令和5年台風第6号

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発生期間 2023年7月28日9時 - 2023年8月10日15時
寿命 13日6時間(318時間)[1]
最低気圧 930hPa
最大風速
(日気象庁解析)
50m/s (95kt)
台風第6号 (Khanun)
カテゴリー4の タイフーンSSHWS
衛星画像 (8月1日5時)
衛星画像 (8月1日5時)
発生期間 2023年7月28日9時 - 2023年8月10日15時
寿命 13日6時間(318時間)[1]
最低気圧 930hPa
最大風速
(日気象庁解析)
50m/s (95kt)
最大風速
米海軍解析)
120kt
被害総額 794万ドル(2023USD
平均速度 13.8 (km/時)
330 (km/日)
移動距離 4626km
上陸地点 韓国巨済市付近
死傷者数 死者7人
被害地域 カロリン諸島日本韓国
プロジェクト : 気象と気候災害
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令和5年台風第6号(れいわ5ねんたいふうだい6ごう)は、2023年7月に発生した台風である。国際名は「Khanun」[注 1]南西諸島を中心に大きな被害をもたらした。

台風6号は2023年7月28日9時にフィリピンの東で発生した台風である[2][3]

発生後しばらく北上し大型の台風になると、大東諸島の南で進路を西よりに変え、しばらく西進[4]。沖縄本島の南を通過し[5][6]、進路を東よりに変えると、もう一度沖縄本島に接近し、北上。韓国に上陸し、朝鮮半島で温帯低気圧に変わった。

また、台風は7月29日にフィリピン責任地域(PAR)に入っており、この段階でフィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)はフィリピン名「ファルコン(Falcon)」を付与している[7]

台風の動きと経過

台風の進路図
九州の西岸を北上中の台風6号

7月25日に低圧部が発生。低圧部は26日に熱帯低気圧に発達[8][9]気象庁は、この熱帯低気圧が台風に発達する見込みと発表した[10][11]

熱帯低気圧は、28日9時にフィリピンの東(北緯12.3度、東経138.2度)において台風6号になり、「カーヌン(Khanun)」と命名された[2][3]

JTWCは、熱帯低気圧形成警報(TCFA)を発し該当する低圧部に91Wを付番したのち、熱帯低気圧に発達したとして06Wを付番した。

この台風は発生当初、発達して「強い」勢力で沖縄を直撃すると予想されていた[12]。しかし、台風は予想よりも発達し、台風発生当日の15時には、強風域が広がり大型の台風となると[13][14][15]、30日15時には暴風域が発生[16][17][18]。同日21時には大型で強い勢力になり[19][20]、31日15時には南大東島の南約340キロで、大型で非常に強い勢力にまで発達した[21][22][23]

台風の勢力は8月1日がピークとなり翌2日からは徐々に衰退し始めた。

2日、台風は最大瞬間風速70m/sで沖縄本島に接近し、那覇市では4時14分に最大瞬間風速52.5m/sを観測[24]した。3日0時までの24時間降水量は、読谷村読谷で291mm、那覇市安次嶺で274.5mmなど、各地で200mmを超えた[25]

台風は沖縄本島の南を通過すると、多良間島の北の海上でほとんど停滞し[26][27][28]、3日21時には大型で強い勢力になった[29]

4日頃から台風は、もと来た進路を引き返すかのようにUターン、6日には沖縄本島北部で線状降水帯が発生[30][31][32]。台風が進路を北に変え、東シナ海を北上していくと、九州・四国の山間部で雨雲が発達し、8日21時には、熊本県と宮崎県で[33]。翌1時頃には高知県で[34]、同日1時39分に宮崎県北部と大分県南部で[35]、2時10分には愛媛県でも線状降水帯が発生した[36]

台風はゆっくり北進しながら朝鮮半島に接近。10日9時ごろに韓国南東部の巨済市に上陸[注 2]。半島を縦断した。台風の中心部が半島を縦断したのは韓国気象庁によると、史上初の事例としている[37]

急速に勢力を弱め、10日15時に朝鮮半島(北緯39.0度、東経127.0度)で温帯低気圧に降格した[38][39]。台風としての寿命は14日0時間であり、本年度発生した台風2号と同じく、統計開始史上11番目の寿命の長さとなった[40][注 3]

また台風の影響で、北陸地方ではフェーン現象が発生し、石川県小松市で40.0度、新潟県三条市で39.6度などを記録した[41]

高知市と宮崎県は太平洋から湿った風が当たる日が多かったため月を通した降水量も700mmを超えた。[42]

特徴

「迷走台風」

この台風は貿易風で西に流されて沖縄付近に達した後、勢力の強い太平洋高気圧に行く手を阻まれていた。進路に影響を与える偏西風も台風のはるか北側で東西に流れており、台風を東へ進める力が弱かった。その結果、沖縄近海に長期間とどまり、大雨や暴風などの影響をもたらし、その間南西諸島物流の大動脈である海路が欠航し、長期間再開の見通しがたたず、南西諸島の多くの島で生鮮食品の品薄、欠品が続いた[43]

