化率 −85.0·10−6 cm3/mol (無水物)[2]:p.4.135
屈折率 (nD) n1=1.447, n2=1.469, n3=1.472 (十水和物)[2]:p.4.139
構造[3]
単斜晶系, mS92, No. 15
C2/c
2/m
a = 1.1885 nm, b = 1.0654 nm, c = 1.2206 nm
α = 90°, β = 106.623°°, γ = 90°
1.4810 nm3
式単位英語版 (Z)
4
薬理学
S01AX07 (WHO)
危険性
GHS表示:
経口・吸飲による有害性
H360
P201, P308+P313
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
NFPA 704 four-colored diamondHealth 1: Exposure would cause irritation but only minor residual injury. E.g. turpentineFlammability 0: Will not burn. E.g. waterInstability 0: Normally stable, even under fire exposure conditions, and is not reactive with water. E.g. liquid nitrogenSpecial hazards (white): no code
1
0
0
NIOSH(米国の健康曝露限度):
PEL
none[5]
REL
TWA 1 mg/m3 (無水物、五水和物)[5][6]
TWA 5 mg/m3 (十水和物)[7]
IDLH
N.D.[5]
関連する物質
その他の
陰イオン
アルミン酸ナトリウム
その他の
陽イオン
四ホウ酸カリウム
関連物質 ホウ酸, 過ホウ酸ナトリウム
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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単斜晶系モース硬度2.5。比重1.7。水に対する溶解度は4.7g/100mL(20℃)。

空気中で風解しやすく、結晶水を失ってチンカルコナイト Na2B4O5(OH)4・3H2O になる。

産出地

塩湖が乾燥した跡地で産出することが多い。古くはチベットの干湖からヨーロッパへもたらされ、特殊ガラスエナメル塗料の原料だった。19世紀から20世紀にかけてはアメリカ大陸西部においてデスヴァレーなどの産出地が相次いで発見された。

今日では、アメリカロシアトルコアルゼンチンのほか、イタリアトスカーナ地方やドイツなどでも産出される。日本ではほとんど産出されない。

特性と用途

ホウ素の原料鉱石として工業的に使用されるほか、以下のようにホウ砂そのものの特性を利用した様々な用途がある。

  • 350 - 400℃に熱すると無水物になり、さらに熱すると878℃で融解して無色透明のガラス状となる。これは多くの金属酸化物を融解する性質を持つため、融剤として使われるほか、このとき金属によって特有の色を呈するため、定性分析陶芸用の釉薬溶解剤として使われる(硼砂球反応)。
  • 上記の特性を利用して鉄製品の鍛造時に鍛接材や酸化防止剤として使用。ただし日本ではホウ砂は採掘されないので日本刀など伝統的な鍛造品の制作では藁灰が使用されていた。
  • ガラスに混ぜると熱衝撃や化学的浸食に強いホウケイ酸ガラスとなるため、耐熱ガラスなどの原料となる。
  • 水溶液は弱アルカリ性となり、洗浄作用・消毒作用があるため洗剤防腐剤などに使われる。またホウ酸と同様に、の洗浄・消毒に用いられる。また、銀塩写真現像液にアルカリ調整剤として添加される。日本の国産の写真用ホウ砂(10水塩)とアメリカ産のホウ砂(7水塩)では結晶水の数が異なるため、同じ量で現像液を調合した場合にpH値がやや異なり、現像感度に差異が生じるので注意が必要である。
  • ホウ素がポリマー架橋ゲル化する反応を利用し、理科実験自由研究などでスライムを作るときによく用いられる。
  • 植物必須微量要素であるホウ素の肥料として。

また近年、米国テキサスA&M大学のジョセフ・ナジバリー (Joseph Nagyvary) 教授の研究により、ヴァイオリンの名器であるストラディバリウスのトップから、この物質が検出された。製作当時、ホウ砂はワニスの防腐剤として使われていたことが明らかになっており、それが名器の音の秘密ではないかという研究結果が、同教授によって提出されている[8]

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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