広義の記数法

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この項では基本的な位取り記数法を除く、負の数や虚数を含む記数法等について述べる。 ここでは仮数とは、その位に記された数のこととし、 底(てい)とは、その位の一つ上の位の値が持つ、その位に対する重みの倍率とする。

自然数を表記するもの

冗長な記数法

ここでは、小数点から上に数えて n番目の位を n-1番位と呼ぶことにする。 例えば二進法では、n番位の重みは 2n である。

次に例を挙げる。

  • 冗長二進法 (redundant binary representation, RB) とは、符号付二進法 (signed-digit, SD) の一種で、 -1, 0, 1 を仮数に持ち、底を 2 とした記数法である。任意の実数はこの表現を無限に持つ。
  • 非隣接形式 (non-adjacent form, NAF) [F] とは、冗長二進法において隣接する二つの位の少なくとも一方の仮数を 0 としたものであり、符号付二進法の一種である。この記法による表現は任意の整数に対して一つだけ存在する。この表記方法は通常の二進法と比較して、仮数が 0 の位が多く乗法や指数演算の処理速度が速い。応用例としては、楕円曲線上のスカラー倍算を効率的に計算する方法が知られている。
  • 相互交代形式 (mutual opposite form, MOF) [G] とは、冗長二進法において、0 を除くと 1 と -1 が交互に並び最上位が 1 で最下位が -1 としたものであり、符号付二進法の一種である。この記法による表現は任意の自然数に対して一つだけ存在する。 2004 年 8 月 23 日に、日立製作所により発表された[1]
  • 0, 1 を仮数に持ち、底を黄金比 φ とし、隣り合う二つの位の少なくとも一方の仮数を 0 とした記数法 (golden ratio base, 黄金進法) [K] がある。この記法では各位で、11 = 100 および 1 + 1 = 10.01 が成り立つ。また十進法で表記された数は、この記法では 10.1 と表記できることにも注意したい。

複数の底の混在

表記法の内部で底 N が一定であれば各桁の重みは N冪乗となるが、ここではそれに限定しない表記法を述べる。

  • 桁数が制限された二進法の、最上位の一つ下の位の底を -2 とした表記法 [H] による表記は2の補数表記と一致する。
  • 二五進法 [I] とは、偶数番位は仮数が 0, 1, 2, 3, 4 で底が 5 、奇数番位は仮数が 0, 1 で底が 2 である記数法である。これは十進法の一つの位を二つに分割した形となっており、そろばんではこれが使用されている。
  • 階乗進法 (factoradic) [J] とは、0番位は仮数が 0 で底が 1 、 1番位は仮数が 0, 1 で底が 2 、 2番位は仮数が 0, 1, 2 で底が 3 、 3番位は仮数が 0, 1, 2, 3 で底が 4 、…とした記数法である。また、この記法の拡張として、 -1番位は仮数が 0, 1 で底が 2 、 -2番位は仮数が 0, 1, 2 で底が 3 、…とした記数法があり、これには任意の有理数を有限小数で表記できるという特徴がある。なお n番位の重みは、 n≧0 ならば n の階乗、 n<0 ならば -n+1 の階乗の逆数となる。
  • 時間の表記法の各単位を桁とみなすと、例えば32週5日7時間45分の各桁の重みは、週: 10080 分、日: 1440 分、時間: 60 分と言うことができる。

対応表

ここでは -n をと表記する。 他には、WWW との適合性のため -n を n と書いたり、 を単に T と書く手法もある。

十進法[A][B][C][D][E][F][G][H][I][J][K]
-1611000000111102000010000
-151100010111012200000110001
-14110110111112211001010010
-1311011111222301010011
-1211010010012103010010100
-1111010111112113010110101
-10101001212300010110
-91011001200310010111
-81000001120100011000
-710011112023300111001
-61110102001011010
-5111111210011011
-4110002210011100
-3110110100111101
-2101113011110
-1111211111
000000000000000
11111111000011101
21101121101000010210010.01
311111012031010000113110100.01
410010111211100100001004200101.01
5101111122101011100101102101000.1001
61101011011011100100001101110001010.0001
71101111111111001000011112101010000.0001
811000101011213100010000100013110010001.0001
91100111100100110011010100114111010010.0101
1011110110110110101011001010100120010100.0101
11111111111021110011001011101121010101.0101
121110010110220310001000011001022000100000.101001
131110111111221131001101011011032010100010.001001
1410010101222310001000011101042100100100.001001
151001110102103010001000011111102110100101.001001

演算

標準的な記数法の上での、加法減法乗法除法算法について説明する。

加法、減法、乗法

加法と乗法については、あらかじめ各仮数同士の計算結果を表にしておき、それを見ながら計算すればよい。 加算時の繰り上がりは上の位にさらに足すことや、二桁以上の乗算については、 が成り立つことに注意して計算を実行していく。 減法については表を作ってもよいが、 引く数に -1 を掛けてから引かれる数に足すという方法も考えられる。

例として、底が 4 で仮数に -2, -1, 0, 1 を持つ記数法の、加算と減算と乗算の表を次に示す。

加算
+01
01
10
0 01
1 011
減算 (左-上)
01
01
10
0 110
1 1110
乗算
×01
1010
110
0 0000
1 01

除法

底を K とした K進法の上で R を D で割る手順を説明する。 記数法によって決まる、一桁の商を示す二変数関数 QK が分かっているとし、 十分に大きな整数 n をとり、次の計算を行う。

