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天体観測 (曲)

BUMP OF CHICKENの楽曲 From Wikipedia, the free encyclopedia

天体観測』(てんたいかんそく)は、2001年3月14日トイズファクトリーから発売されたBUMP OF CHICKENの3枚目のシングル[5]

B面 バイバイサンキュー
リリース
録音 2000年11月[1] - 12月[2]
概要 「天体観測」, BUMP OF CHICKEN の シングル ...
「天体観測」
BUMP OF CHICKENシングル
初出アルバム『jupiter
B面 バイバイサンキュー
リリース
規格 マキシシングル
録音 2000年11月[1] - 12月[2]
ジャンル J-POP
ロック
時間
レーベル トイズファクトリー
作詞・作曲 藤原基央
ゴールドディスク
チャート最高順位
  • 週間3位(オリコン[5]
  • 2001年5月度月間8位(オリコン)
  • 2001年度年間26位(オリコン)
BUMP OF CHICKEN シングル 年表
ダイヤモンド
2000年
天体観測
2001年
ハルジオン
(2001年)
jupiter 収録曲
Stage of the ground
(1)
天体観測
(2)
Title of mine
(3)
EANコード

EAN 4988061870809

ミュージックビデオ
「天体観測」 - YouTube
「バイバイサンキュー」 - YouTube
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背景

メジャーデビューシングル「ダイヤモンド」の発表後、藤原基央は新曲を書けない時期に入っていた。当時はメジャーレーベルのスタッフから継続的に新作を求められるようになり、藤原にとって、音楽を職業として制作し続けることの重圧を初めて強く意識した時期でもあった[6]

藤原は後年、「天体観測」の完成時にもヒットの手応えはまったく感じていなかったと振り返っている[7]。メンバーも特定の曲だけを特別視しておらず、ほかの楽曲と同じように、自分たちがその時点で必要だと考えた音楽を作ることへ集中していた[6]

制作

作曲と仮歌

「天体観測」は、藤原がハードウェア・シーケンサーを用いて音を組み立てる作業から生まれた。当初は歌詞や題名を伴わない「音楽遊び」として、ドラム、ベース、ギターの和音を打ち込み、1番、2番、Dメロ、大サビまで含むバンドアンサンブルとメロディを完成させた[8]。制作中の仮タイトルは「どっこいしょ」で、仮歌では旋律の一部を「どっこいしょ」と歌っていた[9]

歌詞のない段階でメンバーやスタッフに聴かせたところ、プロデューサーから評価され、先にバンドで伴奏を録音することになった。藤原は歌声でメロディを確認するため「ラララ」で仮歌を録音したが、言葉を持たない「ラララ」は旋律の情緒を直接伝える完成度の高い表現であり、後から当てはめる言葉がそれに勝てなくなると感じていた。「ダイヤモンド」「ラフ・メイカー」「Title of mine」でも同様の経験をしていたため、本曲を最後に、歌詞完成前の仮歌を「ラララ」で録音しないと決めたという[10]

作詞

「天体観測」と「Title of mine」の作詞に行き詰まった藤原は、執筆環境を変えることで状況を打開しようと箱根へ赴いた。「Title of mine」は現地で完成した一方、「天体観測」の歌詞は書けず、様子を見に来たプロデューサーに促されて入浴したのち帰宅した。その後、自宅へ戻ると歌詞を一気に書き上げることができた。この経験から藤原は、創作のために環境を変えることはあっても、自分が実際に生活している場所や現実から逃れて言葉を書くことはできないと認識した[11]

作詞では、仮歌の「ラララ」に代わって旋律に置かれる必然性を持つ言葉を一つずつ探した。藤原は、どの歌にも「このメロディにはこの言葉しかない」と言える言葉が存在すると本曲の制作を通して学び、その後の作詞においてもこの感覚を重視している。サビ末尾の「オーイェーアハーン」に相当する掛け声は仮歌の段階から存在し、その位置へ入る言葉が見つからなかったため、そのまま完成版に残された[12]

歌詞中の「フミキリ」や「モノ」が片仮名で表記されているのは、藤原が当時使用していたノートにその表記で書き付けていたためである。藤原は2013年に歌詞を読み返した際、この片仮名表記について違和感があると語っている[7]

