モコちゃん
日本のアニメーター・演出家
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概要
2015年にサイエンスSARUへ入社し、湯浅政明監督作品などでFlashアニメーター、原画、演出補佐などを経験した後、『平家物語』『四畳半タイムマシンブルース』『スコット・ピルグリム テイクス・オフ』などで絵コンテ・演出を担当。『ダンダダン』では副監督を務め、2026年の『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』で初監督を務めた。[1][2]
来歴
生い立ち
幼少期の約6年間を、父親の海外赴任に伴ってシンガポールで過ごした。現地では日本人学校に通った。本人は、この時期に日本語以外の言語を十分に使えない「ストレンジャー」として生活した経験が、言葉に頼らない表現への関心につながった可能性があると語っている。[2]
幼い頃から絵を描いており、幼稚園時代には映画『ジュラシック・パーク』に夢中になっていた。小学2年生の頃にテレビ放送を録画した映画『エイリアン2』を繰り返し鑑賞し、作中のゼノモーフを描き続けたことが、絵を描く楽しさを強く意識するきっかけになったという。[2]
高校生の頃には、士郎正宗による漫画『攻殻機動隊』と押井守監督による映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』にほぼ同時期に触れ、大きな影響を受けた。また、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』などを通じてアニメーション業界への関心を深めた。[2][3]
大学ではアニメーションとは異なる分野を専攻し、趣味で漫画を描いていたものの、卒業後に最初に就いた仕事もアニメーションとは別の業界だった。のちに『ミュータント・タートルズ』のアニメーションに夢中になったことなどをきっかけに、アニメーターを志すようになった。[3]
複数のアニメーション制作会社を受験したものの当初は採用に至らず、約1年間独学で絵を学んだ後、2015年にサイエンスSARUへ入社した。[2][1] 入社後はFlashアニメーターとしてキャリアを開始した。[2]
アニメーター・演出補佐時代
入社後は山代風我とともに演出補佐などを務め、湯浅政明の下でアニメーション制作や演出を学んだ。[1]
『夜は短し歩けよ乙女』『夜明け告げるルーのうた』『きみと、波にのれたら』『DEVILMAN crybaby』『日本沈没2020』など、サイエンスSARUが手掛けた作品にFlashアニメーション、原画、演出補佐などで参加した。[3][4]
演出家として
演出としての最初の仕事は、山田尚子監督による『平家物語』だった。[2] 第5話「橋合戦」で絵コンテ・演出・作画監督・原画を担当し、最終第11話でも絵コンテを担当した。
2022年にKADOKAWAから刊行された『平家物語 アニメーションガイド』では、各話の演出・絵コンテ担当者の一人としてモコちゃんのインタビューが掲載された。[5]
同年の『四畳半タイムマシンブルース』では絵コンテ・演出を担当した。サイエンスSARUの公式スタッフ情報でも、監督の夏目真悟、副監督の山代風我らとともに演出スタッフとしてクレジットされている。[6]
『スコット・ピルグリム テイクス・オフ』
2023年のNetflixアニメシリーズ『スコット・ピルグリム テイクス・オフ』では絵コンテ・演出を担当し、オープニングアニメーションの絵コンテ・演出も手掛けた。[1]
『ダンダダン』
2024年放送のテレビアニメ『ダンダダン』では副監督を務め、絵コンテ・演出のほか、エンディングアニメーションの絵コンテ・演出を担当した。[1]
第4話「ターボババアをぶっ飛ばそう」では絵コンテ・演出を担当し、原画にも参加した。
2024年11月発売の『月刊ニュータイプ』2024年12月号では、『ダンダダン』巻頭特集において、モコちゃん、オープニングアニメーションを担当したアベル・ゴンゴラ、アニメーションプロデューサーの橋本拓明による鼎談が掲載された。[7]
監督として
サイエンスSARUに『攻殻機動隊』の新作アニメーション企画が持ち込まれた際、社内から監督候補として名前が挙げられ、『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』の監督に起用された。[2][4]
同作が初監督作品となった。[1] HOUYHNHNMは、モコちゃんについて新人時代からサイエンスSARU作品の大型エピソードを担当し、「サイエンスSARUのエース」として活躍してきたと紹介している。[4]
人物・作風
名義
本名は木村翔馬。[1]
活動初期には「木村とうま」「木村透真」「モコ」など複数の名義でクレジットされており、その後は「モコちゃん」名義を主に使用している。[8]
英字ではMokochanと表記され、海外向けの公式プロフィールなどでも同表記が用いられている。[9]
「モコちゃん」という名義について本人は、一度「自分など捨てて作画機械になってしまえ」と考えたことをきっかけに、自分自身をモコちゃんと認識するようになったと説明している。ふざけて用いている名前ではなく、仕事における責任の所在を名乗るための名前だとしている。[3]
影響
自身の表現に大きな影響を与えた人物として、士郎正宗と押井守を挙げている。士郎が漫画の欄外まで作品表現の一部として使用する方法や、押井がアニメーションという媒体自体を作品表現に組み込む方法に触れたことで、メタ的な構造を持つ表現への関心を深めたという。[2]
また、幼少期にシンガポールで暮らした経験から、言葉を使わずとも伝わる表現に関心を持つようになったとしている。本人によれば、自身の絵コンテのト書きも擬音やニュアンスによる説明が多く、言語に依存しない動きや感覚を重視するという。[2]
制作姿勢
アニメーションにおける作家性について、意図的に「自分らしさ」を出すことよりも、描き手が身体を通して描く過程で自然に現れる個性を重視している。本人はこれを「身体の記名性」と表現し、監督になってからも意図的に自己表現を前面に出そうとはしていないと述べている。[3]
『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』においても、自身の解釈を強く提示することより、原作で起こった出来事を「史実」のように扱い、出来事自体を変更せずアニメーションの演出によって面白さを生み出すという方針を採った。[3][4]
評価
参加作品
テレビアニメ
- 2020年
- 『映像研には手を出すな!』 - 原画
- 2022年
- 2024年
- 2026年
- 『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』 - 監督、絵コンテ、演出、オープニング絵コンテ・演出・レイアウト[1]
劇場映画
- 2017年
- 『夜は短し歩けよ乙女』 - フラッシュアニメーション[11]
- 『夜明け告げるルーのうた』 - フラッシュアニメーション[12]
- 2019年
- 『きみと、波にのれたら』 - 演出補佐、原画、フラッシュアニメーション[13]
- 2022年
- 『犬王』 - 原画
- 『四畳半タイムマシンブルース』 - 絵コンテ、演出[6]
Webアニメ
- 2018年
- 『DEVILMAN crybaby』 - 原画、フラッシュアニメーション[14]
- 2020年
- 2023年
- 『スコット・ピルグリム テイクス・オフ』 - 絵コンテ、演出、オープニングアニメーション絵コンテ・演出[1][10]