                          rn=R
  cn=QK(rn  , DKn )   rn-1=  rn-cnDKn
cn-1=QK(rn-1, DKn-1)   rn-2=rn-1-cn-1DKn-1
cn-2=QK(rn-2, DKn-2)   rn-3=rn-2-cn-2DKn-2

......

  c0=QK(r0  , D   )    r-1=  r0-c0D
底が -1+i で 0, 1 を仮数に持つ記数法により 0.XXX... の形で表記できる範囲。ツインドラゴン曲線と酷似する。

商は K進法で cncn-1…c0 となり、 余りは r-1 となる。 ただし記数法によっては、 0.XXX... の形で表記できる範囲がフラクタルを描くため QK が作れなくなり、除算が不可能となる。 またこの操作をさらに続けると、循環小数が商として得られる。

Q(r, d) の例を次に示す。

  • 十進法

d≦0 または r<0 または 10d≦r は禁止で、
0≦r<d ならば Q(r, d)=0
d≦r<2d ならば Q(r, d)=1
2d≦r<3d ならば Q(r, d)=2
......
8d≦r<9d ならば Q(r, d)=8
9d≦r<10d ならば Q(r, d)=9 となる。

  • 底が -2 で仮数に 0, 1 を持つ記数法

d=0 または (r<-2d/3 かつ r<4d/3) または (-2d/3<r かつ 4d/3<r) は禁止で、
d/3<r≦4d/3 または 4d/3≦r<d/3 ならば Q(r, d)=1
-2d/3≦r≦d/3 または d/3≦r≦-2d/3 ならば Q(r, d)=0 となる。

  • 平衡三進法

d=0 または (r<-3d/2 かつ r<3d/2) または (-3d/2<r かつ 3d/2<r) は禁止で、
d/2<r≦3d/2 または 3d/2≦r<d/2 ならば Q(r, d)=1
-d/2≦r≦d/2 または d/2≦r≦-d/2 ならば Q(r, d)=0
-3d/2≦r<-d/2 または -d/2<r≦-3d/2 ならば Q(r, d)=-1 となる。

記法の変換方法

標準的な記数法に対しての、数の表記法を変換する方法を説明する。

十進法からの変換(整数部分)

余りが仮数に含まれるように底で割っていく方法がある。この方法では下位の仮数から求まる。

例えば十進法で表記された数3620を平衡三進法に変換すると、

3620 ÷ 3 = 1207 . . . -1
1207 ÷ 3 =  402 . . .  1
 402 ÷ 3 =  134 . . .  0
 134 ÷ 3 =   45 . . . -1
  45 ÷ 3 =   15 . . .  0
  15 ÷ 3 =    5 . . .  0
   5 ÷ 3 =    2 . . . -1
   2 ÷ 3 =    1 . . . -1
   1 ÷ 3 =    0 . . .  1

から平衡三進法では 10001 と表記できる。

また、基本的には複素数を表記する記数法ではこの変換は難しいが、 底が -1+i で仮数に 0, 1 を持つ記数法では、比較的簡単に計算できる。 ある複素数 x+yi に対して (x, y は整数) 、

(x + yi) ÷ (-1 + i) = p + qi . . . c

となる整数 p, q と仮数 c を求める。この式を変形すると、

の 2 式が得られる。 x+y が奇数なら -x+y, -x-y も奇数なので p, q が整数であることに注意すると、 x+y が奇数のとき c=1 、偶数のとき c=0 がわかる。

十進法からの変換(小数部分)

上にある除法の節の QK を利用し、次の計算を行う。 変換前の十進数を R とする。

                r0=R
c0=QK(r0, 1)   r1=K×(r0-c0)
c1=QK(r1, 1)   r2=K×(r1-c1)
c2=QK(r2, 1)   r3=K×(r2-c2)
......

これにより、 R は K進法で c0.c1c2c3... と表記できる。

十進法への変換(整数部分)

上位より仮数を足してから底を掛けていく方法がある。

例えば 0, 1 を仮数に持ち、底を -2 とした記数法で表記された数 1101101 を十進法に変換すると、

  0+1=  1    1×(-2)= -2
 -2+1= -1   -1×(-2)=  2
  2+0=  2    2×(-2)= -4
 -4+1= -3   -3×(-2)=  6
  6+1=  7    7×(-2)=-14
-14+0=-14  -14×(-2)= 28
 28+1= 29

から十進法では 29 と表記できる。

十進法への変換(有限小数部分)

上位より仮数を足してから底を掛けていき、最下位の仮数を足したら、 それに最下位の重みを掛けるという方法がある。

十進法への変換(循環小数部分)

次の式を利用して変換できる。      (|e|>1)

位の統合と分割

二つの記数法があるとし、それぞれの底が n, nk となっており、 底が n の方で k桁で表される全ての数が、底が nk の方では 1桁で表される時、 その対応により、各位を変換するだけで任意の数を変換することができる。 例えば、0, 1 を仮数に持つ底が -2 の記数法 [A] と、 -2, -1, 0, 1 を仮数に持つ底が 4 の記数法 [B] は、 10 と 、11と 、00 と 0 、01 と 1 が対応しているので、 例えば [A] で表記された 100011011 の二つの位を一つに統合すると、 101 となり [B] での表記が得られる。

詳しい定義

関連項目

注・参考文献

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