ロビンソン R44
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ロビンソン R44
- 用途:汎用ヘリコプター
- 製造者:ロビンソン・ヘリコプター
- 初飛行:1990年3月31日
- 生産数:5,300機以上
- 運用状況:生産中
ロビンソン R44(Robinson R44)とは、アメリカ合衆国のロビンソン・ヘリコプターが開発した小型ヘリコプター。1990年初飛行。
ロビンソン・ヘリコプターはロビンソン R22の開発・製造で成功を収めていた。R44は、その成功を受けて、拡大型として開発された機体である。機体のおおまかなレイアウトはR22を継承しているが、新設計の機体であり、キャビンもR22の複座から4人乗りに拡大されている。主ローターは2翅で、セミリジッド方式のハブを持つ。尾部ローターも2翅で、安定板の左側に付けられている。1986年より開発が開始され、1990年3月31日に初飛行した。1992年12月にFAAの型式証明を取得し、1993年1月から引渡しが開始されている。当初より販売成績は好調で、2011年時点で5,300機以上が生産されている。
初期型にはアストロ(Astro)との愛称が付けられ、2000年からは操縦装置に油圧補助が付いたレイブン(Raven)が開発された。2002年からはエンジンやローターが改良されたレイブンIIとなっている。
運用国
事故・インシデント
燃料タンク
R44は、アルミ製燃料タンクが損傷することで燃料が漏れ、火災が発生しやすい傾向があることが判明していた。2009年、ロビンソン・ヘリコプターは新造されるすべてのR44ヘリコプターにブラダー型燃料タンクの搭載を開始した。また2010年12月20日にはサービス・ブリテンSB-78が発行され、アルミ製燃料タンクを装備したR44に対し、事故後の燃料漏れに対する耐性を向上させるため、ブラダー型タンクへの改修が要求された。同社は、この変更を可能な限り速やかに実施し、遅くとも2014年12月31日までに完了することをユーザーに推奨した。その後、適用期限は2013年4月30日に前倒しされた[4]。
2013年3月、オーストラリア運輸安全局(ATSB)の事故調査は、過去データの分析の結果、R44の事故のうち12%が墜落後に火災を伴っていたことを明らかにした。これは、他のピストンエンジン式ヘリコプターの事故における火災発生率(7%)と比較して高い割合であった。ATSBによる米国国家運輸安全委員会(NTSB)の事故データベースの予備分析でも同様の傾向が見られ、米国ではR44の事故の15%が墜落後火災を伴っていた。
なお、これらのデータは燃料タンクの種類を考慮していないが、報告書ではブラダー型燃料タンクを装備したR44に関する4件の死亡事故にも言及しており、いずれも事故後に火災は発生していなかったとされる。ATSBは、オーストラリア民間航空安全局(CASA)に対し、R44の所有者にブラダー型燃料タンクへの改修を促す追加措置を講じるよう勧告した。通常、製造国である米国の規制当局である連邦航空局(FAA)の指令は他国でも追随されるが、FAAが改修を義務化しなかったため、CASAは独自の耐空性改善命令AD/R44/23を発出し、2013年4月30日時点で改修が未実施のR44の運航を停止した[5]。
ローター破損
2015年2月19日、ニュージーランド民間航空局(CAA)は、特定のメインローターブレード(P/N C016-7、通称ダッシュ7)に関連する事故で2名が死亡したことを受け、国内のR44ヘリコプター80機の運航停止を命じた。予備調査では、当該ブレードが飛行中に破損したと判断されていたが、これは2か月間で2度目の破損または部分破損事例であった。この措置はニュージーランド史上最大規模の航空機運航停止となった[6]。
その後の試験により、ローターブレードは墜落時の過負荷により破損したものであり、事故原因ではないと判断されたため、2015年2月24日に運航停止は解除された。ただし、CAAは当該ブレードに対する定期検査を義務付ける耐空性に関する指令の布告を維持した。民間航空局長グレーム・ハリスは「運航者の間に油断があってはならない。これらのブレードには依然として懸念があり、米国での試験結果を待って耐空性通知の見直しを行う」と述べた。ニュージーランドでの運航停止を受け、CASAも同型ブレードを装備したR44の運航停止措置を取った[7][8]。
ブラジルでの墜落
2016年12月、ブラジル・サンパウロでR44ヘリコプターが墜落し、搭乗者4名全員が死亡した[9]。
チリでの墜落
2024年2月6日、R44がチリ・ロス・リオス州ラゴ・ランコ近郊のランコ湖に墜落した。搭乗者4名のうち3名は生存し、操縦手で元チリ大統領のセバスティアン・ピニェラが死亡した[10]。
ワイト島での墜落
2025年8月25日、イングランド・ワイト島ベントナー近郊の野原で、飛行訓練中のR44ヘリコプターが墜落した。機体は午前9時頃にサンダウン空港を出発し、操縦士と乗客3名の計4名が搭乗していた。この事故で3名が死亡し、1名が重傷を負い、サウサンプトン大学病院の主要外傷センターへ空輸された[11][12]。
ドンカスターでの墜落
2025年10月30日、R44ヘリコプターがイングランド・サウスヨークシャー州ドンカスターのベントリー村の野原に墜落した。3名が負傷し、1名が死亡した[13]。
チェルピシュでの墜落
2025年11月29日、R44 II(機体記号F-HEAT)がポーランドのチェルピシュ村近郊の森林に墜落し、2名が死亡した[14]。
要目(レイブンII)
- 全高:3.3m
- 胴体長:9.0m
- 主ローター直径:10.1m
- 自重:658kg
- ペイロード:408kg
- エンジン:ライカミングIO-540-AE1A5 6気筒水平対向レシプロエンジン 245hp
- 乗員:1または2名
- 乗客:乗員含め4名
- 最大速度:240km/h
- 巡航速度:200km/h
- 航続距離:560km