含ヨウ素泉

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含ヨウ素泉(がんヨウそせん)は、掲示用泉質名に基づく温泉泉質の一種。特殊成分を含む療養泉に分類される。よう化物イオンを規定量以上含み、掲示用泉質名では通常、含よう素泉と表記される。環境省の『鉱泉分析法指針(平成26年改訂)』では、よう化物イオンを 10 mg/kg 以上含むものが含よう素泉に該当する。[1]

含よう素泉は、療養泉のうち特殊成分によって分類される泉質の一つである。掲示用泉質名としては「含よう素泉」が用いられ、旧泉質名の「含ヨウ素-食塩泉」は、新泉質名では「含よう素-ナトリウム-塩化物泉」に対応する。[2]

分析書や施設掲示では、「含よう素泉」と簡略に表示される場合のほか、主要成分を含めて「含よう素-ナトリウム-塩化物泉」のように表示される場合がある。[1]

定義

療養泉の特殊成分と限界値として、よう化物イオン(I-)は 10 mg/kg と定められている。[1] また、溶存物質(ガス性のものを除く)が 1,000 mg/kg 未満で、かつ泉温が 25 ℃未満の療養泉については、よう化物イオンを 10 mg/kg 以上含むものを「単純よう素冷鉱泉」とする区分がある。[1]

名称

現行の掲示用泉質名は「含よう素泉」である。旧泉質名の「含ヨウ素-食塩泉」は、新泉質名では「含よう素-ナトリウム-塩化物泉」に相当する。[2]

療養泉名の命名では、特殊成分を二種以上含む場合、よう化物イオンは「含よう素」として付記される。したがって、分析書や掲示では「含よう素-ナトリウム-塩化物泉」「含よう素-カルシウム・ナトリウム-塩化物強塩泉」のような表記もみられる。[1]

特徴

含よう素泉は、放置すると黄色ないし黄褐色を帯びることがある。これはヨウ素の酸化に由来する現象とされる。[3]

泉温や溶存成分の構成には幅があるが、塩化物イオンを多く含むものが多い。北海道の含よう素泉を対象とした研究では、多くが深度 1000 m を超える井戸から動力揚湯され、新第三紀の地層に由来する地下水であった。また、塩化物イオン濃度が高く、硫酸イオン濃度が低いことなどから、化石海水を主体とする起源が示唆されている。[4]

日本のヨウ素資源は、水溶性天然ガス鉱床に伴うかん水と密接に関係しており、海水に比べて高濃度のヨウ素を含む地下かん水が知られている。含よう素泉の一部も、このような深部地層水との関連のもとで理解される。[5]

分布

白子温泉

含よう素泉は、非火山性の温泉に多い。[3] 日本で知られる産地は、海成堆積物や天然ガスかん水との関係が深い地域に偏る傾向がある。[4][5]

代表的な地域として千葉県がある。千葉県では天然ガス資源とともにヨウ素が産出され、その産出量は日本の約8割を占めるとされる。南関東ガス田地域は天然ガスとヨウ素の主要産地として知られ、温泉資源とも密接な関係をもつ。[6][7]

千葉県内の温泉は南房総地区を中心に分布し、冷鉱泉が多い。九十九里地域の白子温泉は、ヨウ素を含む温泉地として紹介される例の一つである。[8][9]

北海道でも、日本海側から石狩平野にかけて含よう素泉の分布が確認されている。[4]

適応症と禁忌症

泉質別適応症としては、飲用について「高コレステロール血症」が掲げられている。[10]

一方、よう化物イオンを含む温泉を一定量以上飲用する場合の含有成分別禁忌症として「甲状腺機能亢進症」が示されている。入浴や飲用にあたっては、温泉施設の掲示や医療上の注意事項に従う必要がある。[11]

脚注

参考文献

関連項目

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