後十字絞
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後十字絞は受の背後からの十字絞である。
受の後方右肩上より左手で受の左襟を取り、右手で受の右肩の所を掴んで後方に引きながら左右の腕を開いて絞める技。
楊心流柔術では初期から「袖車」という名称で型に存在しており、分派の真之神道流、天神真楊流、楊心古流などではよく用いられた技であった。天神真楊流では試合口(試合用の技)としても使われており、絞められた状態から逃れる返し技が三手ある。
本来「袖車」という名称は袖を取りながら後ろに廻って車で絞めることからであるが、後十字絞の絞め方を差して「袖車」と言われることが多かった。
講道館が固技の分類を制定した1985年以前の柔道界では「袖車絞」「袖車」と呼ぶのが一般的である。この頃は送襟絞、裸絞、片羽絞などと並立的に掲載される資料が多くあった代表的な絞技であった[6][7][8][9] [10][11][12]。柔道界では後十字絞は1985年以降、十字絞あつかいされ、袖車絞は別の形態の絞め技を指すようになった。
バリエーション
並十字絞
並十字絞の後十字絞は受の後方右肩上より左手で拇指を内にして受の左襟を取り、右手で受の右肩の所を掴んで後方に引きながら左右の腕を開いて絞める[7][13][14][3]。
片十字絞
片十字絞の後十字絞は受の後方右肩上より左手で四指を内にして受の左襟を取り、右手で受の右肩の所を掴んで後方に引きながら左右の腕を開いて絞める[10][2]。
立った状態での後十字絞

立ったまま行う後十字絞もある。
立った状態で後十字絞を行った後、前に引き倒して絞める技を天神真楊流では「諸別」、真之神道流では「諸別」または「襟車」と言っていた。
猿猴
猿猴(えんこう)は戸塚派楊心流師範の深井子之吉が記した『奥秘龍之巻』で紹介されている地に伏せた形で斜後方から行う後十字絞。
投技で倒した受けが起き上がろうとする時や寝技で起き上がろうする時、受の側面が我正面に対した状態で施す技である。
右膝を地に突いて左足を受の背中に付けた状態で後十字絞を行い、受が絞めを防ぐために後ろに向くか絞められた手を外すために体を反らせようとする瞬間に左足を大きく後方へ退いて地に伏せ、右肩と胸に受の頭を密着させて絞める[15]。
横車

横車(よこぐるま)は側面から掛ける後十字絞め。天神真楊流の試合口(試合用の技)の一つ。
左手で左襟を取り右手で背中の紋所を掴んで後ろに崩し受の右足を右足で大外刈のように払って投げ倒し、そのまま左右の肘を引き分けて咽喉を絞める[16]。
投げられる前に横車から逃れる「橫車崩」という技が三手ある。
脚注
- ↑ 内田良平「柔道手數」『柔道』黒龍會出版部、日本、1903年2月23日、149頁。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/860054/90。「前十字絞、後十字絞、」
- 1 2 Mikinosuke KAWAISHI (1955) (フランス語). Ma méthode de judo. Jean Gailhat(仏訳、イラスト). フランス: Judo international. p. 194. https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000006239126. "SODE-GURUMA"
- 1 2 磯貝一「絞業 袖車絞」『柔道手引草』(増訂第一版)杉本江陽堂、日本、1914年12月25日、170頁。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/925165/96。
- 1 2 帝国尚武会 編『神道六合流柔術教授書』(龍虎之巻 第三期)帝國尚武會、日本、1917年1月31日、260-261頁。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1704216/178。「後十字(袖車、猿猴)」
- ↑ 佐村嘉一郎、大新田勝海「柔道入門講座」『柔道』第28巻第4号、講道館、1957年4月1日、6頁。
- ↑ 有馬純臣「第二章 固技 (四)首固」『柔道大意』岡崎屋、日本、1905年1月12日、121-122頁。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/860055/73。「袖車」
- 1 2 有馬純臣 著「第二章 固技」、有馬純孝 編『有馬柔道教範』福岡新三、日本、1914年4月25日、177-178頁。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/933534/97。「袖車(そでぐるま)」
- ↑ 尾形源治『柔道神髄』大仁堂、日本、1930年5月、126頁。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1033178/71。「袖車絞」
- ↑ 服部興覇『写真説明柔道手びき』文進堂、日本、1934年5月20日、129-130頁。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1106341/72。「袖車」
- 1 2 大日本雄弁会講談社 編『武道宝鑑』大日本雄弁会講談社、日本、1934年11月25日、429-430頁。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3430338/227。「袖車絞」
- ↑ 朝日新聞社(製作・企画)『柔道の真髄 三船十段』日本映画新社、日本。「袖車」
- ↑ 高専柔道技術研究会 編『高専柔道の真髄』(4刷)原書房、1978年12月1日、195-196頁。ISBN 4562037059。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12146844/104。「袖車絞」
- ↑ 野口清 著『柔術記念帖(JUJUTSU)』天津武術会柔術部、1909年
- ↑ 「袖車絞」 高専柔道技術研究会『高専柔道の真髄』第5刷 2003年11月 195ページ 原書房、 ISBN 4562037059
- ↑ 深井子之吉著『奥秘龍之巻』帝國尚武會、1911年
- ↑ 吉田千春, 磯又右衛門 著『天神真楊流柔術極意教授図解』井口松之助、1893年
