口前葉
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概要

環形動物は体節制をもつ動物で、体が数多くの同形な体節に分かれている。ただし頭部はやや特殊な構造で、囲口節(いこうせつ、peristomium)という口を含む、普通は付属肢を持たない体節があり、それよりも前にあるのが口前葉である。口前葉はトロコフォア幼生の上体部に由来し、不完全な体節のような形であり、通常は体節を数える場合には、これを含めない。
- 多毛類では、いわゆるゴカイのようなものでは口前葉はよく発達し、眼点や感触手などの感覚器官を備えており[4][5]、内部には脳がある。体の先端部分に突き出しているが、口から吻を突出させるものでは、その上に乗ったような形になる。ケヤリムシのような定在性のものでは、口前葉そのものは退化的で、目立たない。その代わりに触手がよく発達し、房状などになって、呼吸と濾過摂食のための器官となっている。
- ミミズ(貧毛類)の場合、口前葉は一般に退化的である。フツウミミズなど日常的に目にするフトミミズ科のものでは明確な形が見られず、単に丸みを帯びた先端部というだけでのものであるが、テングミズミミズやトガリミズミミズなどの小型のミズミミズ類や、オヨギミミズ科には体の先端に吻状に突出した口前葉をもつ種がある。これらの多くは水生である。ミズミミズ科には頭部に眼を備えているものも多いが、それらはゴカイ類とは異なり、囲口節上にある。
- ヒル類では、ほとんど確認できないほど退化している。
先節との関係性
→詳細は「汎節足動物 § 系統関係」、および「先節」を参照
環形動物と同様に体節制をもつ前口動物で、節足動物などを含んだ汎節足動物は口前葉に似た部分を先頭にもつ。これは先節(ocular somite)と呼ばれている[1][3][6][7]。21世紀以前では、これは当時において主流だった環形動物と汎節足動物の類縁関係(体節動物説、詳細は汎節足動物#変動の経緯を参照)を踏まえて、口前葉に相同な部分と考えられ、統一の名称(acron)で呼ばれる経緯もあった[3]。しかし両者は遠縁な別系統だと判明した21世紀以降では、一般に別器官として区別されるようになっている[3][6][7]。また、環形動物の口前葉とは異なり、汎節足動物の先節は眼・脳・付属肢だけでなく、口も兼ね備え、一般に真の体節として認められる[3][7][8]。