録音

録音は2000年11月から12月にかけて行われた。『THE LIVING DEAD』を短期間で制作した反動もあり、次作『jupiter』期からは1曲ごとに時間を確保して制作する方法へ移行しており、「天体観測」もメンバーと制作陣によって慎重に録音された。スタッフの間では完成前から大きな可能性を持つ曲として期待されていたが、メンバー自身はほかの曲と同じ姿勢で取り組んでいたという[6]

サウンドは多数のギタートラックを重ねた構成となっている。2001年版では、各メンバーが意図した細かな演奏やフレーズが、当時の演奏技術、音作り、ミックスのため互いに干渉し、一部が不明瞭になった。メンバーは発売直後のライブ時点から、さらに明瞭に演奏・録音できたはずだという反省を抱き、その後20年以上にわたってライブ演奏の中で細部を更新していった[13]

リリース

2001年3月14日に3枚目のシングルとして発売された。オリコン週間シングルランキングでは3位を記録し、BUMP OF CHICKENのシングルでは最大の売り上げを記録している[14]。ミュージック・ビデオとストリーミングはいずれも累計再生回数が1億回を突破した[15][16][注 1]

反響とバンドへの影響

活動環境の変化

発売後はラジオの公開録音やライブへ来場する観客が急増し、メンバーを取り巻く環境は大きく変化した[17]増川弘明は、BUMP OF CHICKENそのものが「天体観測」という一曲の名称で呼ばれるほど注目が集中したことに戸惑い、当時は反発する気持ちもあったと振り返っている[17]

メンバーはすべての楽曲を平等に扱いたいと考えていたため、一時期は「天体観測」だけが突出して注目される状況への反発から、ライブで演奏しないこともあった。2001年の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」出演時にも演奏しない意向を持っていたが、プロデューサーから、すべての曲を平等に考えるのであれば代表曲だけを意図的に避けるのも不自然だと指摘され、演奏した[17]

代表曲としての位置づけ

直井由文は、後年には「天体観測」を、初めてBUMP OF CHICKENを知る聴き手へ渡す「名刺」のような曲として捉えるようになったと述べている。増川も、バンドの世界と聴き手を大きく広げた曲として感謝を示し、ほかの楽曲と変わらない姿勢で演奏できるようになったとしている[17]

2024年のインタビューでは、スタッフが制作当時から「この曲は大きな結果を生む」と期待していたのに対し、メンバーは特定の曲だけを突出して捉えておらず、すべての楽曲に同じ熱量で向き合っていたことが改めて語られた。藤原は、この時期に初めて、自分たちが生み出した楽曲を世の中へ伝える方法について真剣に考え、行動するスタッフの存在を意識したという[6]

収録内容

さらに見る #, タイトル ...
CD
#タイトル作詞・作曲編曲時間
1.「天体観測」藤原基央BUMP OF CHICKEN
2.「バイバイサンキュー」藤原基央BUMP OF CHICKEN
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3曲目から20曲目までは24秒程度の無音トラックが収録されており、21曲目に隠しトラック「H・I・R・O・W・A・K・I」が収録されている。

