純粋時間依存関数以上の差異がある二つのスカラーポテンシャル v(r, t) と v′(r, t) が与えられたとき、それぞれについてシュレーディンガー方程式を解いて得られる密度分布がそれぞれ異なることを示せば証明が成ったことになる。
この証明は、外部ポテンシャルが t0 においてテイラー展開可能であるという仮定に強く依存している。さらに、密度分布が無限遠において消失することも仮定しているため、有限系においてのみ有効である。
ルンゲ・グロスの証明は、まず外部ポテンシャルと密度分布の流れ、すなわち確率流束(英語版)との間に一対一対応があることを、ハイゼンベルクの運動方程式を確率流束に対して適応し、確率流束の時間微分を外部ポテンシャルの空間微分と関連づけることにより示す。次に、連続の方程式を用いて電子密度分布の時間微分と外部ポテンシャルの時間微分とを関連づける。
二つのポテンシャルが空間非依存項以上異なり、かつテイラー展開可能であるという仮定から、

が空間に対して定数ではないような整数 k ≥ 0 が存在することが導かれる。以降に実際の証明を示す。
ハイゼンベルクの運動方程式を用いて、外部ポテンシャル v(r, t) により決定されるハミルトニアン Hv の下での確率流束 j(r, t) は以下のように求められる。
![{\displaystyle i{\frac {\partial {\boldsymbol {j}}({\boldsymbol {r}},t)}{\partial t}}=\langle \Psi (t)|[{\hat {\boldsymbol {j}}}({\boldsymbol {r}}),{\hat {H}}_{v}(t)]|\Psi (t)\rangle }](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/168f6cd68f3184622915c76aeefa368196d3412d)
空間的に定常な項以上の差異を持つ2つのポテンシャル v および v′ を導入し、それぞれに対応する確率流束を j および j′ とすると、ハイゼンベルク方程式から次が導かれる。
![{\displaystyle {\begin{aligned}i\left.{\frac {\partial }{\partial t}}{\big (}{\boldsymbol {j}}({\boldsymbol {r}},t)-{\boldsymbol {j}}'({\boldsymbol {r}},t){\big )}\right|_{t=t_{0}}&=\langle \Psi (t_{0})|[{\hat {\boldsymbol {j}}}({\boldsymbol {r}}),{\hat {H}}_{v}(t_{0})-{\hat {H}}_{v'}(t_{0})]|\Psi (t_{0})\rangle \\&=\langle \Psi (t_{0})|[{\hat {\boldsymbol {j}}}({\boldsymbol {r}}),{\hat {V}}(t_{0})-{\hat {V}}'(t_{0})]|\Psi (t_{0})\rangle \\&=i\rho ({\boldsymbol {r}},t_{0})\nabla {\big (}v({\boldsymbol {r}},t_{0})-v'({\boldsymbol {r}},t_{0}){\big )}\end{aligned}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/8fc027caa90664ec69adac37f5f550a0fb954774)
最後の行から、2つのスカラーポテンシャルが、t0 において空間に依存しない関数以上の差異を持つならば、それらの生成する確率流束は t0 の後に無限小だけ異なることがわかる。2つのポテンシャルが t0 においては同一である場合も、uk(r) ≠ 0 を満たす k が必ず存在するので、ハイゼンベルク方程式を繰り返し適用した下式

から、確率流束が t0 の後で無限小だけ異ることが保証される。
電子密度分布および確率流束は次の形の連続の方程式により関連づけられている。

連続の方程式を、密度分布 ρ および ρ′ と、確率流束 j および j′ の差について繰り返し適用すると以下の関係式を得る。
![{\displaystyle {\begin{aligned}\left.{\frac {\partial ^{k+2}}{\partial t^{k+2}}}(\rho ({\boldsymbol {r}},t)-\rho '({\boldsymbol {r}},t))\right|_{t=t_{0}}&=-\nabla \cdot \left.{\frac {\partial ^{k+1}}{\partial t^{k+1}}}{\big (}{\boldsymbol {j}}({\boldsymbol {r}},t)-{\boldsymbol {j}}'({\boldsymbol {r}},t){\big )}\right|_{t=t_{0}}\\&=-\nabla \cdot \left[\rho ({\boldsymbol {r}},t_{0})\nabla \left.{\frac {\partial ^{k}}{\partial t^{k}}}{\big (}v({\boldsymbol {r}},t)-v'({\boldsymbol {r}},t){\big )}\right|_{t=t_{0}}\right]\\&=-\nabla \cdot [\rho ({\boldsymbol {r}},t_{0})\nabla u_{k}({\boldsymbol {r}})]\end{aligned}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/6d2aa83b34c50f16421267fe3badee715d61365b)
したがって、上式の左辺が非零になるような k が存在するならば2つの密度分布は異るといえる。左辺が消えないことは、背理法を用いて示すことができる。期待する結果の否定、すなわちすべての k に対して

が成り立つと仮定し、これを全空間積分してグリーンの定理を適用すると次を得る。

第2項は無限大球面における面積分である。有限系においては無限遠において密度分布は指数関数的に零に漸近するため、無限遠において密度分布は零であり、かつ ∇uk2(r) の増加が密度の減衰よりも遅いものと仮定すると[4]、表面積分項は消滅する。密度分布は非負であるから

が成り立つならば、すべての k に対して

が空間に対して定数であることになり、v(r, t) − v′(r, t) が空間に対して定数でないとする当初の仮定と矛盾する。以上によりルンゲ・グロスの定理の証明が成る。