伊藤悠貴

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出生名 伊藤 悠貴
出身地 日本の旗 日本東京都
伊藤 悠貴
(いとう ゆうき)
出生名 伊藤 悠貴
出身地 日本の旗 日本東京都
学歴 イギリスの旗 イギリス王立音楽大学
ジャンル クラシック音楽
職業 チェロ奏者
事務所 ジャパン・アーツ
公式サイト 伊藤悠貴後援会公式サイト

伊藤 悠貴(いとう ゆうき)は日本チェロ奏者セルゲイ・ラフマニノフ作品の演奏・研究をライフワークとする。2025年、日本人チェロ奏者として初めて、デンマークの世界的弦メーカー・ラーセン(Larsen Strings)公認専属アーティストに指名された[1]イギリスロンドン在住。

ライフワークとするセルゲイ・ラフマニノフ作品の演奏において国際的に高い評価を得ており、2012年、日本人チェロ奏者として唯一の全集アルバム『ラフマニノフ:チェロ作品全集』(CHRCD044)をリリース。その後、ウィグモア・ホールロイヤル・フェスティバル・ホール横浜みなとみらいホール東京芸術劇場紀尾井ホールなどでラフマニノフの作品のみでプログラムを構成するリサイタルを開催している。その演奏はイギリスBBCNHKテレビ・ラジオ等にて多数放送され、特にチェロソナタ (ラフマニノフ)の演奏・解釈が著名である。2023年にはラフマニノフ生誕150周年を記念し、初著書『ラフマニノフ考ーチェロ奏者から見たその音楽像ー』(恵雅堂出版)を刊行[2]。チェロソナタの未出の秘話などが明かされ(後述)[3]、演奏家としては異例の学術書出版となった。 また、フランク・ブリッジフレデリック・ディーリアスジョン・アイアランドイギリス人作曲家のチェロ作品を広く紹介している。

1996年、東京児童劇団に最高得点で合格するが、同じ土曜日に開かれていた桐朋学園子供のための音楽教室に入室。チェロを倉田澄子に師事した。2004年に渡英。ロンドンでアレクサンダー・ボヤルスキーに師事、また名チェリストダヴィド・ゲリンガスの弟子となる。2015年、王立音楽大学を最優秀弦楽器奏者賞を得て全課程を首席で卒業。

16歳でロンドンにてコンチェルト・デビュー、またクロアチア各都市リサイタルツアーを行い、ヨーロッパデビュー。2010年第17回ブラームス国際コンクール、2011年第3回ウィンザー国際弦楽コンクールにて日本人チェロ奏者として初優勝、それをきっかけにロンドンを拠点に本格的に音楽活動を開始した。

2011年ウィンザー城にて行われたウィンザー音楽祭開幕演奏会のソリストとして、ドヴォルザークチェロ協奏曲フィルハーモニア管弦楽団と共演、プロ・デビューを果たす。その後国内外オーケストラと共演を重ねる他、ウラディーミル・アシュケナージ一柳慧小澤征爾ダヴィド・ゲリンガス小林研一郎スヴェトラーナ・ザハーロワヨハン・デ・メイグザヴィエ・ドゥ・メストレ英語版オウェイン・アーウェル・ヒューズジュリアン・ロイド・ウェバーなどの指揮者、演奏家、作曲家、舞踊家をはじめとする多分野にわたる世界的アーティストと多数共演を重ねている。

2012年春に英国チャンプスヒル・レコード社よりデビューアルバム「ラフマニノフ:チェロ作品全集」をワールドワイド・リリース。英国のメジャー音楽誌ストラドより「今月の一枚」に選ばれ、ラフマニノフのチェロ作品ディスクの名盤の一つとして数えられている。iTunesおよびAmazonにても入手可能。共演はリーズ国際ピアノコンクール優勝ソフィア・グルャク

2014年、ロリン・マゼールの前座リサイタルをロイヤル・フェスティバル・ホールで開催。2016年には、文豪宮沢賢治生誕120年を記念し、NHK全国放映リサイタルを開催。その映像は世界放映された(100年記念公演はヨーヨー・マが行っている)。なお、この番組におけるインタビュー中の「生まれ変わったらこの曲(ラフマニノフのチェロソナタ)になる」という言葉は各所で引用される[4]

2018年6月、イギリスの殿堂、世界三大室内楽ホールの一つであるウィグモア・ホールにて、ホール史上初となる、チェロ奏者によるオール・ラフマニノフ・リサイタルを行い、話題を呼んだ。

2019年2月5日、日本の音楽芸術文化発展への貢献を認められ、小澤征爾堤剛より、第17回齋藤秀雄メモリアル基金賞を授与された[5]

2023年11月、ラフマニノフ生誕150周年を記念した単行本『ラフマニノフ考ーチェロ奏者から見たその音楽像ー』(恵雅堂出版)を刊行。演奏家としては異例の学術書出版となる。同月、横浜みなとみらいホール大ホールにおいて、ラフマニノフ本人が所有したピアノ「ラフマニノフ・スタインウェイ」(高木クラヴィア所蔵)を世界で初めてデュオで使用し、「ラフマニノフ生誕150周年記念オール・ラフマニノフ・リサイタル」を行った。

2025年、日本人チェロ奏者として初めて、デンマークの世界的弦メーカー・ラーセン(Larsen Strings)公認専属アーティストに指名された。その他所属アーティストには、ダヴィド・ゲリンガスジャン=ギアン・ケラスダニエル・ミュラー=ショット英語版ソル・ガベッタ英語版ゴーティエ・カプソンユリア・フィッシャーらが名を連ねている[6]