楽曲解説

  1. 天体観測
    関西テレビフジテレビ系ドラマ『天体観測』挿入歌[注 2][18]docomo「dヒッツ」CMソング[注 3][19][20]
    歌詞は、午前2時に望遠鏡を持って天体観測へ向かう人物の行動を軸に、見つけようとすること、失ったものや未来を追い続けることを描いている。藤原は、制作時の自身について「深い闇に飲まれないように精一杯だった」という歌詞のとおりの状態だったと述べており、メジャーデビュー後に曲を書けない状況と向き合いながら、現在の自分が言葉にすべきものを一つずつ選んだという[12]
    藤原は完成時、曲に対して行うべき作業がこれ以上ない地点まで到達できたという感覚を得たとしている。それ以前にも一曲ごとに真剣に制作していたが、本曲では旋律と言葉の関係へ従来以上に厳密に向き合い、時間をかけても唯一の答えへ到達できることを学んだ。この経験は、その後の藤原の作詞・作曲方法を形作る一つの転機となった[12]
    2019年に発表された「JOYSOUND 平成カラオケランキング」では総合8位にランクインした[21][22]
    2021年12月31日にNHKで放送された『第72回NHK紅白歌合戦』にて、「なないろ」とともに「天体観測」が披露された[23]
  2. バイバイサンキュー
    藤原が17歳から18歳頃、ベルギーへ渡ることになった先輩に向けて書いた楽曲。先輩は、藤原がギター、升秀夫がドラムの助っ人として参加していた別バンドでベースを担当しており、BUMP OF CHICKENのメンバー全員と面識があった。藤原らは1人8000円ずつ出して購入したMTR(マルチトラック・レコーダー)で曲を録音し、先輩へ渡したという[24]
    当初のタイトルは「弱虫賛歌」だった[24]。高校生の頃に一度バンドで演奏しようとしたものの、曲の基礎となる8分の6拍子を升が当時は理解しておらず演奏できなかったため、制作はいったん見送られた[25][24]
    「天体観測」の制作時期に、藤原が「そろそろ演奏できるのではないか」と考えて再びメンバーへ提示した。升は以前より高い精度でリズムを演奏できるようになっており、ほかのメンバーも8分の6拍子のリズムをバンドで再現することへ強い意欲を示した。藤原はこの出来事を、活動を続ける中でバンドが表現できる音楽が増えていることを実感した「プチ革命」のような経験だったと振り返っている[26][24]
    メンバーは表題曲とカップリング曲の間に思い入れの差を設けていなかったが、メジャーデビュー後、表題曲だけが広く知られ、カップリング曲が十分に聴かれない状況を初めて実感したという。増川は、「天体観測」は多くの聴き手が知っている一方、その隣に収録された本曲には同じだけ注目が集まらないことを肌で感じたと語っている[27]
    藤原は、カップリング曲は表題曲と対になって初めて役割を果たす一方、それぞれが独立した主張と個性を持つ楽曲でもあると説明し、より多くの聴き手に届けるため同作を制作したとしている[28]

テレビ出演

さらに見る 番組名, 日付 ...
番組名 日付 放送局 演奏曲
SONGS 2015年12月5日 NHK 天体観測
ray
花の名
ガラスのブルース
第72回NHK紅白歌合戦 2021年12月31日 NHK 天体観測
なないろ
CDTVライブ!ライブ![29] 2024年9月2日 TBS なないろ
ray
SOUVENIR
Sleep Walking Orchestra
クロノスタシス
天体観測
アカシア
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ライブ映像作品

収録アルバム

天体観測

バイバイサンキュー

カバー

さらに見る 発売日, タイトル ...
発売日 タイトル
2001年11月07日 『GUITAR FREAKS 6th MIX&drummania 5th MIX Soundtracks』(#1)
2014年2月18日 GHOST COMPANY『LOUD EATS J-POP』[30]
2014年6月4日 Sotte Bosse『Beautiful Life』[31]
2015年1月7日 夏代孝明『フィルライト』[32]
2015年3月11日 this is not a business『THIS IS NOT A BUSINESS』[33]
2020年3月25日 H ZETTRIO『SPEED MUSIC ソクドノオンガク vol. 1』[34]
2020年12月2日 名渡山遼『#眠れるウクレレ』[35]
2021年4月21日 Crystal Kay『I SING』[36]
2022年7月13日 高木さん(高橋李依)『「からかい上手の高木さん3&劇場版」Cover Song Collection』[37]
高木さん(高橋李依)『からかい上手の高木さん3&劇場版 Memorial Box』[38]
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「天体観測」が収録された音楽シミュレーションゲーム

天体観測(2022 Rerecording Version)

概要 「天体観測(2022 Rerecording Version)」, リリース ...
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天体観測(2022 Rerecording Version)」はBUMP OF CHICKENの曲。Apple Music限定で2022年3月25日にリリースされ[47]、同年12月7日に各音楽配信サービスにて配信限定リリースされた[48]

2022年3月25日からApple MusicのCMに[47]、同年12月1日からはSUBARUクロストレック」のCMソングとして起用された[49]

2023年3月20日にはTOHO animation 10周年プロジェクト「TOHO animation ミュージックフィルムズ」の第1弾として、2022年に再録されたバージョンが起用されたショートフィルム『天体観測』が公開された[50]

