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動物における数感覚

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関連概念 近似数システム、数性(numerosity)、数的認知
動物における数感覚
Number sense in animals
動物が数量を知覚・比較する能力
基本情報
分野 認知科学動物行動学神経科学
関連概念 近似数システム、数性(numerosity)、数的認知

動物における数感覚(どうぶつにおけるすうかんかく、w:number sense in animals)とは、動物が数量の相対的な大きさを知覚し、比較・判断する能力を指す[1]数覚とも。

この能力は魚類から鳥類霊長類に至るまで広範な分類群で確認されており、進化的に古い起源をもつか、複数の収斂進化によって獲得されたと考えられている[2]

動物の数覚は、大きく分けて2つのシステムによって支えられていると考えられている。

逐次把握システム(Subitizing system)
4個程度までの少数の対象を、正確かつ瞬時に把握する能力。
近似数値体系(Approximate Number System, ANS)
5個以上の大きな数量を、誤差を含みつつも相対的な比率として認識する能力。ウェーバーの法則に従い、2つの数量の比が大きいほど判別が容易になる。

背景・開発経緯

動物の数的能力研究は20世紀初頭の「クレバー・ハンス事件」によって大きな注目を集めたが、後の厳密な調査により、ハンスの行動は人間の無意識的な合図を読み取ったものであり、算術能力ではないことが示された[3]。 その後、オットー・ケーラーらによる体系的な実験研究が進み、ワタリガラスラットなど多様な動物が数量を弁別できることが示された[4]

主な内容・特徴

数性(numerosity)
動物研究では、人間の象徴的な「」と区別するために「数性(numerosity)」という語が用いられる。これは、個体が集合の要素数をおおまかに推定する能力を指す[5]
近似数システム(Approximate Number System, ANS)
多くの動物は、数量をおおまかに推定する近似数システムを持つ。これは数の差が大きいほど識別が容易になる「距離効果」や、小さい数ほど精度が高い「大きさ効果」を示す[6]
並列個体化システム(Parallel Individuation System)
1〜4程度の少数を正確に表象する仕組みとされるが、実験によっては近似数システムのみで説明可能とする結果もあり、議論が続いている[7]
数的操作
ラットや類人猿では加算が可能であることが示され、チンパンジーでは分数の表象や分数加算も観察されている[8]
神経基盤
霊長類の大脳皮質やカラス類のパリウムなど、系統的に離れた動物群で数性に対応する神経細胞が報告されている[9]

また、2024年にはラットにおける「離散的な数感覚」を担う脳領域が特定され、数的能力の神経基盤研究に重要なモデルとなることが示された[10]

影響・評価

動物の数感覚研究は以下の事項などに寄与するとされる。[11]

  1. 数的認知の進化的起源の解明
  2. 人間の数学能力の基盤理解
  3. 学習障害(例:ディスカルキュリア)の神経機構研究

参考文献

  1. ’"The Number Sense: How the Mind Creates Mathematics" (Stanislas Dehaene, 1997)
    日本語訳: 『数覚とは何か?―心が数を創り、操る仕組み』(ハヤカワ文庫NF) 訳者:長谷川 眞理子、小林 哲生
  2. "The Oxford Handbook of Numerical Cognition’" (Roitman et al., 2015)
  3. Cantlon, J. F., & Brannon, E. M. (2006). "Shared System for Number Avoidance in Monkeys and Humans". Psychological Science.

関連項目

脚注

外部リンク

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