北アイルランドの地方行政区画

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北アイルランドの地方行政区画(きたアイルランドのちほうぎょうせいくかく)は、地方行政の執行を目的に、北アイルランドを11の行政区(ディストリクト)に分割している。北アイルランドでは、行政区の権限はイギリスの他の地域とは異なっており、例えば、教育、道路建設、住宅供給の責任は負っていない(ただし、住宅に関しては、北アイルランド全域における住宅政策に助言を行なう住宅カウンシル英語版に代表を送っている)。行政区の機能には、廃棄物・リサイクル処理、レジャーやコミュニティ活動サービス、建築物の規制、地元の経済や文化の振興などが含まれている。都市計画の権限はないが、計画の内容によっては意見を求められることもある。財産税の一種であるレート英語版の徴収は土地不動産サービス局 (the Land and Property Services agency) によって行なわれている。11の行政区それぞれの行政・議会組織は、「ディストリクト・カウンシル」、「バラ・カウンシル」、「シティ・カウンシル」、「シティ・アンド・ディストリクト・カウンシル」と、様々な名称が付けられている[1]

# ディストリクト District カウンシル
(種別)
カウンシル所在地 面積
(km2
人口
(2023年推定[2]
1 ベルファスト Belfast シティ・カウンシル ベルファスト 134.1 350,500
2 アーズ・アンド・ノース・ダウン Ards and North Down バラ・カウンシル バンガー 457.3 164,900
3 アントリム・アンド・ニュータウンアベイ Antrim and Newtownabbey バラ・カウンシル アントリムニュータウンアベイ英語版(交互) 570.7 147,300
4 リスバーン・アンド・カースルレー Lisburn and Castlereagh シティ・カウンシル リスバーン[3] 502.9 150,800
5 ニューリー・モーン・アンド・ダウン Newry, Mourne and Down ディストリクト・カウンシル ダウンパトリック英語版ニューリー 1,619.1 183,400
6 アーマー・シティ・バンブリッジ・アンド・クレイガヴォン Armagh City, Banbridge and Craigavon ディストリクト・カウンシル クレイガヴォン英語版 1,346.9 221,800
7 ミッド・アンド・イースト・アントリム Mid and East Antrim バラ・カウンシル バリーミーナ英語版[4] 1,045.7 139,800
8 コーズウェー・コースト・アンド・グランス Causeway Coast and Glens バラ・カウンシル コールレーン英語版[5] 1,980.0 141,700
9 ミッド・アルスター Mid-Ulster ディストリクト・カウンシル ダンガノン[6] 1,821.3 152,00
10 デリー・シティ・アンド・ストラバン Derry City and Strabane ディストリクト・カウンシル ロンドンデリー 1,237.4 150,900
11 ファーマナ・アンド・オマー Fermanagh and Omagh ディストリクト・カウンシル エニスキレンオマー[7] 2,846.8 117,200

歴史

26行政区による北アイルランドの地方行政体制が成立したのは、それまでの地方行政(アイルランド)法 (1898年)英語版に代わって、地方行政(境界)法(北アイルランド)(1971年)英語版および地方行政法(北アイルランド)(1972年)英語版が適用された1973年のことである。新しい制度は、1970年6月に発表されたマクロリー報告書 (the Macrory Report) の提案を受けたものであったが、この報告は枢密院北アイルランド執行委員会(北アイルランド政府)英語版が、北アイルランド地方の統治機構として存続することを前提としていた[8]

1921年から1973年まで、北アイルランドには、6つの行政カウンティ(その中は、都市・農村地区 (urban and rural districts) に分割されていた)と、2つのカウンティ・バラ英語版が置かれていた。カウンティとカウンティ・バラは、その後も儀礼的な名誉職である統監県長官 (Sheriff) の任命の単位としては存続している[9]。現行の制度は農村地区が廃止されており、アイルランド共和国の地方行政区画に準じたものとなっている。(詳細は、en:List of rural and urban districts in Northern Ireland を参照)

北アイルランドの県(カウンティ)

県名英名県都人口(2011年)面積(km2)人口密度
アントリム県Antrimアントリム618,1083,046202
アーマー県Armaghアーマー174,7921,326131
ダウン県Downダウンパトリック531,6652,448217
ファーマナ県Fermanaghエニスキレン61,1701,85133
ロンドンデリー県Londonderryコールレーン247,1322,074119
ティロン県Tyroneオマー177,9863,26354