制作

メンバーは2001年版の発売直後から、演奏、音作り、録音、ミックスについて多くの反省点を抱いており、ライブで演奏を重ねながら細部を更新してきた[51]。2021年、Apple Musicから空間オーディオのキャンペーンとして再録を提案されたことで、以前からメンバー間で夢物語として話していた再レコーディングが実現した[52]

再録に際しては、現代的なアレンジへの変更やセルフカバー的な再解釈を行わず、2001年版で当時のメンバーが意図しながら技術的に実現できなかった演奏を、同じ設計図に基づいて現在の技術で再現する方針が採られた[52]。藤原によれば、99.99パーセントは元の構成とフレーズに忠実で、明らかな演奏上の誤りのみを修正したという[9]

2001年版のマルチトラックはアナログテープに記録されていた。長期間保管されたテープはそのまま再生すると損傷する可能性があったため、湿気を除去して再生可能な状態にする、通称「窯焼き」と呼ばれる処置が施された[13]。その後、再生設備のあるスタジオで各トラックをデジタル化し、メンバーはドラム、ベース、多数のギタートラックを一つずつ確認した[13]

テープの箱には仮タイトルの「(仮)どっこいしょ」と記されていた[9]。各トラックを個別に聴くことで、2001年版のミックスでは埋もれていたフレーズや、二重録音と思われていたものが単一の演奏だったことなど、当時の制作内容が明らかになった。メンバーは、若い頃の自分たちが目指していた演奏と、それを実現できずにいた部分の双方を確認しながら録音を進めた[9]

リズム隊は元のフレーズを保ちながら、現在の演奏技術による明瞭さとグルーヴを加えた。ギターについても、多数のフレーズが互いに干渉する複雑な構成を整理して簡略化するのではなく、元の混沌とした設計を維持したまま、各音を鮮明に演奏した。藤原は、20歳頃の4人と現在の4人が同時に演奏する「8人でやっている」ような感覚だったと表現している[9]

藤原は伴奏の完成版を持ち帰って繰り返し聴き、2001年版では曲が本来持っていた姿や魅力を十分に音源へ再現できていなかったと感じたという。ボーカル録音でも、当時は声量や身体の制御が不足し、大声で歌う以外の方法を持っていなかった自分を意識しながら、現在の技術で当時意図していた歌唱を実現した[8]

一方で、再録版は2001年版を置き換えるものとは位置づけられていない。藤原は、オリジナル音源を当時の精一杯を記録した証明写真にたとえ、聴き手の記憶と結び付いた音の質感も含めて重要な作品だと述べている。再録版は、20年間抱えてきた「当時やりたかったこと」を実現した別の記録として制作された[13]

参考文献

  • BUMP OF CHICKEN『天体観測』、TOY'S FACTORY、2001年03月14日、EAN 4988061870809、TFCC-87080。
  • 山崎洋一郎「メンバー全員で語る、バンプ・オブ・チキン・初のカップリング曲集『present from you』」『ROCKIN'ON JAPAN』第22巻第10号通巻333号、ロッキング・オン、2008年6月20日、62 - 79頁。
  • 鹿野淳「BUMP OF CHICKEN シングル・カップリング集『present from you』全曲完全解説インタビュー」『MUSICA』第2巻第7号通巻15号、FACT、2008年7月15日、8 - 43頁。
  • 渋谷陽一「BUMP OF CHICKEN 初のベスト盤!メンバー4人が語る、バンプ全歴史」『ROCKIN'ON JAPAN』第27巻第11号通巻422号、ロッキング・オン、2013年7月30日、32 - 65頁。
  • 渋谷陽一「BUMP OF CHICKEN 藤原基央 初のベスト盤、全27曲を語る」『bridge』第24巻第8号通巻321号、ロッキング・オン、2013年6月15日、10 - 59頁。
  • 山崎洋一郎「BUMP OF CHICKEN “天体観測”の再レコーディング、そして新曲“クロノスタシス”について。藤原基央、語る」『ROCKIN'ON JAPAN』第36巻第6号、ロッキング・オン、2022年5月30日、80 - 97頁。
  • 鹿野淳「BUMP OF CHICKEN Breaks Down Their Discography!!」『MUSICA』第18巻第10号、FACT、2024年10月15日、32 - 45 頁。

脚注

外部リンク

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