リンダ リンダ リンダ
日本の映画作品
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『リンダ リンダ リンダ』は、2005年7月23日公開の日本映画[1][2]。監督は山下敦弘[3]。高校の文化祭でTHE BLUE HEARTS「リンダ リンダ」を演奏することになった少女たちを描いた青春映画[4][5][6][7][8]。
| リンダ リンダ リンダ | |
|---|---|
| Linda Linda Linda | |
| 監督 | 山下敦弘 |
| 脚本 |
向井康介 宮下和雅子 山下敦弘 |
| 製作 |
根岸洋之 定井勇二 |
| 出演者 |
ペ・ドゥナ 前田亜季 香椎由宇 関根史織(Base Ball Bear) 三村恭代 湯川潮音 山崎優子(ME-ISM) 甲本雅裕 松山ケンイチ 小林且弥 小出恵介 三浦誠己 りりィ 藤井かほり 近藤公園 ピエール瀧 山本浩司 山本剛史 |
| 音楽 | ジェームス・イハ |
| 主題歌 | THE BLUE HEARTS「終わらない歌」 |
| 撮影 | 池内義浩 |
| 編集 | 宮島竜治 |
| 制作会社 |
COVERS&CO. ビターズ・エンド |
| 製作会社 | 「リンダ リンダ リンダ」パートナーズ |
| 配給 |
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| 公開 |
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| 上映時間 | 114分 |
| 製作国 |
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| 言語 | 日本語 |
2005年の公開時はミニシアターを中心とする小規模上映だったが、多くの音楽家や映画人に影響を与えた[4]。その後もアメリカや韓国などでDVDを通じて人気が広がり、バンド「リンダ・リンダズ」の誕生につながるなど国境を越えて長く支持されている[4]。2025年には公開20周年を記念して4K修復版が上映された[4][5]。
あらすじ
とある地方都市の高校。文化祭を数日後に控えたある日、軽音楽部所属の5人組のガールズバンドがギターの骨折を発端に分裂してしまう。ギター、ボーカルがバンドを離れたが、ステージに立つことを諦めなかった恵、響子、望の3人。彼女たちは、たまたま目の前を通りかかった韓国からの留学生ソンをボーカルとして引き入れる。ソンは文化祭で日韓交流に関する出し物をするため、一人で準備をしているところだった。
THE BLUE HEARTSの曲をカバーすることになった4人。文化祭は3日間で本番まであと3⽇。日本語が拙いソンもカラオケで歌の練習を始める。当初、彼女たちの演奏は笑ってしまうほどお粗末なものだったが、練習を重ねるにつれて次第に息が合っていく。ライブ本番前の数日間、4人は練習の合間に、料理を作ったりお互いの恋愛の話をしたりなどして仲を深めていく。
ライブ前日に夜通しで練習をした4人は、当日の練習中に疲れで眠りこんでしまう。彼らが目を覚ました時、4人の演奏時間は既に始まっていた。土砂降りの中、体育館のステージに急ぐ4人。びしょ濡れになりながらも、残り時間わずかのところで到着。体育館は雨を逃れて集まってきた生徒や教師で溢れかえっていた。ステージに立つ4人。深く呼吸するソン。彼らの演奏が始まろうとしていた[2][7]。
登場人物
主要人物
- ソン
- 演:ペ・ドゥナ
- 韓国から来た留学生。制服のスカートが長い。バンドに誘われるまではいつも一人でいたり、小学生の女の子(美佐子)と漫画をよく読んでいた。適当に返事をする癖がある(恵に「バンドやらない?」と言われたときにすぐに「はい!」と引き受けるところなど)。他人の恋愛話が大好き。バンドではボーカル担当。血液型はB型。
- 山田響子
- 演:前田亜季
- いつもニコニコしている。友達が多い。高校生活をめいっぱい楽しみたいタイプ。同じクラスの大江一也に片想いをしている。兄が1人の普通の家庭に育つ。山田という苗字に少しだけコンプレックスがある。人と目が合うと笑ってしまう。携帯をいじっていることが多い。バンドではドラム担当。血液型はA型。
- 立花恵
- 演:香椎由宇
- 負けず嫌いですぐにムキになる性格。下級生に怖れられている。しかし、心根は他の人よりは人一倍優しい。年上の前園トモキと付き合っていた。恋愛経験豊富に見えるが、実はそうでもない。一緒にバンドを始めた丸本凛子とは近親憎悪の仲。バンドではキーボード担当だったが、文化祭での演奏では渋々ながらギターを担当することになった。血液型はO型。