2015年以前の行政区(ディストリクト)

No.名称英名行政種類行政府所在地人口(2012年)面積(km2)人口密度
1アントリム区英語版Antrimバラ・カウンシルアントリム53,83557793
2アーズ区英語版Ardsバラ・カウンシルニュートナーズ英語版78,550376208
3アーマー区英語版Armaghシティ・アンド・ディストリクト・カウンシルアーマー60,14767189
4バリーミーナ区英語版Ballymenaバラ・カウンシルバリーミーナ英語版64,551632102
5バリーマネー区英語版Ballymoneyバラ・カウンシルバリーマネー英語版31,55141875
6バンブリッジ区英語版Banbridgeディストリクト・カウンシルバンブリッジ英語版48,730453107
7ベルファスト区英語版Belfastシティ・カウンシルベルファスト286,0001152,486
8キャリックファーガス区英語版Carrickfergusバラ・カウンシルキャリックファーガス英語版39,09682476
9カースルレー区英語版Castlereaghバラ・カウンシルカースルレー英語版67,71685796
10コールレーン区英語版Coleraineバラ・カウンシルコールレーン英語版58,993486121
11クックスタウン区英語版Cookstownディストリクト・カウンシルクックスタウン英語版37,41162260
12クレイガヴォン区英語版Craigavonバラ・カウンシルクレイガヴォン英語版94,597378250
13デリー区英語版Derryシティ・カウンシルロンドンデリー108,586378287
14ダウン区英語版Downディストリクト・カウンシルダウンパトリック英語版70,440647108
15ダンガノン・アンド・サウス・ティロン区英語版Dungannon and South Tyroneバラ・カウンシルダンガノン58,81378475
16ファーマナ区英語版Fermanaghディストリクト・カウンシルエニスキレン62,4001,87633
17ラーン区英語版Larneバラ・カウンシルラーン32,19133695
18リマヴァディ区英語版Limavadyバラ・カウンシルリマヴァディ英語版33,76158657
19リスバーン区英語版Lisburnシティ・カウンシルリスバーン121,687447272
20マラフェルト区英語版Magherafeltディストリクト・カウンシルマラフェルト英語版45,45057379
21モイル区英語版Moyleディストリクト・カウンシルバリーキャッスル英語版17,12948035
22ニューリー・アンド・モーン区英語版Newry and Mourneディストリクト・カウンシルニューリー100,858902111
23ニュータウンアベイ区英語版Newtownabbeyバラ・カウンシルニュータウンアベイ英語版85,322151565
24ノース・ダウン区英語版North Downバラ・カウンシルバンガー79,42081980
25オマー区英語版Omaghディストリクト・カウンシルオマー51,8301,13045
26ストラバン区英語版Strabaneディストリクト・カウンシルストラバン英語版40,03386246

選挙

各行政区の議会議員は任期4年で、 単記移譲式投票により選出される。最近では2011年5月に選挙が行なわれており、次回は2015年5月に選挙が行なわれる。市議会議員に立候補するための条件は次の通りである。

以上に加え、次のいずれかの要件を満たさなければならない。

  • 当該行政区の有権者
  • 選挙直前の12か月間ずっと、行政区内の土地を所有ないし占有しているか、当該行政区内で居住ないし就業していた者

2011年5月5日に実施された直近の選挙結果は、以下の通りであった[10]

政党 獲得議席 2005年
からの増減
第1選好
比率  %
2005年
からの増減
民主統一党 (DUP) 175 -3 27.2% -2.4%
シン・フェイン党 138 +9 24.8% +1.5%
アルスター統一党 (UUP) 99 -16 15.2% -2.7%
社会民主労働党 (SDLP) 87 -14 15.0% -2.4%
北アイルランド同盟党 (APNI) 44 +14 7.4% +2.5%
伝統的ユニオニストの声 (TUV)英語版 6 +6 2.0% +2.0%
北アイルランド緑の党英語版 3 1.0% +0.1%
進歩統一党 (PUP) 2 0.6% -0.1%
イギリス独立党 (UKIP) 1 +1 0.4% +0.4%
その他の政党 0 -3 1.3% -0.1%
無所属 27 +6 5.1% +1.6%
合計 582