2026年3月23日、ホテルオークラ音楽賞を受賞。同年4月4日、横浜みなとみらいホール大ホールにてヨハン・セバスチャン・バッハ無伴奏チェロ組曲全曲演奏会を開催。

2027年春、アメリカニューヨークカーネギーホールにリサイタルデビュー。

NHK名曲アルバムクラシック倶楽部、日本テレビ系列「NEWS ZERO」、恋するクラシック、テレビ朝日系列「題名のない音楽会」、テレビ東京系列「出没!アド街ック天国」など、日本のテレビ番組にも頻繁に出演しているほか、2017年よりラジオ冠番組「伊藤悠貴The Romantic」(OTTAVA)で司会を務めている[7]

パオロ・アントニオ・テストーレ英語版が1755年頃にミラノで製作したチェロ "Maragarites"(古代ギリシャ語で「光の子」の意)を所有している[8]

ラフマニノフのチェロソナタ

伊藤は自著『ラフマニノフ考ーチェロ奏者から見たその音楽像ー』の中で、《チェロ・ソナタ》が作曲されるまでの過程としてこれまで通説とされてきた、ラフマニノフの挫折と復活に纏わる一連の流れ(交響曲第1番初演失敗→鬱病→ダーリ博士の治療→復活→ピアノ協奏曲第2番作曲→作曲)における事実との相違を指摘している。

ラフマニノフは1897年3月の交響曲第1番(作品13)初演失敗の後、オペラ指揮者として多くの演奏会に出演する傍ら、ピアノ独奏のための小品、歌曲や合唱曲などを細々と作曲していた。ようやくその苦難から立ち直ろうとしていた頃、1900年1月に文豪レフ・トルストイとの面会の機会を得る[9]。しかし、そこで披露した自作歌曲「運命」(作品21-1)を酷評されたことで再び自信を失ってしまう[10]。その後同年1月から4月まで毎日ニコライ・ダーリ博士の催眠療法を受けたことで少しずつ回復に向かったが、それでも本格的な作曲の再開が望めるようになるにはなお数ヶ月を要した[11]

1900年7月、ついにラフマニノフは後の1906年に完成するオペラ《フランチェスカ・ダ・リミニ英語版》の主要場面である「愛の二重唱」を作曲する。これは1900年秋に着手された後述ピアノ協奏曲第2番 ハ短調よりも早い時期の作品であり、作曲家ラフマニノフの復活を裏付ける重要な作品となった[12]。そしてその秋から《ピアノ協奏曲 第2番》に取り組んだ後、《チェロ・ソナタ》に着手したのであった。特にその抒情性において、作曲時期が近い2台のピアノのための組曲 第2番(作品17)、ピアノ協奏曲第2番(作品18)、チェロ・ソナタ(作品19)の3作品の間には当然とも言える類似性が存在する。

『ラフマニノフ考ーチェロ奏者から見たその音楽像ー』が明かした秘話の一つには、ラフマニノフの代名詞であるグレゴリオ聖歌「怒りの日」を仄めかすチェロ・ソナタ第1楽章の冒頭で、「チェロの最初の2音には「Warum?」(ドイツ語で「なぜ?」の意)という言葉が隠されている」というものがある[3]。 最終楽章に至るまでこの「Warum?」動機はたびたび登場し、形を変えながら発展していく。作品の随所にはロシア正教会の鐘(カリヨン)や、ラフマニノフが生涯を通じて大切に思い続けた交響曲第1番へのオマージュが見受けられ、ラフマニノフの特筆すべき特徴が現れた大作に仕上がっている[13]

エピソード

  • 5歳でバイオリンを始めるが、「自分が立って弾いているのに何故先生が座っているのか」と反抗し、6歳の時に座って弾けるチェロを始めた[14]
  • 7歳の時に安達祐実などを輩出した東京児童劇団のオーディションを受け、最高得点で合格したが、桐朋学園子供のための音楽教室に通うため、劇団には入らなかった[15]
  • 小学校6年間、麻布科学実験教室に休むことなく通い、2002年に「皆勤賞」を受賞[16]
  • 2005年イギリスで、英国上級数学チャレンジ「銅賞」を受賞した[17]
  • 2016年8月に放映されたNHKテレビ番組でのインタビュー中の「生まれ変わったらこの曲(ラフマニノフのチェロソナタ)になる」という言葉が話題を呼んだ(既述)[18]

ディスコグラフィー

  • セルゲイ・ラフマニノフ:チェロ作品全集』(2012年/Champs Hill Records CHRCD-044)
  • 『伊藤悠貴/ザ・ロマンティック』(2017年/ソニー・ミュージックダイレクト MECO-1045)
  • 『伊藤悠貴/雁部一浩:歌曲全集』(2020年/ディスクアート DACD-201)
  • 『アダージョ』~孤独のアンサンブル~(多重録音)(2021年/キングレコード KICC-1587)
  • 『カサノヴァ』〜ヨハン・デ・メイ:チェロ&ハープ&ウインドオーケストラのための作品全集〜(2024年/AMSTEL CLASSICS CD 2024-01)

書籍

  • 伊藤悠貴ラフマニノフ考ーチェロ奏者から見たその音楽像ー』恵雅堂出版、2023年。ISBN 978-4-87430-052-7https://www.keigado.co.jp/allgoods/products/detail/75 

主な受賞歴

外部リンク

脚注

参考文献

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