被害

日本

台風が勢力のピークに達した状態で沖縄本島の南を通過した際、大宜味村で90歳の男性が倒壊した車庫の下敷きになり、その後死亡した[44]。沖縄県内では台風の影響で、約21万5800世帯が停電した。これは沖縄県全世帯の約33%にあたる。[24][45]うるま市では、停電中に使用していたとみられるろうそくによる火災で、コンクリート造の住宅が全焼。住人の80代女性が全身にやけどを負い、死亡した[46]石垣島沖では、1月下旬に座礁した撤去中のパラオ船籍の貨物船が、二つに破断した[47]

また、前述の迷走台風進路のため、南西諸島物流大動脈である海路が7月31日を最後に欠航となり、進路が引き返してきたため海路再開の目途が立たず多くの島で生鮮食品などが品薄、欠品となったが[48][49]、引き返しまでの8月3、4日に一部空路再開[50]で沖縄那覇、宮古、石垣空港に関してはJALイオングループと協力し、空路による生鮮食品の災害緊急物資輸送を実施した[51]。海路再開は台風再来後10日出港分が11日以降順次島に到着した[52]

台湾

台風の接近に伴い、台北市では13,577世帯で停電が発生した[53]

桃園市では台風が原因とみられる車両事故で4人が死亡、2人が負傷した[54]

韓国

南東部に位置する大邱広域市では、60代男性が川に流され死亡した。さらに、電動車いすの60代男性が川に落ちたと通報があり、捜索活動が行われている[55]

北朝鮮

江原道の一部地域で河川の堤防が決壊し、約200haの農地が冠水した[56]他、南浦特別市にある安石干拓地でも堤防が決壊し、水稲を植えた約270haを含む計約560haが冠水した。安石干拓地では堤防に排水構造物設置工事が十分に行われていなかったことで被害が大きくなった[57]ため、金正恩総書記は内閣や関係機関を叱責した[58]

各地の降水量

沖縄近海で停滞中の台風6号
韓国の巨済市付近に上陸する台風6号
24時間降水量(200mm以上)
都道府県地点24時間降水量観測日
宮崎県美郷町神門409.0mm8月9日
鹿児島県錦江町田代388.5mm8月9日
鹿児島県南大隅町佐多364.5mm8月9日
宮崎県椎葉村椎葉357.0mm8月9日
熊本県湯前町湯前横谷342.0mm8月9日
宮崎県小林市小林337.0mm8月9日
宮崎県西米良村西米良335.5mm8月9日
宮崎県五ヶ瀬町鞍岡330.0mm8月9日
宮崎県日之影町日之影324.5mm8月9日
宮崎県高千穂町高千穂310.5mm8月9日
宮崎県えびの市えびの高原304.0mm8月9日
鹿児島県屋久島町尾之間303.0mm8月9日
高知県馬路村魚梁瀬296.5mm8月7日
鹿児島県肝付町肝付前田[注 4]294.0mm8月9日
沖縄県国頭村国頭291.5mm8月2日
沖縄県読谷村読谷291.5mm8月2日
沖縄県那覇市安次嶺274.5mm8月2日
高知県いの町本川262.5mm8月9日
沖縄県名護市名護262.5mm8月2日
沖縄県那覇市那覇260.5mm8月2日
鹿児島県鹿屋市輝北255.5mm8月9日
沖縄県本部町本部254.0mm8月2日
沖縄県久米島町久米島245.0mm8月5日
宮崎県宮崎市田野244.0mm8月9日
鹿児島県曽於市大隅240.5mm8月9日
沖縄県渡嘉敷村渡嘉敷233.5mm8月5日
鹿児島県霧島市牧之原229.5mm8月9日
高知県本山町本山228.0mm8月9日
高知県香美市繁藤224.5mm8月9日
高知県仁淀川町鳥形山224.0mm8月9日
沖縄県粟国村粟国224.0mm8月2日
鹿児島県指宿市指宿222.5mm8月9日
沖縄県久米島町北原215.0mm8月2日
沖縄県沖縄市胡屋210.5mm8月2日
宮崎県都城市都城209.5mm8月9日
宮崎県日南市深瀬209.0mm8月9日
熊本県熊本市209.0mm8月9日
沖縄県宮古島市下地島208.0mm8月3日
鹿児島県鹿屋市吉ケ別府207.5mm8月9日
鹿児島県南種子町上中207.0mm8月2日
沖縄県宮古島市宮古島207.0mm8月3日
鹿児島県肝付町内之浦203.5mm8月9日
鹿児島県薩摩川内市八重山202.5mm8月9日
熊本県多良木町多良木202.0mm8月9日

脚注

関連項目

外部リンク

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