- 白河望
- 演:関根史織(Base Ball Bear)
- 口数が少ない。滅多にはしゃいだりしないが、たまに熱いセリフを吐く。クールに見えて、肝心な時にヌケているところがある。4人の中では一番音楽に精通している。弟3人の長女で2DKの団地に家族と暮らす。家事担当で料理の味付けが濃い。弟3人は笹野高史の息子が演じている[9]。エンドクレジットで、ささの翔太、ささの友間、ささの貴斗と名前も出る。バンドでは現実のBase Ball Bearと同じくベース担当。血液型はAB型。
その他の登場人物
スタッフ
- 監督:山下敦弘
- 脚本:向井康介、宮下和雅子、山下敦弘[10][11]
- 製作:定井勇二、大島満、高野健一[10]
- プロデューサー:根岸洋之、定井勇二[10][11]
- アソシエイト・プロデューサー:岡本東郎
- ライン・プロデューサー:大里俊博
- 撮影:池内義浩[10][11]
- 照明:大坂章夫[10][11]
- 録音:郡弘道[10][11]
- 美術:松尾文子[10][11]
- 編集:宮島竜治[10][11]
- 監督補:大崎章[11]
- 助監督:近藤有希[11]
- スクリプター:西浜梓珠子[11]
- 製作主任:有澤広巳[11]
- 装飾:斉藤暁生[11]
- 小道具:松葉明子
- 美術補:竹村奈緒子[11]
- スタイリスト:宮田弘子[11]
- ヘアメイク:糸田雅美(ベレッツァスタジオ)
- バンドプロデュース:白井良明[10][11]
- 音楽プロデューサー:北原京子[10][11]
- 音楽:ジェームス・イハ[10][11]
- 特写:東野翠れん[10]
- 音響効果:斉藤昌利[11]
- 製作支援:プロデューサーズアカデミア
- 製作賛助:角川出版事業振興基金信託
- 協賛:大韓航空
- 協力:MUSIC ON! TV、ESP、ローランド、パール楽器製造
- 配給:ビターズ・エンド[10][11]
- 製作プロダクション:COVERS&CO.、ビターズ・エンド
- 企画:COVERS&CO.
- 製作:「リンダ リンダ リンダ」パートナーズ(COVERS&CO.、バップ、ビターズ・エンド、ケイブ)
楽曲
主題歌
- 「終わらない歌」
- 作詞・作曲:真島昌利 / 編曲・歌:THE BLUE HEARTS
挿入歌
- 「僕の右手」
- 作詞・作曲:甲本ヒロト / 演奏:ザ・パーランマウム
- 「リンダリンダ」
- 作詞・作曲:甲本ヒロト / 編曲・歌:THE BLUE HEARTS
- 「April Mirage」
- 作詞・作曲:小出祐介 / 編曲・歌:Base Ball Bear
- 「SAYONARA-NOSTALGIA」
- 作詞・作曲:小出祐介 / 編曲・歌:Base Ball Bear
- 「僕らの旅」
- 作詞:谷口翔太 / 作曲・演奏:デンキブラン
- 「Your smell」
- 作詞・作曲・演奏:谷口翔太
- 「The Water is wide」
- 唄:湯川潮音 / イギリス民謡
- 「すばらしい日々」
- 作詞・作曲:奥田民生 / 唄:山崎優子(ME-ISM)
- 「風来坊」
- 作詞・作曲:細野晴臣 / 唄:湯川潮音
- 「リンダリンダ」
- 作詞・作曲:甲本ヒロト / 演奏:ザ・パーランマウム
- 「終わらない歌」
- 作詞・作曲:真島昌利 / 演奏:ザ・パーランマウム
製作
企画
映画プロデューサーの根岸洋之によるストーリー企画が、第1回日本映画エンジェル大賞(角川出版映像事業振興基金信託)を受賞し(受賞当時の企画名は『ブルハザウルス17』)、映画製作がスタートした[6]。根岸が2003年の山下敦弘監督『リアリズムの宿』を観て、同年監督にオファーした[6]。根岸から「独特のリズム感がありますね」と褒められたという[6]。当時山下監督は、自分が女子高生の青春を描く映画に本当に合ってるのか、現場に入ってからもずっと『なんで俺なんだろう?』という疑問を持ったままだったという[6]。山下監督は劇場版35ミリは初挑戦だった[3]。
キャスティング&脚本
