ロバート・マクファーレン

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生誕 (1976-08-15) 1976年8月15日(49歳)
イギリスの旗 イギリスノッティンガムシャー州ハラム
職業 著述家、文学者
配偶者 ジュリア・ラヴェル(Julia Lovell)
ロバート・マクファーレン
生誕 (1976-08-15) 1976年8月15日(49歳)
イギリスの旗 イギリスノッティンガムシャー州ハラム
国籍 イギリスの旗 イギリス
職業 著述家、文学者
配偶者 ジュリア・ラヴェル(Julia Lovell)
子供 3人
受賞 ガーディアン・ファーストブック賞(2003年)
E・M・フォースター文学賞(2017年)
ウェストン国際賞(2023年)
ヘンリー・デイヴィッド・ソロー賞(2025年)
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ロバート・マクファーレン(Robert Macfarlane、1976年8月15日 - )は、イギリスの著述家・文学者。ケンブリッジ大学イマニュエル・カレッジのフェローであり、同大学英語学部において文学と環境人文学の教授を務める。

風景、自然、場所、人間と言語をテーマとした作品群で世界的に知られ、その著書は30以上の言語に翻訳されている。代表作には The Old Ways(2012年)、Landmarks(2015年)、The Lost Words(2017年)、Underland(2019年)、Is a River Alive?(2025年)などがある。ウォールストリート・ジャーナル紙からは「現世代で最も優れたネイチャーライティング作家」と評された[1]。2022年および2024年にはノーベル文学賞の候補として名前が挙がった[2]

ノッティンガム・ハイスクールに通った後、ケンブリッジ大学ペンブルック・カレッジで学士号を取得(1994〜97年)。その後オックスフォード大学マグダレン・カレッジにてMPhilを修了し、北京で英語教師を経験した後、ケンブリッジに戻って博士課程を開始した。2001年にはイマニュエル・カレッジのフェローに選出され、2002年に正式就任した[3]。2006年に大学講師、2022年には文学と環境人文学の教授に任命された[4]

父ジョン・マクファーレンは呼吸器科医、祖父はイギリス外交官・登山家のエドワード・ペックである。妻は中国近現代史・文学の研究者ジュリア・ラヴェル(Julia Lovell)教授であり、3人の子供がいる[5]

学術的業績

マクファーレンはケンブリッジ大学英語学部にて「人新世の文化(Cultures of the Anthropocene)」というMPhilコースを担当し、MPhil論文や博士論文の指導も行っている。研究領域は環境人文学を中心に、地質学人新世現象学・仮想化・歩行・場所論・終末論的文化など広範に及ぶ[6]。学術著作としては、2007年にオックスフォード大学出版局から刊行した Original Copy: Plagiarism and Originality in Nineteenth-Century Literature がある。同書では19世紀の英文学における「独創性」と「剽窃」の概念を分析し、ロマン主義・ヴィクトリア朝文学における創作観の変遷を論じている[7]

また、20世紀のネイチャーライティング作家ナン・シェパードJ.A.ベイカーの再評価に尽力したことでも知られる。シェパードの『The Living Mountain』(1977年)やベイカーの『The Peregrine』(1967年)の復刊にあたって序文・後記を執筆し、これらの作品を広い読者層に届けることに貢献した[8]

