名誉職

権限や任務規定のない職位 From Wikipedia, the free encyclopedia

名誉職(めいよしょく)とは、特定の法人その他の組織団体において実質的な権限・責任の伴わない名義上の職のことをいう。

名誉職とは

名誉ある職ではなく、名義上の職であるというのが本質的な意味である。基本的には会社の運営・経営に対して長年にわたり大きな功績を残し、第一線を退いたベテランの経営者や功労者が就くために設定される役職である。

給与等の報酬が伴う場合と、そうでない場合があり、はじめから名誉職として設置されている職責もあれば、企業の意思決定の実権を失って事実上は名誉だけで職責のないものと位置づけられている場合もある。また、高い知名度・カリスマ性・影響力を持っている人物や国際的に権威のある賞を受賞した人物が第一線から退く場合などには、単純に功績を称えてのポストというだけではなく、引退後に万一にも経済的困窮の状態に陥られると会社のイメージに関わる、あるいは他社で競合する事業を立ち上げられると困るために権利確保をしておくなどといった事情から、一種の捨扶持を与えるために名誉職を用意することもある。

公職では刑務所の慰問に尽力したとして杉良太郎特別矯正監に任命されるなど、功績を讃えるために創設されることがある。他にも警察が著名人を一日署長に任命するなど、イベント時のポストが臨時で設置される。これらは本来の意義通り『名義上の職』であり、実務上の権限は無い。

企業では名誉顧問名誉会長などが名誉職に相当する。また、単なる会長顧問であってもその人物のために新設される場合には実質では名誉職であることが見られる。人事などで企業経営に対する影響力を持ったり、報酬が支払われている場合もあることから、時代にそぐわないとして廃止される場合も多い。鉄道会社ではイベントとして一日駅長が任命されることがある。

他方、昨今のベンチャー企業IT企業などにおいては、若くして企業を立ち上げた創業者が当初は企業経営を華々しく成功させて俗に言う「カリスマ社長」となり、株式市場上場させるなどしたまではよかったものの、その後の業績低迷や他の有力株主銀行の意向などが要因となって経営の実権を奪われ、場合によっては30代程度の若さで社長職から「勇退」させられ、新設ポストの会長などといった実権の無い名誉職に追いやられるという事例も見られる。

形式上元の地位から昇格させるものの実態が名誉職に据えて権限を奪うものである場合を「棚上げ(人事)」と呼ぶ。

歴史上の名誉職の例

  • 三公
    中国戦国時代以前の周王や、漢朝以降の皇帝に次ぐ最高位の家臣であるが、実権の行使は制限され、魏朝以降は完全な名誉職となった。
  • 明治憲法下における内大臣
    近代内閣制度発足に伴い太政大臣を退く三条実美を処遇する目的で創設されたと言われる。憲法学上も役割・位置付けが不明確なものであったが、昭和に入り戦時色が濃くなるにつれ重臣会議の主催者として単なる名誉職ではなくなった。
  • 1940年前後のタイ王国(当時、シャム王国)の摂政
    当時、シャム国王であるラーマ8世はスイスに留学しており、国王の文書に対しては3人の摂政が置かれ、内閣の決定に対して連名で署名をしており、有力政治家であるプリーディー・パノムヨンは王室との確執から、閑職であるこの職につけられていた。なお、1941年1月、ピブン首相が、日本に同調して英国と米国に対して宣戦を布告した際、プリーディーは行方をくらまして、この署名をせず、署名が足りない無効文書として、戦後にタイの宣戦布告が無効であるという主張の根拠となった。

関連項目

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