キャスティングは、根岸プロデューサーと山下監督の二人で、当時の若い女優たちのライブや舞台を一緒に観に行き、たくさんの候補者から選んだ[6][9]。最初からこの人でいこうと決めていた人はなく、一人一人と会い、実際に話してみて判断していく流れ[6]。最初に決ったのは立花恵役の香椎由宇で[6]、香椎は次の役を決めるオーディションのときも来てもらい、相手役として手伝ってもらった[6]。山下監督は「自然と彼女を軸にしたキャラクター作りが進んでいったような気がする」と述べている[6]。白河望役の関根史織は、デビュー前で下北沢でライブし始めたばかりの頃[2]。インディーズ時代のBase Ball Bearのライブを観に行って決めた[6]。オーディションには沢尻エリカも参加し[6]、山下監督は「10代でこのオーラかよ」と思ったという[9]。企画の初期段階では木村カエラが主演する案もあり[9]、オーディションでは「外人みたいな子がいるな」という印象だったという[9]。彼女の名もエンドクレジットで特別感謝としてクレジットされている。同じ特別感謝として加茂啓太郎や、木下ほうかもエンドクレジットで名前が表記される。当初は、留年した中島田花子が主役であった。しかし当時大阪に住んでいた山下監督が京阪神エルマガジン社が出していた情報誌の映画レビューの星取表を担当しており[6]、そのときにポン・ジュノ監督の『ほえる犬は噛まない』(2000年)を観て、ペ・ドゥナが「すごくいいな」って思っていた[6][9]。企画が進んでいく中で「彼女にお願いできないかな」と根岸プロデューサーに相談し、賛同を得て、その時点では脚本は日本人設定だったが、そこから書き直して韓国から来た留学生という設定に変えた[6][9]。ペ・ドゥナの主演作は、日本ではまだ『ほえる犬は噛まない』くらいしか公開されていなかった頃だった[9]。『子猫をお願い』のプロモーションのために来日したペ・ドゥナに「歌ができなくてもいい」「日本語ができなくてもいい」などと口説いた[2][6][7][9]。映画祭で会ったことのあるポン・ジュノのコネによって出演が決まったという。ドゥナは山下監督の『リアリズムの宿』のファンであった。
男性俳優のキャスティングについては、小出恵介は「この人、芝居が好きなんだろうな」と感じて選んだ[9]。後にあんなに有名になるとは思わなかったという[9]。松山ケンイチは格好良いけど、強烈な青森弁でそのギャップが素敵だなと思い、選んだ[9]。
撮影
映画は物語の構造上、明確な主人公はいない[6]。そのうえで4人の調和が自然に生まれたらいいなと山下監督は思っていた[6]。ぺ・ドゥナは韓国からの参加だったため、彼女が合流するのは撮影の直前で、それまでは他の3人でリハーサルを繰り返した[6]。山下監督はやり込みすぎてピークがリハーサルで来ることもあるんだなと痛感し、リハーサルをやりすぎるのもよくないなっていう反省が残ったという[6]。山下がまだ監督としては新人の立場だったのでプロデューサー陣の不安も大きく、どういう風に作品を作るのか、まだ十分に信用していなかった時期でもあり、リハーサルにもプロデューサーが立ち会って、みんなで見ながら意見を出して進めていった[6]。順撮りに近い形で撮影が進められた[6]。最後のライブシーンは実際に撮影最終日に体育館で撮った[6]。
撮影は2004年9月9日に開始され、ほぼ全てが群馬県高崎市と前橋市で行われた。場所が特定されるセリフなどはないが、群馬ナンバーの付く車が出る。主舞台となる高校は、現在では旧校舎となった前橋工業高校である[6]。同校舎は2004年7月に廃校になっており[6]、撮影時は無人だった[6]。アーケード越しにソン(ペ・ドゥナ)がバンドボーカルに誘われるシーンなど[6]、いくつかのカットはロケハン時に決められた[6]。同校舎は建物の構造自体が面白く、物理的な特徴が自然と脚本や演出にも影響を与えた気がすると山下監督は述べている[6]。他に県内の音楽センターなども使用された。フィルム・コミッションの利点が最大限に発揮された作品のひとつである。バンドメンバー4人はロケ地の群馬県前橋市に1か月間滞在し、撮影に臨んだ[12]。
オープニングは、フェイクドキュメンタリーへの偏愛を持つ山下監督自身を投影した学園祭のプロモーション・ビデオという形で幕が開けるが[6]、地方の電器屋さんのショーウィンドウにテレビが並んでいて、そこに3歳くらいの女の子がいて、ボーっと映像を眺めている。テレビからTHE BLUE HEARTSの音楽が流れてきて、それを聞いた女の子が泣き出す、そこから“十数年後”にジャンプして現在の物語が始まるという「THE BLUE HEARTSが結成された年に生まれた女の子たち」というコンセプトをもとにしたオープニングを構想していたが[6]、結局「ちょっと違うよね」という話になってボツになった[6]。