主な著作

書籍

  1. Mountains of the Mind|Mountains of the Mind: A History of a Fascination (Granta Books / Pantheon Books, 2003)
    - 山岳に魅了されてきた西洋の文化史を論じたデビュー作。ガーディアン・ファーストブック賞、サマセット・モーム賞、サンデー・タイムズ若手作家賞を受賞。邦訳:『心の山』(未邦訳)
  2. Original Copy: Plagiarism and Originality in Nineteenth-Century Literature (Oxford University Press, 2007)
    - 学術書。19世紀英文学における独創性と剽窃の観念を分析。
  3. The Wild Places (Granta Books / Penguin, 2007)
    - 英国・アイルランドに残る「野の場所」を探求した紀行。ボードマン・タスカー賞、スコットランド芸術評議会ノンフィクション賞、バンフ山岳祭典グランプリ受賞。
  4. The Old Ways: A Journey on Foot (Hamish Hamilton / Viking, 2012)
    - 古道・巡礼路・先史時代の道を辿る旅の記録。ドルマン紀行文学賞(共同)受賞。
  5. Holloway (Faber & Faber, 2013)
    - スタンリー・ドンウッドおよびダン・リチャーズとの共著。
  6. Landmarks (Hamish Hamilton / Penguin, 2015)
    - 風景と言語の関係を探究した作品。英国各地の方言から集めた自然・地形語彙の用語集を収録。サンデー・タイムズ第1位ベストセラー。
  7. The Gifts of Reading (Penguin, 2016)
    - 短編エッセイ。収益は難民救済団体に寄付された。
  8. The Lost Words: A Spell Book (Hamish Hamilton / House of Anansi Press, 2017)
    - アーティスト、ジャッキー・モリス(Jackie Morris)との共著。オックスフォード初等英語辞典から削除された自然語彙を詩的文章と絵画で復元。英国ブック・アワーズ児童書部門年間賞(共同)受賞。
  9. Ness (Illustrated by Stanley Donwood, 2019)
    - 長編散文詩。
  10. Underland: A Deep Time Journey (Hamish Hamilton / W.W. Norton, 2019)
    - 地下世界を旅する探求の書。ウェインライト賞(2019年)、スタンフォード・ドルマン旅行書年間賞(2020年)受賞。ニューヨーク・タイムズおよびサンデー・タイムズのベストセラー。
  11. The Lost Spells (Hamish Hamilton, 2020)
    - ジャッキー・モリスとの共著。The Lost Words の続編。
  12. Is a River Alive? (W.W. Norton / Hamish Hamilton, 2025)
    - エクアドル・インド・カナダの河川を旅しながら「川は生きているのか」を問う最新作。ニューヨーク・タイムズおよびサンデー・タイムズ第1位ベストセラー[9]

受賞・栄誉

  • 2003年 ガーディアン・ファーストブック賞(Mountains of the Mind[10]
  • 2004年 サマセット・モーム賞(Mountains of the Mind
  • 2004年 サンデー・タイムズ若手作家賞(Mountains of the Mind
  • 2007年 ボードマン・タスカー山岳文学賞(The Wild Places
  • 2008年 スコットランド芸術評議会ノンフィクション年間賞(The Wild Places
  • 2012年 王立文学協会フェロー(Fellow of the Royal Society of Literature)に選出[11]
  • 2017年 E・M・フォースター文学賞(アメリカ芸術文学アカデミー授与)[12]
  • 2020年 スタンフォード・ドルマン旅行書年間賞(Underland
  • 2022年 ノーベル文学賞の候補として報道
  • 2023年 ウェストン国際賞(Writers' Trust of Canada主催、初代受賞者)[13]
  • 2024年 ノーベル文学賞の候補として報道
  • 2025年 ヘンリー・デイヴィッド・ソロー賞(ソロー協会授与)[14]

思想・考え方

マクファーレンの著作に一貫するのは、「風景と言語と人間の相互形成」というテーマである。彼は、ある場所を言語で描写し名付けることが、その場所への注意と愛着を生み、やがてその場所を守る動機につながると主張する。Landmarks(2015年)では、英国各地の方言に存在する自然・地形語彙を収集し、これらの「場所の言葉」が失われるとともに自然への感受性や想像力も失われていくと論じた。「名前のないものは見えなくなる——言語の欠如は注意の欠如をもたらす」という彼の言葉はこの思想を端的に示す[15]

「深い時間(Deep Time)」という概念もマクファーレンの思索の核心にある。Underland(2019年)では地質学的な時間尺度、すなわち数千万年・数億年単位の時間を「深い時間」として概念化し、人間のスケールを遥かに超える時間の流れのなかに現在を位置付けることで、人間中心主義的な自然観を相対化する試みを展開した。この視点から、気候変動や核廃棄物といった現代的問題を「未来の世代への責任」として問い直した[16]

最新作 Is a River Alive?(2025年)では、こうした思索がさらに発展し、川を単なる自然資源としてではなく「生きた存在」として認識し、法律的にもその権利を認めるべきだという「自然の権利(Rights of Nature)」運動に深くコミットしている。環境正義とは人間が地球を「尊重する」だけでなく、自分たちが地球の一部であることを再認識することだと彼は訴える[17]

歩くこととの関係も彼の文学的思想の柱である。マクファーレンにとって歩行とは単なる移動手段ではなく、場所と人間が互いを形成し合う行為であり、旅の道程そのものが物語を生む根源とされる。「書くことと歩くことの連帯はほぼ文学と同じくらい古い——一歩は物語と隣り合わせであり、すべての道は語りかける」というのが彼の信念である[18]

発言

脚注

外部リンク

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