行政区の結合

行政区は、様々な目的によって数区をまとめて結合させることがある。

教育と図書館

かつて北アイルランドには、5つの「教育・図書館委員会 (education and library boards, ELBs)」があった。

行政改革の一環として、この委員会の図書館に関する機能は、新たに設置された「北アイルランド図書館庁英語版」へ、2009年4月に移譲された[11]

教育、職能関係の機能は、単一の組織である「教育局英語版」へ2015年4月に集約された。

委員会の名称と所属する行政区は次の通りだった。現在も教育局の管轄区として残っている。

委員会の名称 所属する行政区
1. ベルファスト (Belfast) ベルファスト区
2. 北東 (North Eastern) アントリム区バリーミーナ区バリーマネー区キャリックファーガス区コールレーン区ラーン区マラフェルト区モイル区ニュータウンアベイ区
3. 南東部 (South Eastern) アーズ区キャッスルレー区ダウン区リスバーン区ノース・ダウン区
4. 南部部 (Southern) アーマー区バンブリッジ区クックスタウン区クレイガヴォン区ダンガノン・アンド・サウス・ティロン区ニューリー・アンド・モーン区
5. 西部 (Western) デリー区ファーマナ区リマヴァディ区オマー区ストラバン区

健康・社会福祉

北アイルランドには、以前は4つの「健康・社会サービス委員会 (health and social services boards)」があったが、2009年4月に単一の「健康・社会福祉委員会英語版」に統合された[12]。(なお現在は保健省(北アイルランド)英語版に移管)

かつての委員会の名称と所属していた行政区は次の通りである。

委員会の名称 所属する行政区
1. 東部 (Eastern) アーズ区ベルファスト区キャッスルレー区ダウン区リスバーン区ノース・ダウン区
2. 北部 (Northern) アントリム区バリーミーナ区バリーマネー区キャリックファーガス区コールレーン区クックスタウン区ラーン区マラフェルト区モイル区ニュータウンアベイ区
3. 南部 (Southern) アーマー区バンブリッジ区クレイガヴォン区ダンガノン・アンド・サウス・ティロン区ニューリー・アンド・モーン区
4. 西部 (Western) デリー区ファーマナ区リマヴァディ区オマー区ストラバン区

ユーロスタット地域統計分類単位レベル3

欧州連合 (EU) によるユーロスタット地域統計分類単位 (Eurostat NUTS) において、北アイルランドはレベル3 (NUTS 3) で 5つに区分されている。

区分名 所属する行政区
UKN01 ベルファスト (Belfast) ベルファスト区
UKN02 ベルファスト郊外 (Outer Belfast) キャリックファーガス区キャッスルレー区リスバーン区ニュータウンアベイ区ノース・ダウン区
UKN03 東部 (East) アントリム区アーズ区バリーミーナ区バンブリッジ区クレイガヴォン区ダウン区ラーン区
UKN04 北部 (North) バリーマネー区コールレーン区デリー区リマヴァディ区モイル区ストラバン区
UKN05 西部および南部 (West and South) アーマー区クックスタウン区ダンガノン・アンド・サウス・ティロン区ファーマナ区マラフェルト区ニューリー・アンド・モーン区オマー区

制度改革の提案

2002年6月、北アイルランド政府英語版は、公共サービスの説明責任、改善、手続き、提供方法などを検討する行政点検を行なった。その結果、提言された内容には、行政区の統合による数の削減が含まれていた[13]2005年北アイルランド大臣英語版 ピーター・ヘイン英語版は、行政区を7区に削減する提案を表明した[14]。新設される7行政区の境界と名称は2007年3月に公表された[15]2008年3月、再建された北アイルランド政府は、当初案の7区ではなく、11区を新設する案に合意した[16][17][18]。この新区に基づいた最初の選挙は、2011年5月に実施される予定であった。ところが、2010年5月に北アイルランド政府内に境界をめぐる意見の対立が生じ、この改革は2015年まで棚上げとなった[19]2010年6月、提案されていた改革案は、北アイルランド政府内における合意形成の不調を理由に取り下げられた[20][21]。しかし、2012年3月12日に発表された北アイルランド政府の統治計画には、行政区の数を11区まで削減することに取り組みことが改めて盛り込まれた[22]

関連項目

出典

外部リンク

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