文化祭で演奏する曲を選ぶため、軽音楽部の部室にあったCDやカセットテープ、楽譜から選ぶが、候補は椎名林檎、プリプリ、BOØWY、ジュンスカ、UNICORN、JITTERIN'JINN。「古いねえ」と言いながらJITTERIN'JINNの「プレゼント」を山田響子(前田亜季)と白河望(関根史織)が口ずさんだところ、立花恵(香椎由宇)が歌詞の一節、「キリンが逆立ちしたピアス」にウケ、「それ聴こうよ」とテープを流したところ、入っていたのが「プレゼント」ではなく、たまたまTHE BLUE HEARTSの「リンダ リンダ」で、ノリがいいことから同曲を演奏することになった。『リンダ リンダ リンダ』の製作を振り返り、山下監督は音楽よりも映画ファンで、THE BLUE HEARTSは聴いたことがある程度だった[9]。今の女子高校生がTHE BLUE HEARTSを歌うのが面白いのかなというのが最初にあったという[9]。部室には様々な音楽のポスターやライブ告知、ミュージシャンの写真の切り抜き等が貼られているが、レッド・ツェッペリンと奥田民生「恋のかけら」のポスターが目立つ。
長回しが多用され[6]、さらにセリフ後の間が長くテンポが遅い[3]。オープニングでは幾つもの教室の文化祭の準備風景を頑なに“真横”にこだわり、狭い廊下の幅ギリギリにレールを敷き、移動カメラを用いて撮影している[3][6]。この間、山田響子を演じる前田亜季が、バンドメンバーたちとの会話を通じて、彼女たちがいま置かれている状況をワンカットで見せる[6][3]。山下監督は「改めて観るとちょっと照れくさくもあるけど、可愛らしいというか、若いショットだったな」などと述べている[6]。ポール・トーマス・アンダーソンの影響はあった思うなどと述べている[6]。クライマックスの文化祭のライブ・シーンでの雨降しのシーンは相米慎二監督の『台風クラブ』の影響[6]。山下監督はメンバーはライブに完全に間に合わない、というアイデアをやりたかったが、周りから反対され、ぎりぎり間に合うという形にした[3]。雨に濡れて登場するという設定だったので寒いにも関わらず、バンドメンバーは乾いたら何度も濡らされたという[7]。
劇中に登場する、主人公たちのバンド「パーランマウム」(PARANMAUM、파란 마음、韓国語で青い心=BLUE HEARTS)は、ユニバーサルミュージックよりCDもリリースされた[7]。
作品の評価
受賞歴
- 『映画芸術』2005年の邦画ベストランキング1位。
- 第79回キネマ旬報ベスト・テン6位、読者選出日本映画ベスト・テン3位。
- 第29回山路ふみ子映画賞新人女優賞(香椎由宇)。
影響
後日談
- 後日談も考えられており、望は福祉関係の学校に入り、その関係の仕事に就く、となっていた。また演奏後、バンドの4人は親友関係になるというほどでもなく、ソンが帰国するときに見送りに行くのは恵だけだという。
4K版
公開20周年を迎えて、4Kデジタルリマスター版が2025年6月に『リンダ リンダ リンダ 4K』としてニューヨークのトライベッカ映画祭でワールド・プレミア上映され、第27回上海国際映画祭ではアジア・プレミア上映が行われた[14]。8月22日からは国内でリバイバル公開された[15]。9月にはニューヨークとロサンゼルスを皮切りにアメリカで劇場公開され[16]、中国、韓国、台湾、シンガポールなどで配給が決定している[14]。韓国では100スクリーン以上で上映される[4]。
8月21日、公開前夜舞台挨拶イベントが開催され、ドゥナ、前田、香椎、関根、監督の山下が揃って登壇した。クライマックスのサプライズゲストで松山ケンイチが登場した。メインキャストの4人が揃うのは20年ぶりとなる[17]。
4K版上映に際し、山下は本作について「自分にとって“奇跡の一本”であり、その魅力を分析しきれず、いまもなお学び続けている作品」[2][4][5]「映画が自分の代表作になったし、なってしまったんだなという感覚があります」などと語っている[3]。
関連商品
DVD
- 『リンダ リンダ リンダ』(2006年2月22日、バップ)
Blu-ray Disc
- 『リンダ リンダ リンダ』4Kデジタルリマスター版(2026年1月21日、バップ)
CD
- 『映画「リンダ リンダ リンダ」オリジナル・サウンドトラック』(2005年7月20日、ユニバーサルミュージック)
- パーランマウム 「we are PARANMAUM」(2005年7月20日、ユニバーサルミュージック)
書籍
- ガイドブック
-
- 『リンダリンダリンダ』パートナーズ 監修『リンダ リンダ リンダ オフィシャルブック』(2005年、太田出版) - ISBN 4-87233-970-3
- ノベライズ
-
- 向井康介『リンダ リンダ リンダ』(2005年、竹書房文庫) - ISBN 4-8124-2233-7